横浜市立南高等学校・附属中学校
横浜市立南高等学校・附属中学校(よこはましりつ みなみこうとうがっこう・ふぞくちゅうがっこう)は、神奈川県横浜市港南区東永谷二丁目にある公立高等学校・中学校。
進路ここでは、 中入生の進学実績について扱うことにする。中入生の入学者数は160名である。しかし、高校に進学する際の数名の転校などにより、実際には卒業者数160名に満たないが、合格率においては160名として計算する。 2024年(令和7年)度は、東京大学に5名の合格者を輩出した。東京大学以外の国立大学では、京都大学に1名、一橋大学に8名、東京工業大学に8名を輩出した。これらの難関4大学群である「東京一工」の括りでは、22名合格したことになる。合格率は約14%であり、神奈川県下公立高校で翠嵐高校に次ぐ進学実績を誇る湘南高校に、匹敵するような結果である。他にも、医学部医学科に6名を輩出している。 概要地域住民や関係者からは「南高」(なんこう)・「南高附属中」(なんこうふぞくちゅう)と呼ばれる中高一貫教育校で、高等学校は1954年(昭和29年)、附属中学校は2012年(平成24年)に開校した。 1954年(昭和29年)4月、横浜市立港高等学校全日制普通科が設置された。従来、港高校は定時制のみの学校であり、横浜市立横浜商業高等学校(Y校)普通科を移管し設置された。翌月に現行名に改称される。 このような背景から1960年(昭和35年)までは独自の校舎を有していなかった。南高PTA会員と南区民が「南高校建設後援会」を発足させ、建設資金の準備、土地購入の活動などを展開して現在地への移転が実現した。建設費用の約6割はこうした市民活動によって賄われたもので、また、校地造成には米軍の協力があった。なお、この建設後援会を母体として、現在の後援会が立ち上げられた[1]。 1991年(平成3年)から使用されている6階建ての校舎は、384名収容の南高ホール、食堂、生徒が自由に利用可能なエレベーター、プラネタリウム、合宿可能なセミナーハウス等、横浜市立高等学校の中では随一の充実した設備を有する。 2015年(平成27年)度からは文部科学賞公認のSGH(スーパーグローバルハイスクール)に、2021年(令和3年)度からはその後継となるSGHネットワークに指定された。後者は附属中学校も対象となった。 中高一貫教育校化への動き横浜市教育委員会は2009年(平成21年)4月に、2012年度(平成24年)より中高一貫校化する方針を発表した。当初は中等教育学校(完全中高一貫校)とする予定だったが、同窓会[2] や地域住民による陳情の結果、附属中学校を併設する形に計画が変更された[3]。その結果、「横浜市立南高等学校」という名称・組織は存置されることとなった。 2011年(平成23年)4月、附属中学校の適性検査日などが発表された[4]。附属中1期の入試倍率は10倍であった。 附属中学校の開校を受け、高等学校は2012年度より「進学指導重点校」に指定されたほか、2013年度からは再び学年制に変更された。 2024年(令和6年)3月、中高一貫教育校への移行に一区切りをついたことを理由に、横浜市教育委員会は「南高等学校及び南高等学校附属中学校における中高一貫教育に関する検証報告書」を発表した。これを踏まえ、2024年(令和6年)8月には「南高等学校・南高等学校附属中学校中高一貫教育推進プラン」を策定した。2026年(令和8年)度より高校からの入学者募集を停止し、中高一貫教育の強化が行われる予定である[5]。 これに伴う学校名の変更は行われない[6] ものの、運営事実上は横浜市教育委員会が当初設置を目指した完全中高一貫校となることとなる。高校からの入学者募集を停止し完全中高一貫校となった後に学校名の変更を行わない先例として、東京都立の併設型中高一貫教育校の5校(富士・大泉・両国・白鷗・武蔵)が挙げられる。 沿革開校前
開校後
附属中学校設置後
教育方針高等学校
附属中学校
入学試験中高ともに横浜市全域が学区であるが、定員の30%までは横浜市外の受検者も入学することができる。 附属中学校附属中学校の入学試験は「入学者決定」と呼称され、「適性検査」と「調査書」によって行われる。ほかの神奈川県・東京都の公立中高一貫教育校と同様に毎年2月3日に行われ、160名を選抜する。合格発表は毎年2月10日午前10時である。12期生(2023年(令和5年)入学生)以降、男女別定員が廃止された[10]。 5期生(2016年(平成28年)度入学生)までは「適性検査Ⅰ」「適性検査Ⅱ」「適性検査Ⅲ」が行われた。6期生(2017年(平成29年)度入学生)からは「適性検査Ⅰ」「適性検査Ⅱ」のみの実施となり、8期生(2019年(平成31年)度入学生)からの「適性検査Ⅰ」は横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校と共通の問題になった[11]。適性検査は各200点満点で採点され、2科目(5期生までは3科目)の合計をB値とする。 「調査書」は小学校第5学年・第6学年における9教科の評定について、 評定3は10点 、評定2は5点 、評定1は1点と点数化し、この合計をA値(180点満点)とする。小学校において英語が教科化されていなかった2020年(令和2年)度以前は8教科の評定を使用していた。また、4期生(2015年(平成27年)度入学生)までは調査書の加点制度があり、小学校第5学年・第6学年の主要4科目(国語・算数・理科・社会)、実技4科目(音楽・図画工作・体育・家庭科)それぞれの評定がオール3だった場合は10点ずつ加点されていたため、計200点満点となっていた[12]。 A値とB値をもとにS値が算出され、これが第1次選考基準となる。 開校以来の入学者決定の基準(第1次選考)は次の表のとおりである。
第1次選考で合格となっていない受検者に対しては「資料が整わないものの選考」および「第2次選考」が行われる。 第2次選考では、適性検査の点数(B値)の高い順に定員を満たすまで(20名)合格とする。10期生(2021年(令和3年)度入学生)・11期生(2022年(令和4年)度入学生)のみ、第2次選考についても男女別定員(男女各10名)である。 神奈川県公立高等学校入学者選抜とは異なり、合格発表後に辞退者が出た場合、繰り上げ合格が発生する。繰り上げ合格者についても第2次選考と同様の方法で決定される。開校以来、競争率は4倍以上を維持している。[14] 2022年(令和4年)・2023年(令和5年)度は、神奈川県公立中高一貫教育校5校合同で、新型コロナウイルス感染者・濃厚接触者を対象に「特例による検査」が実施された。実施日は両年とも2月23日(天皇誕生日)であった。南高等学校附属中学校においては2022年度は1名が合格し[15]、2023年度の合格者はいなかった[16]。2月3日の検査とは別枠で合格者を決定しており、2022年度は11期生として161名が入学している[17]。2021年(令和3年)は「公立中学校への進学が確保されている」ことを理由に[18]、特例による検査は実施されなかった。 試験の入試得点個人結果を希望者のみ開示する「簡易開示」が行われている。 高等学校62期生(2015年(平成27年)度入学生)からは1クラス分の募集(38名)となっている。他神奈川県公立高等学校に準じた選抜方法となっている。 62期生以降の選考基準は次の表の通りである。表中の数字は入学者選抜においての配点の割合を示す。「主体態度」は「主体的に学習に取り組む態度」である。第1次選考および第2次選考の学力検査のうち英語の配点が1.5倍に重点化される[19]。
63期生(2016年(平成28年)度入学生)は1次募集で定員を満たさず2次募集が行われ[20]、翌年度の64期生(2017年(平成29年)度入学生)から特色検査が廃止された。70期生(2023年(令和5年)度入学生)では第2次選考の配点が変更された[21] が、翌年の71期生(2024年(令和6年)度入学生)からは神奈川県公立高等学校入学者選抜制度変更に伴い、再び選考の配点が変更された。これにより面接が廃止されたほか、第2次選考では「主体的に学習に取り組む態度」が加味されるようになった。 38名募集の場合、第1次選考は上位34名(38×0.9=34.2)までを合格とし、第2次選考では残りの4名(38-34=4)分の合格者を決定する。 附属中学校開校前、58期生(2011年(平成23年)度入学生)までは、8学級の募集が行われていた[20]。現在の南高等学校の規模は5学級(附属中学校からの進学者を含む)と減員されているが、代わりに他の横浜市立高校(全日制普通科)の定員が3学級分増加しており[22]、横浜市立高校(全日制普通科)全体の学級数は維持されている。 募集は72期生(2025年(令和7年)度入学生)を最後に停止される予定である。 学級編成ここでは附属中学校の生徒が高等学校に進学するようになってからの学級編成について述べる。 62期生(2015年(平成27年)度入学生)から64期生(2017年(平成29年)度入学生)までは、附属中学校からの進学者(中入生)と他中学校からの入学者(高入生)を3年生で混合としていた。中入生は毎年クラス替えとなったが、高入生は2年生まで単独クラスでありクラス替えがなかった。63期生(2016年(平成28年)度入学生)は、3年生で文理混合の5学級となったが、62期生・64期生は、3年生で文理別のクラスとなった。附属中学校3年生で数学・英語・国語の先取り学習および単位認定を行っていたため[20]、中入生と高入生のカリキュラムは別に組まれた。 65期生(2018年(平成30年)度入学生)と66期生(2019年(平成31年)度入学生)は中入生の先取り学習および単位認定をとりやめ[20]、中入生と高入生のカリキュラムを同一とした。1年生の段階から高入生と中入生を混合したクラスとし、2年生で文理別のクラスとなった。全員クラス替えはこの1回のみとなった。文理別のクラス分けは2年生の選択科目によって行われた。なお人数の都合により、文理混合の学級も1つ作られた。 文理別のクラスはいずれの年も1組・2組が文系、4組・5組が理系、3組が文理混合クラスという構成であった。 67期生(2020年(令和2年)度入学生)からは1年生の段階から高入生と中入生を混合とし、2年生と3年生でも文理混合のクラスとなる。クラス替えは年度が替わるたびに行われる。 横浜市教育委員会の報告書では、先取り学習について「高校3年生で高入生が中入生と同じ学習進度となることを想定していたが、高校3年生で同じクラスで授業を受ける際、授業進度や難易度の調整が難しい状況が生まれた」、高入生を別クラスにしたことについて「生徒指導や学年経営等で学年が一体となって活動していくにあたり、困難な場面が生じた」ため、65期生からいずれもとりやめたと説明されている[20]。 73期生(2026年(令和8年)度入学生)からは中入生のみで構成される予定である。 教育課程高校入学者募集の停止に伴い、2026年(令和8年)度以降、中高ともにカリキュラムの変更が予定されている[5] が、2024年(令和6年)現在、次のカリキュラムとなっている。 附属中学校開校以来週33時間授業である。毎日英語・国語・数学の授業が設定されており、週5時間ずつとなっている。(一般の中学校は週29時間授業、英語・国語・数学は週3~4時間である。) 授業増に対応するため中学校は毎週火曜・木曜が7時間授業となる。月2回程度土曜日の午前に総合的な学習の時間(EGG)が設定され、各学年で週2コマは確保されている。 EGGは3年間を通したカリキュラムが組まれ、3年生では個々の興味に応じた内容で卒業論文を作成する。「豊かな心」「高い学力」の育成を目的とする。[23] 高等学校61期生(2014年(平成26年)度入学生)より週33時間授業に変更された[24]。毎週火曜・水曜・木曜が7時間授業となる、 1年生・2年生英語・国語・数学が週5コマ以上設定されている。(附属中学校とは異なり時間割の都合で1日に2コマ以上設定されることもある。) 1年生は芸術Ⅰ(音楽Ⅰ・美術Ⅰ・書道Ⅰ)の選択、2年生では理科基礎科目(化学基礎・地学基礎)と文理別(地理歴史もしくは基礎を付さない理科)の選択があるが、そのほかは原則として全員共通で履修する。 英語・数学では2学級3展開もしくは1学級2展開の少人数授業が展開され、特に数学は習熟度別となっている。 その他、1、2年生では、不定期的に土曜日午前に総合的な学習の時間(TRY&ACT)が設定される。 3年生現代文・体育・英語を除いて選択科目となる。選択した科目によって独自の時間割が組まれるため、学級単位の授業はなくなる。学級が関係する活動は各行事や学活等にとどまっている。 学校行事「お祭り学校」と言われることもある、行事の多い学校である。
部活動一部の部活動は中高合同で活動することもあるが、原則として別組織・別活動となっている。高等学校のみの部活動も多数存在し、高等学校入学後に選択し直すことができる。附属中学校の3年生は引退した後、そのまま高等学校の部活動に参加することもできる。 高等学校男女を区別せずに数えれば、2022年(令和4年)現在、運動部と文化部がそれぞれ12ある。[6] 活動は原則として平日4日と土日のどちらかとされている。 運動部
文化部
附属中学校2021年(令和3年)現在、運動部が9、文化部が7ある。[25] 活動は月曜・水曜・金曜の放課後と土日のどちらかの半日、計週4日までとなっている。また朝練や兼部は禁止となっている。 運動部
文化部
生徒会活動原則として、中高合同の行事に関しては高等学校の生徒会組織が企画立案の中心となっているが、その他の活動や委員会は中高別に活動している。 高等学校毎年6月・11月に生徒会本部役員選挙が行われ[26]、南高祭(9月)終了後または新年度に生徒会役員がそれぞれ半数交代する仕組みとなっている。 生徒会本部役員は1年後半~2年時までの約1年間活動する。その他、各委員会の委員長は2年生から選出される。 附属中学校毎年11月に高等学校と合同で生徒会本部役員選挙が行われ、新2年生と新3年生から選出される。任期は翌年度の1年間であり、こちらは一年毎に総交代となる。各委員会の委員長は3年生から選出される。附属中学校3学年のみで独自のレクリエーション活動が展開されることもある。 その他
交通徒歩所要時間は距離を基に計算(80m/分)
著名な関係者出身者
脚注
関連項目外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia