謎解きはディナーのあとで
『謎解きはディナーのあとで』(なぞときはディナーのあとで)は、東川篤哉による日本の推理小説(ユーモアミステリー)。またそれを原作としたメディアミックス作品。表紙および公式サイトの作画は中村佑介が手掛けている。 概要東京都国立市を舞台に世界的な企業グループの令嬢で、新人刑事の宝生麗子が遭遇した難解な事件を、彼女の執事・影山が、現場を見ずとも概要を聞いただけで事件を推理し、解決に導いていく、という作品。本格ミステリーの体裁を取りつつ、影山が執事の立場でありながら麗子に毒舌・暴言を吐いたり、上司である風祭と麗子のやり取りなどユーモアをふんだんに取り入れた作風となっている。 2007年に小学館『文芸ポスト』で掲載後、同じ小学館のPR誌『きらら』にて連載され、2010年9月に第一作となる単行本が刊行された。初版発行部数は7000部だったが、発売当初より書店員から強い支持を受けて各書店で大々的に展開され[1][2][3]、発売から3日目で重版が決定[4][5]。以降、2010年11月に朝日新聞の書評コーナー「売りたい本」にて取り上げられたり、本作のCMの放映、2011年2月の『王様のブランチ』で著者のインタビューが放送されるといった話題性もあり、発売後半年で100万部を売り上げ、2011年4月12日に本屋大賞を受賞する[1][4]。2010年12月に発表された2011本格ミステリベスト10のミステリランキングでは9位にランクインした。発売から1年でも売り上げが伸び続け、2011年8月の時点で累積売上は135万部、10月の時点で160万部を突破している。2011年12月1日に発表されたオリコン『2011年年間“本”ランキング』(集計期間は2010年11月22日から2011年11月20日まで)の総合部門で163万6000部の売り上げにより年間首位の座に就いた[6]。日販、トーハンから発表された年間ベストセラーでも総合一位となる(日販では第二作も合わせて発表している)[7]。そして181万4000部を売り上げた記録により『ハリー・ポッターと死の秘宝』を抜いて歴代売上部数総合3位及び文芸部門首位となる[8]。発行部数は2011年12月時で26刷り180万2000部[7]。2012年10月5日には巻末にオリジナルのショートショートを収録した文庫版が発売され、単行本はその年の『2012年年間“本”ランキング』(集計期間は2011年11月21日から2012年11月18日まで)の文芸部門で8位となっている[9]。 2011年11月10日に、第二作となる『謎解きはディナーのあとで2』が発売された。『きらら』2011年1月号から10月号にかけて連載された5編と書き下ろし1編を収録。発売初週で20万8000部を売り上げ、2011年11月17日に発表された11月21日付のオリコンBOOK(総合)週間ランキングで初登場1位を記録し、62万9000部の売り上げにより歴代売上部数は文芸部門で8位となった[8]。なお、発売売上20万越えは2011年に発売された文芸・小説ではこの第二作が初となる[10]。発行部数は2011年12月時で4刷り93万部[7]。『2011年年間“本”ランキング』では3位を記録しており、その翌年の2012年12月3日に発表された『2012年年間“本”ランキング』では2位へと順位を上げた[9]。 2012年12月12日に第三作となる『謎解きはディナーのあとで3』が発売された。前作同様、『きらら』2012年1月号から10月号にかけて連載された5編と書き下ろし1編を収録。2012年12月20日に発表された12月24日付のオリコンBOOK(総合)週間ランキングで11万1000部の売り上げより初登場1位を記録し、これで三作全て初登場首位を獲得する実績を残した[11]。 本作は、女性が主な読者層である小説誌『きらら』への掲載作品を依頼された著者が、女性読者を意識し、「ミステリーを読み慣れていない人向け」に考え出されたという経緯があり、「安楽椅子探偵の執事と新米刑事のお嬢様」という設定は、著者が執事喫茶のニュースを見たことから生み出されたものである。タイトルは著者の70もある案の中から決定したものであり、『きらら』掲載時のタイトルは『宝生麗子の謎解きはディナーのあとで』だった[5]。 麗子と風祭が事件の捜査をし、その詳細を聞いた影山が、麗子への暴言の後に推理を語り、その終了と共に話が締めくくられる、というのが基本的なパターンとなっており、犯人や証拠の確保といった描写は(一部を除いて)ない。また、その影山の暴言が、謎を解くのに十分な全ての手掛かりが提示されたことを示す、「読者への挑戦状」と同じ役割を担っている[12]。作中でも「影山が麗子に対して丁寧かつ無礼な暴言を吐くときは、彼の頭の中で推理が確信に変わったときだ」という一文がある。 なお、本作での国立署は国立市のみならず、国分寺市や立川市も管轄しているが、現実には国立市は立川市(ごく一部は東大和警察署)と共に立川警察署の管轄であり、国分寺市は小金井警察署の管轄である。 第三作でシリーズ終了を窺わせるエンディングとなっていたが、7年以上のブランクを経た後、『きらら』2020年1月号から第四作となる『新 謎解きはディナーのあとで』の連載が開始。Web版に移行した2020年11月号まで連載され、2021年3月に単行本として刊行された。その後、『STORY BOX』へと発表の場を変え、2022年1月号から2023年3月号まで『新 謎解きはディナーのあとで 2』を連載。2024年9月に単行本として刊行された。 尚、第三作と第四作の間にも新作短編は発表されており、アンソロジー『VS. こち亀』(2016年9月 集英社)には秋本治の漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』とコラボした「謎解きは葛飾区亀有公園の前で」が収録されている。更に、傑作選『謎解きはディナーのあとで ベスト版』(2019年12月 小学館文庫)には自選3編[13]の他に書き下ろしの「殺意のお飲み物をどうぞ」が収録されている。また、青柳碧人著『判決はCMのあとで ストロベリー・マーキュリー殺人事件』(2014年9月 角川文庫)の解説「解説は本編の前に」には麗子が、アイザック・アシモフ著『黒後家蜘蛛の会3【新版】』(2018年8月 創元推理文庫)の解説には麗子と影山が登場している。 メディアミックス
登場人物
劇中設定
収録作品謎解きはディナーのあとで
謎解きはディナーのあとで2
謎解きはディナーのあとで3
書誌情報
テレビドラマ・映画→詳細は「謎解きはディナーのあとで (テレビドラマ)」を参照
2011年10月から12月までテレビドラマがフジテレビ系火曜21時枠で放送され、2012年3月にスペシャル版が放送された。2013年8月にはオリジナルストーリーの映画が公開された。 舞台劇団「拙者ムニエル」主宰・村上大樹の脚本・演出により舞台化、2012年8月31日から9月9日まで天王洲 銀河劇場で上演された。西山は今作で舞台初出演となる。舞台化はドラマ化が決まる前から決定していたという[16]。 出演者(舞台)
スタッフ(舞台)
朗読劇「ニッポン朗読アカデミー」のスピンオフ企画・朗読劇として公演された。脚本を福本岳史、演出を菅沼尚宏が担当した。 公演日程
出演者(朗読劇・2017年)
出演者(朗読劇・2018年)
オーディオブックaudiobook.jp(旧・FeBe)版2017年5月27日より第1巻の内容が配信[19]。本サービスでは第2巻目以降はオーディオブック化されていない。 Audible版2021年6月18日に第1巻[21]、同年7月16日に第2巻[22]、同年8月20日に第3巻[23]、同年9月17日に「新」[24]が配信。全て福沙奈恵による朗読。 テレビアニメ2025年4月よりフジテレビ系列『ノイタミナ』枠ほかにて放送中[25]。同枠の枠移動・全国ネット化後の第一弾作品となる[14]。 作品の特徴
キャスティング・演技宝生麗子役の花澤香菜は、『キャラクターに感情移入しながら楽しむことができた』と述べており、『表情や動きに注目しながら演じることができた』と語っている。特に、感情の上下を激しくしながら刑事としての客観性を保つ難しさを強調することで麗子の個性を出したとしている。また、他の声優とのアドリブに対応する楽しさも感じていて宮野や梶の演技も称賛している。宮野の風祭への入り込み方・梶の影山に関しての演技力に刺激を受け、成長しようと感じた。ファンには小説やドラマともちがう新たな魅力があるし世代を問わず楽しめるので気張らず気軽に楽しんでほしいと話している。そして風祭警部役の宮野真守はキャラクターを十分に理解したうえでアドリブを交えながら麗子への仕掛けを演じ、影山役の梶裕貴は新しい役柄に挑戦しながら原作ファンや制作側の持つ影山のイメージも大切にして演じている。何度も共演経験のある花澤/梶/宮野のコンビネーションが、現作やテレビドラマや映画版とは別のアニメ版の魅力を作りだしている[26][27]。 スタッフ(テレビアニメ)
主題歌
各話リスト
放送局
BD / DVD
脚注注釈出典
関連項目
外部リンク
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