碓氷峠鉄道文化むら
碓氷峠鉄道文化むら(うすいとうげてつどうぶんかむら)は、群馬県安中市松井田町横川にある体験型鉄道テーマパークである。1999年4月18日に開園。施設は安中市が保有し[4]、指定管理者として一般財団法人碓氷峠交流記念財団が運営する。愛称はPoppoTown(ポッポタウン)で、安中市の登録商標(第4396482号[5]、第4396483号[6])となっている。 碓氷峠の歴史や資料、碓氷峠で活躍した鉄道車両、国鉄時代の貴重な車両などを展示・公開している。また、信越本線の廃線跡を利用してEF63形電気機関車の体験運転が行われたり、トロッコ列車が運行されている。また、展示品を搬入する際や、同館保有のEF63形電気機関車が車輪削正などのため、甲種輸送される際に使われる引き込み線が、横川駅構内に接続している。 沿革東日本旅客鉄道(JR東日本)の信越本線横川 - 軽井沢間が1997年10月1日に廃止されることが決定されると、松井田町(当時)の住民からは町の過疎化を危惧する声が上がった。そこで松井田町は地域活性化として1996年(平成8年)に「横川・軽井沢間周辺整備等推進計画」の策定に着手し、住民や他の自治体との協議・検討を得て「横川・軽井沢間周辺整備基本構想」が策定された。その基本構想の4大拠点のうち、「横川駅周辺」の整備の一環として横川運転区跡地に建設された[2]。
運営状況
当園は総事業費約20億円を投じて1999年に開園。初年度の来園者数は29万5000人で、これによる収入は2億3319万円であった。その後、来園者数は下降し、2016年度は13万2800人(開園以来最少)、これによる収入は1億3500万円であった。一方で、動態保存中の機関車の経年劣化に伴う点検・修理費用は増加しており、財団はこれを賄うため「サポーターズ制度」を導入し、寄付金やボランティアを募集している[18]。 保存車両(EF63留置線整備前) 電気機関車が圧倒的に多く、中には碓氷峠どころかJR東日本とも関係のない東海道・北陸・瀬野八・関門トンネルを走っていた車両もある。 屋外展示場の車両は、開園当初は車内に入れたものの、部品の盗難を受けて入れなくなったものがほとんどである。 マイネ40 11とオハネ12 29を2023年の夏までに宿泊施設として整備する計画が2022年に発表されたものの[19]、それ以降更新されていない。
過去の保存車両以下の車両は撤去もしくは解体され現存しない。
鉄道資料館旧横川運転区の詰所を活用した資料館。館内では、鉄道のジオラマや歴史資料が多数保存されている他、鉄道シミュレータ、HOゲージ鉄道模型約100両の展示、鉄道グッズや冊子などの販売も行われている。
運転体験![]() 当施設が実施する学科・実技講習を受講し、その修了試験に合格することで翌日以降にEF63を運転することができるようになる。運転区間は旧信越本線の運転体験線約400m[注釈 3][29]の往復で、点検を含め所要時間は約30分となっている。運転体験線は750Vで電化されている[30]。 また、実技講習を繰り返し受講することで運転資格を得ることができ、規定回数以上で腕章も贈呈される。
編成例は左が軽井沢方、右が横川方である。(フローチャート)
最短で68回運転すれば重連推進連結運転ができるようになり、かつて行われていた「EF63重連での車両への連結・推進運転と牽引運転・解放」を体験することができるようになる。 2017年から2018年にかけて、動態保存に必要な経費を確保するため、安中市がふるさと納税を介したクラウドファンディングを行っていた[31]。 遊戯施設![]() あぷとくん仮設ホーム[32] 中央奥の建屋はぶんかむら駅。 左からアプトの道へ通じる出口専用ゲート、 シェルパくん線路、あぷとくん線路 あぷとくんとシェルパくんの車両の大規模検査は司機工八潮工場で行われており[33][34]、車両銘板から確認することができる。 あぷとくん開園時から、園内に敷設された軌間610mm、延長約800mの周回軌道を運行する本格的な遊覧列車。園内の北側では信越本線の旧下り線部分を走行する。周回する方向は月1回の検修で入れ替わる[35]。 使用車両
シェルパくん
2005年(平成17年)3月22日に、旧信越本線の下り線[注釈 6]を活用して運行を開始したトロッコ列車。碓氷峠鉄道文化むら内のぶんかむら駅から、旧丸山変電所付近のまるやま駅を経て(往路は3分停車・復路は通過)、碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」付近のとうげのゆ駅までの2.6kmを運行する。所要時間はおよそ20分。 ホームページなどでは専ら、単にトロッコ列車の名が用いられているが[38]、車内放送ではシェルパくんと呼称される。 基本的には冬季を除く週末と多客期に運行されているが、あぷとくんが検査で運休の場合は冬季にも、団体での予約であれば平日にも運行される[39]。基本的に1日5往復だが、碓氷峠ホタルの里祭りや横川ナイトパーク、キャンプイベントや旧道でのラリー(モントレー)などの開催日は増便・夜間運行もある[注釈 7]。 鉄道事業法に基づく正規の鉄道ではなく遊具として扱われているため[7]、乗車する場合は乗車券の他に文化むらの入園料が必要となる[注釈 8]。過去に2度特定目的鉄道として軽井沢まで鉄道事業化する計画が出されていたが、実現には至らなかった。
なお、横川駅に隣接して2032年度以降に開業する予定の道の駅について[42]、2024年に行われたパブリックコメントでは、シェルパくんの横川駅乗り入れを希望する意見が複数寄せられている[43]。 ディーゼル機関車は常にぶんかむら側に連結されるため、往路は客車前方に搭載されたカメラによる推進運転となる[44]。2011年5月にDB201が故障し修理不可能の状態となったため、リース機(MR1503)によるぶんかむら - まるやま間の折り返し運転になったが、2013年3月27日より機関車をMR1106に交代し、とうげのゆまでの運行を再開している[45]。 2015年10 - 11月運行分は、EF63運転体験線の工事によりぶんかむら駅が使用できない為[46]、0.7kmまるやま方に設置した「さくら並木仮設駅」発着による運行となった[47]。 2018年10月20日に累計乗客数が100万人に達した[48]。 2019年運行分からは横川駅に到着する列車との接続を図るため、全列車の運行時刻が10分繰り下げられた[49]。 現在の使用車両愛称と塗装(DB201と客車)は2004年に松井田町が募集を行った[50][51]。
ぶんかむら方の前面
(2023年4月) ![]() (2025年3月)
過去の使用車両![]()
ぶんかむら駅単式ホーム1面1線の地上駅。標高は390m。ホームに屋根がついており、線路も覆う構造となっている。EF63を搬出入する場合を除き、運行されない日はここで留置されている。 列車別改札のため、発車後や入線前にホームに入ることはできない。
ミニ列車![]() 軌間5インチ - 一周約300mのコースで、両者が線路を共用している。
運転シミュレーターEF632000年4月15日に、検修車庫に保存しているEF63 18の横川方運転台を使用した運転シミュレーターが設置された。CGによって車窓が再現され、実物の運転台機器を操作して運転を行い、一部の計器も連動して稼働した。運転区間は下りの横川 - 軽井沢で、途中のトンネル区間が一部省略されて体験時間は10分程度だった。体験料金は1回1000円、運転ガイダンスビデオを視聴する場合は別に200円が必要だった[60][61][62]。 しかし2017年に故障し、機器が古いため修理の目途が立たず外部に依頼して再製作することになり、2020年6月1日に新しいシミュレーターが稼働した。再稼働後は料金の支払いがNFC方式のプリペイドカードに土産売店でチャージする方法に変更された。ガイダンスビデオの視聴は料金不要になったが[63]、カードの発行時に1000円が必要になった。 当初の運転区間は下り横川 - 熊ノ平だったが、2021年1月25日には軽井沢まで「延伸」した[64]。また2022年9月23日に上りの軽井沢 - 横川が運転可能になった他[65]、下り冬仕様[66]や上り春仕様[67]などその後もアップデートを重ねている。 189系実物の189系運転台を利用した運転シミュレーター。運転区間は高崎線下りの上尾 - 熊谷の各駅停車で、全体が8区間に分けられており1回1000円でそのうちの2区間を運転することができた[60]。2015年に故障し[68]、その後は操作に関係なく映像が流れるのみの小児向け「特急電車運転操作体験機」として再稼働した。1回100円で約6分間映像が再生される[69]。 今後の予定→詳細は「信越本線 § 駅付近の開発計画」を参照
入園ゲートを含む東側の部分については、2032年開業予定の道の駅の範囲に組み込まれ[70]、耐震性が確保されていない鉄道資料館については立て直しの上レストランにすることが検討されている[注釈 12]。 アクセス登場作品
脚注注釈
出典
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