臭化物

臭化物
	系統名 Bromide
識別情報
CAS登録番号	24959-67-9 ;
3D model (JSmol)	Interactive image;
バイルシュタイン	3587179
ChEBI	CHEBI:15858 ;
ChEMBL	ChEMBL11685 ;
ChemSpider	254 ;
Gmelin参照	14908
KEGG	C01324 ;
PubChem CID	259;
	InChI InChI=1S/BrH/h1H/p-1 Key: CPELXLSAUQHCOX-UHFFFAOYSA-M ;
	SMILES [Br-];
特性
化学式	Br−
モル質量	79.904 g mol−1
熱化学
標準生成熱 ΔfHo	−121 kJ·mol−1
標準モルエントロピー So	82 J·mol−1·K−1
薬理学
ATC分類	N05CM11
消失半減期	12 d
関連する物質
その他の; 陰イオン	フッ化物; 塩化物; ヨウ化物
	特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

臭化物イオン（しゅうかぶつイオン、Bromide ion）とは、-I価の電荷を帯びた臭素原子である。

厳密には酸化数が-1である臭素の化合物を臭化物（bromides）と呼ぶ。同様に、これに分類される個々の化合物もまた臭化物（bromide）と呼ぶことができる。分類上、臭化セシウムのようなイオン結晶、二臭化硫黄のような共有結合化合物も含むことがある。

自然界の臭化物

臭化物は標準的な海水には約65mg/Lの濃度で溶け込んでおり、これは海水中の全ての塩類の0.2%に当たる。シーフードには概して高水準の臭化物が含まれる。また、陸上から得られる食物の臭化物量は多様である。

化学

希硝酸または硝酸銀を使って臭化物イオンの検出ができる。また、アンモニア水によってクリーム色の沈殿が消失する。

医学的利用

→詳細は「臭化カリウム」を参照

臭化物化合物、特に臭化カリウムは19世紀から20世紀初頭にかけて鎮静剤として多用された。これによって、ブロマイド（bromide）という言葉が口語で、（鎮静剤・気休めとして多用されるような）「陳腐で退屈な常套句」を意味することになった。ただしわが国では、臭化銀（シルバー・ブロマイド）を感光剤として用いた印画紙 (Bromide paper) を指す和製英語からさらに転じて、タレントなどのコレクション用肖像写真「プロマイド (Puromaido)」を差すことが多い。

臭化物イオンには抗てんかん作用があり、特に獣医学において臭化物塩が未だに使われている。

臭化物による副作用にはいわゆるブロム中毒があり、多様な神経症状を引き起こす。また、皮膚疾患も引き起こす可能性がある。詳細は臭化カリウムを参照のこと。

臭化リチウムは1900年代初頭に鎮静剤として使用され始めたが、一部の心臓病患者が代用塩としてそれを用いたのち死亡したため1940年代には人気を失った^[3]。現在では、炭酸リチウムと塩化リチウムのように臭化リチウムも、双極性障害の治療に使われている。