江守 徹(えもり とおる、本名:加藤 徹夫〈かとう てつお〉、1944年〈昭和19年〉1月25日 - )は、日本の俳優、タレント、ナレーター、劇作家、演出家、翻訳家。文学座所属。身長171cm[1]、体重75kg。血液型はA型。
芸名は、フランスの俳優・劇作家モリエールから。文学座に入所当時、文学座では同じ苗字を持つ二人の俳優がすでに演劇界に知られており(加藤和夫、加藤武)、加藤姓が多いため自身で芸名を考えたところ、はじめ「もりえるい」という芸名を思いついたが安直なため却下し、文字を分解した「えもり」、かつ本名の「徹」の字が入る「えもりとおる(江守徹)」という芸名をそのまま名乗ることにしたのが由来である[2]。
来歴
東京都新宿区出身[1]。出生前に父は戦死し、母・雪子の手で育てられる[3]。幼いころから映画館で上映されている映画に親しんだ。板橋区立志村第一中学校から東京都立北園高等学校へと進む[1]。同校で美術部・演劇部を掛け持ち、同級生に吉田日出子、出崎統がいる。
同高校卒業後、19歳で文学座に入る。映画好きであったため早くから俳優を志望しつつ、当時の東宝などの「ニューフェイス」という言葉は嫌悪していたところ、杉村春子や宇野重吉などが在籍する新劇俳優の道を知ったことが文学座へ入ったきっかけである。1963年に初舞台を踏んで以降、風貌と演技力が買われ、次第に頭角をあらわす。1980年以前も含めて数多の舞台に出演し、テレビや舞台において俳優・演出・台本などをこなす実力派俳優となった。特に実践から培われたシェイクスピアをはじめとする新劇論はかなり専門的である。
海外の戯曲の翻訳も手がけ、1991年には『魔笛』で初のオペラの演出を手掛けている[4]。このほか、数多くのテレビドラマ、映画予告編などでナレーションも行っている。
NHKのクイズ番組『連想ゲーム』といったバラエティ番組にも出演した。バラエティ番組では中尾彬と共演する機会が多く、番組内ではしばし険悪になり口論するのがお約束でもあったが、これらはあくまでもバラエティ向けに息を合わせた洒落であるらしく、中尾とは私生活で親密な付き合いがあるわけではなく、お互いの電話番号も知らない程度の間柄である[5]。
2007年2月末に軽度の脳梗塞で入院したが、翌月には「文学座設立70周年記念パーティー」に出席し、同年4月から仕事復帰を果たす。2016年には文学座の劇団代表に就任し[6]、1期6年の任期を務めて2022年に退任した[7]。
人物
私生活
- 所属する文学座と俳優座の合同公演『冬の花――ヒロシマのこころ』(作:小山祐士)で知り合った、俳優座の女優・石橋智子と1971年6月7日に結婚。3人の子を儲けた。
出演(顔出し)
舞台
- トスカ(1963年)
- 女の一生(1964年) - 刑事B 役[8]
- 大麦入りのチキンスープ(1964年) - ロニイ・カーン 役[8]
- 冬の花(1970年)
- オセロー(1972年)
- 審判(1980年)
- ハムレット(1981年) - 演出・出演
- アマデウス(1982年)
- シラノ・ド・ベルジュラック(1983年)
- 近松女敵討(1984年)
- キーン(1985年)
- ウェストサイドワルツ(1985年) - 訳・演出・出演
- 欲望という名の電車(1986年) - 演出
- マクベス(1987年)
- 似顔絵のひと(1990年) - 作・演出
- その先は知らず(1992年) - 作・演出
- 夜のキャンヴァス(1993年) - 作
- ゴドーを待ちながら(1994年)
- 絹布の法被(1995年) - 作・演出
- おかしな二人(1995年)
- 天井桟敷の人々(1995年)- 演出・出演
- あ!? それが問題だ(1997年) - 作・演出・出演
- ディア・ライアー すてきな嘘つき(1998年)
- キーン(1999年)
- デンティスト 愛のかくれんぼ(2000年) - 作・演出・出演
- 功名が辻(2000年) - 演出・出演
- ウィンザーの陽気な女房たち(2001年)
- コペンハーゲン(2001年)
- リトル・ヴォイス(2002年) - 訳・演出・出演
- てるてる坊主の照子さん(2002年)
- ドン・ジョヴァンニ(2002年) - 語り
- さぶ(2003年)
- 山ほととぎすほしいまま(2003年) - 演出・出演
- リチャード三世(2003年)
- きまぐれ道中(2004年)
- SHIROH(2004年)
- 時の物置(2004年) - 演出・出演
- あかね空 (2004年) - 演出
- 8人の女たち(2004年) - 演出
- キスへのプレリュード(2005年) - 訳・演出・出演
- 毒の香り(2005年)
- フクロウの賭け(2006年)
- シラノ・ド・ベルジュラック(2006年)
- サンシャイン・ボーイズ(2008年)
- 大川わたり(2008年) - 演出・出演
- 恋ぶみ屋一葉(2008年) - 演出
- グレンギャリー・グレンロス(2009年) - 訳・演出
- 女の一生(2010年) - 演出
- 麦の穂の揺れる穂先に(2010年)
- 33の変奏曲(2010年) - ベートーヴェン 役
- ハンドダウンキッチン(2012年) - 七島勇次郎 役
- 本能寺が燃える(2012年) - 南光坊天海 役
- リア王(2015年) - リア 役
- トロイラスとクレシダ(2015年7月 - 8月、世田谷パブリックシアター) - プライアム 役
- 鼻(2017年) - 男四 役[9]
テレビドラマ
映画
バラエティ番組
- NHK総合
- 日本テレビ系
- TBS系
- フジテレビ系
- テレビ東京系
CM
出演(声優)
劇場アニメ
OVA
- ご案内します アナザーワールドへ(2004年) - 謎の紳士
人形劇
吹き替え
海外映画
ドラマ
ナレーション
映画
- 秘録・太平洋戦争全史(1975年)
- ラッコ物語(1987年)
- 落陽(1992年、日活)
- 新選組(2000年)
- 不撓不屈(2006年)
- 大帝の剣(2007年)
テレビドラマ
テレビ番組
CM
朗読CD・カセット
ラジオ
その他
レーザーディスク
- 映像の先駆者 チャールズ&レイ・イームズの世界 (1986年、レーザーディスク会式会社、SS098-6016)
作品
レコード
翻訳
出典
外部リンク