小樽市総合博物館 (おたるしそうごうはくぶつかん)は、北海道 小樽市 手宮 1丁目にある北海道の歴史 や自然 、鉄道 をはじめとした交通 、科学 などに関する展示を行う博物館 である。
2007年 (平成 19年)7月14日 、小樽市博物館 (おたるしはくぶつかん)と小樽市青少年科学技術館 (2006年 12月閉館)の機能を統合し、手宮駅 にあった第三セクター 運営の小樽交通記念館 (おたるこうつうきねんかん。2006年3月閉館)の施設を活用する形で発足したもので、旧小樽交通記念館の施設に事務機能を集約し、本館とした。なお、旧・小樽市博物館は運河館 と改称された。
歴史
1956年 (昭和 31年)、色内にある旧日本郵船 小樽支店を利用し小樽市博物館 として設立された。設立当初は美術 を含む人文 ・自然を対象とした博物館であり、その後1985年に現在の運河館となる旧小樽倉庫に移転した[ 2] 。
その後1962年 (昭和37年)12月に、日本の鉄道開業 90周年を記念して当時の日本国有鉄道 札幌鉄道管理局が設置した北海道鉄道記念館 を分館として運営・受託管理を行った[ 3] [ 2] 。開館当初は旧機関庫を本館として用い、1964年10月には北海道大学付属博物館 から大勝号機関車も搬入された[ 4] 。1977年には倉庫を改装した鉄道資料館棟が開設されたほか[ 2] 、1986年にはこれまでの17両に加え民営化を控えての11月ダイヤ改正 に伴い「不要になる車両の各形式を一両ずつ保存したい」との国鉄北海道総局の申し出を受け余剰となった電気機関車・気動車・客車・貨車・救援車計25両を追加収蔵し1987年より展示を開始し2倍以上の展示規模となった[ 5] 。
1976年に立案されたSL博物館への拡張案から発展する形で1980年に小樽市で開催された北海道鉄道開業百年記念式典の剰余金をはじめとした寄付金などを元に「北海道交通記念館」の仮称で拡張を行う検討が進められ[ 2] 、その後鉄道記念館は1992年 (平成4年)11月4日から一時閉館し[ 6] 、小樽市を事業主体に北海道やJR北海道の支援を受け整備拡充を行うこととなり旧手宮線敷地を中心としたJR所有地2.2haと国鉄清算事業団から買収した市有地3.6haに博物館本館となる「中央展示館」などを建設し[ 7] 、改装のうえ1996年 (平成8年)4月20日に展示範囲を海運や陸運にまで拡大して総合的な交通博物館として再オープン、小樽交通記念館 に改称した[ 8] 。小樽市が51%を出資する第三セクター の株式会社小樽交通記念館により運営されていたが[ 7] 、利用者の減少などのため2006年(平成18年)3月で閉館した。
小樽市博物館は2007年(平成19年)7月14日 に、小樽市青少年科学技術館との機能統合にともない旧小樽交通記念館跡地に移転のうえ小樽市総合博物館 と改称しオープンした。同年9月にはツール・ド・北海道 2007の出発点となったほか、この年より小樽クラシックカー 博覧会 in 小樽市総合博物館が開催されている。
日本博物館協会 会員館[ 9] 。北海道博物館協会 加盟館[ 10] 。博物館法 に基づく北海道教育委員会 登録博物館 である[ 11] 。2024年、第5回日本博物館協会賞受賞[ 12] 。
本館
本館手宮口
本館は、北海道の鉄道発祥の地である旧手宮線 ・手宮駅の構内敷地5.8haを利用して設置されており、鉄道・科学・歴史館、蒸気機関車記念館、鉄道車輌保存館の3つの屋内施設の他、屋外展示場があり貴重な鉄道車両 、自動車 などが保存展示されている。現存する日本最古の機関庫 で鉄道記念物 である鉄道車輌保存館をはじめとして、道内に存在する準鉄道記念物12件のうち8件が、当館の所蔵である。
主な展示物
建造物
旧手宮機関庫
北海道鉄道開通起点標
旧手宮機関庫(鉄道車輌保存館):鉄道記念物、国の重要文化財
手宮口転車台:旧小樽築港機関区 転車台
北海道鉄道開通起点標:準鉄道記念物
動態展示
静態展示
鉄道
蒸気機関車
ディーゼル機関車
電気機関車
ED75 501 :準鉄道記念物。1986年収蔵[ 5] 、北海道鉄道文化保存会 によって外部修復工事済。高濃度のPCB が含まれていたためED76 509と共に廃棄解体が決定され作業中だったが、想定より解体箇所が少なかったことから専門業者からの意見を踏まえて方針を変更し、腐食が進む機器のみを撤去し引き続き保存予定[ 17] 。
ED76 509 :1986年収蔵[ 5] 、北海道鉄道文化保存会によって修復実施済。高濃度のPCB が含まれていたためED75 501と共に廃棄解体が決定され作業中だったが、想定より解体箇所が少なかったことから専門業者からの意見を踏まえて方針を変更し[ 17] 、2024年11月9日より頭部のみの展示を開始[ 18] 。
気動車
客車
貨車
事業用車
過去の展示物
自動車
以下の車種からいずれかが入れ替え制で一般公開される。
過去の展示物
しづか号
い1号客車
大勝号
C12 6
C55 50
DD13 611
DD14 323
DD15 37
DD16 17
ED75 501
ED76 509
キハ22 56
キハ56 23
キハ82 1とキシ80 34
マニ30 2012
オエ61 309
スエ78 5
ワフ29984
ヨ7904
ソ34+チキ6141
遊覧鉄道の中央駅
遊覧鉄道の手宮駅
三菱T370型バス 「フロンティア号」
マツダHR-X 水素ロータリーエンジン試験車
ロコモビル・スタンダード
マツダ号DC型
マツダ787B レプリカ (現在は展示終了)
備考
冬期間は本館の屋外の展示車両の大半が降雪対策としてブルーシートで覆われ、見学できない。
敷地内には2008年から国鉄スハ43系客車 及び国鉄ワフ29500形貨車 を利用した飲食店があり、イタリア料理店「リストランテ トレノ」が博物館のレストラン営業募集に応じて小樽市高島から博物館敷地に移転し[ 23] 、その後2021年11月3日に閉店[ 24] 。2022年春から2023年10月には喫茶店「ハルのち晴れ。」が居抜き出店していた[ 25] [ 26] 。
運河館
小樽運河 近くに1890年 から1894年 にかけて建設された旧小樽倉庫(小樽市指定歴史的建造物 )の建物3棟を館施設に用いて小樽市の歴史と自然環境に関する内容を展示・紹介している。第1展示室では「小樽の歴史―まちのあゆみを知る」としてアイヌ時代から近代までの小樽の歴史、第2展示室は「小樽の自然―その多様な姿を知る」として小樽に生息する動植物を中心として小樽の自然を展示する。
脚注
^ a b “小樽市総合博物館条例 ” (PDF). 小樽市. 2016年10月8日閲覧。
^ a b c d e f g 小樽市史 第八巻 行政編(中)第四編 市政三〇年 第23章 社会教育施設
^ “北海道鉄道記念館開館”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1962年12月5日)
^ a b 星良助「昭和30〜40年代 北海道の鉄路」 - 北海道新聞社(2019年)
^ a b c d e f g h i j k l m n 土曜特集 小樽市手宮の北海道鉄道記念館 展示車両2倍へ見ごたえ十分 各形式が勢ぞろい レールバス 電気機関車第一号 事故救援車 - 北海道新聞1986年10月18日夕刊道央版
^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '93年版』ジェー・アール・アール、1993年7月1日、182頁。ISBN 4-88283-114-7 。
^ a b c 渡辺真吾「小樽交通記念館の概要」 - 運転協会誌1996年10月号(日本鉄道運転協会)
^ 交友社 『鉄道ファン 』1996年8月号 通巻424号 p.100
^ 小樽市総合博物館 公益財団法人日本博物館協会
^ 加盟館園 北海道博物館協会
^ 登録博物館一覧 文化庁
^ 顕彰 公益財団法人日本博物館協会
^ 北海道最古の動態蒸気機関車を救う道…小樽市総合博物館が故障中の『アイアンホース号』を語る - Response(2017年12月11日)
^ 北海道最古の動態蒸気機関車がボイラー修理に旅立ち…小樽市総合博物館の『アイアンホース号』 - Resonse(2018年4月23日)
^ アイアンホース号は2018年7月25日から運行を再開します - おたるぽーたる(小樽観光協会)
^ 「小樽市総合博物館 アイアンホース運行再開 」『小樽ジャーナル』2024年7月26日。2025年4月29日閲覧。
^ a b “廃棄予定の機関車一転保存へ 小樽市博物館、PCB除去後に:北海道新聞デジタル ”. 北海道新聞デジタル . 2023年8月30日閲覧。
^ 電気機関車「ED76」9日から展示再開 小樽市総合博物館 PCB除去で頭部のみに 北海道新聞社 - 47NEWS 2024年11月08日
^ トピック・ニュース - 車輌工学1983年6月号
^ 『愛車 博物館に“納車” 小樽「石原裕次郎記念館」8月閉館 市「足跡残す」』 - 北海道新聞2017年5月24日夕刊
^ 裕次郎さんの愛車ロールスロイス 博物館で展示 - 小樽ジャーナル 2017年9月29日
^ “北海道)ルマン24時間優勝のマツダ車、小樽とお別れ ”. 朝日新聞DIGITAL (2015年11月19日). 2015年11月28日時点のオリジナル よりアーカイブ。2015年11月28日閲覧。 - archive.is
^ 列車レストランの大移動!「トレノ」が総合博物館へ - 小樽ジャーナル
^ 鉄道車両を店舗に 小樽のイタリアン「トレノ」3日閉店 37年の歴史に幕 - 北海道新聞 2021年11月3日
^ 朝採りぷらす 地域面から 鉄道車両を活用しカフェに - 北海道新聞2022年5月17日朝刊
^ ハルのち晴れ。閉店のお知らせ - まいぷれ小樽
関連項目
外部リンク