2018年の日本シリーズ
2018年の日本シリーズ(2018ねんのにっぽんシリーズ、2018ねんのにほんシリーズ)は、2018年(平成30年)10月27日から11月3日まで開催された広島東洋カープ(以下、広島)と福岡ソフトバンクホークス(以下、ソフトバンク)による第69回日本選手権シリーズである。 概要2014年から5年連続で、NPBパートナーのSMBCグループ(三井住友銀行)を冠スポンサーに迎え「SMBC日本シリーズ2018」として開催された[1]、平成最後の日本シリーズである。また今大会よりロゴがマイナーチェンジされている。 セ・リーグ3連覇を果たした広島は2016年以来2年ぶり、ソフトバンクは2017年に続き2年連続の日本シリーズ出場となる。ソフトバンクはクライマックスシリーズでパ・リーグ優勝の埼玉西武ライオンズを破り、球団史上初めてリーグ2位からのシリーズ出場を決めた。リーグ優勝ではないチームの日本シリーズ出場は2017年の横浜DeNAベイスターズ(2017年クライマックス・セでリーグ3位から進出)に続き2年連続で、パ・リーグでは2010年の千葉ロッテマリーンズ以来となる。日本シリーズでの広島とソフトバンクの組み合わせはソフトバンクの前身球団(南海→ダイエー)を含めこれまでに例がなく初顔合わせとなり、日本シリーズは2015年以来4年連続で初顔合わせの組み合わせとなった。また日本標準時子午線(東経135度線)以西に本拠地を置く球団同士との日本シリーズも史上初めてとなるため[注 1]、日本標準時子午線から東で1試合も開催されない日本シリーズも史上初めてとなる。また広島市と福岡市の両方に球団が存在した1950年から1978年、1989年からその年2018年の計59年間で初めて広島市と福岡市での日本シリーズ開催となった。 今回の対戦で、ソフトバンクは現存するセ・リーグ6球団全てと日本シリーズで対戦したことになった(前身の南海・ダイエー時代を含む[注 2])。相手リーグ全球団との日本シリーズの対戦は1989年に巨人[注 3]、1998年に西武が達成して以来3球団目、パ・リーグ2球団目。また広島を最後に、セ・リーグ現存6球団全てが福岡 ヤフオク!ドームで開催される日本シリーズに出場したこととなった。 前年までは第7戦までの延長戦が15回制限だったが、本年からはレギュラーシーズンと同様の12回制限に短縮された(第8戦以降は従前通り延長回数無制限)[2]。 試合日程
試合開始時刻
クライマックスシリーズからの勝ち上がり表
出場資格者
試合結果第1戦スコア
第1戦の先発は広島が大瀬良、ソフトバンクは千賀。1回裏、広島は1死から菊池のソロ本塁打で先制すると、なお1死1・2塁として松山が適時打を放ち初回に2点を入れる。広島先発の大瀬良は4回までソフトバンク打線を無安打に抑えていたが5回表、先頭の中村の初安打から2死2・3塁となり、千賀の代打・デスパイネの二塁適時内野安打の際、二塁手菊池の送球を一塁手松山が捕球ミスし後逸する間に2人目が生還して同点に追いつく。6回以降は両チームのリリーフ陣が好投し、9回を終わって2-2の同点。今シリーズ初戦は延長戦に突入したが、ソフトバンクは11回、12回とチャンスを作るもあと1本が出ず。一方の広島もランナーは出すものの盗塁死もあり、結局延長12回規定により引き分けに終わった。 日本シリーズの引き分け試合は2010年第6戦(中日2-2ロッテ)以来8年ぶり史上8度目。シリーズ第1戦の引き分けは86年の西武対広島第1戦以来32年ぶり3度目となり、平成では唯一となった。広島の日本シリーズにおける引き分けは先述の西武戦以来、ソフトバンクの日本シリーズにおける引き分けは、前身の南海時代の1953年対巨人第3戦以来、いずれも球団史上2度目となった。 出場選手
第2戦スコア第2戦は広島はジョンソン、ソフトバンクはバンデンハークの両外国人投手が先発。1回裏、広島は先頭の田中が放った浅い外野フライをこの日左翼に入ったデスパイネが捕球し損ね二塁打となり、菊池の犠打で3塁へ進塁、丸三振後の2死3塁から鈴木の遊撃適時内野安打で田中が生還、先制する。3回裏、広島は、無死1塁から菊池の弱いゴロを二塁手川島が二塁カバーの今宮に送球するも、この送球が悪送球となり、その間に走者がそれぞれ進塁。無死2・3塁として続く丸の浅めのファウルフライを左翼手デスパイネがファウルグラウンドフェンス際で捕球、犠牲フライとなり田中が生還、4番鈴木三振の後、松山の左前適時打で菊池が生還、この回2点を追加する。5回裏、広島は1死後菊池、丸の連打で2・3塁とし再び鈴木の2点適時打で追加点。7回表、ソフトバンクは2死1・3塁から松田の適時打で1点を返す。広島先発のジョンソンは味方の援護に恵まれ7回4安打1失点の好投。リリーフ陣も得点を許さず広島が第2戦を制し、地元・マツダスタジアムでの対戦成績を1勝1分けとした。ソフトバンクは守備の乱れが響き、先発バンデンハークも要所で粘りきれなかった。この試合は2024年の日本シリーズの第3戦で敗戦するまでは、ソフトバンクが日本シリーズで負けた最後の試合となっていた。同時に2019年4月30日を以て、元号の「平成」が終わるため、平成最後のセ・リーグ代表チームの日本シリーズの勝利試合となった。 出場選手
第3戦スコア
舞台を福岡に移しての第3戦を前に、ソフトバンクは第1戦に3番手で登板した石川柊太が右肘の違和感でベンチ入りメンバーから外れ、シリーズ出場が絶望的となる[6]。試合はソフトバンクはミランダ、広島は九里の先発となった。両先発投手とも3回まで無失点に抑えてきたが、4回裏、ソフトバンクは1死1.2塁から中村の右前適時打、なおも1死1.2塁から今宮の左前適時打でこの回2点を先制する。5回表、広島は1死から安部のソロ本塁打で1点を返す。5回裏、ソフトバンクは1死1.3塁から柳田の一ゴロを一塁手メヒアが二塁に悪送球する間に1点、さらに続く1死2・3塁からデスパイネの遊ゴロの間に1点を追加してリードを3点に広げる。6回表、広島は先頭バッターの鈴木のソロ本塁打で1点を返すと、その後1死1・2塁から會澤の適時打で1点差に迫る。6回裏、ソフトバンクは2死1・3塁から柳田の三塁強襲適時打で1点、なおも2死1・2塁からデスパイネの3点本塁打で追加点、この回2死走者なしから4点を加える。7回裏、ソフトバンクは2死から髙谷のソロ本塁打で1点を追加し、点差を6点に広げる。8回表、広島は先頭の鈴木の2打席連続となるソロ本塁打に続き、1死満塁から安部のこの日2本目の本塁打となる満塁本塁打でこの回5点を挙げて1点差とするが、ソフトバンクは加治屋に代わった嘉弥真と抑え投手の森が広島打線にこれ以上の点を許さなかった。ソフトバンクが1点差を守りきって勝利を収め、1勝1敗1分けのタイに持ち込んだ。敗れた広島は投手陣が打ち込まれ、打線もソフトバンクを上回るチーム日本シリーズ史上最多(敗戦チームとしても史上最多)の16安打を放ち、1点差まで追い上げたもののあと一歩及ばなかった。この試合からソフトバンクの連勝が始まった。 出場選手
第4戦スコア第4戦はソフトバンクは東浜、広島は野村の先発となった。1回表、広島は立ち上がり不安定なソフトバンク東浜を攻め、1死一塁から丸の右中間を破る二塁打で、一塁走者菊池が一気に本塁を狙うが、柳田と中継の明石の好返球により本塁で刺殺、先制点の好機を逃す。3回裏、ソフトバンクは2死1塁から上林の2点本塁打で先制する。4回表、広島は鈴木の2試合連続となるソロ本塁打で1点を返す。4回裏、ソフトバンクはデスパイネの2試合連続となるソロ本塁打で1点を追加する。6回裏、ソフトバンクは1死1・3塁から代打長谷川が放った高く弾んだ二遊間への当たりがセカンド・菊池とショート・田中がお見合い状態となり中堅へ抜ける適時打で1点を追加し3点差とする。先発の東浜は守備にも助けられ、5回1失点に抑えリリーフ陣に託した。その後、ソフトバンクは東浜の後を4人の継投で広島打線に得点を許さず、2勝1敗1分けとリードした。一方の広島は5回以降無安打に終わり、4安打1点と振るわなかった。 出場選手
第5戦スコア
第5戦の先発はソフトバンクは千賀、広島は大瀬良と両投手中4日での登板となった。ソフトバンクは、前日まで2試合連続本塁打のデスパイネが左膝痛で練習も行わずベンチ入りからも外れ、代わりに第3戦での右手親指の軽傷で第4戦に出場がなかったグラシアルが先発に戻った。2回表、広島は2死1.3塁から會澤の適時打で先制し、さらに1.2塁から野間の右前打で2塁走者安部が本塁を狙うが、ソフトバンク上林が捕手の甲斐へダイレクト返球し刺殺、追加点を許さない。4回裏、ソフトバンクは無死満塁から中村の2点適時打で逆転する。しかし5回表、広島は2死1塁から代わったモイネロに対し丸のライトスタンドへの弾丸ライナー2点本塁打で逆転する(これが広島時代最後のホームランになった)。5回裏、ソフトバンクは1死満塁から柳田の投ゴロの処理を広島の投手ヘルウェグがもたつく間にランナーが生還し同点に追いつく。6回表、広島は2死から會澤のソロ本塁打で勝ち越しに成功する。7回裏、ソフトバンクは1死から明石が広島フランスアからソロ本塁打を放ち再び同点に追いつく。その後9回表2死2塁から広島丸の右中間へのヒット性の当たりをソフトバンク上林が好捕、その裏ソフトバンクは1死1・2塁から2人凡退するなど、両チーム得点圏にランナーを進めるもあと1本が出ず、試合はそのまま4-4で9回を終了、今シリーズ2度目の延長戦に突入した。10回裏、ソフトバンクは広島の守護神中﨑から先頭の柳田がバットを折られながら右翼ホームランテラスに飛び込むソロ本塁打を放ちサヨナラ勝ち(ソフトバンクの日本シリーズでのサヨナラ勝ちは、前年の対横浜DeNA第6戦での川島のタイムリー以来2年連続5度目(サヨナラ本塁打に限ると2014年・対阪神第4戦での中村晃以来4年ぶり))で試合を決めた。ソフトバンクは地元・福岡で3連勝、対戦成績を3勝1敗1分けとし日本一に王手をかけた。敗れた広島は終盤の好機を生かしきれず、3連敗で後がなくなった。 この試合で、日本シリーズでのパリーグのホームゲームは2013年第7戦以降、パリーグのチームの15連勝となった。 出場選手
第6戦スコア
![]() 舞台が再び広島へと移った第6戦。ソフトバンクは第5戦から欠場しているデスパイネに加え、第5戦で負傷し途中交代した今宮も欠場した。後がない広島はジョンソン、日本一に王手をかけているソフトバンクはバンデンハークと今シリーズ第2戦と同じ先発投手で始まった。1回表、ジョンソンが先頭の川島に四球、一死後自らの野選で1・2塁のピンチを招くが、柳田を二ゴロ、中村晃を三振に仕留めて切り抜ける。その裏、先頭の田中がバンデンハークから左前打で出塁するも菊池が犠打失敗、続く丸の3球目に盗塁を試み、一度はセーフの判定となるも工藤監督からのリクエストによりビデオ検証、判定が覆りアウトとなる。2回裏、広島はこの回先頭の鈴木がヒット、松山はフォアボールで無死1・2塁と攻め、その後安部はダブルプレーを免れるのがやっとのファーストゴロ、野間は空振り三振で打席は石原。二死1・3塁と2016年の日本シリーズではホームスチールも成功している為、ダブルスチールも考えられる状況でありながらノーボールツーストライクから安部だけが盗塁しサードランナーの鈴木が自重してしまい、その結果安部は盗塁死。日本シリーズワースト新記録となる8個目の盗塁阻止をアシストしただけとなってしまい3回表裏[注 5]は共に三者凡退となった後の4回表、ソフトバンクは無死1・2塁からキャプテン内川が送りバントし1死2・3塁から、今宮に代わり遊撃で出場した西田のスクイズで1点を先制する。5回表、ソフトバンクは2死からグラシアルのレフトスタンドへのソロ本塁打で1点を追加する。ソフトバンクは6回以降は無安打で、グラシアルの本塁打以外に2回の西田の内野安打と4回の中村晃の左前打の計僅か3安打にとどまったが、先発のバンデンハークが第2戦とは打って変わり、6回を無失点、4者連続を含む10奪三振と好投し、7回以降は武田、嘉弥真、森の3投手が7回以降を1四球のみの無安打に抑え2点差を守り抜き、最後は森が鈴木誠也をサードゴロに打ち取りゲームセット。第3戦から4連勝で4勝1敗1分けとなりソフトバンクの2年連続日本一が決まった。今回の優勝で、既存セ・リーグ6チーム全てから日本一を奪うことにもなった(ただし、巨人とはこの年の段階では福岡移転後の日本一は経験していなかった)。また史上初めてリーグ連覇を達成せずに日本シリーズを連覇した。一方広島は先発ジョンソンが好投するも、打線が散発の4安打と沈黙。今シリーズを最後に引退する新井は8回に代打出場するも無安打、このシリーズ通算でも無安打に終わった。丸佳浩は2018年オフに巨人に移籍したため、広島時代では最後の試合となった。 リーグトップの95盗塁を記録した機動力もソフトバンクの捕手(甲斐、髙谷)の前に完全に封じられ、2016年と同じ第6戦で敗退、34年ぶりの日本一はならなかった。また広島はシリーズ初出場の1975年もパ・リーグ年間総合勝率順位が2位以下のチーム(阪急)相手にシリーズ敗退を経験しており、今回の敗退で2度目となった(最多は中日で3度)。 工藤監督は元号「昭和」最後の日本シリーズ(当時は、西武ライオンズの投手として出場)と元号「平成」最後の日本シリーズの両方の最後に出場して、いずれのシリーズでも日本一を経験した。 出場選手
表彰選手記録※出典:[9]
大会記録
テレビ・ラジオ放送およびネット配信日本シリーズはレギュラーシーズンとは異なり、(一社)日本野球機構管轄のため、あらかじめ放送権を指定されている[12]。なお雨天順延の場合でも各戦のテレビ中継もスライドとなる。 テレビ放送
ラジオ放送カープの本拠地・広島県を放送対象地域とする中国放送[22]、ホークスの本拠地・福岡県を放送対象地域とするRKB毎日放送[23]・九州朝日放送[24]、及びニッポン放送[25]の以上4局は全試合自社制作で中継。民放では他に文化放送、東海ラジオ、朝日放送ラジオ、毎日放送で全試合中継。
NHKラジオ第1は、全試合全国ネットで放送(途中ニュースで中断あり)。 一方で、今大会の中継を見送ったラジオ局は以下の通り。
なお、第7戦(11月4日)が行われる場合は、中国放送・RKB毎日放送・九州朝日放送・ニッポン放送・文化放送・NHKラジオ第一の各局がそれぞれ自社制作で放送する予定であった。 ネット配信基本的には、地上波で中継を行うテレビ局の傘下にあるネット配信業者が中継を行う。2016年から部分的に行われていたインターネット配信は、本年から初めて全試合で行われるようになった。
その他広島の保護地域である広島県とソフトバンクの保護地域である福岡県の両県に挟まれている山口県では、広島県に近い県東部は広島東洋カープのファンが、福岡県に近い県西部(下関市など)は福岡ソフトバンクホークスのファンがそれぞれ多いとされており、このシリーズの際には同じチェーンのスーパーマーケットで行われたセールでも、県東部と県西部でそれぞれ優勝セールの対象が異なる[注 16]という事象が見られた[35] 脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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