ふしぎの国のアリス
![]() 『ふしぎの国のアリス』(原題:Alice in Wonderland)は、ウォルト・ディズニー・プロダクションが製作し、ルイス・キャロルの小説を原作とした1951年のアメリカのミュージカル・ファンタジー・コメディ・アニメーション映画である。 あらすじある日の昼下がり。静かな川辺の野原で、アリスは姉と一緒に歴史の本を読んでいたが、すっかり退屈しており、姉の目を盗んで飼い猫のダイナと一緒に川のほとりでくつろいでいた。その時、アリスはチョッキを着ている白いうさぎが大きな懐中時計を持って走り去るのを見て、必死で白ウサギを追いかけた。彼女は白ウサギを追ううちに大きなトンネルまで入ったが、その先にあった大きな穴に落ちた。一番下まで落ちると、白ウサギが走っているのを見つけて、アリスは追いかけ、奇妙な空間の部屋にたどり着く。そこには小さい庭のドアがあったので、開けようとしたが、ドアノブが喋って「大きすぎて入れないから無理」と言われた。アリスがどうしようかと悩んでいたところ、不意にガラスのテーブルが出てきた。テーブルの上には瓶があって、そこには一切れの紙に「私を飲んで」と書いてあった。アリスがそれを飲むと、身長が約3cmに縮んだ。そこでアリスはドアを開けようとしたが、肝心な金の鍵をテーブル上に忘れていたのでまた入れなかった。アリスがまた悩んだところ、今度はクッキーがたくさん入った箱が不意に出てきた。そのクッキーには「私を食べて」と書いてあり、アリスがそれを食べると部屋につっかえる程大きくなった。困ったアリスは泣き出し、部屋は涙で水浸しになり、彼女はとっさにさっきの瓶の中身の残りを飲んだ。そして、瓶の中に入り込み、ドアノブの鍵穴を通り抜ける。 流れ着いた海岸では、ドードー鳥達がコーカス・レースをしていた。アリスはそれに加わったが、白うさぎを見てまた追いかける。その途中で、アリスはトゥイードルディーとトゥイードルダムに出会い、遊びに誘われるが1度は断る。しかし諦めない2人は粘って「セイウチと大工さんの話」を聞かせることに成功した。2人で遊びだしたのを機にその場を離れたアリスはその後、白ウサギの家にたどり着く。そこでアリスは「手袋を持って来い」と白ウサギに言われ、家の中に入った。手袋を見つけたアリスが、2階にあったクッキーを食べてしまうと、彼女は家につっかえてしまう程大きくなり、白ウサギは驚いて逃げ出してしまう。そこへ白ウサギと共にドードーが現れて、「魔物を退治する」という名目で通りかかった煙突掃除のトカゲ、ビルを家に送り込むが、アリスが煤にむせたため、煙突から飛び出し行方不明になってしまう。それを見たドードーは「家を焼き払おう」とアリスが大きくなった際に蹴り出した家具を壊し、マッチで火をつけてしまう。しかしドードーが火を大きくしようと躍起になっている間にアリスはにんじん畑に気づき、そのうちの1本を食べて、以前より縮んだ。 逃げた白ウサギを追いかける途中で見失い、アリスはしゃべる花たちの壇に出会い、その歌を聴く。しかし、花たちはアリスを雑草だと誤解し、アリスは花たちに追い出された。その後イモムシに出会い、不思議な詩を聞かされたアリス。「せめて身長を7cmくらいにしたい」と言った事がきっかけでイモムシを怒らせてしまうも、その怒りでちょうちょへ変貌した彼から大きくなるアドバイスを聞く。それを受けて、大きくなりすぎたりしたものの、アドバイス通りにマッシュルームを交互に食べながら、無事望んだ大きさになったアリス。その後アリスはチェシャ猫に出会い、彼に言われてマッドハッター、三月ウサギとドーマウスの所に行った。そこでは“誕生日じゃない日(なんでもない日)”をお祝いするというおかしなお茶会をしていた。アリスは白ウサギの行方を聞くべくそのお茶会に加わるが、なかなか話が通じない。そこへ乱入してきた白ウサギがマッドハッターに時計を壊され、失意を顕わにしながらも「遅刻遅刻」と走り出したのを追いかけるも、途中で道に迷ってしまい、アリスはとうとう白ウサギを追いかけるのを諦めた。そこへ突然チェシャ猫が現れ、「この辺りの道は女王のもの」だとアリスに教える。アリスがハートの女王と会ったことがないと知ると、チェシャ猫は「ハートの女王に会うなら、オレは近道を通る」と言って、アリスをトランプの国に誘い込む。 庭の生け垣の迷路で、アリスは白いバラに赤いペンキを塗っている3人のトランプ兵たちに会う。そして、そこへやってきたハートの女王に出会い、クローケーゲームに招待された。それは、フラミンゴをクローケー代わりに、そして、針鼠をボール代わりに使うというおかしなゲームだった。どうにかうまくいくも、途中で不意に出くわしたチェシャ猫のせいで、ハートの女王といざござを起こしてしまい、アリスは裁判にかけられる(なお、提案したのは王様である)。アリスはお茶会の3人を証人として呼んだおかしな裁判のやりとりに苛々し、騒動の元凶ともいえるチェシャ猫の存在を告げた際に暴れだしたドーマウスがきっかけで更に騒ぎが大きくなってしまう。そこで持っていたマッシュルームを両方食べて大きくなり、ハートの女王に向かって「デブで、わがままで、底意地の悪い暴君」と主張するも、結局追い回される。途中でもう一方のマッシュルームが影響したのか小さくなってしまうが、その直後に女王が言った「今、何と言ったんだい?」という質問に対しチェシャ猫が女王にその言葉を繰り返したのも原因である。 しかしドアノブにたどり着いたアリスは、自分が眠っているだけなのだと知ると「起きるのよ」と呼びかける。うなされている自分を呼ぶ姉の声で目が覚めたアリスは、「目を覚まして詩の暗唱をしなさい」と言われた際、イモムシが教えてくれた詩を暗唱したことで姉に「あなたは夢を見たのね」と言われ、お茶の時間に誘われるのだった。このようにしてアリスの不思議な冒険は終わる。 登場キャラクター
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声の出演
※キャラクターの歌唱部分に関して、日本語吹き替えは台詞部分の声優とは異なる人物が担当している。TBS版ではボニージャックスとミンツが担当した。 ソフト版吹き替えの差異1984年から1987年に発売されたソフト(ポニー・バンダイ版)、1991年から2005年に発売されたソフト(以下、BVHE版初代)、そして2005年以降に発売されているソフト(以下、BVHE版2代目)では、それぞれ音声の一部に差し替えが行われており、内容がわずかに異なっている[2]。 BVHE版初代では、一部の歌のみ変更が行われた。 BVHE版2代目では全編に亘って台詞・歌詞が改訂されており、一部のキャラクター名や単語の訳が以下のように変更された。なお、初出となったDVD『ふしぎの国のアリス スペシャル・エディション』には、パッケージ裏面に「一部を、現在の日本語表現に合うよう新しく収録しています」との記載がある。
変更箇所の追加録音には、基本的に当時の声優が続投した。ただし、引退などの事情から一部の声優は変更されている。 1973年公開時の吹き替え1973年に「ウォルト・ディズニー・カンパニー創立50周年記念映画」として本作がリバイバル上映され、その際に日本語吹き替え版が新規制作された。1987年にもリバイバル上映され[注 2]、1973年版と同一の音源で公開された。 出演は愛川欽也[1]や山田康雄など。ただし、公開時のポスターやパンフレットには吹き替え声優の記述が存在せず、2007年時点では配役の詳細が不明となっている[3]。 スタッフ映像制作日本語版
楽曲未発表曲本作にはリプライズを除き、17曲の挿入歌が使用されている。映画の製作当時、これらの17曲以外にも複数の曲が制作されていたが、結局、不採用にされて、長らく日の目を見ることはなかった。 1999年、アメリカ合衆国で発売されたDVD版に特典映像として、ボツになった曲の1つ「I'm Odd」(チェシャ猫のテーマソング)が収録された。 当時、オリジナル版の映画(1951年)でチェシャ猫の声を演じたスターリング・ホロウェイは1992年で亡くなっており(1989年にすでに引退していた)、代役としてジム・カミングスがチェシャ猫の歌声を担当した。 カミングスは他にも、ホロウェイの持ち役(『くまのプーさん』(プー)、『ジャングル・ブック』〈カー〉)を受け継いでいる。 日本では2005年発売の「ふしぎの国のアリス スペシャル・エディション」に収録されている。 レコード1972年、キングレコードから「ディズニーランド・レコード」シリーズの一環として、ドラマパート付きのサウンドトラック盤が発売された。 配役は独自のもので、編曲は日本で行われたオリジナルのものとなっている。 キャスト
スタッフ
製作本作は実際の役者がロトスコープを使用している[4]。アリスの声は当時13歳のキャサリン・ボーモントが演じた。また、ロトスコープの演技もキャサリンが演じている。 原作小説の持つ言葉遊びの要素を減らした、カラフルで健全な雰囲気のミュージカルとなっている。トゥイードルディーとトゥイードルダムなど『鏡の国のアリス』の登場キャラクターやエピソードを一部含んでいる。ハートの女王も原作小説と『鏡の国のアリス』の赤の女王を合わせたキャラクター造形となっている。「ほうき犬」は原作にはないオリジナルキャラクターである。 ウォルト・ディズニーは1920年代より「アリス・コメディ」と呼ばれる、実写とアニメーションを組み合わせた一連の短編映像作品も作っていたが、キャロルの小説の翻案ではなかった。 批評前年公開の『シンデレラ』のようなプリンセスものを期待していた聴衆の評判は悪く、批評家からも酷評された。その後の1970年代のリバイバル上映で、そのシュルレアリスム的な映像が再評価された。 金髪で青と白のエプロンドレスを着たアリスは、その後のアリスを題材にした映画や絵本のアリス像や、ロリータファッションに影響を与えた[5][6]。 ![]() テレビ放送
小説
絵本
脚注注釈
出典
関連項目
外部リンク |
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