『柳生あばれ旅』(やぎゅうあばれたび)は、日本のテレビ映画による時代劇。主演:千葉真一[1]、制作:テレビ朝日・東映。『柳生あばれ旅シリーズ』の第1作である。ANNにて1980年10月14日から1981年4月7日の毎週火曜日21時から21時54分に全26話が放送された。
概要
千葉真一が当たり役である柳生十兵衛三厳に扮した三度目の作品で[1][2][3][4][5]、東海道五十三次を巡検する弟・柳生又十郎宗冬を兄・十兵衛が助けていくストーリー。又十郎には勝野洋が扮し、兄弟の父親・柳生但馬守宗矩にはテレビ映画の『柳生一族の陰謀』に引き続き、山村聰が配役されている。サミュエル・L・ジャクソンが『アベンジャーズ』で扮した役柄は千葉の柳生十兵衛を参考としているなど、後の作品にも影響を与えることとなった[6]。1982年には続編『柳生十兵衛あばれ旅』が放送された。
キャスト
※ ( ) 内の数字は出演話数。☆は続編『柳生十兵衛あばれ旅』にも登場したキャラクター。
柳生家
- 柳生新陰流の剣豪で、その名は天下に広く知れ渡っている[1]。身体能力は忍者並みの敏捷性があり、騎馬にも秀でており、鉄砲を撃たれても馬の脇腹に身を躱しながら、走らせることができる (1)。
- 総髪の茶筅髷にし、左目の眼帯には刀の鍔、黒の一枚皮、朱色革の三種類を着け分ける。二本差しでは漆黒の上下衣を着ている。黒の一枚革や朱色革の眼帯の時には、明るめの灰色上下衣を羽織り、兜割りの脇差のみを差している。
- 東海道巡検使となった弟の又十郎が起こす若さゆえの暴走を諫めつつ (1)、隠密裏に支援していく[1]。
- 武士階級以外の人々には敵味方問わず「一つ眼天狗」と名乗る[1]。神出鬼没の行動から、行く先々で庶民から「天狗さま」と異口同音に呼ばれ、又十郎・お紋・又平にも「天狗みたいだ」と言われている。事情を察し、わざと弱くみせ、あえて負けることもある (8, 12)。
- 十兵衛の弟。謹厳実直だがその実、優しい人柄は十兵衛からも一目置かれている。剣の腕前は優れているものの、天才肌の十兵衛とは太刀筋が異なっている[1][7]。東海道巡検使に任命され、青戸金兵衛と花形六左衛門を連れて宿場町を巡検しながら、京へ向かう[1]。
- 真っすぐな性格が裏目に出て、切腹しかかったことから (1)、十兵衛が心配してお紋を又十郎に付けた (2)。それを煙たがりながらも (2 - 3)、道中で数々の経験を積み重ねたことで、一人前の武士に成長していく。
- 品川宿では月代の武家髷だったが (1)、保土ヶ谷宿では総髪にしている (2)。
- 将軍家指南役・大目付で、十兵衛・又十郎の父親。戦のために作られた東海道を庶民のために変えると徳川家光に提言し、十兵衛・又十郎に東海道巡検を命じる (1)。
- 柳生家に長年仕える下男で、十兵衛・又十郎を幼少の頃より知っている。宗矩を「御前」と呼び、話や囲碁の相手をし、又十郎を心配する宗矩を慮る (2)。
旅する仲間
- 江戸で居酒屋を営んでいるが、実はくの一。柳生十兵衛と旧知の仲で、十兵衛から又十郎を手伝うよう、命を受けている (2)。巡検先に先乗りして宿の実情を探り (2)、十兵衛と又十郎の繋ぎをする (1 - 2)。旅をしていくうちに、徐々に又十郎を意識。又十郎が旅先の娘と仲良くするたびにイライラして、十兵衛たちに八つ当たりをするようになる。
- 又十郎の配下で巡検使の一員。経理専門で武芸は苦手。花形六左衛門のいい加減さを最初、窘めるが、最後には花形に言い含めれ、その通りにしてしまう (2)。
- 又十郎の配下で巡検使の一員。測量専門で武芸は苦手だが、酒と女に目が無く、袖の下が無いと不平を言う (2)。
- 十兵衛に仕える裏柳生の一員[注釈 3]。お紋と共に十兵衛と又十郎の連絡係や情報収集を行う。
市井の人々
- 備前郷士で (1)、打倒柳生を夢見る剣豪。立ち会ってもらおうと、東海道を旅する柳生兄弟を追いかけていく。人情に厚く、弱きものの味方になるため、よく騒動に巻き込まれる (1 - 2)。その巨躯から牢を壊して脱出する怪力の持ち主である (1)。柳生兄弟に勝つ初夢を見た (13)。
- 又平☆ - 真田広之 (3, 13, 24, 26)
- 根来兵左衛門に育てられたが、実の父親を探している青年。根来拳法の使い手。兵左衛門と死に別れた際、兵左衛門が所持していた小太刀を譲り受け、そのまま所持している (3)。
- 八木重兵衛☆ - 小島三児 (8, 13, 26)
- 柳生十兵衛を名乗る偽者で、元は百姓。トボけた面を持っているが、なぜか憎めない人物。
将軍家ほか
- 武力を持って天下を治めようとしていたが、宗矩から「恨みが膨れ上がる武断ではなく、民のための政に切り替えるべき」と進言を受け、東海道の巡検を承認する (1)。
- 劇中と次回予告のほか、第1話と第2話ではオープニングでもナレーションをしている。
エピソードリスト
※ゲストはクレジットタイトルに役名表記された出演者のみ記載。複数話に登場する人物は、演じる俳優が異なっていても#登場人物に表記。各表の下にその回のストーリーを載せる。
品川宿では薩摩藩の基準を上回る重さの荷を人足に運ばせていた。お駒と留吉が公儀に訴えようとするが、薩摩藩出入りの佐野屋に雇われた浪人たちに殺められそうになる。間一髪で柳生十兵衛が電光石火で浪人をたたっ斬り、二人を救う。お駒と留吉は十兵衛の早業を見れなかったので「天狗に救われた。自分たちには天狗が付いている」と意気上がる。薩摩藩士・相良早雲は黒川に命じ、人足をこき使いながらも、謎の天狗の探索を始める。幕府は東海道を戦のための道から民のための豊かな道へ変えようと、柳生家に巡検を命じ、この役目に柳生宗矩は十兵衛の弟・柳生又十郎を抜擢。又十郎は青戸金兵衛と花形六左衛門を連れ、品川宿に到着した。お駒と留吉の訴えを聞いた又十郎は、薩摩藩の定宿に乗り込み、巡検を始めるが、誤って薩摩藩士を斬ってしまい、蟄居に追い込まれる。
柳生又十郎は保土ヶ谷宿へ向かう途中で、日本一の剣術使いになりたいという少年・仙波一郎太と出会う。その頃、柳生十兵衛は、保土ヶ谷宿の飯屋で働きながら内情を調べていたお紋より、馬喰の重蔵一味が無法の限りを尽くしていると報告を受ける。
又平は兄の借金のカタで身売りされそうになった娘を助け出すために、その小太刀を質入れしようとするが、これは又平自身の出生の秘密と、柳生一族全体の危機をもたらしてしまう事になる。
スタッフ
※クレジットタイトル順で、( ) の数字は担当話数、無しは全話担当。監督と脚本家は#エピソードリストを参照。
OP・ED
オープニングとエンディングのメインキャストの表記順は千葉真一と勝野洋を入れ替えており、オープニングは「十兵衛→お紋→青戸→花形→又右衛門→阿里助→又平→又十郎」という順で、その回に出演していなくても、クレジットタイトルはロールされている。エンディングは「又十郎→お紋→青戸→花形→又右衛門・阿里助・ナレーター→重兵衛→又平→十兵衛」とロールされた後、「ゲスト、家光→宗矩」という順で進む。勝野で始まる前奏が終わり、「男は...」と歌詞が始まるタイミングで千葉がクレジットされる。出演していないキャストはオープニングと異なり、クレジットが表示されない。
放送局
再放送
地上波ではANN系列局各局、BS・CSではファミリー劇場・東映チャンネル・時代劇専門チャンネルで再放送が行われている。2015年の時代劇専門チャンネルで再放送された際には、次作の『柳生十兵衛あばれ旅』と併せる形でCMが放送された。冒頭のシーンは『柳生十兵衛あばれ旅』第26話で十兵衛が京の薩摩藩邸に襲撃を掛けるシーンを使用。冒頭の台詞は第1話で十兵衛が扮した「幻天狗」が発した台詞「この世の影に潜み、この世の悪を斬る!」を使用。その後、島津宰相・家久の寝所に押し掛け、家久に「何奴!?」と聞かれた十兵衛が「柳生十兵衛推参…!」と呟く展開。その後は本作の第26話と次作の各回の主要シーンでまとめられ、最後は十兵衛が太刀を構える次作のアイキャッチで締め括られた。
DVDと配信
DVDが販売され、2022年6月4日から東映時代劇YouTubeで第1話と第2話が常時配信されている。
脚注
注釈
- ^ 続編『柳生十兵衛あばれ旅』では配役が異なっている。
- ^ a b 第23話「必殺おんな馬子歌 -土山-」では二役を演じている。
- ^ 十兵衛と十兵衛配下の忍者群。
- ^ a b 第26話「将軍寝所に忍ぶ影 -京-」では二役を演じている。
出典
関連項目 |
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1959年10月 - 1960年4月 (NETテレビ、15分枠) |
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1962年10月 - 1963年3月 (NETテレビ、30分枠) |
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1963年10月 - 1966年9月 (NETテレビ、30分枠) |
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1966年10月 - 1977年3月 (NETテレビ、1時間) |
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1977年4月 - 1983年4月 (テレビ朝日・第1期) |
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1985年4月 - 1987年2月 (テレビ朝日・第2期) |
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1991年10月 - 1993年3月 (朝日放送) |
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2022年10月 - (テレビ朝日・第3期) |
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