2022年のオリックス・バファローズのリーグ優勝
2022年のオリックス・バファローズのリーグ優勝では、2022年シーズンにおけるパシフィック・リーグ(以下「パ・リーグ」)のリーグ戦最終日にオリックス・バファローズ(以下「オリックス」)が首位福岡ソフトバンクホークス(以下「ソフトバンク」)に勝敗引き分け数が並んだことによって、リーグ規定によりマジック未点灯のままリーグ優勝を達成することとなった優勝事例について取り上げる。 リーグ戦最終日までの経緯→詳細は「2022年のオリックス・バファローズ」を参照
前2021年にパ・リーグを制覇したオリックスは、2022年の開幕戦で埼玉西武ライオンズ(以下「西武」)に勝利するもその後は調子が上がらず借金生活が続き、5月11日には首位の東北楽天ゴールデンイーグルス(以下「楽天」)に最大11.5ゲーム差を離される。しかしオリックスの投手陣は、山本由伸が6月18日の西武戦でノーヒットノーランを達成[注 1]、椋木蓮が7月20日の北海道日本ハムファイターズ(以下「日本ハム」)戦で9回2死まで無安打に抑えるなど、快投を見せる試合があった[1]。 7月後半以降は勝利試合が増え、日本ハム以外の五球団の熾烈な争いの中次第に貯金生活に転じるが、8月13日に自力優勝が消滅する[注 2]。その後、オリックスは西武・ソフトバンクと共に優勝争いに加わるようになり、9月4日には上位3球団がいずれも貯金8の状態で0ゲーム差に並ぶなど首位争いは熾烈を極めた[2]。最終的に西武が優勝争いから脱落し、ソフトバンクかオリックスのいずれかの優勝が確定となったが、残りゲーム数の多いソフトバンクが抜け出し、9月29日時点では僅差でソフトバンクが単独首位に立っていた。 首位ソフトバンクが9月30日(リーグ最終日2日前)の楽天戦に勝利してマジックを1に減らし、残り2試合でソフトバンクが1度でも引き分け以上になればソフトバンク優勝という状況となる。翌10月1日(リーグ最終日前日)の西武戦に敗北したことによりソフトバンクの優勝は決定しなかったものの、依然ソフトバンクが1.0ゲーム差で首位だった。
パ・リーグの順位決定規定において、最終勝率が完全同率となる2球団が出た場合には、(1)「当該球団同士の対戦成績」、(2)「交流戦を除くリーグ内での対戦成績」、(3)「前年度順位」の優先度でそれぞれの項目が勝っている球団が上位になる。オリックスとソフトバンクは10月1日までに直接対決を終えており、その結果はオリックスが15勝10敗で勝ち越していたため、10月2日のリーグ最終日でオリックスがソフトバンクの勝率に完全同率で並ぶことが出来れば先述の(1)の規定によりオリックスが優勝となる状況であった[3]。 しかし、ソフトバンクとの直接対決が残されていないオリックスの優勝条件はリーグ最終日に「オリックスが勝利」かつ「ソフトバンクが敗北」を同時に達成することのみであり、ソフトバンクが引き分け以上になった場合にはオリックスの勝敗がいかなる結果であろうともソフトバンクが勝率で上回りソフトバンクの優勝が確定するため、勝敗の組み合わせで考えればソフトバンクが圧倒的優位という状況に変わりは無かった[3]。 パ・リーグ優勝球団が決定しないまま、パ・リーグの全6球団がリーグ最終日である10月2日の試合を迎えることになる。 リーグ戦最終日(10月2日)→詳細は「10.2決戦 § 2022年「10.2」」を参照
オリックス 対 楽天 最終戦
18時01分から楽天生命パーク宮城にて試合開始。ビジターであるオリックスが先攻、ホームの楽天が後攻。4回裏で走者満塁の状況下で楽天4番ギッテンスがレフト方向への適時打を放ち、オリックスは2点先制される(オリックス0-2楽天)。また、この時点ではZOZOマリンスタジアムで首位ソフトバンクがロッテに対し先制点を決めてリードしていた(この時点でソフトバンク1-0ロッテ)。5回表にオリックス9番伏見寅威と1番福田周平の連続タイムリーにより3点を奪い1点リードへと逆転(オリックス3-2楽天)。さらに9回表にオリックス9番伏見が二塁打で2点加点(オリックス5-2楽天)。9回裏の楽天の攻撃を無失点に抑えたことによりオリックス5-2楽天でオリックスの勝利となった[5]。
試合終了時間は21時25分であり、首位ソフトバンクはロッテと対戦中であった為、オリックスはロッテが勝利した場合に優勝する状況となる。 ソフトバンク 対 ロッテ 最終戦
18時00分からZOZOマリンスタジアムにて試合開始。ビジターであるソフトバンクが先攻、ホームのロッテが後攻。1回表にソフトバンク1番三森大貴が先頭打者ホームランを放ち1点先制(ソフトバンク1-0ロッテ)。さらに4回表でソフトバンク4番柳田悠岐がソロホームランを打って1点追加し、ソフトバンクが2点リードする(ソフトバンク2-0ロッテ)。しかし6回裏の一死走者1,2塁でロッテ6番山口航輝が逆転3ランホームランを放って3点を奪ったことにより、ロッテが1点リード(ソフトバンク2-3ロッテ)。さらに7回裏でロッテ3番中村奨吾と4番安田尚憲が連続タイムリーを放って2点を奪ったことによりロッテが3点リード(ソフトバンク2-5ロッテ)。8回表でソフトバンク4番柳田悠岐がタイムリーで1点を返す(ソフトバンク3-5ロッテ)もソフトバンクは2点ビハインド。そこから9回表まで両者ともに無失点で抑え、最後はソフトバンクの三森大貴がセンターフライに打ち取られゲームセット。2点をリードしていたロッテがソフトバンク3-5ロッテで勝ちをし、ソフトバンクは敗戦した[5]。
試合終了時間は21時27分。オリックス対楽天の試合終了からわずか2分後であった。 2試合の時間経過
オリックスの優勝決定オリックスが1勝、ソフトバンクが1敗したことにより、両球団が76勝65敗2分の完全同率勝率1位でシーズン最終試合を終えた。先述の通り、最終勝率が完全同率となる2球団が出た場合には当該球団同士の対戦成績が勝っている球団を上位とみなすため、ソフトバンクに勝ち越していたオリックスがリーグ順位1位、すなわち優勝となった。これにより2021年シーズンに続いてオリックスの2連覇が達成された。このオリックスの優勝劇は、史上初の首位チームが同率決着した優勝事例となり、また2年連続でマジックを点灯せずに連覇した史上初の球団となった。また、優勝したチームが首位に立った時間が3日、単独首位に至っては僅か20時間36分と最も短い事例となった[7][8]。
その他優勝決定後のオリックスクライマックスシリーズ→詳細は「2022年のパシフィック・リーグクライマックスシリーズ」を参照
優勝したオリックスはクライマックスシリーズに進出し、日本一決定戦である日本シリーズ進出を賭けて、クライマックスシリーズのファーストステージ[注 3]を勝ち進んだソフトバンクとファイナルステージ[注 4]で戦うことになる。優勝球団に1勝のアドバンテージが与えられているため2勝1分以上でオリックスが日本シリーズ進出となる状況下、3勝1敗でソフトバンクを下し、日本シリーズへの進出権を手にした。 日本シリーズ→詳細は「2022年の日本シリーズ」を参照
日本シリーズに進出したオリックスの対戦相手は、同年のセ・リーグ覇者・ヤクルトであった。日本シリーズ第1戦(神宮)では、打者三冠王の村上宗隆(ヤクルト)と投手三冠王の山本由伸(オリックス)の直接対決があったものの、試合はオリックスが敗れた。第2戦(神宮)は12回延長の末に引き分け。開催地がオリックスの本拠地に移った第3戦(京セラ)ではまたしてもヤクルトに敗れ、オリックスも0勝2敗1分の状況に追い込まれた。しかし、第4戦(京セラ)・第5戦(京セラ)[注 5]・第6戦(神宮)でオリックスが3連勝し、3勝2敗1分へと形勢逆転した。第7戦(神宮)ではオリックスが5点リードの状況を作るも、ヤクルトが8回裏で4点を返した。最後は9回表で無得点だったオリックスが9回裏でヤクルトの反撃を抑えて4連勝、4勝先制で日本一となる日本シリーズをオリックスが4勝2敗1分の戦績で勝利し、1996年以来26年ぶりの日本一[注 6][注 7]となった。 過去の参考記録優勝を争う2球団が同日に最終戦を迎えた試合の結果一覧優勝を争う2チームが同日に最終戦を迎えたケースは過去に4回あり、各ケースの試合結果の一覧を以下に示す[3]。カッコ内の順位は前日終了時点での順位である。
上記の試合のうち、1973年10月22日の巨人対阪神で巨人が勝利したことにより、巨人はリーグ優勝9連覇、いわゆるV9を達成した。 また1994年10月8日に行われた巨人対中日は、プロ野球史上初めてリーグ最終日に同率首位[注 12]で並んだ球団同士が直接対決した試合であり、この熱戦は10.8決戦の名称で後年まで語られている。 リーグ最終日に優勝した球団一覧リーグ戦最終日に優勝した球団は過去に6球団あり、その一覧を以下に示す[3]。カッコ内の順位は前日終了時点の順位である。
リーグ戦最終日に優勝決定した事例は1982年(中日)以来40年ぶりであり、パ・リーグでは1963年(西鉄)以来59年ぶりである。なお、前日まで2位だった球団がリーグ戦最終日に逆転優勝したのは2022年のオリックスが初である。 オリックスの過去の連覇記録オリックスは、かつて球団名が「オリックス・ブルーウェーブ」だった1995年と1996年に2連覇をしている。そのため、2022年シーズンの連覇は、26年ぶりの連覇となった。 前身球団も含めたオリックスの連覇記録を以下に示す。ただし2004年に吸収合併した大阪近鉄バファローズとその前身球団はオリックスにとって傍系の前身球団であるとされるため、分けて記載する。
その他の記録
関連項目脚注注釈
出典
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