君の膵臓をたべたい
『君の膵臓をたべたい』(きみのすいぞうをたべたい)は、住野よるによる日本の青春小説。略称は「キミスイ」[1][2][3]。住野よるの作品が初めて出版された本でもある[1][4]。 2016年「本屋大賞」第2位を初め、多数のランキングで上位に選出されるなど、高く評価されている(#概要参照)。 2016年のオーディオブック化を皮切りにメディアミックスも行われ、2017年に実写映画化[5](#実写映画参照)、2018年にアニメ映画化された[6](#アニメ映画参照)。 概要住野よるのデビュー作。小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿したところ、ライトノベル作家の井藤きくの目に留まり双葉社に紹介され、2015年6月出版に至った[7]。 作品が生まれたきっかけについて住野は、はじめに浮かんだのは「君の膵臓を食べたい」というセリフで、それをタイトルにして感動できる作品にするにはどうしたら良いか、そのセリフにどのような意味を持たせられるか、どんな子がどんな相手に向かって言うのかなどを考えていく中で、「僕」と桜良が生まれ2人の物語ができあがったと述べている[8]。 2016年「本屋大賞」第2位[9][10]、「ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR」2位、「2015年 年間ベストセラー」6位(文芸書・トーハン調べ)、「読書メーター読みたい本ランキング」1位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2015」1位[11]、「2016年年間ベストセラー」総合5位・文芸書1位(トーハン調べ[12])、「2016年 年間ベストセラー」総合4位・単行本フィクション1位(日販調べ[13])、「キノベス! 2016」3位[14]、「2016 TSUTAYA BOOKS 上半期ランキング総合部門」1位[15]と高く評価された[4]。同年12月、第3回Yahoo!検索大賞 カルチャーカテゴリ 小説部門賞を受賞[16]。 実写映画公開後の2017年8月時点で累計発行部数は200万部[17][18][19]、2020年8月時点で累計発行部数は300万部を突破している[20][21]。 アニメ映画の入場者プレゼントで本編のその後を描いた短編小説『父と追憶の誰かに』が書き下ろされた[22][23]。 あらすじ主人公である「僕」は病院で偶然「共病文庫」というタイトルの本を拾う。その本は「僕」のクラスメイトである山内桜良がつづっていた秘密の日記帳で、彼女の余命が膵臓の病気により、もう長くはないことが書かれていた。「僕」はその本の中身を興味本位で覗いたことにより、家族以外で唯一桜良の病気を知る人物となった。 「桜良の死ぬ前にやりたいこと」に付き合っていくうちに、「僕」、桜良という正反対の性格の2人が、お互いに自分には欠けている部分にそれぞれ憧れを持つようになり、次第に心を通わせて成長していく。そして「僕」は「人を認める人間に、人を愛する人間になること」を決意。桜良は、恋人や友達を必要としない「僕」が、初めて関わり合いを持ちたい人に自分を選んでくれたことにより「初めて私自身として必要とされている、初めて私が、たった一人の私であると思えた」と感じていった。 しかし、桜良は4週間の入院治療から解放されたその日に通り魔に刺されて、余命を全うすることなく亡くなってしまう。桜良の死に衝撃を受けた「僕」は、通夜にも葬儀にも参列できなかった。10日ほど過ぎてから、僕と彼女の始まりで彼女の物語の数ページが記されているかもしれない「共病文庫」を読まなければならないと思い立ち、桜良の家を訪れる。 登場人物※担当声優は「オーディオブック版 / アニメ映画版」でのキャスト。 ※演者の項は実写映画版を指す。
書誌情報
漫画桐原いづみによる作画で、『月刊アクション』(双葉社)2016年10月号から[31]2017年7月号まで連載された[32]。
オーディオブック2016年8月、オーディオブック配信サービスの「FeBe」(現・audiobook.jp)でオーディオブック版が配信された。収録時間は9時間5分[35]。
実写映画
同名タイトルの映画が、2017年7月28日に公開された。監督は月川翔、脚本は吉田智子、浜辺美波と北村匠海のダブル主演となる[5]。 原作にはない12年後の世界が描かれており、高校生時代(原作)のエピソードは過去として扱われている[41]。 あらすじ母校に勤める高校教師の僕は、ある時、取り壊しが決まった図書館の蔵書の整理を頼まれる。高校時代、図書委員として書庫の整理ばかりをしていた僕は、懐かしい図書館で書庫の整理の邪魔ばかりしていたクラスメイト、桜良のことを思い出す。 桜良は12年前、僕が盲腸で入院していた時に、偶然拾った日記の持ち主だった。その日記「共病文庫」を読んだ僕は、彼女が膵臓の病気で余命僅かであることを知ってしまう。その日から、クラスの人気者の桜良が僕に急接近したことで桜良の親友の恭子が、桜良の「一番の仲良し」の座を奪った僕に反発する。学級委員長である隆弘やガム君ら、今まで話したことのなかったクラスメイトと会話をするようになり、僕の世界が広がり始める。 そんな中、僕は彼女の「死ぬまでにやりたいこと」に付き合うことになる。一緒にスイーツを食べに行ったり、福岡に旅行に行ったりして、人と関わりを持つことが苦手だった僕は、彼女と一緒に過ごすうちに、彼女に心を開き始める。同時に、他者と関わらなければ知ることのなかった喜びや、人を傷つけることの痛みを知っていく。 一方、現代の恭子は結婚を目前に控え、桜良のことを思い出していた。桜良が大切なあまり、恭子は僕を傷つけていた。僕はそんな恭子から結婚式の招待状を受け取る。 キャスト
スタッフ
受賞歴
テレビ放送
アニメ映画
2018年9月1日公開[50][24]。8月31日、9月1日に公開された新作映画のぴあ映画初日満足度ランキングで、第1位になった[51]。 アニメーション企画は原作小説が出版されるより前から始動している。小説出版前の2015年、アニプレックス所属プロデューサーの柏田真一郎が双葉社から送られてきた約1冊の本(サンプル本)の中で本作品を読んだ際にアニメ化することを決めた[52]。 脚本会議には原作者の住野よるも参加しており、シナリオは監督・脚本の牛嶋新一郎と住野の2人が中心となり制作されている[52]。住野は、「僕」や桜良が見たときに「これは自分たちじゃない」と思われないようにしたいということを、最初に牛嶋やアニメスタッフたちとしっかり話し、「桜良たちをちゃんと大人たちから守ってあげないと」くらいの気持ちでシナリオ会議に参加したと述べている[8]。さらに、セリフはどうしても気になる部分なのですべて確認し、シナリオだけでなく絵コンテも読んで意見を言ったと述べている[8]。 第22回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員会推薦作品[54]。 キャスト(アニメ映画)
スタッフ(アニメ映画)
地上波放送
朗読劇初演2022年12月10日(土)・11日(日)に主人公・「僕」役を岡本信彦・島﨑信長、山内桜良役を直田姫奈・悠木碧のWキャストで、朗読劇がニッショーホールで上演された[58]。 キャスト(朗読劇・初演)スタッフ(朗読劇・初演)
再演2025年4月5日(土)・6日(日)に主人公・「僕」役を岡本信彦・梶裕貴、山内桜良役を鬼頭明里・伊藤美来のWキャストで、朗読劇が日本青年館ホールで上演された[59]。岡本信彦は初演にも同役にて出演していた。 キャスト(朗読劇・再演)スタッフ(朗読劇・再演)
脚注注釈
出典
外部リンク
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