恋の予感
「恋の予感」(こいのよかん)は、日本のロックバンドである安全地帯の楽曲。 1984年10月25日にKitty Recordsから7枚目のシングルとしてリリースされた。前作「マスカレード/置き手紙」(1984年)より3か月ぶりにリリースされたシングルであり、作詞は井上陽水、作曲は玉置浩二、編曲は安全地帯および星勝が担当している。「妖艶で切ないメロディのロックバラード」であり、当初は作詞家の松井五郎も作詞を行ったが採用されず、井上による歌詞が採用されることとなった。 井上が同年にリリースしたアルバム『9.5カラット』にて本作をセルフカバーしている他、安全地帯としてはシングル「オレンジ」(2010年)の両A面曲として再録音リアレンジされたものが収録された。他にも中森明菜や河村隆一などの著名な歌手や、中国語圏の歌手によって多数のカバー作品がリリースされている。 音楽性と歌詞本作の歌詞は当初作詞家の松井五郎も手掛けていたものの30回程度書き直しした末に没となり、結果として井上陽水が歌詞を制作することとなった[3][4][5][6]。井上が書いた歌詞を見た松井はシンプルな内容に感嘆し、「書かないことの美学、美しさというのがあって。あ、これで良いんだって解答を見せられた感じがすごくあった」と述べ、また本作の歌詞による経験がなければ9枚目のシングル「悲しみにさよなら」(1985年)のようなシンプルな歌詞は書けなかったとも述べている[3]。本作はヒット曲となった「ワインレッドの心」(1983年)のリリース以前にすでに原型が制作されており、安全地帯がアマチュア時代に制作した曲は全く売れなかったため、玉置が苦心の末に一気に制作した「ワインレッドの心」、「碧い瞳のエリス」(1985年)、「プルシアンブルーの肖像」(1986年)などの楽曲の中の1曲であった[7]。 音楽情報サイト『CDジャーナル』では、本作の世界観に関して「感情を押し殺して繰り広げられる男女の駆け引き」と表現した上で、言葉にできないような切なさを感じさせる繊細なメロディーによって「揺れる恋心を切々と綴っている」と表記したほか、「大人の恋愛模様がありありと浮かぶよう」とも表記している[8]。ベスト・アルバム『ALL TIME BEST』(2017年)の楽曲解説では、本作がギターにピアノが加わるイントロから始まる「妖艶で切ないメロディのロックバラード」であると記しており、玉置によるボーカルが低音から高音までカバーできる表現力があるからこそ成立する楽曲であるとも記している[9]。また井上による歌詞について、成就しない「恋の予感」に対して「~~だけ」という言い回しで「短編小説のような濃密にかつ鮮やかに」描いていると記している[9]。 リリース、プロモーション本作は1984年10月25日にKitty Recordsより7インチレコードとしてリリースされた。ジャケットは、玉置浩二だけにスポットが当たった写真が使用されており、他のメンバーは影に隠れた形で、かつ後ろ向きで写っている。同年にはJAL「ハワイツアー キャンペーン'84」のコマーシャルソングとして使用された[10]。ミュージック・ビデオは、北海道釧路市にある釧路市湿原展望台、標茶町にある釧網本線の茅沼駅などで撮影された。 1988年12月10日には8センチCDとして再リリースされた[11]。2010年5月5日には両A面シングル「オレンジ/恋の予感」として、再録音リアレンジバージョンがリリースされた[12][13][14]。リアレンジバージョンの制作経緯は、プロデューサーから「今の声でもう1回昔の曲を歌いませんか?」と提案されたことが切っ掛けとなり、当初は伴奏には一切手を加えずボーカルのみ再録音する予定であったが、他メンバーも各パートの再録音を希望したことから当時のトラックをベースに部分的に演奏を差し替えることとなった[15]。また、当初は本作と「ワインレッドの心」(1983年)のみ再録音する予定であったが、興に乗って来たために過去のヒット曲すべてを再録音することになり、結果としてカバー・アルバム『安全地帯 Hits』(2010年)がリリースされることになった[15]。 チャート成績本作はオリコンシングルチャートでは最高位3位、登場週数は18回で売り上げ枚数は43.6万枚となった[1][2]。本作の売り上げ枚数は安全地帯のシングル売上ランキングにおいて3位となった[16]。 TBS系音楽番組『ザ・ベストテン』(1978年 - 1989年)において1984年11月15日に第9位で初登場、11月29日から1985年1月24日の期間はアルフィー「恋人達のペイヴメント」、松田聖子「ハートのイアリング」、チェッカーズ「ジュリアに傷心」、中森明菜「飾りじゃないのよ涙は」に阻まれながらも、8週連続で3位を維持し続けた[17]。番組中では「いっそ セレナーデ」で同時期にランクインした井上陽水とも共演した。また、玉置が野球を愛好していたことから野球に因んだトークが多く、歌前のコーナーでは雪だるまの上のリンゴに雪玉を命中させる場面も放送された[18]。その他、第17回(1984年度)「日本有線大賞」で、有線音楽賞を受賞している。 本作はデビュー40周年記念ベスト・アルバム『THE BEST ALBUM 40th ANNIVERSARY 〜あの頃へ〜』(2022年)の収録曲を決定するファン投票において第2位を獲得した[19]。 カバー日本語バージョン
英語バージョン
中国語バージョン
シングル収録曲
リリース日一覧
収録アルバム
脚注
参考文献
外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia