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東京大学教育学部附属中等教育学校(とうきょうだいがくきょういくがくぶふぞく ちゅうとうきょういくがっこう)は、東京都中野区南台に所在する国立中等教育学校。英: The University of Tokyo Secondary School.
設置者は国立大学法人東京大学。東京大学大学院教育学研究科・教育学部の附属校として、教育実践と研究の接点に位置する中等教育学校であり、東京大学の最新の知の財産を活かしたカリキュラムを提供している。情報化社会の未来を見据えた最先端の教育研究、および学習環境デザインに基づいた教育実践を行い、深い思考力や柔軟な表現力を育む教育が行われている。[1][2][3]。
2000年に全国に先駆けて中学・高校から中等教育学校に移行し、国立で日本初の制度上の中高一貫校となる[4]。
概要
1921年(大正10年)創立の7年制の官立旧制東京高等学校を前身とする。旧制東京高等学校の流れを汲み自由主義的な校風の下、先進的な教育と特色ある入試制度が採られている[5]。
中等教育の全6年間を通して、生徒が自ら問いを立て、調査や対話を通じて学びを深める探究型・課題解決型学習(PBL)を重視している点が特徴である。近年は特に、AI、環境問題、地域社会、ジェンダー、芸術表現といった現代的課題を題材に、東京大学や外部機関と連携した学びの機会が設けられている。 [6]
研究校としての立場から柔軟かつ先進的な教育内容を実施しており、学年・教科の枠を超えた横断的な授業も行われている。特に協働的な学習が日常化し、グループでの意見交換や相互評価を通じて、生徒同士の対話を重視した学びが展開されている。 進路は多様で、東京大学を含む国公私立大学への進学に加え、海外大学や芸術系・専門職系への進学実績も見られ、生徒自らの内発的動機に基づく自己実現に向けた進路選択を重視する。 [7]
男女共学の1学年120人の小規模校で、1学年あたり6人の担任団と15人の教員が教科指導にあたる体制となっている。母体の東京大学の学期に合わせて前後期制である[8]。
沿革
起源は1921年(大正10年)創立の七年制の官立旧制東京高等学校。学制改革に伴い1948年(昭和23年)に新制中学校として東京大学に包括され「東京大学附属中学校」として再編した。翌1949年(昭和24年)には学年進行による新制の「東京大学附属高等学校」が発足し、旧制七年制高校の流れをくむ日本初の男女共学の中高一貫型の学校形態が誕生した。
翌年、東京大学に教育学部が創設され、国内の中高一貫教育を牽引する存在として、1951年、「東京大学教育学部附属中学校・高等学校」となった。2000年4月1日、国立学校で初の中等教育学校となり、学年は高1・高2・高3がそれぞれ4年・5年・6年に改編。後期課程(高等学校に相当)においては欠員が生じた場合に若干名入学(編入学)者を募集する[9]中高一貫校となった。
年表
- 1921年(大正10年)- 官立旧制 東京高等学校創設。
- 1948年(昭和23年)5月30日 - 学制改革に伴い、「東京大学附属中学校」(新制中学校、男子校)として再編。
- 1949年(昭和24年)-「東京大学附属高等学校」が開校し、日本初の男女共学の中高一貫教育の開始。筆記試験無しの公開抽選で入学者選抜を行う。
- 1950年(昭和25年)- 東京大学教育学部が発足。
- 1951年(昭和26年)- 教育学部に移管され、「東京大学教育学部附属中学校・高等学校」と改称。
- 1953年(昭和28年)- 双生児募集枠を設け、双生児男子10組、女子10組の募集を開始。
- 1955年(昭和30年)- 高校への自動的進級の改定(学年の10%以内を進学不許可とし、補欠募集を実施)。
- 1966年(昭和41年)- 高等学校の補欠募集を停止し、完全中高一貫教育体制となる。2-2-2制を採用し、「特別学習」を開始。
- 1980年(昭和55年)- 入学者選抜を、公開抽選のみから、公開抽選後に学力検査実施に改訂。
- 1999年(平成11年)- 全国に先駆け、入学者選抜試験の学力検査を「適性検査型入試」で実施。
- 2000年(平成12年)- 国立で初の中等教育学校への移行、「東京大学教育学部附属中等教育学校」と改称。
- 2001年(平成13年)- 総合教育棟が完成。教員も7名増員となる。
- 2007年(平成19年)- 入学者選抜試験で抽選を廃止する。
- 2010年(平成22年)- 入学者選抜試験を改定し(適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱ、実技)とし、本格的な学力試験を導入する。
- 2013年(平成23年)- 新体育館、グラウンド落成。
- 2017年(平成29年)- 東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化・効果検証センターとの連携を開始する。
- 2018年(平成30年)- 「空間UI技術」で部屋全体をデジタル化したDeAL教室完成。
- 2019年(平成31年)- 入学試験での双生児募集枠を一般選抜枠内に含める方針に変更。(双生児6 - 7組程度/1学年)
- 2020年(令和2年)- 東大院生による季節補習開始。コロナ禍のオンライン授業でTOEFLのCriterion導入開始。TOEIC Bridge L&R・TOEIC Bridge S&Wを全学で受験開始。
- 2021年(令和3年)- 東京大学芸術創造連携研究機構発足に伴い、「アートを遊ぶ、アートに学ぶ、アートで繋がる」学問と芸術教育の連携を開始。空間UI技術を用いたICT活用アクティブ・ラーニング授業の探求学プログラムにおいて、東大院生によるZoomを用いた生徒支援を開始。入学者選抜試験の情報公開を開始。
- 2022年(令和4年)- 東京大学教育学部の教授陣によるリレー講義形式の授業「現代教育学入門」を開始。
- 2024年(令和6年)-文部科学省 新しい時代の学びの環境整備先導的開発事業 校舎大規模改修開始
所在地
東京大学中野キャンパス(旧制東京高等学校の敷地)内にある。2010年4月に東京大学海洋研究所が柏キャンパスに移転したものの、その後も中野キャンパスという呼称は残り今に至る。[1][2][3]
教育目標
教育目標は「未来にひらく自己の確立」[10][11]としている。
[10]
- アドミッション・ポリシー(入学者に求められる資質・能力)
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- 学習に向き合うことのできる素直さ
- 知らないことや取り組んだことのないものと関わろうとする知的好奇心
- 感じたことや考えたことを、自分のことばによってまとめられる表現力
- 小学校段階までの学習を修めていると認められる基礎学力[12]
- グラデュエーション・ポリシー(育成を目指す資質・能力)
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- 自己との対話・多様な他者との対話を通して多岐に亘る事象に関心を深め、筋道を立ててその本質を問い続けることができる
- 主権者、社会の形成者として未来のために行動することができる
- カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成及び実施に関する方針)
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- 【基礎期】
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- 探究の楽しさ大変さに気づかせ、探究的な学びへの手応えを持たせる
- 思考、探究するための基礎的学力を身につけさせる
- 他者との違いを認識しその違いを受け止められるように促す
- 自らの所属する集団のために自分にできることを進んで行おうとする姿勢を育む
- 【充実期】
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- 解決方法を考えながら課題と向き合い探究する機会を積極的・意図的に設ける
- 課題を見出す力や、協働するための幅広い学力を身につけさせる
- 自己と他者の個性を尊重しながら協働して課題に取り組み、互いの成長が実感できるように促す
- 社会の中で生きる将来の自分の姿を想像しながら、種々の選択・決定を行い行動できる力を培う
- 【発展期】
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- 社会との接点を踏まえつつ自らの興味・関心に基づいた探究ができる機会を充実させる
- 自分の進路に向けて深く思考・探究する学力を身につけさせる
- 自己と他者とが互いに支え合っていることを自覚しながら協働して社会に働きかける力を培う
- 学校という枠組みを超えて多様な他者と連携しながら思考し行動する機会を多く設ける
特徴
- 学区は通学時間概ね90分以内の距離に居住している生徒が対象となる。自転車通学は全学年ともに直線距離で半径5 km内は許可されている。
- 生徒による自治的な活動が活発であり、その一環として、生徒会での議論と教員との対話を通じて、2020年4月から制服の着用を廃止し、私服制へ移行した。ジェンダーへの配慮や多様な価値観の尊重を背景に、生徒自身が学校のあり方を主体的に考え、方針を形成した事例として注目されている。[13]2000年から「開かれた学校」ワーキンググループの研究から発足したスエ―デンの高校をモデルとした生徒と保護者と教員が一堂に参加し談義する「三者協議会」の場は、生徒会執行部を中心に継続的に続けられ、全国的に注目されている。生徒主体のみんなのルールメイキングスクールの先駆的な存在で、毎年5月1日に行われる生徒総会も特徴的である。
- 教員は大学院の修士課程を修了した教員が極めて多く、高度な専門性でユニークな授業を展開している。教員は、東京大学の教員として所属する。
- 探究学を半世紀以上前から追究しており、研究者を目指す生徒が年々増えてきている。
- 東京大学工学部建築学科教授で建築家の千葉学氏の設計監修のもと、2027年の工事竣工を目指し、東京大学附属の学習観を前面に打ち出した校舎の大規模リノベーションが進められている。多様な「コモンズ(共有空間)」を核とする、新たな教育空間の創出がその中心にある。文部科学省「新しい時代の学び環境整備先導的開発事業」に採択され、探究活動の深化を促す普通教室の刷新、協働学習の拠点となる未来型コモンズの配置が進められている。設計の大きな特徴として、図書館をラーニングコモンズとして校舎の中核に据え、シチズンシップ探究の中心拠点とする点が挙げられる。 さらに、身体全体で他者や世界とつながる「区間UI(ユーザーインターフェース)」の導入、特別教室の可塑的かつ効果的な再配置、柔軟なレイアウトが可能な「L型普通教室」、回遊性と対話性を備えた「クリエイトラウンジ」「教職員コモンズ」、そして「DEAL+放課後コモンズ」による協働学習の空間「ラーニングコモンズB」など、先進的で未来志向の中高一貫校の学校建築が形になる。
教育
 | この節には 複数の問題があります。 改善や ノートページでの議論にご協力ください。
- 一次資料や記事主題の関係者による情報源に頼って書かれています。(2024年5月)
- 独自研究が含まれているおそれがあります。(2022年12月)
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東京大学の知の財産を活用した、独自の教育活動を展開しており、近年は東大との連携をより深める改革が進んでいる[14]。
教育方針
「5つの力」の獲得を目指し、未来を拓いていく力、すなわち“生きるちから”を育てる。そのために教科学習と総合学習を2本の柱とし、未来を拓いていく力の獲得に向けた「『知の総合』学習」を展開している。
- 1 「5つの力」とは[10][14]
-
- 『ことばの力』- 自分や社会、自然についてしっかり知り、自分の考えをことばを使ってはっきり伝える力
- 『論理の力』- すじみちをたててきちんと考えることのできる力
- 『身体と表現の力』- さまざまな技を身につけ、しなやかな発想や柔軟な身のこなしで自分を表現できる力
- 『情報の力』- あふれる情報のなかから必要な情報を選び、発信することのできる力
- 『関係の力』- 他の人との関係を大切にし、対等な関係をきりむすぶことのできる力
- 2 「教科の学習」
- 一貫制度の特長を生かし教科内容や通常の教科構成とは異なる教科編成を行うなどの工夫を取り入れている。5・6年生においては、将来の進路も視野に入れ、生徒の多様な進路希望に答えるべく、広範な選択科目を置く。東京大学全学の協力を得て「数学特論」「現代宇宙論」「図書館情報学入門」「臨床心理学」の講座の設置[14]。
- 3 「総合学習」[14]
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- 1・2年生では「総合学習入門」を行う。これは、「5つの力」の獲得を意図したさまざまな題材・手法を経験することによって総合的な学力の基礎を養うものである。
- 3・4年生では「課題別学習」[15]を行う。これは、用意された講座の中からそれぞれの生徒が、関心の深いものを選び2学年混合で行う研究活動である。校外での調査活動や宿泊を伴うフィールドワークも含みながら担当教員の指導で総合的な学習の手法や考え方を身につけることを意図している。
- 5・6年では「卒業研究」を行う。これは一人一人の生徒が自分で決めたテーマについて2年間をかけて研究する。
教育内容
- 「VUCA時代を生き抜くヒトづくり」を標榜しており、課題の発見と解決を主体的・能動的に探究する学習(ディープ・アクティブラーニング)の研究に力を入れ、総合学習の開発と実践を進めている。
- ソサエティー5.0 の学校モデルとして、今後の予測不能な社会の中で全く新しい価値観や社会制度の変革に必要とされる他者と協働し解決していく共創力育成プログラムを、協働性と市民性を重視した教科学習の授業で実践している[16][1]。
- 「中高一貫教育の芸術活動や芸術経験の充実」「空間UI技術を用いたICT活用アクティブ・ラーニング授業」「GIGAスクール構想を先導する形でICT を用いた“からだ丸ごとの協働”を引き出す空間UI(ユーザーインターフェイス)の実践研究」「シチズンシップ教育」「中高一貫教育の学習環境デザイン」「3Dプリンターやレーザーカッター、3D-CADを採用した情報科授業とデジタルファブリケーション教室整備」「双子研究」「高大接続を視野に入れた卒業研究」「STEAM教育」「実践共同体の中の学び」「主体的・探究的な学びの体験がもたらす高大接続・社会への貢献」「地域文化倶楽部創設に向けた調査研究」「新しい時代の学び環境整備先導的開発事業」などの研究開発が続けられている[4][17][11]。
- クラスで男女2名ずつの4人グループでの学習チームを編成し、教科学習と総合学習を協働的な学びで進める[18]。
東大との連携
[3][19]
東京大学学校教育高度化効果検証センター効果検証部門 (CASEER)、東京大学大学院教育学研究科附属学校データベース (DB) 管理運営委員会、東京大学大学院教育学研究科と連携し、ディープアクティブラーニングによる思考型、体験型の課題別講座や学内外でのフィールドワークを通じた総合学習と探究学習カリキュラムを展開し教育効果検証を行い、生徒の内発的動機とメタ認知能力を意識した先進的な「学習者中心の教育空間」を展開している[20][21][22][11]。
学校長は東京大学教育学部教授が2年ずつ務める。総長をはじめとした同大学教授陣による特別講義や特別授業も行われる。卒業式や入学式では、東大総長、教育学研究科兼教育学部長から祝辞があり、東京大学の一員として共に研究を進めていこうという訓辞がある。
2025年4月の東京大学入学式において、藤井輝夫総長は「新しい知を生み出す力、学びのアップデート」とともに、「対話に基づく協働の重要性」にも言及している。同年3月の卒業式でも、東京大学の運営においても対話を重視していることが語られ、この理念と東大附属学校の学習観と教育実践は深く共鳴し、生徒が主体的に学び、社会との関係の中で思考と行動を深める教育実践は、大学附属校としての特色を形成している。[23][24]1960年から継続されている探究学習は、教育学研究科兼教育学部との実践研究による総合学習のプログラムデザインの成果である。
- 東京大学大学院情報学環・学際情報学府の知見から、高性能なCPUを増やすフィンランドやオランダの教育スタイルを参考に、フィンランドメソッドという、学びのイニシアチブが教員ではなく生徒にある学習環境を実践している[11]。
- 東京大学芸術創造連携研究機構と共同で芸術活動に力を入れており、芸術を新たな視点から捉え直す機会と多彩な体験活動機会が多い。国内外の一流芸術家とのワークショップが多数あり、授業外の土日に開催されている[3][25]。
- 東京大学大学院博士課程の学生が、生物部のコーチを歴代で務め、文献検索、画像解析、統計など、大学レベルの研究で用いられる技術を教え、日々研究のノウハウを提供し生徒を支えている[26]。東大附属出身で東大進学をしたコーチで、東大総長賞を受賞した者がいる[27][28]。
- 課題別学習では、東大田無キャンパス農場での農業実習体験、田無演習林地や東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所(三崎臨海実験場)での各種体験活動を行う。
- 学部生院生同様の UTokyo Accountを用いたGoogleのシステム(東京大学アカウント「ECCSクラウドメール」を利用)を、附属の生徒も6年間使用する。教員からの諸連絡はどの教科もECCS GmailとGoogle class room・Google チャットが活用されており、授業ではGoogleドライブ・Googleドキュメント・Googleスプレッドシート・Googleフォーム・YouTube・Google Meetを1年生から本格的に使用し、東京大学のシステムを利用したICT化が進んでいる[29]。
- 東京大学大学院生による季節ごとの放課後補習、夏季休暇中の自習サポート、定期考査前の放課後学習サポートがある。
- 3年生4年生で、東大教授陣がリレーし担当する授業が行われている[3]。
- 東大医学部生の学生団体AMSSによる講演会が開催され、論文の書き方や構成と展開の指導をする[30]。
- 東京大学本郷キャンパスの安田講堂での音楽祭(前期課程=中学生)や、本郷キャンパスを巡る東大探検の授業、中山道のウォークラリーとして本郷キャンパス遠足など、生徒から人気がある[14][31]。
- 東京大学駒場キャンパスの図書館を、後期課程=高校生の生徒は利用することができる。また、東京大学本郷キャンパスの教育学部図書館は、前期課程=中学生から利用が可能である。東京大学総合図書館や史料編纂所をはじめとした25か所の図書館での閲覧や貸し出しなどが可能である[32][33]。
- 生徒は、入学時に東京大学の生協会員となり、書籍や文具を中野キャンパス・本郷キャンパス・駒場キャンパスで購入可能[33]。
教科学習
- 思考力重視の授業スタイル。一部の教科では進度別授業も取り入れている[15]。
- 授業に表現活動の場(芸術性表現・身体性表現・文章表現)を積極的に設けている。学内外に向けて、プレゼンテーションをする機会も多く与えられている[15]。
- 進度より深度を重視した高度な専門性と、教科書に加え学問の本質を見据えた副教材プリントによる教科指導[15]。
- 高校受験がない利点を生かし、前期課程(中学校)で後期課程(高等学校)の先取り学習を主要5教科で行っている[15]。
- 大学受験に備え、5-6年生では幅広い選択科目制を導入[15]。
- 外部講師のレクチャーも盛んで、東大王出演の東大生クイズ王がゲスト講師を務めた授業例もある。
- どの教科も協働学習の課題作成は、中1から東京大学のアカウントで利用するECCS Googleを活用し、GoogleスプレッドシートやGoogleスライド、Googleドキュメントを用いて学習を進める。
- 英語はオーセンティックな副教材をプリント配布。大学進学に際して、国際系の学部に志望する生徒が年々増えている。また、海外志向も増え、海外で活躍する卒業生が多い。
総合学習
- 教科横断の「総合的な学習」への取り組みが1966年度より行われており、1・2年生で総合学習入門、3・4年生で課題別学習、5・6年生で卒業研究をそれぞれ履修する[34]。
- 校外宿泊生活や東京大学本郷キャンパスのフィールドワーク、地域と連携した中野区フィールドワークなど多様な活動が豊かにプログラムされている[31][34]。
- ICTでのプレゼンテーションの鍛錬を重ね、生徒の新たな視点の獲得と表現を開くことを目指している[15]。
- 概念中心型授業ではなく、テーマ中心型授業に重きを置いたプログラムを展開し、チームで共創することにより、正解のない学びを経験する[15]。
国際教育
- 英語の授業では、1 - 4年次で外国人講師とのチームティーチングを行っている[14]。
- TOEFL のCriterionを導入している。TOEIC Bridge L&R を1年に2回受検、TOEIC Bridge S&W を1年に1回受検を全学で臨んでいる[35]。
- コロナ禍前は東大留学生との交友もあった。外国人留学生の受け入れを行っている。
- 後期課程の英語授業では、少人数クラスを設け、週8コマの英語授業も可能。
- Extensive English や外国事情といった、学校独自の設定科目の英語授業がある。
- 外務省の在外日本国総領事館の領事らが行う高校向け出前講座「グローバルに働く」の授業がある[36]。
- 在籍する外国人留学生のホームステイ先を毎年在校生家庭から募集し、異文化交流の実践が盛んである。
- 中国の北京大学附属中学(中高一貫校)やオーストラリア(中高一貫校)の Holland Park State High School からの生徒訪問団との交友活動や交流会を行っている。
- 外国人教師による春休み・夏休みのレベル別英会話講座とフランス語講座を開催している。
- 入試の帰国子女枠はなく、帰国子女は一般選抜枠で入学する。
- 国際結婚の子女の入学が増えてきている。
- 後期課程で留学する生徒も多くいる。特に4年次夏から5年次夏まで1年間の留学に行く生徒が多い。成績により、留学の単位を認める制度があり6年で卒業することもできる[37]。
卒業研究
5 - 6年生で「卒業研究」に取り組む。当校の教員に留まらず、東大教員および東大院生をチューターに迎えてまとめ上げる[38]。
- 卒業研究をAO入試や学校推薦型選抜に活用する生徒が増えてきている[39][14]。また、近年はこの探究をより高度な学習への手掛かりとし、学部卒業後に東京大学大学院へ進学する卒業生が増え始めた[40]。
- 卒業研究を通じ、全国学芸サイエンスコンクール受賞常連校となっており文部科学大臣賞の受賞が続く。内閣総理大臣賞受賞の事例もある[41]。
- 本校での卒業研究を基に、より発展した研究を東京大学で続けたい生徒が東京大学の学校推薦型選抜(旧推薦入試)に挑戦し合格者が続いたことから、高大接続の事例として「附属学校の卒業研究は東大での学びに何をもたらしているか」というテーマでのシンポジウムも開催された[11][21][40]。
- 「高校生・高専生科学技術チャレンジ (JSEC) 2022」でグランドアワードである科学技術政策担当大臣賞に輝いた卒業研究が、米国テキサス州ダラスで開催された国際学生科学技術フェア (Regeneron ISEF) 2023へ日本代表として進出。帰国後に、文部科学大臣特別賞を受賞[42][43]。
学校行事
- 体育祭(5月)、フィールドワーク(5月)、歌舞伎鑑賞会(6月)、芸術鑑賞教室(6月)、前期課程評議委員会行事(7月)、オーストラリア研修(8月)、銀杏祭(9月)、1年2年総合学習発表会(9月)、宿泊研修(10月)、音楽祭(12月)、スキー教室(12月)、総長授業(12月)、英検(1月)、校内競技大会(3月)、総合学習発表会(3月)、課題別学習発表会(3月)、生徒総会(3月)、芸術祭(3月)[44]
銀杏祭
銀杏祭(ぎんなんさい)は、毎年9月に開催される。生徒を主体に、芸術表現と身体表現、学習と研究が披露される。主催の銀杏祭実行委員会は異学年合同で共創し運営する。
長年にわたって継続されている探究学習の発表も行う。中学2年時は、東京大学教育学部附属中等教育学校を起点に半径2km圏内の地域に焦点を当てた探究活動の発表を行う。高校3年時には、総合学習の集大成として卒業研究を発表し、生徒が自らの関心を深めた成果を示す。これらの銀杏祭での取り組みは、探究学習・総合学習に力を入れる中高一貫校ならではの教育実践として位置づけられる。
宿泊研修
国内では、1年生は中山道ウォーク、3年生は里山里海体験(漁船クルージング体験・シーカヤック体験)、5年生は長崎県での宿泊研修がある(1,3年生は2泊3日、5年生は3泊4日)。5年生は自然コース[島原半島]・平和コース[長崎追悼祈念館]・近代化コース[長崎市内]の3つのコースに分かれ、コースごとに学習を進める。課題別講座でも、3 - 4年合同での宿泊フィールドワークが、東京大学山中寮内藤セミナーハウスや東京大学 北海道演習林セミナーハウスで、夏休みを活用して行われる。冬休みには体育科の宿泊スキー教室もある。
海外では、異文化体験と国際理解、英語研修を目的とし、オーストラリアのブリスベン夏のスタディツアーを開催している。ブリスベンでホームステイし、現地の高校の演劇、ダンス、音楽、アートの授業に参加し英語力を高め、STEM教育を通してグローバルな視点で物事を考えるプログラムとなっている。
東大附属芸術祭
東京大学芸術創造連携研究機構との共催で、一流を見て触れて本物を体験する場を提供している。「一流を再考する芸術の交差点」というスローガンを抱え、アートクロスロードプロジェクトとして、社会的に活躍する一流の芸術家・科学者・アーテイストと産学連携を試み、各分野のプロフェッショナルによる講演やワークショップを行う[45]。
体育祭
生徒会と体育祭実行委員会の主催による、生徒主体で企画と運営を行う初夏のイベントで、1年間かけて準備を進める。「〇回生」という学年が横のアイデンティティーならば、体育祭のA組(白)B組(青)C組(赤)の「色組」は、1年生から6年生までを一体化する縦のアイデンティティーとなる。色組の異学年一体でリレーのバトンをつないだり応援合戦を行い、チームワークを高めていく。競技のプログラムとスローガンは、体育祭実行委員会がリフレクションを重ねて毎年設計している。
部活動
設備・施設
- 図書館は、司書と東京大学大学院情報学環・学際情報学府が連携しながら、ラーニング・コモンズとして発展させている。東京大学総合図書館(本郷キャンパス)からの本の連携貸し受け取りも可能。
- ソーラーパネルを導入し、2005年夏より全教室に冷暖房完備。
- 空間UI技術を採用したICT教室、パソコンラウンジ、OA教室、屋上プール、道場。
- FAB room(3Dプリンター・レーザーカッター・3D-CAD装備)
- 野球場、200 mトラック(人工芝)、全天候型直線走路 (120 m)、サッカーコート(人工芝)、プール、テニスコート2面の運動施設が設置されており、学校の敷地の総面積は37,111 m2と、東京都内有数の広い施設を有する。
- 校舎内に東大生協が設置されている。
- ランチタイムに、生徒と教職員向けに予約制のオーガニック弁当販売がある。
その他
- 旧制東京高校から東大附属へ改編時にGHQとCIAにより、旧帝国大学の東京大学の附属になる条件として、入学選抜は学力試験は行わずに公開抽選のみであれば承認するというものだった。これは、戦前まで旧制東京高校のエリートが集団で軍国主義に激しく傾倒していた記憶がGHQには生々しく、東京大学附属ともなればエリート教育再燃のおそれがあるため、一般の公立学校と同じ水準を強いたとされる。抽選のみによる入学選抜が東京大学附属校としての学校再編の条件となり、その後も長年学力試験なしの抽選選抜が続き、そのために長期間、進学校化とはならなかった。
- 1980年から、ようやく入学試験を開始し公開抽選との組み合わせが可能となった。2008年には、文科省の研究依頼で抽選を廃止し、全国の国立公立の中高一貫校のモデルとなる「適性検査型入試」を全国で初めて実施した。400字作文、実技を含む教科横断型の出題で論理的思考力・読解力・記述力・数学力・表現力と試行力を測る[4]。これをもとに、国公立中高一貫校の入学者選抜に関して、「学校教育法施行規則」にて「入学者選抜に当たって学力検査を行わないものとする」という規定が定められるようになった。
- 受験競争の低年齢化を招くことのないよう配慮するため、中学受験塾の早期対策を良しとしない東京大学の考えから、2020年度までは入試情報を一切公開せず過去問の販売も無く、入試情報が極めて少なかった。しかし、2021年度より東京大学として入試情報の公開に努め始め、受験生の試験問題の持ち帰りを初めて可能とした。その結果、過去問集の販売もようやくこの年から開始された。
- 1953年より双生児入学枠を設けており、世界に例のない70年を超える歴史をもつ。2020年度入学試験以降、双生児募集枠は廃止し、一般選抜枠内に含めることになり若干の双生児入学者を選抜を継続している。同一ないし極めて類似した遺伝や家庭等環境において、教育手法等が、どのように差異を生じさせるかまたは生じさせないのか、また、同様の教育環境においても差異がどのように生じるかを検証するため双生児研究が東京大学で継続され、教育における遺伝的要因と環境的要因についての分析・研究の蓄積を国際的な学術研究に発展させている[46][47]。ただし双生児研究がメインの学校ということではなく、各種研究のうちの一つという位置づけである。
著名な関係者
元教員
出身者
関連文献
- 『中高一貫教育1/2世紀-学校の可能性への挑戦』(東京書籍、1998年4月27日発行)- 東京大学教育学部附属中・高等学校著作
- 『新版 学び合いで育つ未来への学力-中高一貫教育のチャレンジ』(明石書店、2010年6月10日初版発行)- 東京大学教育学部附属中等教育学校編著
- 多様なアートと出会う Art Crossroads 東京大学教育学部附属中等教育学校の取り組み(あいり出版、2025年3月23日東京大学教育学部附属中等教育学校 芸術祭実行委員会著作、藤田航、仁張誠子、蓬田息吹 編著 )
脚注
関連項目
外部リンク
- 単発記事
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附置研究所 | |
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附属機関 | |
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国際高等研究所 | |
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附属図書館 |
- 総合図書館(本郷)
- 駒場図書館
- 柏図書館
- 医学図書館
- 工学・情報理工学図書館
- 理学図書館
- 農学生命科学図書館
- 経済学図書館
- 薬学図書館
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博物館 | |
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植物園 | |
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出版部 | |
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附属学校 | |
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