2018年国民民主党代表選挙
2018年国民民主党代表選挙(2018ねんこくみんみんしゅとうだいひょうせんきょ)は、2018年9月4日に行われた国民民主党の代表選挙である。選挙の結果、玉木雄一郎が当選した。 背景2017年10月31日の民進党代表選挙で新代表に選出された大塚耕平は、2019年の統一地方選挙や参議院議員通常選挙を控え、連合の後押しで立憲民主党や希望の党との連携による党勢の回復を図り[1]、2018年1月の統一会派交渉決裂を経て3月に新党結成協議に乗り出し[2][3]、4月に希望の党と協議入りした[4][5]。協議の結果、大塚の任期が満了する9月に新党の代表選を行うこと[6][7]、代表選は党員・サポーターが投票できるようにすること[8]、代表選までは大塚と2017年11月の希望の党共同代表選挙を経て希望の党代表に就任した玉木雄一郎とが新党の共同代表に就任することなどで調整が進められ[9][10]、2018年5月7日に新党「国民民主党」が結成された[11][12]。 その後、6月27日の総務会では、9月下旬に行われる自由民主党総裁選挙との重複による埋没を避けるため、代表選を9月上旬に行うことが決定された[13][14]。7月18日の総務会では、代表選を8月22日告示・9月4日投開票の日程で行うこと[15][16]、立候補に必要な国会議員の推薦人の要件を所属議員の15%か20人以上のいずれか少ない方に緩和する一方[17][18]、新たな要件として国会議員の要件と同数の地方議員の推薦人を加えるよう代表選規則を改正すること[19][20]、党員・サポーターと地方議員の事前投票に電子投票を導入するよう代表選規則を改正することなどが決定された[21][22]。7月24日の総務会では、代表選実施のための臨時党大会を9月4日午後に東京都内で開催することが決定された[23]。7月31日の総務会では、7月現在の党員・サポーター数が7万6596人、地方議員数が761人と報告された[24][25]。 当初は出馬の動きが低調で無風状態とも報じられたが[26][27][28]、8月に入り玉木[29][30]、津村啓介元内閣府大臣政務官[31][32]の出馬意向が伝えられ、「対決より解決」路線の玉木に対し野党共闘路線の津村[33][34][35]が挑む構図と報じられた[36]。8月9日に党本部で事前説明会が開かれ[37][38]、玉木陣営(岸本周平役員室長[39])、津村陣営のほか今井雅人国会対策委員長代理、柚木道義元財務大臣政務官の陣営が出席し[40][41]、津村は出席後に出馬に意欲を示した[42][43]。玉木は同日夜に大塚と会談し、続投すべきとの認識で一致した[44][45]。8月10日、玉木が出馬を正式表明し[46][47][48]、日本共産党を除く[49][50][51]野党間の統一会派結成や共同選対設置を呼びかけ[52][53]、「対決も解決も」[54][55]と述べて路線を対決寄りに修正した[56][57][58]。8月13日、津村が出馬を正式表明し[59][60][61][62]、玉木との違いを「野党共闘の本気度」[63][64]とした上で[65][66]、まず衆議院会派「無所属の会」との合同国対設置[67]、次いで野党間の合同選対設置を目指す考えを示し[68][69]、共産党との選挙協力については明言を避けた[70][71]。また、代表選の争点として、党勢拡大の方策や野党共闘の在り方などが報じられた[72]。 告示前日の8月21日の段階で、玉木が推薦人を確保して論戦に意欲を示し[73]、津村が推薦人集めを続ける一方[74][75][76]、出馬を模索していた柚木の離党意向が報じられ[77][78]、情勢は混迷した[79][80]。告示当日の8月22日午前、直前に推薦人を確保した津村[81]と玉木が立候補を届け出て[82][83][84]一騎打ちが確定し[85][86]、届出後、津村は「現状を打破するために選手交代が必要だ」、玉木は「どちらが安倍政権に対するチャレンジャーにふさわしいかを選ぶ選挙だ」と意気込みを述べた[87][88][89]。国会議員の推薦人は、津村が党内グループ「自誓会」メンバー[90]など衆議院議員を中心に[91]10人、玉木が執行部メンバー[90][91][92]や連合出身議員[91][93]など参議院議員を含む[92]20人を集めた[87][94][95]。同日午後の共同記者会見や討論会では、参議院一人区の候補者調整について、津村が共産党を含む野党間の事前調整を主張し[96][97][98]、玉木が共産党を除く野党間の事前調整と共産党に対する事後交渉を主張した[99]。一方、同日に柚木が離党届を提出し[100]、総務会はこれを受理せず除籍処分としたが[101][102]、さらに離党を検討する動きが報じられた[103][104][105]。8月23日には政策討論会が開かれ[106][107]、地方遊説が始まるなど[108][109]、選挙戦が本格化した[110][111]。 終盤の情勢調査では、時事通信社が、除籍された柚木を除く国会議員61人のうち玉木支持は全体の7割近い42人、津村支持は12人と報じるなど[112]、国会議員票で玉木の優勢が伝えられた[113][114][115][116][117]。9月4日の臨時党大会直前には、玉木の当選を確実視し[118][119]、選挙後の党運営に話題を移す報道もあった[120][121][122]。 手続→「民主党代表選挙」も参照
代表選挙に立候補することができる者は党所属国会議員に限られる。立候補に必要な推薦人は党所属国会議員62人の15%およびそれと同数の地方自治体議員で、それぞれ10人となる。任期満了[注 1]に伴う代表選挙であり、有権者は党所属国会議員・国政選挙の公認候補予定者・党籍を有する地方自治体議員・党員およびサポーターとなる。
有効投票に基づくポイント総数の過半数を獲得した候補者を当選者と決定する。3人以上が立候補した場合で過半数のポイントを獲得した候補者がいないときは、上位2人に対する決選投票を行う。決選投票は国会議員と公認候補予定者が臨時党大会で直接投票して行い、前者の1票は2ポイント、後者の1票は1ポイントに換算して多数のポイントを獲得した候補者を当選者と決定する。選出された代表の任期は、2021年9月まで。
日程
候補者立候補者届出順[181]
立候補辞退者
推薦人津村啓介の推薦人[187] 玉木雄一郎の推薦人[188]
結果9月4日の臨時党大会において、国会議員と公認候補予定者による直接投票が行われ、地方自治体議員と党員・サポーターによる事前投票と合わせて集計された結果、津村が74ポイント、玉木が204ポイントを獲得し[193][194]、有効投票に基づくポイント総数の過半数を獲得した玉木が新代表に選出された[195][196][197]。玉木は国会議員票で61票中41票[198]、地方議員と党員・サポーターのいわゆる地方票でも142ポイント中106ポイントを獲得して津村に大差をつけた[199]。玉木は選出後の記者会見で、党勢拡大や野党共闘などの課題について[200][201][202][203]、「全党一丸となって党勢拡大に取り組みたい」[204]と決意を表明し[205][206][207][208]、「安倍政権のおかしなところを徹底調査し、厳しく迫っていきたい。私も論戦の先頭に立ってバッタバッタとなぎ倒したい」[209]と述べて政権との対決姿勢を鮮明にするとともに野党共闘を進める必要性を強調した[210][211][212][213][214]。一方、国会議員票で無効票が2票出たことから、「離党予備軍」の存在も報じられた[215][216][217]。 投票結果
新執行部新執行部は9月11日の両院議員総会後に発足することとなり[220][221]、幹事長人事が焦点と報じられた[222][223]。その後、玉木の推薦人に名を連ねた大塚耕平前共同代表の代表代行起用[224]、泉健太前国会対策委員長の要職起用、玉木陣営の選対本部長も務めた原口一博前代表代行の役員起用などが検討されていると報じられたほか[225]、2019年の統一地方選挙や参議院議員通常選挙に向けた党結束の再確認や野党共闘を図るため[226][227]、平野博文前総務会長の幹事長起用が内定したと報じられた[228][229]。9月11日の両院議員総会で以下の通り幹部人事が了承された[230]。幹事長に平野、国会対策委員長に原口が起用され[231][232][233]、ともに衆議院会派「無所属の会」出身のベテラン議員であることから[234][235][236]、野党共闘を重視した布陣と報じられた[237][238]。また、古川元久前幹事長は大塚とともに代表代行に処遇され、代表選を争った津村は副代表に抜擢されるなど、執行部刷新を求める津村陣営への配慮もみられると報じられた[239][240][241]。このほか、政務調査会長に泉、選挙対策委員長に玉木側近の岸本周平前役員室長、総務会長に電力総連出身の小林正夫前副代表が起用された[242][243]。
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク |
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