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FM補完中継局(エフエムほかんちゅうけいきょく)とは、日本において、超短波放送(FM放送)用周波数の90.1MHz(メガヘルツ)から98.9MHzまで[注釈 1]を用いて、中波放送(AM放送)の放送区域における、同放送の補完的な放送「FM補完放送(エフエムほかんほうそう)」を行う中継局である。1990年代に難聴取対策や災害対策として検討が開始され、2014年から本格的に実施されている。
本項目ではFM補完中継局および、FM補完放送についてあわせて記述する。
定義
「補完中継局」は、総務省告示基幹放送用周波数使用計画第1総則 第5項[1]に「中波放送を行う基幹放送局の放送区域において災害対策等のため補完的に超短波放送用周波数を用いて放送を行う中継局」と定義している。
「補完放送」は、総務省令電波法施行規則第2条第1項第28号の9[2]に次に掲げるものを定義している。
- (1) 超短波放送であつて、主音声(超短波放送又はテレビジヨン放送において送られる主たる音声その他の音響をいう。以下この号において同じ。)に伴う音声その他の音響を送るもの、又は主音声に併せて文字、図形その他の影像若しくは信号を送るもの
- (2) テレビジヨン放送であつて、静止し、若しくは移動する事物の瞬間的影像に伴う音声その他の音響(主音声を除く。)を送るもの、又は静止し、若しくは移動する事物の瞬間的影像に併せて文字、図形その他の影像(音声その他の音響を伴うものを含む。)若しくは信号を送るもの
- 引用の促音、拗音の表記は原文ママ
基幹放送の区分を規定する放送法施行規則別表第5号には定義されていない。本項目で述べる「FM補完放送」は上記の(1)が相当する。
前史
FM放送波をAM放送の難聴取対策に使用したのは、1990年7月に放送用周波数使用計画(現:基幹放送用周波数使用計画)に中波放送の外国波による混信対策が追加されて以降で、最初に開設されたのは富山県・北日本放送の新川FM中継局で1991年9月26日に開局[3]した。その後、日本放送協会(NHK)が1991年11月2日に沖縄県・西表島の祖納にNHKラジオ第1の中継局を開局した。
その後も21世紀初頭にかけて、沖縄県ではラジオ沖縄が2001年4月1日に[注釈 2]、琉球放送が2001年4月1日[注釈 3]と2004年4月1日[注釈 4]に、さらにNHK沖縄放送局は2003年10月24日[注釈 5]と2007年4月1日[注釈 6]にそれぞれ離島の混信対策のためにFM中継局を開局している。
災害対策としては、2004年の新潟県中越地震でNHK新潟放送局の赤塚放送所に併設した中継局[4](NHK新潟放送局#平成16年新潟県中越地震発生後の主な対応も参照)、2011年の東日本大震災で岩手県のIBC岩手放送がテレビジョン放送の山田中継局に併設した臨時中継局[5][6][7]がある。
後に民間地上基幹放送事業者(民放)の周波数は、基幹放送用周波数使用計画に規定[8]された。
概要
2013年7月、総務省の「放送ネットワークの強靱化に関する検討会」が中間とりまとめを公表[9]し、「AMラジオ放送によるFM波の利用促進(難聴対策、災害対策)、地上デジタルテレビ放送への移行により空いたV-Low帯域(アナログテレビの1 - 3chがあった帯域)の新たな活用(AMラジオ事業者等による難聴対策等としてのFM波利用)」などを骨子とする災害対策・難聴対策としての送信ネットワークの強靭化が提言された[10]。
総務省はこれを踏まえ、同年9月に「V-Lowマルチメディア放送及び放送ネットワークの強靭化に係る周波数の割当て・制度整備に関する基本的方針」を公表[11][12]した。この方針にAM放送の補完放送をFM放送により行うことができるとされた。
2014年1月に総務省は「AMラジオ放送を補完するFM中継局に関する制度整備の基本的方針」を公表[13][14]した。
この基本的方針では、補完放送を行う中継局を「FM補完局」と呼び、その開設目的は「都市型難聴対策」「外国波混信対策」「地理的・地形的難聴対策」「災害対策」とされた。また、AM放送の「親局」を補完する「親局の主たる補完中継局」と「中継局」を補完する「その他の補完中継局」に分けられ、民放の親局に対応するFM補完局については放送対象地域ごとに1つの周波数を確保する(「基幹放送用周波数使用計画」で公示する)もの、中継局に対応する「その他の補完中継局」については目的ごとに使用周波数を割り当てるものとされた。
「その他の補完中継局」の周波数帯
目的 |
周波数(MHz)
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76.1 - 90.0 |
90.1 - 98.9
|
都市型難聴対策
|
- |
○
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外国波混信対策
|
○
|
地理的・地形的難聴対策
|
災害対策
|
△ [注釈 7]
|
主たる親局の補完中継局の免許申請については告示に公示された期間内にするものとされた。空中線電力(送信出力)については「補完中継局の送信場所の属する都道府県を放送対象地域とする超短波放送を行う他の基幹放送事業者の基幹放送局の親局に使用させることのできる空中線電力(送信出力)の値を超えてはならない。」と定義されている為、基本的に同一放送対象地域のFM放送事業者の親局のそれ以下であることとされた。
NHKについては親局の主たる補完中継局の設置は認められないが、その他の補完中継局については民放と同様に設置が認められる[15]。NHK高知放送局ではAM親局(新木ラジオ放送局)を補完する「柏尾山中継局」の設置が認められているが、既存FM局(NHK-FM、エフエム高知)の高知親局や高知放送(RKC)の高知FM補完中継局の送信出力が500W(ワット)であるのに対し、「柏尾山FM補完中継局」は100Wに留められている[16][17]。
AM放送と同時放送をすることから扱いは「独自放送を行わないAM中継局」と同様であるためコールサインは基本的に指定されない。南海放送では2018年3月11日に行われた実験的なAM・FMで別内容の放送のために短期間JOAF-FMのコールサインが与えられていた[18][19]。
周波数帯の拡充
補完中継局の周波数は基本的に90.1MHzから94.9MHzであるが、今後コミュニティFMの増加やAM放送局のFM転換などにより、逼迫が予想されるとして、日本民間放送連盟(民放連)加盟各社とNHKは過去にマルチメディア放送が使用していて現在は空き帯域となっている95.0MHzから108.0MHzまでの拡充を求めている[20]。国土交通省も将来的にカーラジオにAM放送の受信機能が搭載されなくなる可能性を踏まえ、現在高速道路会社や各都道府県警察が行っている路側放送のFM転換割当を要望している[21]。
また、2011年7月(東北地方一部は東日本大震災のため2012年3月)まで、地上アナログテレビジョン放送に90 - 108MHzの領域が使用された事情から、地上アナログテレビ放送1chを使用する地域[注釈 10]では電波干渉の問題で原則として86 - 90MHzのFMラジオ放送での使用が認められていなかったが、地上アナログテレビ放送の終了により、一部の放送局ではその周波数の使用が認められた。
FM補完中継局の親局化構想
総務省の有識者会議は民放AMラジオ局のAM放送廃止とFM放送への転換を容認する方針を示した[24]。ラジオ局の経営悪化を理由に日本民間放送連盟(民放連)が設備・運営コストの安いFMへの一本化に向け制度改正を要望していた。総務省は今後、FM転換・併用をラジオ局の選択に委ねる方向で具体的な検討を進め、2024年2月からFM中継局整備済の一部地域でAM中継局停波の実証実験を始めている。
聴取方法
茨城放送のFM補完中継局94.6MHzを受信中の状態
原理的にはFM放送が受信できるラジオで聴取できるが、周波数は基本的に90.1MHzから94.9MHzを割り当てるため、ラジオによって聴取可否が異なる。対応するラジオは、2006年から2014年の国内出荷台数約2,200万台の約半数、2006年から2015年の輸入台数約1億2,680万台の約半数以上が聴取可能と推測されており、2015年度以降の国内出荷分についてはほとんどが聴取可能である[25]。FM放送を開始している放送局では「ワイドFM対応型のラジオ」を通信販売[26]したり、ノベルティグッズとしてプレゼントするなどの例も見られる。
愛称
2015年3月30日、FM補完放送により親しんでもらうためとして、東京の民放AMラジオ局3社が「ワイドFM」と言う愛称を制定し[36]、大阪の民放AMラジオ3社も「まいど!ワイドFM」というキャッチコピーでPR展開を行う[37]。他の放送局やラジオ受信機メーカー、販売店でもこの愛称を用いてアピールしている。
無線の世界では、周波数変調(FM変調)で通信・放送を行う際に、電波の占有周波数帯幅(周波数偏移)の広さを区別する言葉としてナローFM(略称 NFM、15kHz)・ワイドFM(略称 WFM、200kHz)という言葉が使われており、FMラジオ放送の場合はワイドFMが採用されているが、これとは関係ない。
「ワイドFM」とは別に、各局が独自に名付けた愛称やキャッチコピーもある。
沿革
2013年
- 7月17日 - 総務省は「放送ネットワークの強靭化に関する検討会」中間取りまとめを公表[9][10]。
- 9月27日 - 総務省は「V-Lowマルチメディア放送及び放送ネットワークの強靭化に係る周波数の割当て・制度整備に関する基本的方針」を公表[11][12]。
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
- 2月5日 - NHK宮崎放送局の五ヶ瀬局が本放送を開始[238]。
- 2月15日 - 東北総合通信局、ラジオ福島の若松局に予備免許を交付[239][240]。
- 2月20日 - 南日本放送の種子島局が本放送開始[241]。
- 2月23日 - 四国総合通信局、南海放送の今治、久万、御荘の各局に予備免許を交付[242]。
- 2月28日 - 信越総合通信局、信越放送に善光寺平、聖、飯山野沢の各局に予備免許を交付[243]。
- 3月7日 - 東海総合通信局、岐阜放送ラジオに本免許を交付[244]。
- 3月10日 - 岐阜放送ラジオの岐阜局が本放送開始[245]。
- 3月16日
- 近畿総合通信局、京都放送に本免許を交付[246]。
- 四国総合通信局、NHK高知放送局の仁淀、蟠蛇ヶ森、東津野の各局に予備免許[247]。
- 3月19日 - 信越総合通信局、信越放送に長野(美ケ原)局の本免許を交付[248]。
- 3月21日 - 山陽放送岡山局が本放送開始[249]。
- 3月26日 - 信越放送長野(美ケ原)局が本放送を開始[250]。
- 3月27日 - 南海放送の今治・久万・御荘の各局が本放送を開始[251]。
- 3月30日 - 東北総合通信局、NHK盛岡放送局の岩泉小本局と山形放送に予備免許を交付[252][253]。
- 4月2日 - 京都放送の京都局が本放送を開始[254]。
- 5月8日 - 四国総合通信局、NHK松山放送局に宇和島局の本免許を交付[255]。
- 5月16日 - NHK松山放送局の宇和島補完ラジオ局が本放送を開始[256]。
- 6月5日 - 四国総合通信局、四国放送の徳島局、池田局に予備免許を交付[257]。
- 6月15日 - 東北総合通信局、ラジオ福島のいわき局、原町局に予備免許を交付[258]。
- 8月1日 - 南海放送の野村局[259]、栃木放送の足利局、葛生局が本放送を開始[260]。
- 8月22日 - ラジオ関西の神戸局、姫路局に予備免許[261]。
- 8月29日 - 中国総合通信局、山口放送に須佐田万川局の本免許を交付[262]。
- 9月14日 - 四国総合通信局、NHK松山放送局の新居浜局に予備免許を交付[263]。
- 9月25日 - 中国総合通信局、中国放送に三次局の本免許を交付[264]。
- 9月28日
- 東北総合通信局、山形放送に本免許を交付[265]。
- 信越総合通信局、信越放送の善光寺平局、聖局、飯山野沢局に本免許を交付[250]。
- 9月30日
- 10月1日 - 山陰放送の松江局が本放送を開始[268]。
- 10月7日 - 信越放送の善光寺平局・飯山野沢局・聖局が本放送を開始[250]。
- 10月15日 - 山形放送の山形局が本放送を開始[269]。
- 10月18日 - 東海総合通信局、NHK静岡放送局の富士宮局に予備免許を交付[270]。
- 10月19日 - NHK大阪放送局のすさみ局が本放送を開始[271]。南海トラフ巨大地震対策を目的としての運用だが、保守管理は地元・和歌山放送局が責任を持つ[注釈 24]。
- 11月1日
- 11月2日 - 四国総合通信局、NHK高知放送局の仁淀局に本免許[274]。
- 11月12日 - 山口放送の鴻ノ峯局が本放送を開始[275]。
- 11月19日 - 東北総合通信局は、ラジオ福島の若松、いわき、原町の3局に本免許を交付[276]
- 11月28日 - 北陸総合通信局、福井放送の敦賀、美浜両局に免許を交付[277]
- 11月29日 - 東北総合通信局、NHK盛岡放送局の岩泉小本局に本免許を交付[278]。
- 12月1日 - ラジオ福島の若松・いわき・原町3局が本放送開始[279]
- 12月3日 - 福井放送の敦賀・美浜両局が本放送開始[280]。
- 12月5日 - 山口放送の周防大島局が本放送開始[281][282]。
- 12月7日 - 九州総合通信局、NHK鹿児島放送局の川内出水局に予備免許を交付[283]。
- 12月23日 - 山梨放送の身延局、三ツ峠局が本放送を開始[284]。
2019年
- 1月9日 - NHK松江放送局ラジオ第1の日原局が本放送開始。
- 3月14日 - 四国総合通信局、NHK高知放送局の蟠蛇ヶ森、東津野の各局の本免許を交付[285]。
- 3月18日 - 近畿総合通信局、ラジオ関西に神戸局・姫路局の本免許を交付[286]。
- 3月25日 - 九州総合通信局、NHK鹿児島放送局の種子島局、NHK長崎放送局の瀬戸板浦局、大瀬戸雪浦局に予備免許を交付[287][288]。
- 4月1日 - ラジオ関西の神戸局・姫路局が本放送を開始[289]。
- 6月26日
- 関東総合通信局、アール・エフ・ラジオ日本に横浜局の予備免許を交付[290]。
- 四国総合通信局、西日本放送の高松局、高知放送の高知局に予備免許を交付[291]。
- 7月22日 - 四国総合通信局、南海放送の壺神局に予備免許を交付[292]。
- 8月7日 - 四国総合通信局、四国放送の阿南局と日和佐局に予備免許を交付[293]。
- 8月20日 - 中国総合通信局、中国放送の西条局に予備免許を交付[294]。
- 8月23日 - 南海放送の壺神局が本放送を開始[295]。
- 9月25日
- 東北総合通信局、青森放送の野辺地陸奥湾局に予備免許を交付[296]。
- 信越総合通信局、信越放送の小海局に予備免許を交付[297]。
- 11月1日 - 東北総合通信局、福島県大沼郡昭和村にNHK福島放送局及びラジオ福島の昭和局への予備免許を交付[298]。「演送分離」による特定地上基幹放送事業者以外へのFM補完局免許及びギャップフィラー局としての同免許は初。
- 12月9日 - NHK鹿児島放送局の川内出水局が本放送を開始[299]。
- 12月17日 - 北陸総合通信局は福井放送に高浜局の免許を交付[300]。
- 12月23日 - 福井放送の高浜局が本放送を開始[301]。
2020年
- 1月7日 - 高知放送の高知局が試験電波発射開始[302]。
- 1月30日 - 東北総合通信局、福島県大沼郡昭和村にNHK福島放送局及びラジオ福島の昭和局への本免許を交付[303]。
- 2月4日
- 2月5日 - 東海総合通信局、NHK静岡放送局の富士宮局に本免許を交付[306]。
- 2月10日
- 2月14日 - 四国総合通信局、西日本放送の高松局に本免許を交付[309]。
- 2月16日 - 西日本放送の高松局が本放送を開始[310]。
- 2月18日 - 四国総合通信局、NHK松山放送局の新居浜局に本免許を交付[311]。
- 2月21日 - 中国総合通信局、中国放送の西条局に本免許を交付[312]。
- 2月27日 - 四国総合通信局、四国放送の阿南局と日和佐局に本免許を交付[313]。
- 2月28日 - 北陸総合通信局は福井放送に三国局の免許を交付[314]。
- 3月1日
- 3月9日 - 四国総合通信局、南海放送の大三島局に予備免許を交付[317]。
- 3月16日 - アール・エフ・ラジオ日本の横浜局が本放送を開始[318]。これにより、AMラジオ放送を行う民放全社が設置開始期限までにFM補完放送を開始した。
- 3月18日 - NHK長崎放送局の瀬戸板浦局と大瀬戸雪浦局が本放送を開始[319]。
- 3月20日 - 福井放送の三国局が本放送を開始[320]。
- 3月30日 - 南海放送の大三島局が本放送を開始[321]。
- 4月13日 - NHK鹿児島放送局の種子島局が本放送を開始[322]。
- 7月9日 - 東北総合通信局、青森放送の大間下北局に予備免許を交付[323]。
- 7月17日
- 8月25日 - 東北総合通信局、青森放送の野辺地陸奥湾局に本免許を交付[325]。
- 10月29日 - 東北総合通信局、福島県双葉郡葛尾村にNHK福島放送局及びラジオ福島の葛尾局への予備免許を交付[326]。
- 11月12日 - 北陸総合通信局、NHK金沢放送局の輪島門前局の免許を交付[327]。
- 12月1日 - 新潟放送の高田局が本放送を開始[328]。
2021年
- 1月21日 - 東北総合通信局、青森放送の大間下北中継局の免許を交付[329]。
- 1月22日 - 九州総合通信局、熊本放送の阿蘇中継局の免許を交付[330]
- 1月25日 - 青森放送の大間下北中継局が本放送を開始[331]。
- 2月1日 - 熊本放送の阿蘇中継局が本放送を開始[332][333]。
- 2月26日 - 東海総合通信局、静岡放送の下田局に免許を交付[334]。
- 3月1日 - NHK岡山放送局の高梁局が本放送を開始[335]。
- 3月8日 - 静岡放送の下田局が本放送を開始[336]。
- 7月1日 - 茨城放送がLuckyFM守谷中継局を閉局し、宝篋山中継局の本放送を開始[337]。守谷中継局の移転・増力による県南西エリアの受信改善が目的。
- 8月24日 - 中国総合通信局、山口放送の豊田局に本免許[338]。
- 9月16日 - 東北総合通信局、福島県双葉郡広野町にNHK福島放送局及びラジオ福島の広野局への予備免許を交付[339]。
- 11月8日 - 北陸総合通信局、NHK金沢放送局の能登柳田局の免許を交付[340]。
- 12月6日 - 東北総合通信局、福島県双葉郡葛尾村にNHK福島放送局及びラジオ福島の野行局への予備免許を交付[341]。
2022年
- 2月8日 - 信越総合通信局、新潟放送の大和局に予備免許を交付[342]。
- 2月14日 - 四国総合通信局、NHK高知放送局の柏尾山局に予備免許を交付[343]。NHKラジオ第1の補完局で親局レベルの補完局は初のケースとなる。
- 3月7日 - 東海総合通信局、静岡放送の御殿場局に免許を交付[344]。
- 3月29日 - 九州総合通信局、NHK鹿児島放送局の栗生局と上之牧局に免許を交付[345]。
- 9月15日 - 信越総合通信局、新潟放送の糸魚川中継局に予備免許を交付[346]。
2023年
- 3月1日 - NHK高知放送局の柏尾山局が試験電波発射開始[347]。
- 3月10日 - 東海総合通信局、静岡放送の富士富士宮局に免許を交付[348]。
- 3月22日 - NHK高知放送局の柏尾山局が本放送を開始[349]。
- 8月4日 - 東北総合通信局、IBC岩手放送の田野畑局に予備免許を交付[350]。
- 9月22日 - 北陸総合通信局、北陸放送の羽咋局に免許を交付[351]。
- 9月25日 - 北陸放送の羽咋局が本放送を開始[351]。
- 11月1日 - IBC岩手放送の田野畑局が本放送を開始[352]。
2024年
- 1月9日 - 東海総合通信局、CBCラジオ及び東海ラジオ放送に豊橋FM補完中継局の予備免許を交付[353]。
- 2月26日 - 同日より3月29日までを「ラジオ広報強化期間〜もしものときもワイドFM!〜」として制定。災害時におけるメディアとしての認知度向上を図るための広報活動として雨宮天・守谷菜々江を起用した広報動画を配信[354]。
- 3月25日 - CBCラジオ及び東海ラジオ放送の豊橋FM補完中継局が本放送を開始[355]。
2025年
- 4月10日 - 総務省は、FM放送用として使用可能な周波数帯の上限を95.0MHzから99.0MHzに引き上げるため、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則の一部を改正する省令案等について電波監理審議会に諮問し、原案を適当とする旨の答申を受ける[356]。
- 5月17日 - FM補完放送用の周波数帯の上限が99.0MHz (割当周波数が76.1 - 98.9 MHz)へ変更される。[357]
補完中継局一覧
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周波数使用計画が存在するが未開局の社を含む。
- 凡例
- 局名が太字…親局を直接補完する中継局
- ◆…運用開始予定の局
- ◇…補助金交付が決定した局([358])
- ★…廃止された局
- ◎…ギャップフィラー局(この印のみの場合は運用中)
- 無印…運用中の局
NHKは、中波放送の送信電力が民放より大きいことや独自にFM放送(NHK-FM)を運用していることから本来既存中波中継局との併存は認められていない。その後、国は南海トラフ地震などの災害で大きな被害を受けると想定される地域や外国波混信、地理・地形的要因などにより、NHKの中波放送が聴取するのが困難で補完中継局の開設条件を満たすと判断された場合に限り認める方針に転換した[20]。
ギャップフィラー中継局
FM補完放送の実施は放送事業者の義務ではなく[注釈 27]、必要とされながらも実施されない地域もある。
この状況に、近畿総合通信局は基礎自治体(市町村)が受信障害対策中継放送(通称ギャップフィラー)の制度を利用して中継局を開設することを認めた[450]。聴取者からみれば小規模ながらもFM補完中継局が開局することと同様に見えるが、制度が異なるので基幹放送用周波数使用計画に規定された周波数は使用できず、免許人が市町村であり電気料金や設備維持などの費用は市町村が負担すること、技術的には対象のAM放送を受信して再送信するものであることが異なる。
なお、2020年の開設期限ぎりぎりでAM民放ラジオ全社がFM補完放送を開始したことから、ギャップフィラーによるFM補完放送が容易に実現できるよう国の制度上でも改善され、東日本大震災の被災地では90MHzを超える周波数帯でのギャップフィラー局開設が実現している。この中には民放FMラジオ局の中継局も含まれている。
日本国外の事例
韓国では、1960年代に旧:TBC(東洋放送)の前身ソウルFM放送が、最初に民放FMを始めた。
音楽放送以外にも、AM放送難聴対策としてのFM補完放送が広く行われており、「標準FM放送」として体系化され、呼出符号に「-SFM」(“Standard FM”の略)という後付が存在している。
1980年、韓国政府主導で言論統廃合施策が実施され、KBS(韓国放送公社)はTBCを吸収し、TBCラジオをKBS第2ラジオとして引き継ぎ、2015年現在もAM放送を継続しているが、標準FMでもサイマル放送していることから、“Happy FM”という愛称が付いている。また、同局運営のKBS第1ラジオでもAM放送を行っているが、テレビCMではAM放送の周波数ではなく、ソウル局の標準FM放送周波数を紹介している。その後、AM放送聴取者の減少や設備の老朽化などを背景として、2021年11月から一部を除くAM放送の休止や停波を順次行っている[451]。
アメリカでは、一例としてニュース専門局WDEL(英語)が2015年よりAMの1150kHzに加え、FMの101.7MHzで補完放送を行っている。
脚注
注釈
- ^ 2011年7月(一部地域は2012年3月)に地上アナログテレビ放送の停波により空いた周波数のうちの一部。
- ^ 名護局・国頭局。沖縄本局(783→864kHz)以外に当時、放送支局・中継局がなかった。
- ^ 名護局・国頭局。沖縄本局(738kHz)以外に当時、沖縄本島に放送支局・中継局がなかった。
- ^ 石垣局・祖納局・与那国局。宮古島市(当時は平良市)に中波の放送支局(1152kHz)が存在していたが2005年5月2日に廃局となった。
- ^ 祖納局(ラジオ第2)・与那国局。
- ^ 南大東局。
- ^ 当該周波数を割り当てることができず、災害対策のために真に必要な場合に限る。
- ^ FM実用化試験開始当初の1957年12月24日 - 1961年6月18日は87.3Mc・1kWであったため、NHK総合の1chとの電波干渉は起こりにくかったが[22]、1961年6月19日以後、出力増強により10kWに拡大するにあたり、電波干渉が起こることから、今日まで使用されている82.5Mc(MHz同義)に周波数が変更された[23]。
- ^ 島根県は1chを使用していたNKTの鉢伏山からの電波が届きにくく「ガードバンド」適用地域は少なかった。
- ^ 具体的には北海道札幌地区(北海道放送)、青森県中央部(青森放送)、宮城県(東北放送)、関東広域圏(NHK総合テレビジョン・東京本部局[注釈 8])、山梨県(NHK総合テレビジョン・甲府局)、富山県(北日本放送)、中京広域圏(東海テレビ放送)、鳥取県
[注釈 9](日本海テレビジョン放送)、広島県(NHK総合テレビジョン・広島・福山放送支局)、徳島県(四国放送)、山口県東部(NHK教育テレビジョン・山口本局)、福岡県福岡地方(九州朝日放送)、長崎県南部(NHK教育テレビジョン長崎本局)、鹿児島県(南日本放送)および隣接県でこれらの送信所の電波が届く地域や1chを使用していた中継局のエリア(東海テレビ本局とch番号が同じだった三重県熊野市周辺など)が該当した。
- ^ a b コンポ等の据え置き型ラジオは95.0MHzまで、ウォークマンやXperiaを含めたポータブルラジオは108.0MHzまで対応。Android 5.1までのXperiaは地域設定を「日本」以外に設定しないと聴取不可(6.0以降のXperiaは地域設定が「日本」でも聴取可能)。
- ^ 既存品はアップデートが必要[30]。
- ^ TLETは(新)Aurexブランドも含めた同社のFM補完放送対応機は全機種108.0MHzまでの対応を公式表明している。
- ^ 2014年でも、ソニー、パナソニック、ANDO、Audio Comm、DEGEN、TECSUNや、アイコム、アルインコ、八重洲無線といった通信機型など、各社から多数販売されている。
- ^ 1970年代から各家電メーカーが発売したFM対応ラジオ(初期の製品例として、松下 RF-877(1973年[32])、ソニー ICF-7600(1977年[33])、ラジカセ、コンポでは、大半はFMをアナログテレビの1chから3chの領域を含めた76MHzから108MHzで設定したもの、メーカーによってはアナログ4chから12chに当たる170MHzから222MHzが受信できたバージョンも多数ある(まれにUHF(13 - 62ch)に当たる470MHzから770MHzが受信できたものもある)。ただし予め1chから3ch相当の音声周波数(95.75・101.75・107.75MHz)に固定して設定している物は90MHz以上のFM補完放送を受信できない。
- ^ FM放送用の周波数偏移の大きい変調モードのこと。
- ^ a b 2024年2月1日より放送局名を「LuckyFM茨城放送」に変更している。
- ^ 2021年4月より。3月以前はi-fm(あいえふえむ)だった[41][42]。
- ^ また、91.6MHzにちなんだワイドFM放送のPRキャラクター「キューイチロー」も誕生した。
- ^ ワイドFMの愛称制定前は「+FM93(プラスエフエムきゅうじゅうさん)」だった。また、周波数の93.0MHzにちなみ、9月30日を「HappyFM93の日」と定めている。
- ^ この他、1951年9月1日に開局したことと周波数の90.6MHzにちなみ、2016年より9月6日を「MBSラジオの日」に制定している。
- ^ NHKは本来放送法の規定によりラジオ第1のFM補完局を設置できないが、南海トラフ地震対策として特例で設置が認められたもの。大分放送局に次ぐ事例であるが、九州総合通信局はNHKの特例補完局設置に関しては報道資料を出していない。
- ^ 北海道、東北、関東、信越、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州の各総合通信局と沖縄総合通信事務所。
- ^ 近畿圏でのNHKラジオ第1は、945kHzの彦根局を実質県域放送の親局化している滋賀県以外全ての府県で、大阪第1放送の親局・中継局として運用されている。京都局は局舎移転に合わせ京都第1放送(JOOK)を廃止した。
- ^ 既存のNHK山口FM・FM山口よりも出力が高いが、これは周防大島にFM補完中継局を設けていないため。
- ^ 既存のNHK山口FM・FM山口の出力よりも高いが、これは宇部にFM補完中継局を設けていないため。
- ^ NHKは放送法第20条第5項で「中波放送と超短波放送とのいずれか及びテレビジョン放送がそれぞれあまねく全国において受信できるように措置をしなければならない。」とされ、FM補完放送を実施せずともNHK-FM放送を普及すればよい。民放にこの規定は適用されない。
出典
関連項目
外部リンク