沖縄美ら海水族館
沖縄美ら海水族館(おきなわちゅらうみすいぞくかん、英: Okinawa Churaumi Aquarium)は、沖縄本島北西部の本部半島備瀬崎近くにある国営沖縄記念公園・海洋博覧会地区(海洋博公園内)の水族館。一般財団法人沖縄美ら島財団が管理・運営している。「チュらうみ」とは沖縄の方言で「清〔きよ〕ら(しい)海」という意味。 完成当初世界最大だった大水槽「黒潮の海」[2]を泳ぐジンベエザメ、ナンヨウマンタなどが人気で、沖縄県の著名な観光地となっている。2005年(平成17年)にアメリカ合衆国のジョージア水族館が開館されるまでは世界最大の水槽を持つ水族館であった。 水族館の周辺には、オキちゃん劇場(イルカショー)など、無料で見学できる施設も整備されている。 概要水族館内には水量7,500m3の[1]世界最大級の大水槽「黒潮の海」を設置する[2]ほか、総展示槽数は77槽。 「沖縄の海との出会い」をコンセプトに、イノー(沖縄の方言でサンゴ礁の縁の浅瀬のこと)、珊瑚礁、黒潮の海、深海と様々な海の生物を紹介している。 なかでも世界で初めて長期飼育に成功したジンベエザメやナンヨウマンタが人気の展示となっており、ジンベエザメは水族館のキャラクターともなっている。 また、「サメ博士の部屋」では、サメについての様々な知識を学ぶことができる他、併設されている「危険ザメの海」水槽には、沖縄近海にも生息する危険ザメの一種であるオオメジロザメやイタチザメなどのサメ数種類も飼育されている。2016年には3.5mほどのホホジロザメの成魚の飼育展示に成功、三日後に死亡した。2016年(平成28年)3月末の飼育数は約740種21,000点。 研究機関としての、新種海洋生物の発見にも貢献している。シマツノコシオリエビ[3]、新属新種のシンカイサンゴガニ[4]のほか、小型潜水艇を使って2004年に石垣島沖で採取して飼育してきたイソギンチャクが新種だったと判明し、「チュラウミカワリギンチャク」と命名したことを2019年に発表している[5]。
「黒潮の海」水槽水族館の1階から2階を貫く「黒潮の海」水槽は、長さ35m×幅27m、深さ10m、水量7,500m3で世界でも有数の大きさを誇る。観客と大水槽を隔てるアクリルパネルは高さ8.2m、幅22.5m、厚さ60cm、パネル総重量は135トンあり、ギネスブック公認の世界最大のアクリルパネルとなっていたが[6]、2008年(平成20年)10月にオープンしたドバイ水族館のアクリルパネルに記録を更新された。 この「黒潮の海」水槽には、全長8.6mものジンベエザメやナンヨウマンタをはじめ、サメやエイなど黒潮の多種多様な回遊魚たちが泳いでおり、来館者の視界いっぱいに水槽が広がる雄大な光景を見せている。ジンベエザメは餌を採る際に口を水面に向け垂直の姿勢をとるが、成熟すれば全長9メートルに達するといわれるジンベエザメの尾が水底をこすらないように水槽の深さは10mとされたのである。 ジンベエザメ以外でも様々な試みがされており世界初となるオニイトマキエイ、ヒメイトマキエイの生体展示や世界で唯一の飼育下でのナンヨウマンタの繁殖成功など様々な結果を残している。 この大水槽では給餌解説が行われるほか、上部から水槽を観察する「黒潮探検(水上観覧コース)」(定員制)や水槽に隣接したカフェ「オーシャンブルー」などもあり、沖縄美ら海水族館のハイライトとなっている。
海洋博公園内の隣接施設海洋博公園内に「オキちゃん劇場」(イルカショー)や「イルカラグーン」「マナティー館」「ウミガメ館」がある。 オキちゃん劇場・イルカラグーン無料施設で、バンドウイルカ、ミナミバンドウイルカ、オキゴンドウ、カマイルカ、シワハイルカのショーや飼育を見学することができる。 2005年(平成17年)に病気で尾びれの大半を失ったバンドウイルカの「フジ」が人工の尾びれを付けショーに復活したことが話題となったほか、岩貞るみこによって『もういちど宙へ』のタイトルで書籍化され、2007年(平成19年)にこれを原作として映画『ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ』が製作されたほか、2007年(平成19年)4月時点では水族館公認のイルカ飼育チームのウェブサイトが公開されていた。なお、フジは2014年(平成26年)11月1日に死亡している[7]。
マナティー館メキシコ合衆国大統領から贈られたマナティーが飼育・展示されている。1978年(昭和53年)に贈られたオスの「ユカタン」、1997年(平成9年)に贈られたメスの「マヤ」、オスの「琉」の3頭の他、マナティー館で生まれたメスの「ユマ」(ユカタンとマヤの子)がいる(2010年時点)。 ウミガメ館タイマイ、アオウミガメ、アカウミガメ、クロウミガメ、ヒメウミガメの5種類のウミガメを飼育・展示している。 かつて使用していた主な施設(旧)水族館本体は新水族館開館に伴い、また、イルカスタジオ、海の保育園および(旧)水族館アーケード部は、コンクリートの劣化等により、2007年(平成19年)1月末から使用を休止し、全て撤去されている。 沿革![]() 沖縄本土復帰記念事業として1975年(昭和50年)に本部町で開催された沖縄国際海洋博覧会において、海洋生物を展示した「沖縄国際海洋博覧会の海洋生物園」が出展された。その後、博覧会跡地に国営沖縄海洋博覧会記念公園を整備するにあたり、博覧会施設を受け継いで1979年(昭和54年)8月に「国営沖縄海洋博記念公園水族館」が開館した。開館当時、「黒潮の海」水槽の水量の1,100トン(長さ27m、幅12m、深さ3.5m)の水槽は世界最大であった。また、公園の名称は1987年(昭和62年)に「国営沖縄記念公園」に改称され、水族館も「国営沖縄記念公園水族館」に改称された。 バブル崩壊後の1991年(平成3年)頃から入館者数が減少し始めたことに加え、短期間の博覧会用に建設した施設のため老朽化が著しくなってきたことから[8]、内閣府沖縄総合事務局が主体となって新館を建設し、旧来の水族館を2002年(平成14年)8月31日に閉館、沖縄本土復帰30周年に合わせて[8][9]同年11月1日に新館を開館させた。同時に現名称に改称された。 管理運営は沖縄美ら島財団(旧名:海洋博覧会記念公園管理財団)が行っている。旧館閉館前の1年間の入館者数は43万人強であったが、新館開館後の1年間のそれは275万人に激増した[10]。当時は、2001年(平成13年)9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件により、在日米軍基地が多い沖縄県が旅行先として敬遠されて観光客数が激減した後、2002年(平成14年)11月に中国で発生したSARSにより、今度は日本国外への旅行客が沖縄へ旅行先を振り替えたという観光客の傾向があり、また、ドラマ『ちゅらさん』に代表される沖縄ブームもあった[11][12][13]。 2014年(平成26年)4月1日から入館料(大人)が1,800円から1,850円、入館料(高校生)が1,200円から1,230円、入館料(小・中学生)が600円から610円の値上げを実施。 (公式海洋博公園 4月1日(火)からの料金改定について) 2017年度(平成29年度)の入館者数は378万4132人。2019年(令和元年)6月29日に累計入館者数が5000万人に達した[14]。 2019年2月、都市再生機構の公園事業が終了することを受けて、運営管理権が国から沖縄県へ移管される[15]。 2019年度(2019年4月-2020年3月)は、日韓関係の悪化や2019新型コロナウイルスの影響で沖縄県全体の観光客数が減少。沖縄美ら海水族館の入場者数にも影響があり、年度収入が初めて赤字となった[16]。 2022年(令和4年)10月から入館料(大人)が1,880円から2,180円に、同(中人:高校生)1,440円、同(小人:小・中学生)710円に値上げされた。(消費税改定に伴う2回の値上げを除いて初めての実質的な値上げ。)
建築概要
営業時間
公式HPをご確認ください。
入館料海洋博公園の入場は 無料 となっており、周辺施設のオキちゃん劇場などの見学に料金はかからない(沖縄美ら海水族館、熱帯ドリームセンター、海洋文化館は別料金)。料金等詳細はこちら
アクセス
那覇空港から沖縄自動車道経由で約2時間。
那覇空港から約2時間 - 2時間30分。
関連作品
連携協定2023年(令和5年)に沖縄美ら海水族館を運営する沖縄美ら島財団、シャークミュージアムが施設内にある海の市、宮城県気仙沼市の三者間で連携協定が結ばれた[21][22]。2024年(令和6年)3月のシャークミュージアムのリニューアルでは、沖縄美ら海水族館で展示されていた長さ約8メートルのウバザメのオブジェがシャークミュージアムに移設され展示されている[22]。また、シャークミュージアム館内に沖縄美ら海水族館の研究者の研究をパネル等で紹介する「美ら海・ サメ博士の部屋気仙沼出張所」が設けられた[23]。 脚注
外部リンク
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