伝統と創造の会(でんとうとそうぞうのかい)は、2005年の第44回衆議院議員総選挙で初当選した自由民主党の衆議院議員で構成される「83会」のメンバーが2006年2月10日に設立した政策勉強会。通称「伝創会」[1][2][3]。初当選同期の自民党内保守系議員らで結成されたグループであり、稲田朋美の政治的立場の変化から離脱者が相次ぐまでは「稲田グループ」とも呼ばれていた。(離脱者らが『保守団結の会』を結成)[4]。
目的
この会の目的は「『変えるべきことは変え、守るべきことは守る』ということです。小泉総理の改革はどんどん前に進めていくべきだと思います。その一方で、わが国には世界に誇るべき伝統や文化、そして道義国家としての姿があります。明治維新など、先人たちがそうしてきたように、守るべきものは守りながら、新しい日本を創造していこうという会です」としている[5]。
メンバー
※設立時は34名である。[3]
現在の構成
かつて所属していた人物
引退や落選、それ前に脱会した者も含む。
沿革
条件違反映画への助成金支給批判
2008年3月12日、アルゴ・ピクチャーズ配給の映画『靖国 YASUKUNI』(監督:李纓)の、全国会議員を対象とした試写会が催されたが、参加義務は無いので多くの議員は参加せず、内容について、この時点では知らなかった[7]。同年12月に行われたマスコミ向け試写会後、週刊新潮」などから映画内容が「客観性を欠く」「反日映画だ」などと報じられた。自民党の平和を願い真の国益を考え靖国神社参拝を支持する若手国会議員の会と本会所属議員が、内容を確認するために試写会を行うように要請した。この映画製作には、文化庁の指導する芸術振興基金から助成金が支給されており、その条件として政治的な訴えや偏向があるものは禁止と規定されていたからであった[7]。新聞の取材に対し稲田は、「客観性が問題となっている。議員として見るのは、一つの国政調査権」「表現の自由や上映を制限する意図はまったくない。でも、助成金の支払われ方がおかしいと取り上げられている問題を議員として検証することはできる」と述べている[7]。同年4月右翼団体による上映抗議に対しては「我々が問題にしたのは助成の妥当性であり、映画の上映の是非を問題にしたことは一度もない。いかなる内容の映画であれ、それを政治家が批判し、上映をやめさせるようなことが許されてはならない」とコメントしている[7]。2010年の著書で稲田は映画の公開ではなく、条件違反なのに助成金が支給されたことの妥当性を問題視していると述べても、真意を捻じ曲げて拡散や偏向報道しようとする人々の前には無力だと感じたと述べている[7]。
稲田朋美の政治的立場変化による分裂以降
2020年6月25日 - 稲田がLGBT議連に所属し、選択的夫婦別姓制度やLGBT関連に力を入れ始めて「保守とは多様性を認めること」とし、「新しい保守の形」を模索し始めたこと[8]に対して、副会長高鳥修一を始めとする一部会員が離脱者し、保守団結の会を新たに結成[4]。
分裂以降の休会期
- 2021年4月8日 - 会長を務める稲田朋美前幹事長代行の依頼を受け、安倍晋三が顧問に就任。稲田は「自民党で最も保守政治家らしい政治家だ。ずっと政治行動を共にしてきたので依頼した」と記者団に語った[9]。ただし、安倍は全部で自民党の保守派グループ4つに所属している。2020年12月から同会離脱者や賛同者で構成される「保守団結の会」の顧問にも就任し、同会からは2022年の暗殺死後に永久顧問に認定されている[10]。生前の安倍は周囲に「保守はなかなか団結しない」と漏らしており、上記の2つ以外にも「日本の尊厳と国益を護る会」、「創生日本」という自民党内保守派グループに所属している[11]。
男系男子皇位継承維持などテーマ再設定による再開以降
- 2022年1月-選択的夫婦別姓に理解を示しだした稲田に失望した伝統的家族観を重視する自民党議員らが「保守団結の会」に分裂した以降から休眠状態だったが、会員の国会議員数を50人以上へ分裂直後から増やし、活動を再開した。分裂以降に所属議員を増やせた背景として、前年4月に安倍元首相を最高顧問に迎え、「男系男子による皇位継承維持」など安倍好みの保守的なテーマを掲げ直したことにある[6]。
脚注
関連項目
外部リンク
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前身: 自由党・日本民主党 |
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保守本流 |
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宏池会(池田派 → 前尾派 → 大平派 → 鈴木派 → 宮澤派) → 木曜研究会(加藤派 → 小里派 → 谷垣派 → 古賀派に合流×) 、※新財政研究会(堀内派 → 丹羽・古賀派) → 宏池政策研究会(古賀派 → 岸田派 → ×)、※大勇会(河野派) → 為公会(麻生派) → 志公会(麻生派)、※有隣会(谷垣グループ → ×)
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木曜研究会(佐藤派) → 周山会(佐藤派) → 周山クラブ(保利グループ → 福田派に合流×)、※七日会(田中派) → 政治同友会(田中派) → 木曜クラブ(田中派 → 二階堂派 → ×)、※経世会(竹下(登)派 → 小渕派) → 平成政治研究会(小渕派) → 平成研究会(小渕派 → 橋本派 → 津島派 → 額賀派 → 竹下(亘)派 → 茂木派)、※改革フォーラム21(羽田・小沢派 → 新生党に合流×)
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白政会(大野派) → 睦政会(大野派) → 一新会(船田派 → ×)、※一陽会(村上派) → 巽会(水田派 → ×)
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保守傍流 |
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十日会(岸派 → ×)、※党風刷新懇話会 → 党風刷新連盟 → 紀尾井会(福田派) → 八日会(福田派) → 清和会(福田派 → 安倍(晋太郎)派 → 三塚派) → 21世紀を考える会・新政策研究会(三塚派 → 森派) → 清和政策研究会(森派 → 町村派 → 細田派 → 安倍(晋三)派 → ×)、※政眞会(加藤派 → 新生党に合流×)、※愛正会(藤山派 → 水田派に合流×)、※(南条・平井派 → 福田派に合流×)、※交友クラブ(川島派 → 椎名派 → ×)、※(亀井グループ → 村上・亀井派に合流×)
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春秋会(河野派 → 森派 → 園田派 → 福田派に合流×)、※新政同志会(中曽根派) → 政策科学研究所(中曽根派 → 渡辺派 → 旧渡辺派 → 村上派 → 村上・亀井派に合流×) → 志帥会(村上・亀井派 → 江藤・亀井派 → 亀井派 → 伊吹派 → 二階派 → ×)、※近未来政治研究会(山崎派 → 石原派 → 森山派 → ×)、※さいこう日本(甘利グループ)、※国益と国民の生活を守る会(平沼グループ → 日本のこころに合流×)
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政策研究会(松村・三木派) → 政策同志会(松村・三木派) → 政策懇談会(松村・三木派 → ) → 政策懇談会(三木派) → 新政策研究会(河本派) → 番町政策研究所(河本派 → 高村派 → 大島派 → 山東派 → 麻生派に合流×)、※(松村派 → ×)、※(早川派 → 福田派に合流×)
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火曜会(石橋派)、二日会(石田派 → 三木派に合流×)
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青嵐会 |
青嵐会、自由革新同友会(中川グループ → 石原グループ → 福田派に合流×)
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保守新党 |
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83会 |
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水月会 |
さわらび会(石破グループ) → 水月会(石破派 → 石破グループ)
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無派閥 |
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※は派閥離脱、太字は現在への系譜、括弧内矢印は派閥継承。 |
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