男はつらいよ 寅次郎心の旅路
『男はつらいよ 寅次郎心の旅路』(おとこはつらいよ とらじろうこころのたびじ)は、1989年8月5日に公開された日本映画。『男はつらいよ』シリーズの41作目。同時上映は『夢見通りの人々』。 概要
あらすじみちのくのローカル線の列車に揺られていた寅次郎は、突然の急ブレーキに座席から投げ出される。心身衰弱のサラリーマン・坂口(柄本明)が自殺しようと線路に横たわっていたのだ。すんでの所で一命を取り留めた坂口を前にした寅次郎は、持ち前の義侠心で優しく諭し、夜は列車の車掌(笹野高史)も交え酌婦らとのどんちゃん騒ぎで坂口の心を癒す。そのせいで、坂口は寅次郎を心底慕ってしまう。 坂口のかねてからの望みは、音楽の都オーストリア・ウィーンに行くことで、金はすべて坂口持ちでいいので、寅次郎に付いてきて欲しいという。寅次郎はウィーンを湯布院と聞き違え、二つ返事で了承してしまう。そんなわけで、坂口から連絡を受けた旅行代理店の人間が、寅次郎のパスポートを確認しに、くるまやにやって来る。寅次郎は前年、仲間と競馬で大穴を当てた際、ハワイにでも行こうとなりパスポートを申請し取得、結局大穴の儲けを倍にしようと更に競馬に突っ込み無一文になったためハワイ渡航自体はなくなったが、大事なものだからとパスポートをとらやに預けていたのだった。くるまやの人たちは、行き先がウィーンだと分かって仰天し、帰郷した寅次郎に、ウィーン行きを断るよう説得する。しかし翌日、嬉々として寅次郎を迎えに来た坂口は、寅次郎が一緒に行かないと知るや、発作を起こす。そこで寅次郎が仕方なく成田までついて行くことにし、成田から電話すると告げ出て行く。しかしその晩連絡はなく、翌日ようやく諏訪邸に入った電話は経由地のオランダ・アムステルダム・スキポール国際空港から。結局とうとうそのままウィーンまで行ってしまう。 坂口がウィーンを訪れた事で精気を取り戻した一方で、寅次郎は、慣れない海外・口に合わない食事・通じない言語にいつもの調子が出せず、ホテルに3日間篭り切り退屈極まりない時間を過ごす。坂口の誘いでようやく外出したものの、ウィーンの街並みにもモーツァルトや美術館などにも全く興味のない寅次郎に苛立った坂口がモーツァルト像前に寅次郎を残し美術館に行っている間に、ツアーガイド中の久美子(竹下景子)と偶然遭遇、右も左もわからずツアーのバスに同乗させてもらった寅次郎だが、ホテルの名前すら覚えておらず帰るあてのない寅次郎に手を焼いた久美子は相談役の「おばさん」(淡路恵子)を紹介、「おばさん」が金町の出身と知り意気投合した寅次郎は、彼女の家で鮭茶漬けをご馳走になったことで、突如として復活する。仕事後に「おばさん」宅を訪れ寅次郎と再会した久美子は、自分も3年前仕事がなく困っている際に街で偶然出会った「おばさん」に金を無心、食事をご馳走になって以来の交友関係であることを寅次郎に告げる。坂口は舞踏会で知り合った現地女性とほのかな恋を楽しみ、寅次郎は久美子と日本の話に花を咲かせる。ドナウ川のほとりに佇んでいると、まるで江戸川のほとりに佇んでいるような錯覚に陥るほどで、寅次郎は故郷を想い、『大利根月夜』を口ずさむ。久美子は、寅次郎を「故郷の塊みたいな人」と話すうち、捨て去ったはずの郷愁が募っていく。久美子の現地男性の恋人・ヘルマンも、そんな久美子の気持ちを知っても、強く引き留めようとしない。 寅次郎は一緒に日本へ帰ることを勧め、マダムも寂しい気持ちを持ちながらも賛成し、久美子は寅次郎・坂口と共に帰国することに。しかし、いよいよ搭乗手続きをしようという時、ヘルマンが意を決して久美子を引き止めにやってきて、二人は抱き合いキスをする。その瞬間、寅次郎は失恋し、ヘルマンに対して、久美子を幸せにするよう約束させ、帰国の途についたのであった。 帰国し、とらやに戻っても寝てばかり、旅の土産話を問われてもまともな答えをしない寅次郎を訝しがるとらやの人々。そのまま寅次郎は再び旅に出るが、後日とらやを訪れた坂口が、撮影した空港での一部始終を写した写真を見せ、さくらは初めて事情を察する。その頃寅次郎は静岡・沼津の神社の境内で、「オーストラリア・ウィーンのヨーロッパのバッグ」を売り、それを見た男子学生から「オーストラリアはカンガルーの国」と突っ込みを入れられるのであった。 キャスト
ロケ地
佐藤利明『みんなの寅さん』、p.641及び映画公式HPより 挿入曲使用されたクラシック音楽(判明した曲) ウィーンにゆかりのある作曲家の曲が全編を通して使用される。
スタッフ記録備考
参考文献
脚注
外部リンク |
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