ピーターラビット![]() ピーターラビット(Peter Rabbit)は、ビアトリクス・ポターの児童書に登場する主役キャラクターであり、シリーズ作品の総称ともなっている。「ピーターうさぎ」と翻訳されている場合もある。 1893年9月4日にビアトリクス・ポターが友人の息子に宛てた絵手紙が原型である[1][注 1]。1902年には初の本「The Tale of Peter Rabbit(日本語タイトル:ピーターラビットのおはなし、ピーターうさぎ、ピーターうさぎのぼうけん)」が出版される[1]。 ピーターラビットシリーズの累計発行部数は全世界で2億5000万部を超え[2][1]、第1作の「ピーターラビットのおはなし」の発行部数は全世界で4500万部を超えている[3]。 日本では福音館書店版での「ピーターラビット」という表記が最も一般的なものとなっているが、日本以外の多くの国では"Peter Rabbit"を各国の言語に翻訳したタイトルで出版されている。日本でも「ピーターうさぎ」というタイトルの翻訳も存在する(詳しくは後述)。 ピーターの登場する作品ピーターラビットのおはなし→詳細は「ピーターラビットのおはなし」を参照
![]() ビアトリクス・ポターの最初の本で、ピーターと彼の家族が紹介された。ある日彼の母は森で遊んでいるピーターと彼の姉妹、フロプシー、モプシー、カトンテールを置いて市場へ出かける。母の言いつけを破ってピーターはマグレガーさんの農場へ忍び込んで野菜を食べ、マグレガーさんに見つかり、追い回される。辛くも逃げ出す事ができたが上着と靴をなくしてしまい、それはマグレガーさんの新しいカカシへ使用された。 ベンジャミンバニーのおはなし→詳細は「ベンジャミンバニーのおはなし」を参照
ピーターのいとこ、ベンジャミンバニーはマクレガー夫妻の留守の間に、ピーターの服が未だにある庭へピーターを連れてくる(前夜の雨の所為で服は少し縮んでいた)。ピーターの服を取り返した後、彼らはピーターの母の為にタマネギを盗むが、マクレガーさんの猫に捕まる。幸運にも、彼らが居ない事に気付いたベンジャミンの父に助けられる。 ティギーおばさんのおはなしピーターはベンジャミンと共に、この話でティギー・ウィンクルが他の衣服の中のピーターの上着を繕う場面で言及されている。 「ジンジャーとピクルズや」のおはなし→詳細は「「ジンジャーとピクルズや」のおはなし」を参照
ジンジャーという猫とピクルズという犬による雑貨屋の盛衰の話で、商売の概念が子供にもわかりやすく解説されている。 フロプシーのこどもたちベンジャミンとフロプシー、そして彼らの子供らがレタスを求めて大人になったピーター夫婦の家にやってくる。 キツネどんのおはなし→詳細は「キツネどんのおはなし」を参照
ベンジャミンとフロプシーの子供達は悪名高いアナグマ、トミー・ブロックに誘拐される。フロプシーがトミーを入れたベンジャミンの父へ怒りをぶつけている間に、ベンジャミンとピーターがブロックの後を追いかけると、彼はトッド(アヒルのジマイマのおはなしに登場したキツネにそっくりのキャラクター)の家へ隠れる。トッドは彼のベッドにアナグマが寝ているのを見て、水の入ったバケツをトミーへ落ちる様にセットする。しかし罠を作動させる前に彼は目覚め、二匹はつかみ合いに入る。それを見ていたピーターとベンジャミンはその間に子供を救出する。 映像化アニメーション
映画化
ギャラリー
日本における受容日本語訳もっとも古い日本語訳は、1918年に『子供之友』(婦人之友社発行)に掲載されたものとされてきた。しかし1906年11月に発行された『日本農業雑誌』(日就社(現:読売新聞社)刊)に「お伽小説 悪戯な小兎」(松川二郎による訳)というタイトルで、一部に日本向けアレンジを加えた日本語訳が掲載されていたことが、2007年に判明し[11]、それまでの世界最古の外国語訳とされてきた1912年発行のオランダ語訳をもさらに遡る翻訳と認定される可能性があると報道された[12][13]。 また実業之日本社の『幼年の友』1915年第2〜4号に「ピータロー兎」というタイトルで日本語訳が掲載されていた。大東文化大学教授河野芳英の研究により、著者として記されている「海南」が官僚時代の下村宏(海南)である可能性の高いことが判明した、と2015年に報じられた[14]。 紙芝居は、早くからあったようで、高橋五山作・蛭田三郎絵・濱田廣介監督の「ピーター兎」は1938年「幼稚園紙芝居第11輯」として出版されている[15]。 書籍として最初に発行された日本語訳は、1949年に世界社から出版された『天がおっこちてくる : アメリカ童話集』所収の『ピイターうさぎ』(ポター原作)、しまてるお著・松田文雄絵[16]、および1956年に光文社から出版された光吉夏弥訳・ 瀬尾太郎絵の『世界新名作童話 ぴーたーうさぎのぼうけん』とエンゼル社から出版された堀尾青史文・たくみ工房美術・酒井善衛撮影の『ピーターうさぎ』(エンゼルブック人形絵本17)である。続いて1965年に講談社から那須辰造訳・山田三郎絵の『せかいのおはなし ピーターうさぎ』、1969年に偕成社から岸田衿子訳・三好碩也絵の『ピーターうさぎのぼうけん』、1971年に旺文社から波多野勤子訳・赤坂包夫絵の『グロースターのようふくやさん』など複数の翻訳が出版されたが、1971年11月に福音館書店から石井桃子の翻訳で『ピーターラビットのおはなし』が出版され、その後順次ピーターの登場する作品が翻訳出版されると、日本では福音館書店版がいわゆる定本と見なされるようになった[2]。 その他八木田宜子訳、岡松きぬ子訳、まさきるりこ訳、きたむらまさお訳、中川李枝子訳などが出版されている。2022年には早川書房が120周年記念として川上未映子の翻訳版を刊行した[2]。 イメージキャラクターとして
日本における絵本の絵柄の著作権満了と関連訴訟本シリーズの絵本で使用されている各種挿絵の著作権保護期間は、日本国内においては2004年(平成16年)5月21日に満了となり、以降は誰でもこの絵柄を使用することが出来る状態にある。 一方、日本におけるピーターラビットの著作権管理を担当していたコピーライツ・ジャパン社[29](現・コピーライツ・アジア)は著作権保護期間満了後も、同社がライセンス契約する会社が販売するピーターラビット・シリーズのキャラクター製品に、著作権保護がなされていることをほのめかす著作権マーク(©)の表示を求めていた。この行為について、ピーターラビット・シリーズのキャラクターを使用した商品を著作権保護期間満了後に販売することを考えたファミリアは、コピーライツ・ジャパン社にファミリアの製品の販売差し止めを申し立てる権利が存在しないことを確認し、同時にコピーライツ・ジャパン社による著作権マーク表示の差し止めを求める訴訟を大阪地方裁判所に起こした[30]。 本訴訟の判決は2007年(平成19年)1月30日に言い渡され、コピーライツ・ジャパン社がファミリアの商品販売差し止めを求める権利を有さないことが認められた。また、著作権マーク表示については違法性が低く、一般不法行為性がないものとされた。 ソニーCPによるマーケティング2012年11月、日本国内のマスターエージェント権をソニー・クリエイティブプロダクツ(ソニーCP)が取得し[31]、その後、日本語版公式サイトや公式オンラインショップを開設した。 2015年3月19日には、オムライス専門店RAKERUの運営による「ピーターラビットガーデンカフェ」を自由が丘に開店した[32]。かつては町田モディや横浜ハンマーヘッドにも店舗があったが、いずれも閉店している[33][34]。 2022年4月16日には、富士本栖湖リゾート内に英国式庭園「ピーターラビットイングリッシュガーデン」が開園した[35]。 脚注注釈出典
関連項目外部リンク
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