五代目円楽一門会![]() ![]() 五代目円楽一門会(ごだいめえんらくいちもんかい)は、5代目三遊亭圓楽の弟子とその一門による落語家団体。 概要・歴史前身は1980年2月1日に5代目圓楽が一門弟子と共に設立した「大日本落語すみれ会」。1978年の落語協会分裂騒動で5代目圓楽が師匠6代目三遊亭圓生と共に「落語三遊協会」を創設するも、翌1979年に圓生の死去により解散。6代目三遊亭圓生の直弟子たちは圓生の未亡人や遺族の仲介で落語協会に復帰するが、5代目圓楽およびその一門のみは復帰せず、単独で「大日本落語すみれ会」を結成した。落語三遊協会解散時の落語家のうち約半数が「すみれ会」に参加したことになるが、組織的なつながりはない。 1985年に「落語円楽党」と改名。1989年の寄席若竹閉場後いったん解散、「落語ベアーズ」を結成したが、1990年からは名称を「円楽一門会」へ変更[1]。2009年の5代目圓楽の死去後は「五代目円楽一門会」となっている。 同団体は落語協会離脱の経緯から、鈴本演芸場・新宿末廣亭・浅草演芸ホール・池袋演芸場で定席興行を持つことが出来ず、代替として、1985年に5代目圓楽が私財を投じて寄席若竹を設立し、定席興行を行っていたが、様々な事情からわずか4年で閉鎖された。 現在は永谷商事が所有する「お江戸両国亭」で毎月1日から15日に「両国寄席」として一門の落語会を行っている。当興行は円楽一門会のほか、賛助出演という形で6代目円楽が「客員」として加入(後述)した落語芸術協会、ほぼ同じ経緯で落語協会を離脱した落語立川流に加え、上方落語協会、さらにはかつて所属していた落語協会所属の落語家・色物芸人も多数出演している(後述)。 このほか、亀戸梅屋敷でも「亀戸梅屋敷寄席」を開催。また浅草東洋館での東京演芸協会およびボーイズ・バラエティー協会の定席興行にも1~2名程度出演することがある[注釈 1]。 前述の通り、都内4定席での興行を打つことはできないが、新宿末廣亭・浅草演芸ホールでは余一会として一門の特別興行を行うことがあり、特に近年では7月31日に行われる浅草演芸ホールでの余一会で「三遊落語まつり」と称して、円楽一門会と落語協会所属の圓窓・圓丈一門による合同興行を行っている(三遊派#戦後も参照)。 長らく5大落語家団体の中で唯一女流落語家が存在しない。2022年に竜楽門下にたつみが入門して一門初の女流となったが、年内で廃業した。 2023年現在、他の落語家団体を退会後に円楽一門会門下に転籍した者はいるが、円楽一門会を退会した後に他の落語家団体門下に移籍した者はいない。 チラシの寄席文字・めくりなどは、寄席文字橘流の橘右女次が手がけている[2]。 2024年6月に落語立川流が法人化されたことにより、上方落語協会を含む落語家5団体のうち、唯一の任意団体となっている。 総帥の引退→死去とその影響2007年、五代目圓楽が高座からの引退を表明して最高顧問となり、総領弟子・鳳楽が会長に就任し、これに「一門の幹部」として、好楽・圓橘・楽太郎(後の六代目円楽)を加えた4人による事実上の集団指導体制へ移行した。ただし、五代目圓楽自身は完全に落語界から消えた訳ではなく、その後もがんなどを患いながら後進の指導を主な活動とし、なおも影響力を保持していた。しかし、肺がん・脳梗塞を再発し、最後の弟子である王楽の真打昇進から1か月も経たない2009年10月29日に死去した。 円楽一門会は、五代目圓楽と同様に落語協会から飛び出した七代目立川談志が率いる落語立川流と同様、中心人物である五代目圓楽の知名度とカリスマ性によって団体が維持されてきた面は否定できず、5代目圓楽が倒れた際には芸能マスコミなどで団体の存続について少なからぬ噂が飛び交うなどということも見られた。 その後、2009年11月21日に東京會舘で行われた五代目圓楽の「お別れの会」の席で、従来からの「円楽一門会」を「五代目円楽一門会」(三遊亭鳳楽会長)とする方向でいることが明らかになった[3]。 2010年3月には、楽太郎の六代目円楽襲名披露興行が桂歌丸会長(当時)率いる落語芸術協会の協力を得て、定席である新宿末廣亭などで行われ、六代目円楽のほか、鳳楽・好楽・圓橘などが出演した。同年10月28日の五代目圓楽一周忌において、円楽から歌丸に対して円楽一門会の落語芸術協会への合流の申し入れがされたが[4]、芸協内では人数の問題や寄席で修業していない落語家が加入する[注釈 2]ことに根強い反対意見もあり[5][6]、2011年6月の総会でも賛成派は歌丸と三遊亭小遊三だけであったため、否決された。 その後、2017年6月に六代目円楽が単身で芸協に「客員」として加入し、円楽一門会と並行して活動することとなった[6]。 しかし、芸協との橋渡し役を担い、一門会の顔的な存在となっていた6代目円楽は奇しくも先代と同様に肺がんを発症して闘病生活に入り、さらに2022年1月に脳梗塞で倒れ、長期療養の末に同年9月末に死去した[7]。 一門の中心として活動してきた六代目円楽を失ったことの影響から、五代目圓楽の死去時同様に団体の存続に関するさまざまな噂も取り沙汰されたが、その一方で円楽の生前から落語芸術協会の興行に正式な協会員ではないが、円楽の代演あるいはゲストとして、好楽、愛楽、王楽、兼好、萬橘などが出演する機会が多くなっている[注釈 3]他、好楽が落語協会の2023年2月中席の浅草演芸ホール・昼の部定席興行(かつての兄弟子である五代目春風亭柳朝の三十三回忌追善興行)に顔付けされるなど、団体内外の環境が大きく変化してきており、一方で同じく定席に出演できない落語立川流が2024年6月に一般社団法人となったため、現在は東京の落語家団体で唯一の「任意団体」である円楽一門会の今後の動向が注視される。 一門弟子の高座名2023年7月現在、一門会所属の錦笑亭満堂(三遊亭好楽門下)を除き、所属全員の亭号が「三遊亭」である。
一門の弟子の高座名の傾向として、5代目圓楽門下と6代目円楽門下は「楽」の文字[注釈 5]、鳳楽門下は「鳳」の文字、好楽門下は「好」の文字、圓橘門下は「橘」ないしは「きつ」の文字がほぼ入っているというのが挙げられる。 出演場所円楽一門両国寄席前述の通り、円楽一門会はお江戸両国亭で毎月1日から15日まで「円楽一門両国寄席」を実施している。円楽一門会の事実上の定席興行であるが他の寄席と異なり、円楽一門会所属の噺家が日替わりで主任(トリ)を務める。また、賛助出演として一門以外の噺家・色物も出演しており(ただし、出演メンバーはほぼ固定されている)、基本の番組編成は落語七席と色物一席となる。正月三が日は特別興行となり円楽一門会の噺家がほぼ勢揃いする(色物のほか、ごく一部だが一門外の噺家も出演する)。昼夜通しで入れ替え制ではない。 2005年7月14日には、両国寄席15周年を祝い、五代目三遊亭圓楽を主任に、特別プログラムが設けられた。その前日に、急遽、笑点で共演していた桂歌丸が助演で高座に出ることが決まり、会場の出入口に貼り紙でその旨が公開された。 2021年12月の興行は、コロナ禍の最中、興行の継続のために初めてオフィスまめかなの全面協力のもと、特別企画「~若竹から35年~ 結集!!五代目円楽一門会 冬の両国寄席まつり」を開催した。「江戸の職人」「将棋」など日ごとにテーマを決め、それに因んだ演目を主任が務めた。日替わり対談ゲストに橘右橘(寄席文字橘流)、高野秀行(棋士)、大至(元大相撲幕内力士)などを招き、色物を除いた出演者は円楽一門会の噺家のみとなった。木戸銭も特別料金となり、通常興行と異なった[9][10]。
2023年2月1日から15日は、前年9月30日に死去した六代目三遊亭円楽の生誕月に当たることから、「六代目三遊亭円楽追善興行」として、主任が円楽の得意演目を演ずるとともに、仲入り後に六代目の思い出話で偲ぶ座談が行われた[11]。このほか、一部の月で主任演目ネタ出しも行われた。 2023年以降より月ごとにテーマを設定して、そのテーマに沿った演目を事前に発表するいわゆる「根多(ネタ)出し」の機会も増加しつつある[注釈 7]。 2023年7月(錦笑亭満堂真打昇進披露)、2025年3月(七代目三遊亭円楽襲名披露興行)の際には、特別興行として通常は両国寄席に出演しない他団体の落語家や色物芸人も出演、料金も別枠となっている。 賛助出演各団体から両国寄席の通常公演において出演する、円楽一門会所属外の主要出演者を記す。
亀戸梅屋敷寄席開催日は火曜から金曜の間に不定期であり、月に10日前後である。こちらは他団体の出演のない純粋な5代目圓楽一門の興行である。 五代目圓楽一門会(国立演芸場)国立演芸場で毎年開催されている一門出演の会。タイトルや日程などは年によって微妙に変更されているが、近年は秋(10~11月)に3日間開催されている。 2023年10月から始まった国立演芸場改修工事に伴い、2024年は渋谷区文化総合センター大和田内さくらホールにて代替公演の開催が決定している。 五代目円楽一門会若手落語会2022年9月スタート。会場は江戸川区平井にあるひらい圓藏亭。円楽一門会の以下の若手落語家から2~4人により月4回(第一~第三週水曜日昼、第四週金曜日夜)開催。
三遊まつり2020年より年1回、明治22(1889)年に三遊亭圓朝が三遊亭圓生(初代)の遺徳を偲び木母寺(東京都墨田区)に建立した「三遊塚」の供養を兼ねて円楽一門会による寄席やイベント・法要などが行われる[注釈 10]。「まつり」を立ち上げた六代目円楽は演芸界全体を巻き込んだイベントにしてゆく考えを持っていたが、2023年現在他団体の落語家の参加はない[13]。 五代目円楽一門会二ツ目まつり2024年3月17日、亀戸梅屋敷にて、一門の二ツ目による「五代目円楽一門会二ツ目まつり」が開催され、落語会やファンとの交流イベントが開催された。第2回は11月29日・30日に鈴座LisaCafe(東京都江東区)で予定されている。 構成員香盤順[14]。名前の後に△印のついている者は、両国寄席ホームページには掲載が無いが、東西寄席演芸家年鑑2(2021年、東京かわら版)に掲載のある者[15]。 真打二ツ目前座
おはやし
物故者
退会・廃業
系図
関連事項脚注脚注
出典
外部リンク
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