今日というこの日を生きていこう
『今日というこの日を生きていこう』(きょうというこのひをいきていこう)は、日本のミュージシャンである玉置浩二の10枚目のオリジナル・アルバム。 2005年2月16日にSony Music Recordsからリリースされた。玉置のソロアルバムとしてはSony Music Recordsへの復帰第一弾となり、オリジナルアルバムとしては前作『スペード』(2001年)以来約4年ぶり、安全地帯の作品も含めると『安全地帯X〜雨のち晴れ〜』(2003年)以来約1年4ヶ月振りとなる作品である。作詞は全曲共に玉置および松井五郎が行い、作曲はほぼすべて玉置が行っているが1曲のみ安藤さと子との共作となっている。プロデューサーは玉置が担当し、コ・プロデューサーとして安藤の名がクレジットされている。 レコーディングは軽井沢にあるウッドストックスタジオおよび東京にあるソニー・ミュージックスタジオにて行われた。安全地帯のメンバーからは矢萩渉のみが参加している。音楽性としては軽井沢でレコーディングされたシンプルなアコースティックサウンドの曲や東京でレコーディングされたアップテンポのロックナンバーまで幅広く収録されている。 6thアルバム『JUNK LAND』(1997年)よりリカットされた18thシングル「しあわせのランプ」のカップリング「7:30am」が収録されている他、先行シングルとしてリリースされた「愛されたいだけさ」が収録されている。本作は『スペード』に続いてアルバム全曲共にノンタイアップの作品となった。 オリコンチャートでは最高位26位となった。 背景シングル「ひとりぼっちのエール」(1993年)をリリース後、長期の活動休止期間を経た安全地帯は2002年に再始動し、7月10日にシングル「出逢い」(2002年)をリリース、続いて9thアルバム『安全地帯IX』(2002年)をリリースして完全復活を遂げた。その後、10thアルバム『安全地帯X〜雨のち晴れ〜』(2003年)をリリースし全国ツアー「安全地帯コンサートツアー2003」を38都市全45公演におよび開催[2]、このツアーでは約11年振りにメンバー5名が揃った状態で行われた。 順風満帆に見えた安全地帯の活動であったが、玉置はこの復活に関して「ものすごく嬉しかった」との感想を持っていたものの、同時に安全地帯としての活動は自身にとって切り札であったと悟った事、さらに「自分の中でなにかが終わった」という感覚を覚えたために再始動を純粋に楽しむ事ができず、一方的に安全地帯の活動休止宣言を行う事となった[3]。これによりメンバーや周囲のスタッフの期待を裏切る形になった事で、玉置は精神的に深いダメージを負う事となった[4]。また同時期に歌手の吉田美奈子に提供した曲「傍にいる」は吉田の19thアルバム『REVELATION』に収録された[5]。 2004年に入り、2月に玉置は個人事務所「アンクルオニオン」を金子洋明事務所の内部から独立させたが、その事により事務所の規模が小さくなったため、玉置以外のミュージシャンを所属させる事は困難となった[6]。この出来事は前述の理由に付してさらに安全地帯としての活動を休止せざるを得なくなった一因となった[7]。その後玉置は活動再開する事ができず、詞も曲も思い浮かばない日々が続いていたが、ある時に「しあわせのランプ」が頭を過り、もう一度思いを込めて同曲を歌う事をスタッフに提案し、6月9日に独立後第一弾のシングルとしてリリースする事となった[8]。その後玉置はソロとしてのコンサートツアー「アコースティックライブ '04 ~しあわせのランプ~」を7月4日の白井市文化会館 大ホールから9月3日の小樽市民会館 ホールまで小規模の会場を中心に29都市全29公演を敢行[9][10]。ツアーにはアコースティック・ギターの名手である岡崎倫典と当時妻であった安藤さと子が参加しており、小規模会場ならではの構成でアコースティックサウンドを重視して開催された[9]。なお、ツアー開始間もない7月7日には歌手のMISIAに提供した曲「名前のない空を見上げて」がシングルとしてリリースされており、同日はMISIAの誕生日でもあったため、玉置は東京国際フォーラムでのMISIAのライブに突然花束を持って登場した[5]。 録音本作のレコーディングは、当初は軽井沢にあるウッドストックスタジオにて行われていたが、最終的には東京にあるソニー・ミュージックスタジオに場所を移して行われた[11]。 プロデューサーは玉置が担当し、コ・プロデューサーとして安藤が参加している。また、本作では一部の曲の作詞を松井五郎が行っている。玉置のソロアルバムにおいて松井が作詞を手掛けるのは『All I Do』(1987年)以来約18年振りの事であった[12]。松井は安全地帯の9thアルバム『安全地帯IX』において約11年振りに玉置との共同作業を行ったが、その後「一つの節目が終わった」という感覚を覚えたために10thアルバム『安全地帯X〜雨のち晴れ〜』には不参加となった[13]。松井が本作の参加に踏み切った理由は、『安全地帯IX』での玉置との共同作業において玉置のソロ活動を安全地帯から独立したものとして確立することができたためである[14]。また玉置も同時に『安全地帯X〜雨のち晴れ〜』において「自分の中のなにかが終わった」という感覚を覚えていたため、両者は作品の密度を高めるために直接意思疎通を図るようになった[15]。 松井は玉置と共に共有するテーマを追求するため、事前に本作が玉置による単独プロデュース作品である事を確認していた[15]。松井としては安全地帯よりも玉置のソロ活動に対する注目度の比重が大きくなっていたと触れた上で、「今までは浩二と1対1で作っていくっていう形が、じつはあまりなかったかもしれないなと思った」、「キャリア的にも年代的にもそういうことをやってもいいと思っていた」と述べている[16]。かつて玉置はソロ作品において須藤晃との間で1対1の関係性で制作を行っていたが、松井との間で1対1のコミュニケーションを取るのは本作が初となった[17]。また、須藤とは共同プロデュースという関係性であったが、本作ではプロデューサーは玉置であり、松井に対して作詞の方向性を玉置が提示する形となった[17]。 同時期に韓国の俳優であり歌手のパク・ヨンハの曲の作詞を手掛けていた松井は玉置に作曲を依頼、同年12月21日にシングル「Truth/ほゝえみをあげよう」としてリリースされる事となった[18]。 音楽性玉置浩二の自伝本『玉置浩二 幸せになるために生まれてきたんだから』において志田歩は、本作収録曲の「グライダー」に関して、「シンプルな構成が似合う内省的なナンバー」であるとし、「憂いに満ちた語り口は、安全地帯を再び休止させる決断を下したあとの彼の内面の葛藤を連想させる」と述べている[19]。 「UNISON」に関しては「力強いミディアム・テンポ」の曲であるとした上で、「緊張感のある前半から明るいサビへの転換が印象的なロック・ナンバー」と表現した[11]。 「愛されたいだけさ」に関しては、東京で収録されたホーンがダイナミックであるとした上で、「安全地帯が大編成でライヴをやっていた時期の華々しいイメージを思い出させる玉置=松井コンビならではのラヴ・ソング」と述べ、さらに本作が前半は軽井沢、後半は東京でレコーディングされた事について「レコーディング環境の変化が、そのまま反映されている」と述べている[12]。 リリース2005年2月16日にSony Music RecordsよりCDにてリリースされた。初回限定盤はシングル「しあわせのランプ」および「愛されたいだけさ」のPVとメイキングシーンを収録したDVDが付属され2枚組でリリースされた。 2018年8月15日にはBlu-spec CD2、紙ジャケット仕様でソニー・ミュージックダイレクトのGT musicレーベルより再リリースされた[20][21]。 ツアー本作を受けてのコンサートツアー「コンサートツアー2005 ~今日というこの日を生きていこう~」は、同年3月5日のパルテノン多摩から5月28日の東京国際フォーラム ホールAまで38都市全38公演に及んで開催された[22]。その後アンコール・ライブとして6月14日のZepp Tokyo公演が開催され、その時の模様はWOWOWにて放送された他、7月27日にはライブ・アルバム『LIVE!! 「今日というこの日を生きていこう」』として、11月2日にはライブ・ビデオ『「今日というこの日を生きていこう」LIVE in Zepp Tokyo』としてリリースされた[23]。玉置がライブ・アルバムをリリースするのは『T』(1995年)以来約10年振りとなった[23]。 本ツアーには玉置、安藤、矢萩渉、カルロス菅野の他、ギタリストの土方隆行、ベーシストのコモブチキイチロウ、ドラマーの渡嘉敷祐一が参加した[24]。中でも土方の参加はテレビで見た土方の演奏に惚れ込んだ玉置が熱望した事で実現し、これまで安全地帯以外のミュージシャンの選択に関してはプロデューサーやスタッフ任せになっていたが、玉置が初めて特定のミュージシャンを指名する事となった[25]。 批評
チャート成績オリコンチャートでは最高位26位、登場回数4回となり、売り上げ枚数は1.4万枚となった。 収録曲CD
DVD
スタッフ・クレジット参加ミュージシャン
スタッフ
リリース履歴
脚注
参考文献
外部リンク |
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