ギャルゲー
ギャルゲーは、「ギャルゲーム」(Gal game)の略で、主に魅力的な女性が登場することを売り物とするタイプのコンピュータゲームの俗称である。 概要コンピュータゲームの技術の発展に伴いゲーム内に登場するキャラクターの表現力も上がっていった。その中で、魅力的な女性が登場する(もしくはプレイヤーキャラとして操作できる)を売りにしたゲームが登場するようになった。これがギャルゲーである。ただし、ギャルゲーは主に恋愛を舞台にしたシミュレーションゲームとアドベンチャーゲーム(特にビジュアルノベル)を指す事が多く、2000年代後半以後現在に至るまで流行している恋愛を舞台にせず、ジャンルもSLGやADVに属さないアニメ調の女性キャラを売りにしたゲーム(艦これ・アイマス・東方Project・ラブライブ!・プリンセスコネクト!Re:Dive・アズールレーン・ウマ娘など)はギャルゲーとは呼ばないことが多い。 類似の概念に美少女ゲーム(ギャルゲーとアダルトゲームをまとめた概念)、萌えゲームがあるが、男性向け恋愛ゲームという意味でも使用される。 なお、ギャルゲーはキャラゲーと呼ばれることもあるが、キャラゲーは漫画やアニメといった版権作品のキャラクターを使用したゲームを指すことが一般的である。しかし、元々俗称であるため、キャラゲーの定義は曖昧である。 ギャルゲーという区分判断には各プレイヤーの主観に拠る部分が多く、一般的にギャルゲーと非ギャルゲーの差を明確に区別することは(他の俗称ジャンルであるクソゲーなどと同様に)非常に難しい。また「ギャルゲー」という言葉が一般化していなかった時期に発売されたソフトも、後にギャルゲーとしてカテゴライズされる『銀河お嬢様伝説ユナ』のような例もある[1][2]。 「ギャルゲー」はしばしば「エロゲー(アダルトゲーム)」と同列のものとして扱われがちであるが、一般には以下のように区分されている(家庭用ゲーム機に対するメーカーの規制や規定についてはアダルトゲーム#メディアミックス展開を参照のこと)。
しかし、性描写の少ないアダルトゲームや、逆に性描写に近い表現のあるギャルゲー(一般のゲームも含む)もあり、こういったソフトが「どちらに属するか」という境界も曖昧である。 ギャルゲーの歴史当初はPC-8800などゲーム機とは比べものにならないほど高価なパソコンがエロゲーをやる目的で使う高級玩具として扱われていた。それが多様化し『EMMYⅡ』等、18歳~22歳前後の女性キャラクターを口説く内容の人工知能ソフトへと変化して、アブノーマルなものは減っていき『アテナ』や『夢幻戦士ヴァリス』などアーケードでもギャルを主人公にしたゲームが増えた。[3] 最初にギャルゲーと呼称されたゲームは、1986年発売の『夢幻戦士ヴァリス』(日本テレネット)と言われている[注 3]。 ヴァリスと同時期には『アテナ』(SNK)や『マドゥーラの翼』(サン電子)を始め主人公のキャラクターを子供向けのゲームとしては露出度の高い衣装(いわゆるビキニアーマーなど)を纏っている少女に設定したアクションゲームが見られるが、これらの作品は主人公を男性やロボットなどに置き換えても基本的なゲーム性が変化しないと思われるものがほとんどで、難度を含めたゲームバランスの悪いものも多く、1980年代後半においては「ギャルゲー」は「少女キャラクターの可愛らしさに寄りかかった、クソゲーの一種」と認識されるケースが多かった。家庭用ゲーム機でもPCエンジンはCD-ROMを先駆けて採用した結果容量の制約から解放されCD-DAも使えるようになった結果、有名なアニメーターや声優を使ったキャラゲーが多数出るようになったが。しかし中にはオリジナルのキャラゲー、トップレスなどのヌード・セミヌードを取り入れたゲーム(Huカードソフト[6]も含む)もあり、これらの一部が後にギャルゲーに分類されることになる。 1989年に、絶妙なゲームバランスを持った『ドラゴンナイト』によって再び盛り返した。ゲーム内容は主人公となって敵に捕らわれたギャルを助けていく、といったRPGの王道的設定のシナリオへと変化してきた。[4] 「ギャルゲー」と言う単語のゲーム雑誌で確認されている最古の使用例は『ファミコン通信』1992年3月27日号の特集記事である。もっとも、この特集で取り上げられているのは『ヴァリス』を始め横スクロールのアクションゲームがメインであった。この特集とほぼ同時期にパソコンゲームでは『プリンセスメーカー』(ガイナックス)や『卒業 〜Graduation〜』(ジャパンホームビデオ)に代表される育成シミュレーションが登場している。 1992年、パソコンゲーム業界のギャルゲーは18禁とそれ以外に分けられ、ソフトメーカー側から規制基準が確立された。[4] 1993年にはパソコン用にアダルトゲームのCD-ROMが増加し、家庭用ゲーム機でもPCエンジンはギャルゲーを比較的多く発売され始めた。これはCGと音声というギャルゲーにとって重要な要素を記録するのにCD-ROMが適していることが原因だった。[4]同年7月、パソコン版の同名タイトル「卒業グラデュエーション」がPCエンジンに移植作となりシミュレーションタイプをベースとした先駆者的な役割を果たし、他のゲームにも大きな影響を与えた。[7] 1994年には、男性向け一般恋愛シミュレーションゲームの先駆けとなる『ときめきメモリアル』(コナミ)が発売される。この作品はギャルゲーメーカーではない大手メーカーが開発・発売した独自タイトルとして大きな話題を呼び、このジャンルが一定の地位を確立するきっかけとなった。これに伴い、魅力的な女性が登場するゲームは恋愛シミュレーションゲームが発売されるようになり、ギャルゲーという用語はこのジャンルのゲームを指すものとして用いられるようになった。 1994年末には第5世代機が発売されており、ゲームソフト市場に新規参入するメーカーが多数現れた。ギャルゲーの数が特に増えたのもこの時期で、多数のギャルゲーが発売されている。セガの『サクラ大戦』シリーズやパイオニアLDCの『NOëL』シリーズやNECインターチャネルの『センチメンタルグラフティ』などが代表とされる。1990年代半ば~後半にかけて、セガサターンではCEROレーティング前から「X指定」および「年齢制限(推奨年齢18才以上)」など独自のレーティングを設けた事によりアダルトメーカーも参入するようになり『野々村病院の人々』や『EVE burst error』や『下級生』など、アダルトゲームの移植で20~30万本のヒットを生み出す作品が複数登場した。当時PlayStationでは性的表現はSONYの意向で厳しく制限されていたため、アダルトゲームの移植ではセガサターンほどのヒットを飛ばす作品は少なかったが、PlayStation独自タイトルである『NOëL』シリーズやアトリエシリーズ、やるドラシリーズや『トゥルー・ラブストーリー』は10万本を超えるヒットを記録した。 ギャルゲーは1990年代後半あたりにピークを迎え、その後もNECインターチャネルやKIDやヒューネックスなどのメーカーが家庭用ゲームオリジナル作品、アダルトゲームの移植問わずギャルゲーのリリースを継続して行っており、2000年前後のアダルトゲームの葉鍵ブームもあって一定の市場規模を維持していたが、PS3が発売され、NECインターチャネルがギャルゲーのリリースをやめ、KIDが倒産した2000年代後半あたりからアダルトゲームともども既存のギャルゲーは衰退しつつあり、それに代わって恋愛を舞台にせず、ジャンルもSLGやADVに属さないアニメ調の女性キャラを売りにしたゲーム(詳しくは概要欄参照)が台頭し、現在ではそちらの方が大きな盛り上がりを見せている。 ギャルゲー依存の影響ギャルゲーファン以外からも支持されるようなストーリー性の高い作品がある一方で、あくまで「魅力的な女性が登場したりきわどい悩殺シーンが売り物」の、設定やストーリーに少々無理がある作品も存在する。特に前述のPCエンジンではその傾向が顕著に表れており、シューティングゲームの売り上げが落ちるなどの影響があった[8]。そのためテコ入れのために美少女を付け加える場合があり。結果として美少女を使用する傾向に拍車がかかっていった。女子高生とコミュニケーションするゲームが多いのは何故なのかに関して踏み込むと、女性としていちばん光っている時期でもあり、サナギから羽化する蝶を見るような測り知れない力にあやかりたい。との事。[9] ギャルゲーとアダルトゲーム1992年の『同級生』(エルフ)以降、アダルトゲームにおいても擬似恋愛を扱う作品が主流となったが、これらの作品は従来のアダルトゲームに比べ性描写が少なく、ゲームの中身の大部分は女性キャラクターとの恋愛関係に至るまでの過程を描いたものであった。このことは、これらのアダルトゲーム作品においては性描写を削除してもゲームバランスを大きく損なわないことを意味しており、このためアダルトゲーム原作のコンシューマーゲーム移植されるギャルゲーが増加することとなった。この傾向は性描写が完全に従となり読者の感動を主目的とする、いわゆる泣きゲーが勢力を増すにつれてさらに顕著なものとなっている。 また、社会情勢の変化に伴うCERO審査基準の改正や、ベクターが運営するアダルトゲーム中心の情報サイトが「Galge.com」(ギャルゲ・ドット・コム)の名称を使用するなど、冒頭にもあるようにギャルゲーとアダルトゲームの区別はますます曖昧なものになりつつある。 近年ではギャルゲーとアダルトゲームの中間のグレーゾーンに属する作品も発売されるようになり、ギャルゲーとアダルトゲームの境界があいまいになりつつある[10]。 女性キャラの典型的属性
ハーレムものの漫画、アニメでは1人の男性キャラ(多くの場合、主人公のこと)に複数の女性キャラクターが特別な感情を抱く例がしばしば見られる。ギャルゲーにおけるヒロインの典型的属性はハーレムものの漫画、アニメのそれと類似している場合がある。漫画、アニメで利用されているストックキャラクターのパターンを、ゲームに応用している場合もあり、逆にゲームにおける典型的属性が漫画、アニメで使用されている場合もある。また、おたくなどといった購買力に余裕のあるユーザーにアピールする上で、著名なイラストレーターや漫画家に、キャラクターデザインを依頼する傾向も見られる。現実的には実現が難しいが一種の理想を実現している状況。本当は起こり得ないような異性からの人気。現実離れした体型、髪型、顔。非現実的だが魅力を持つ。ロボット、アンドロイドなど”人が人に似せて作った人工物型”。SF的要素のある話でヒロインに混じっていることが多い。性格の差があっても製造目的から他人に友好的に接する事が多い。天使、妖精、女神など”人とは異なる種族として存在する知的生命体”。こちらは奔放で、人と対等ないし見下しているキャラが多い。[11]原初的なギャルゲーではギャルは1人しか出なかった。しかし多くのユーザーの好みに応えるため、1本のソフトにメガネやショートカットなど多くの特徴をもったギャルが登場するようになった。[12] ギャルゲー雑誌(成年誌は除く)
この他、単発ないし数号しか出なかったものには以下の各誌がある。「ギャルゲー」に対抗して「ヒロインゲーム」という呼称を定着させたい向きがあったことがうかがえるが、全く定着しなかったようである。
脚注注釈出典
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