機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079
『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』(きどうせんしガンダム クロスディメンション ダブルオーセブンティナイン)は、1995年2月10日にバンダイが発売したスーパーファミコン用のウォー・シミュレーションゲーム(シミュレーションロールプレイングゲーム)。 概要本作は、テレビアニメ及び劇場用アニメ『機動戦士ガンダム』を再現した本編(全14話)と、本編をクリアすると追加されるゲームオリジナル・ストーリー「死にゆく者たちへの祈り」(全6話)がプレイ出来るようになっている。 「死にゆく者たちへの祈り」では、アニメ本編でメカニックデザインを担当した大河原邦男による新規デザインのモビルスーツと、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』や『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の川元利浩によってデザインされたキャラクターが登場し、ガンダム世界全体の幅を広げることとなった。この流れが後にゲームオリジナルストーリーガンダム作品である「機動戦士ガンダム外伝」シリーズへと繋がることになる。 以降は、便宜的に本編を第1部、「死にゆく者たちへの祈り」を第2部と記述する。 なお、第2部のシナリオのリメイク版は、のちにPlayStation 3用ソフト『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』に収録された[2]。 ゲームシステム本ゲームはシミュレーションゲームとしては珍しいシステムが多い。ローグライクゲームに通ずる点もある。
特殊攻撃(必殺技)白兵戦と銃攻撃の2種類があり、いくつかは敵機も使用する。特殊攻撃と通常の銃攻撃は移動前でないと使用できないが、敵機は移動後にも使用する場合がある。 うち白兵戦は十字キーを入力して発動させる仕組みとなっており、一定回数以上使用して記憶率が100%になるとATTACKコマンドを選んだ際に表示されるようになる。一方、銃攻撃は「特殊弾丸」と呼ばれるアイテムを消費して発動させる仕組みとなっており、強力な技ほど消費量が多い。 また、これらの技の中には機体によって動作が異なったり、特定の機体のみが使用可能なものもある。 第1部特徴アニメ『機動戦士ガンダム』のダイジェスト版といった趣になっている。原作アニメを知らないプレイヤーに対する配慮(改変)[注釈 1]も見られるが、登場人物の出会いや登場時期を大きく省いている箇所も多い。特に原作同様、物語終盤でアムロとシャアがザビ家について意見を言うシーンがあるが、肝心のザビ家についての説明が不足しており、ギレンに至っては名前すら登場しない。 この事について書籍『B-CLUB』113号に掲載されたゲームデザイナーへのインタビューによれば、アニメを知らないユーザーも楽しめるように考慮した結果、劇場版の機動戦士ガンダムはテレビ版を忠実に再現しているわけではないが、テレビ版を知らなくても物語が理解できると気付き、同じように作ってみた。いうなれば、本作品はゲーム版の機動戦士ガンダムであると語っている。また、ビジュアルシーンのカメラ位置が原作とは異なるのは意図したものであり、原作のBGMが使用されていないのは、ノスタルジーだけで作品を作りたくなかったためと語っている。 シナリオ
登場人物ゲームの仕様上、アニメ本編との変更点や矛盾点が多いのが特徴だが、ここでは割愛する。 第2部(死にゆく者たちへの祈り)ストーリー地球連邦軍はオデッサを奪回すべく部隊を集結しつつあった。ジオンのアジア攻略部隊がこれを迎え撃つが敗退。作戦に参加したヘンリー・ブーン大尉率いるウルフ・ガー隊は本隊を見失い、はぐれ部隊になってしまう。それは、ガルマ・ザビが戦死してから5日後の宇宙世紀0079年10月9日のことであった。 ゴビ砂漠をさまようウルフ・ガー隊は連邦軍の基地を発見。食料と弾薬の補給のためにこれを奇襲する。相手の戦力は少なく、コンテナに中身が書いてあることもあり、物資の奪取は拍子抜けなほど簡単に終わる。一旦撤収したウルフ・ガー隊は、ザクとグフからなる自分達と同じようなはぐれ部隊が、先程の自分達と同じように基地へ向かっていくのを発見する。隊員は合流を提案するが、隊長ヘンリー・ブーンの指示によりひとまず様子を見ることにする。彼はこのような砂漠の真ん中に基地があること、奪取した弾薬のコンテナに書いてあった"RX78XX"という文字、その中身がすべてモビルスーツ用であったことから、新型のモビルスーツがいる可能性が高いと説明する。 一方、その連邦基地にはアルバトロス輸送中隊が駐留していた。彼らには新型モビルスーツ「RX-78XX ピクシー」をホワイトベース隊に届けるべくオデッサへ向かうという任務に就いている。しかし度重なる戦闘で、白兵戦の出来ないガンキャノンは既に4機も撃破され、残りは2機だけ。ピクシーを使えば対等に戦えるかもしれないが、長くジャブローにいて現場が分かっていない輸送隊長がそれを許可しない。ウルフ・ガー隊の存在に気づいた小隊長ボルク・クライ大尉は独断でピクシーの使用を決行する。敵軍を瞬時に一掃するほどの性能にボルク自身も驚愕する一方、その戦いを見物していたウルフ・ガー隊は、パイロットが機体の性能に振り回されていると判断し、乗りこなす前に撃破せんと再襲撃をかける。 幾度かの戦闘の末、双方生き残ったのは隊長機だけ。そして無人になった基地で一騎討ちが行われる。 なお、オリジナル版の第2部では最終戦の一騎討ちの勝敗によって結末が変化する。プレイヤー(ボルク)が勝利した場合は、ボルクがウルフ・ガー隊のサキ・グラハムを救出し、彼女の手当てをするために無人となった基地に戻る結末を迎える。一方、ヘンリーが勝利した場合は、のちに彼がソロモン防衛戦に参加したことが語られるところで物語は終幕を迎える。 また、 『サイドストーリーズ』に収録されたリメイク版ではボルクが必ず勝利し、一人生き残るも「これは一体何のための戦いなのか」と叫び崩れ落ちる。後日、基地近傍で連邦の回収部隊が砂に下半身が埋もれたピクシーを発見するが、パイロットについての言及はない。 シナリオ
登場人物声優はゲーム『機動戦士ガンダム0083カードビルダー 両雄激突』、『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』、『SDガンダム GGENERATION GENESIS』のもの。 アルバトロス輸送中隊地球連邦軍の特殊任務輸送中隊で[3]、オデッサ攻略作戦への参加と、同じくオデッサに向かっているホワイトベース隊へ、新型モビルスーツ「ピクシー」を届けることを任務とする。モビルスーツ隊と輸送隊、補給小隊で混成されている[3]。MS隊は全6機のガンキャノンで2つの小隊を組んでいるが、度重なる攻撃を受け、10月9日の時点で第1小隊は壊滅し、残っているのは第2小隊のみである[3]。劇中で確認できる輸送機はミデア1機のみ。
ウルフ・ガー隊ジオン公国軍の第17MS小隊[5](特殊任務班[6])で、マ・クベ大佐によって設立された犯罪者を中心とした部隊[6]。主任務は偵察と後方撹乱[6]。同隊は宇宙において結成され、地球侵攻作戦の際に地上に降下している[7]。地球連邦軍のシルクロード反攻作戦「デザート・ドラゴン」に対する迎撃部隊に編入されるが敗退し、本隊を見失う[6]。犯罪者というはぐれ者の集団であることと、本隊を見失って砂漠を放浪するという、二重の意味で「はぐれ部隊」となった。
登場メカニック
開発ゲームデザイナー・神谷春輝へのインタビューによると、当初の構想では「樹氷の魔女」という4部構成の物語で、自機がジオン側のオリジナルストーリーだけでゲーム化し、モビルアーマーも登場する予定だったが、本編のガンダムを知らないユーザーのために、本編をメイン、オリジナルを後ろに持ってきた[10]。しかし容量の限界で第2部「ウルフ・ガー」しか収録できなかったという(「彼らの戦いはまだ続く… TO BE CONTINUED…」という一文が表示されるというエンディングになっているのはこの為)。構想では3機のイフリートとピクシーがそれぞれの場所で戦い抜き、最終的にはそれぞれが宇宙に集結するという展開だったとされる。また、本作品の元ネタは神谷が好きな『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』であると述べており、「0080のように、顔見知り同士がそうとは知らずに同じ戦場にいるという状況を宇宙に上がってからの話でやりたい」と語っていた[11]。なお、第2部以外のタイトルやシナリオは公表されていない。 『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』にリメイク版が収録されたが、自機がウルフ・ガー隊側に変更されている[2]。また原作版ではアルバトロス隊とウルフ・ガー隊双方の物語が描かれたが、リメイク版はゲームシステムの都合もあり、アルバトロス隊のエピソードが一部省略されている。 脚注注釈出典
参考文献
外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia