東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(とうきょうオリンピック・パラリンピックきょうぎたいかいそしきいいんかい、英: The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games、略称: TOCOG[1])は、2021年に開催された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の準備および運営を監督したオリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(OCOG)である。通称東京2020組織委員会、Tokyo 2020[2]。また、報道では東京五輪・パラリンピック大会組織委員会などとも呼ばれる[3]。 2014年(平成26年)1月24日に発足し、2022年(令和4年)6月30日をもって本来の業務を停止して解散、法人消滅の手続きのために活動する清算法人へと移行した。 沿革2013年9月の第125次IOC総会において、2020年オリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定したことを受け、同競技大会の準備及び運営に関する事業を行うことを目的に、日本オリンピック委員会と東京都によって一般財団法人として設立された。2014年1月に両者が1億5千万円ずつを拠出して発足し、同年6月に都は57億円を追加投入した[4][5]。 名誉会長は御手洗冨士夫。初代会長[注 1]は2014年1月14日に森喜朗(第85・86代 内閣総理大臣)に正式決定した[8]。日本開催のオリンピック組織委員会で、財界以外からの会長は久しぶりとなった[注 2]。同4月、東京2020組織委員会の「マーケティング専任代理店」として電通が指名された[12][注 3]。大会名誉総裁には天皇徳仁が就いた[14]。 2015年1月から開始した大会スポンサー契約では一部、これまでの慣習を破る「同業種の2社契約」も実現した[15][16][17](IOCと協議の上で特例として[18][19][20])。2015年4月の時点で早くも、目標の収入額1500億円[21] を突破したとマーケティング担当者が述べている[22]。「ゴールドパートナー」枠に関しては、1社150億円以上の契約金設定だという[15]。 東京2020組織委員会のホームページは2015年11月にサイバー攻撃を受けたため、セキュリティー強化も兼ねて翌2016年2月にリニューアルした[23]。 「One Team for Our Dreams」のスピリットを掲げた2015年度(平成27年度)は[24]、約290億円の黒字となった。収入が約407億円で、支出が約116億円だった[25](事業費・管理費の計で、役員報酬が67,470,000円、顧問料が113,136,656円、賃借料が476,808,794円など[26])。 この団体に東京都庁からの出向者もいる(原則出向期間は3年としてきた[27])が、別途、都には東京都オリンピック・パラリンピック準備局が存在する[28][29]。 2015年3月23日、スタッフの増大を見越し虎ノ門オフィスを新設して本部とし、従来の新宿オフィス(東京都庁34階)[30] と並行して業務を進行する[31][32][33]。11月には、事務総長直下に「改革推進室」を設置[23]。2016年度に都庁33階や新宿パークタワー[24][34]、虎ノ門ヒルズの近くの三会堂ビル[35] などにも事務所を置く計画がある。 2016年2月1日時点の職員は461人(11局体制)である。大会時の「7,000人化計画」を目指しているともいう[30][23][36][37]。 2016年秋に国際渉外・スポーツ局が、国際渉外局とスポーツ局に分かれ、12局体制に変更となった[38]。 2018年頃 https://tokyo2020.jp から https://tokyo2020.org に公式サイトのドメインを変更した。 2019年4月17日、東京都港区虎ノ門の虎ノ門ヒルズ森タワーから東京都中央区晴海晴海アイランドトリトンスクエアオフィスタワーY棟およびX棟、Z棟に移転。本部はY棟に置かれた。 しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によるオリンピック・パラリンピック開催の1年延期に伴い、一部賃借契約が当初の閉幕タイミングとなる2020年9月に満了し、新たに入居する企業も決まっているため、大半の職員が勤務するY棟からは同月中の転居を計画[39]。その後調整が行われ、大部分の機能を晴海トリトンスクエアに残しつつ、一部機能を江東区青海のテレコムセンターに移転することとなった[40]。 2021年2月12日、森は日本オリンピック委員会(JOC)の会合で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言し批判を招いた責任を取り、会長職を辞することを表明した[41][42]。後任には参議院議員で東京オリンピック・パラリンピック担当大臣であった橋本聖子が大臣職を辞任したうえで、同月18日に会長就任となった(参議院議員は辞職せず兼職)[43]。 →「森喜朗の女性蔑視発言」を参照
組織評議員会が理事会の上部機関として設置され、理事会は重要事項の決定や会長の選定などの権限を持つ[44][45]。 評議員2020年6月29日現在[46]。
役員等2021年3月3日現在[47]。以降の大会職務の変動も累々補足した。
電通は、国内の協賛企業獲得などを行なう同東京2020組織委員会員会マーケティング専任代理店[57][58]。 理事会2014年3月17日の第2回の評議員会にて、東京2020組織委員会が定款で定める理事数の上限を35名(決議前は25名以内)とした[59]。この日、33名(会長を含めると34名)の就任が決まり[48]、これまで数名変更がある。番号順も設定されている[60][61](2と3、17から32で変更が発生している[62])。 2021年3月3日の評議員会にて、理事人数の定款変更を決議して上限を45名に変更し、女性のみ12人の新理事を選任した[60]。橋本聖子新会長が就任時に掲げた、理事会の女性比率40%以上という目標が達成された(20.6%から計19人の42.2%へ向上)[63]。 IOCの規則により、開催都市を抱える国のIOC委員、及び国内オリンピック委員会と国内パラリンピック委員会からオリンピック組織委員会の理事に加わることが規定されている。 理事に就任している東京都政の関係者は、OBを含めても5人であり、もっぱら競技の計画・運営主体になるとみられる。 理事会構成メンバーの多くは競技経験者、実業家、自由民主党出身者である。 過去の理事会メンバー
清算人2022年6月30日付で組織委員会が解散後清算法人に移行し、評議員会で選出された以下の清算人4人が清算手続きにあたった[67]。 シニアチーム
2016年秋に国際渉外・スポーツ局(村里敏彰局長)が、国際局(国際渉外局)とスポーツ局に分かれ、12局体制となった[38]。 2018年度、輸送局を新設[89]。
参与2014年6月13日現在[24]。武藤敏郎事務総長に助言する立場として置かれた[95]。 顧問会議2020年10月6日現在[97]。 名誉最高顧問 最高顧問 特別顧問(五十音順) 顧問(五十音順)
青山幸恭、飯田德昭、石黒克巳、石毛博行、石﨑孟、石澤義文、市川一徳、伊藤俊典、井上弘、岩城眞佐子、上杉雅彦、上田清司、上田良一、浮田秀則、大久保満男、大野博、大橋明、岡下勝彦、岡田啓、岡野俊一郎、小野力、尾上浩一、柿沼トミ子、鎌田長明、加山俊夫、清原正義、古賀伸明、小林栄三、小林哲也、近藤遒、坂本すが、佐藤祐文、里見進、嶋崎秀彦、白石興二郎、杉田久雄、杉田ひろし、杉野学、鈴木和也、清家篤、関美津子、髙橋哲夫、髙橋基之、髙橋幹、髙水永雄、伊達忠一、田中明彦、張富士夫、筒井孝尚、寺本充、東福寺一郎、時任基清、富田昌孝、長島美保子、中野英則、仲野弥和、並木心、西川太一郎、根津嘉澄、野中博、林正夫、針谷了、藤沢薫、藤原忠彦、堀竹充、松岡敬明、松山良一、馬渕明子、黛まどか(辞任)、宮本久也、籾井勝人、森民夫、森保彦、師岡伸公、矢崎昭盛、山口範雄、山崎登美子、山科透、山田啓二、山本樹育、吉田和憲、蓬清二 委員会アスリート委員会2017年2月21日現在[99] 以下は、委員(五十音順)
旧メンバー
文化・教育委員会2019年12月6日現在[101] 以下は、委員(五十音順) 旧メンバー メディア委員会2016年7月4日現在[102]。( )は入れ替え、★は新規参加メンバー、どちらも2016年。
以下は、委員(五十音順) 旧メンバー
ブランドアドバイザリーグループ旧メンバー
マスコット審査会メンバー2018年4月27日現在[105] 大会スタッフ・都市ボランティアのユニフォームデザイン選考委員会2018年11月8日現在[106]
ネーミング選考委員会大会スタッフ・都市ボランティアのネーミングを決定する委員会[107]
公式アートポスター アーティスト選定委員会聖火リレー検討委員会2018年1月16日現在[109] 街づくり・持続可能性委員会2019年4月1日現在[110]
経済・テクノロジー委員会2019年4月1日現在[111] 仮設会場整備のアドバイザリー委員会2016年1月12日現在[112]
テクノロジー諮問委員会2016年3月9日現在[113]
過去のメンバー→「§ 過去の理事会メンバー」も参照
委員会は、それぞれのセクションも参照。
東京2020種目追加検討会議
当大会からできた制度、オリンピック組織委員会が推薦するオリンピックの追加種目について、東京2020組織委員会がIOCに提案する種目を検討する会議。 メンバー オブザーバー 沿革
東京2020 開会式・閉会式 4式典総合プランニングチーム→「2020年東京オリンピックの開会式」および「2020年東京オリンピックの閉会式」も参照
2018年7月30日の第27回理事会にて、外部登用ではなく以下の8人が従来のまま4式典の演出企画を担当することが決定された[93][122][123]。☆は、2016年リオオリンピック閉会式フラッグハンドオーバーセレモニー検討メンバー("安倍マリオ"の企画・演出担当)の全4名だった[124][125]。
2020年12月23日、組織委員会は開閉会式企画・演出チームの新体制発表会見を行い、野村萬斎率いる7人のチームを解散し、パラリンピックの演出統括だったクリエイテイブディレクター佐々木宏を新体制の総合統括に任命したことを発表。山崎貴、MIKIKO、椎名林檎、川村元気、栗栖良依は22日付で活動を終えた[127]。 東京2020オリンピック競技大会開会式および閉会式制作・演出チーム→「2020年東京オリンピックの開会式」および「2020年東京オリンピックの閉会式」も参照
諸問題→「2020年東京オリンピック・パラリンピック § 諸問題」、「2020年東京オリンピック・パラリンピック § 疑惑」、および「東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会 § 招致活動に関するトラブル」も参照
五輪エンブレム盗作問題→詳細は「2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレム」および「電通 § 不祥事等」を参照
職員の新型コロナウイルス感染2020年4月22日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は、同委員会の30代の男性職員1名の新型コロナウイルス感染が確認されたと発表した。当該職員は軽症につき自宅療養中であるという。組織委は当該職員が勤務していた区域の閉鎖・消毒を実施し、当該職員と接触のあった同僚を自宅待機とする措置を取った[135]。 容姿侮辱による演出統括の辞任→詳細は「§ 東京2020 開会式・閉会式 4式典総合プランニングチーム」を参照
大会運営費のピンハネ問題2021年6月7日の2020東京五輪・パラ大会開会直前、JOCの経理部長が都営地下鉄浅草線中延駅で、電車に飛び込み逝去した。折しも、同大会のオリパラ開閉4式典では、大会組織委員会から最終的に165億円が電通に委託され、実際にオリ・パラ開閉4式典に用いられた予算がおよそ10億円。155億円あまりが電通の守秘義務契約を理由に使途不明になっていることが明らかになっている[136][137]。また、同大会運営業務委託に絡み、東急エージェンシー、博報堂、ADK、電通など大手広告代理店数社やフジメディアHG系列の番組制作会社フジクリエイティブコーポレーション、人材派遣会社パソナによる、「日給35万」など人件費や管理費名目の多額の"中抜き"(中間搾取ないしピンハネ、丸投げ)が国会審議やテレビ番組上での告発などで問題視され、様々な推察や憶測を呼んでいる[138][139]。 小山田圭吾の起用問題2021年7月14日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、開会式・閉会式のクリエイティブチームメンバーなどを発表[132]。ほどなくして、メンバーのひとりである小山田圭吾の90年代インタビュー記事がTwitterを中心に話題となり、“障害者に対するいじめ自慢をしている人物を五輪開会式の楽曲担当者にふさわしいのか”というような意見が集まった。武藤事務総長は世論を無視して続投を表明したものの、海外メディアが続々と本件について報じ始めた[140]。 →小山田圭吾のいじめ・暴行騒動については「小山田圭吾 § 東京オリンピック・パラリンピック開会式音楽スタッフ就任に端を発する過去の雑誌インタビュー記事騒動」を参照
7月19日、小山田は楽曲担当の辞任を組織委に申し出たことを表明[141]。前述の組織委のリスト記事からも名前が削除された[133]。同夜に武藤事務総長は、小山田の担当部分は開会式オープニングの4分間程度だったと明かし、この楽曲を使用しないと語った[142]。 のぶみの辞退問題絵本作家ののぶみは、大会組織委員会の主催による、共生社会の実現をテーマにした文化プログラムに出演予定だった[143]が、過去に本人が教師に対しておこなったとする不適切行為がネット上で批判されたことを受けて、出演を辞退したことが2021年7月20日に大会組織委員会から発表された[143][144]。 小林賢太郎の解任問題→詳細は「小林賢太郎 § 東京五輪開会式演出担当と解任」を参照
大会運営費の膨張2022年6月21日、2020東京組織委は大会経費を、当初想定の2倍になる総額1兆4238億円とする最終決算を発表した。当初の招致時に示した額の2倍に膨らんだ。各負担割合は、組織委が6404億円であり、残りを東京都が5965億円、国が1869億円と税金ないし公金から支出した。 1998年長野冬季五輪では、国際オリンピック委員会(IOC)で招致段階における不正疑惑が浮上し、当時の長野組織委が帳簿を焼却し真相は藪の中となった。2016年東京五輪招致委員会でも、招致費の経理書類が保存期間であるにもかかわらず紛失していた経緯があった。 2020東京組織委でも、重要な意思決定は全て非公開で行なわれ、情報開示する法的仕組みがなく、帳簿・契約書・稟議書などの重要文書は清算人が10年間保管するが開示義務がない。裁判で争う以外になく、開催自治体の東京都も「閲覧は困難」との見方を示しているとのこと[145][146]。 また五輪大会開催前の2021年1月、内閣官房オリパラ事務局が国の予算を公表しているが、大会開催後は予算に対する支出を公表していなかった[147]。 2022年12月21日、会計検査院は「予算が総経費の見込み額を示したものでない上、国は大会後も総経費を取りまとめていない」と指摘したうえ、上記のごとく2020東京組織委が大会総経費のうち国負担分を1869億円と算定していたのに対し、実際は約4668億円だったと指摘。選手強化費やセキュリティー対策費、コロナ対策費、競技場整備費など経費に含まれていない額が2799億円分あり、加算すべきだとした。さらに、道路や気象設備の整備費など国と東京都の負担分を合計した大会関連経費を加えた場合は、約3兆7000億円に達するとも算定した[147][148][145]。 スポンサー選定や公式ライセンス商品を巡る贈収賄事件元電通で大会組織委員会の高橋治之元理事が在任中に大会スポンサーであるAOKIホールディングスとの間でコンサル契約を結んだ上で同社から4500万円超を受け取っていた疑いがあるとして東京地検特捜部が捜査していることが2022年7月に報じられた。東京オリ・パラ競技大会組織委員会は東京五輪・パラリンピック特別措置法に基づき、理事はみなし公務員と規定されているため、職務に関して金品などを受領した場合は刑法の収賄罪に抵触する可能性があるとしている[149]。同月、組織委員会の清算法人に東京地検特捜部が家宅捜索に入った[150]。 2022年8月17日、高橋が受託収賄容疑で、青木拡憲前会長らAOKIホールディングスの幹部3名が贈賄容疑で特捜部に逮捕された[151]。 さらに、その後の特捜部の調べで、2022年9月には、AOKIと同じオフィシャルサポーターであったKADOKAWAのスポンサー選定にも高橋が関与していた疑いが明らかになり[152]、高橋の慶応義塾高校・大学の後輩にあたる芳原世幸KADOKAWA顧問ら、さらにKADOKAWA会長の角川歴彦も逮捕された[153][154]。KADOKAWAからの賄賂については、高橋の電通時代の後輩である深見和政が経営する東京都中央区のコンサルティング会社「コモンズ2」名義の預金口座を通して、計7600万円が支払われていたとされ、深見も収賄容疑で2022年9月6日に逮捕されている[155]。 9月27日、大会スポンサー募集業務をメインとする電通の「販売協力代理店」選定に絡み、広告会社「大広」に便宜を図った上に見返りとして約1500万円の賄賂を受け取ったとして、高橋と深見が受託収賄容疑で再逮捕された。また、贈賄容疑で大広の執行役員が逮捕された[156][157]。 →「大広 § 東京五輪組織委理事への資金提供疑惑」も参照 さらに、大広とともに電通からスポンサー募集業務の再受託をされていたADKホールディングスや、五輪マスコットのミライトワやパラリンピックマスコットのソメイティのぬいぐるみを販売していた「サン・アロー」による高橋への贈賄が明らかになり、ADK社長ら経営幹部3人が逮捕され、高橋は再逮捕された[158]。11月9日にはサン・アローからの資金の受け皿になったコンサルティング会社「アミューズ」(解散)の元代表が収賄罪で、サン・アローの社長と顧問が贈賄罪でそれぞれ在宅起訴された[159]。 テスト大会及び本大会の入札談合事件2022年11月22日、テスト大会を巡る入札談合疑惑で、ADKマーケティング・ソリューションズが公正取引委員会に対し、課徴金減免制度に基づいて談合を自主申告していたことが判明した[160]。談合が疑われているのは、組織委員会が発注した各競技のテスト大会の計画立案などを委託する業務。2018年、1~2会場ごとに計26件の競争入札が行われ、電通やADKといった広告会社など9社と共同事業体の1団体が落札した。契約額は1件あたり約6000万~約400万円で、総額は5億円余りに上る[161]。11月25日、東京地検特捜部と公正取引委員会は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)違反(不当な取引制限)の疑いで、電通本社ビル、イベント制作会社「セレスポ」(東京都豊島区)など関係先の家宅捜索を行った[162]。11月28日には、博報堂、東急エージェンシー、イベント制作会社「セイムトゥー」(東京都千代田区)、フジ・メディアHGの番組制作会社フジクリエイティブコーポレーションなどを、翌11月29日には、電通ライブ、ADKマーケティング・ソリューションズ、イベント制作会社「シミズオクト」(東京都新宿区)及び「トレス」(東京都中央区)などを家宅捜索した[163][164][165] [166]。 テスト大会関連の業務は組織委員会大会運営局のテストイベントマネジメント部が担当し、電通やイベント制作会社セレスポなど落札企業からの出向者が在籍していた [167]。スポンサー募集業務をメインにする電通は、付随業務にすぎない大会運営業務については、その発注元の大会運営局への出向者を通して各社に割り振っていた。これはまた、「発注元と発注先が同じ人間」という構図も意味する[168]。その上で、組織委員会が入札参加者の公募を始める9日前に、電通が作成した入札参加予定者の「一覧表」にあった複数の企業名から落札業者を決定していた疑いがあるとのことである[169]。 テスト大会に引き続き、電通といった広告代理店9社などの五輪本大会での随意契約額は、平均3割増しだったとのこと[170]。さらに電通など9社等が、テスト大会と本大会の関連業務を随意契約で受注した総額は、東京都公表分で少なくとも約200億円に上るとのことである[171]。 2023年1月、テスト大会に続き、2021年に開催された本大会においても入札談合の疑惑が浮かび上がった。組織委員会の資料には「テスト大会を入札した企業には、本大会の業務も委託する」との記載があったという[172]。これに伴い、電通をはじめとした9社と1共同企業体が入札を伴わない形の随意契約を行い、その額は400億円に上るものとみられている[173]。この疑惑に関して、電通幹部らは談合を認める供述をしている。また、当初は否認していた組織委員会大会運営局次長も受注調整を認める発言をしている[174]。東京地検特捜部は独占禁止法違反の疑いで、電通などの立件を視野に入れている[175]。 2023年2月8日、東京地検特捜部は、受注調整はテスト大会関連業務及び本大会なども含めて一体的に行われたとの見方を示し、テスト大会の計画立案支援業務を巡る入札で受注調整をした独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、みなし公務員たる組織委員会大会運営局元次長の森泰夫、受注側である電通元幹部(元スポーツ事業局長[176][177]、あるいは元スポーツ局局長補[178])らを逮捕した。併せてセレスポ及びフジクリエイティブコーポレーションの幹部ら2人をそれぞれ逮捕し、各関係先の家宅捜索を行った[179][180][181][182]。2月28日、特捜部は元次長ら7人と電通など法人6社を起訴した[183]。12月12日、東京地裁は森元次長に懲役2年、執行猶予4年の判決を言い渡した[184]。同月15日付でこの判決が確定した[185]。 東京都監査委員の報告書2023年6月6日、東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会に関する東京都監査委員の報告書が公表され、組織委幹部らが関与したとされる汚職や談合事件の発生を受け、「ガバナンスのあり方に大きな課題」を残したと指摘した[186]。 脚注注釈
出典
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