『べらぼう 〜蔦重栄華乃夢噺〜』(べらぼう つたじゅうえいがのゆめばなし)は、2025年(令和7年)1月5日から放送されているNHK大河ドラマ第64作[1]。
江戸時代中期の田沼時代から寛政の改革にかけて活躍し、板元として喜多川歌麿や東洲斎写楽らを見出した江戸のメディア王・蔦重(つたじゅう)こと蔦屋重三郎の波瀾万丈な生涯を描く。
制作
2023年4月27日に制作発表が行われた。主演を横浜流星、脚本を森下佳子が担当し2024年夏にクランクイン予定であることが発表された。なお、横浜はNHKドラマおよび大河ドラマ初出演となる[1]。
本作では大きな戦が全くなかった18世紀後半を舞台としており、この時代が描かれるのは大河史上初である[2]。
出演者発表は第一弾が2023年10月5日に[3]、第二弾が2024年2月19日に[4]、第三弾が2月21日に[5]、第四弾が4月15日と4月16日に[6][7]、第五弾が4月30日に[8]、第六弾が6月10日に[9]、第七弾が7月15日に[10]、第八弾が8月27日に[11]、第九弾が9月19日に[12]、第十弾が9月27日に[13]、第十一弾が2025年1月11日に[14]、第十二弾が4月15日に[15]行われた。
2024年6月7日、題字が発表された[16]。10月26日、音楽・指揮者の発表と、グローバルVer.のビジュアルならびに特報動画が公開された[17]。11月12日、「放送100年企画」と冠したメインビジュアルが公開された[18][19]。
2024年12月12日、劇中の語りをかつて吉原遊廓内に存在した九郎助稲荷という設定で綾瀬はるかが担当することが発表された[20]。
タイトルの『べらぼう』とは「たわけ者」「バカ者」、転じて「甚だしい」「桁外れな」という意味[21]。制作統括の藤並英樹は「蔦屋重三郎はきっと『べらぼう奴()!』と罵られていた」と想定し、それが時代の寵児になっていくという様に、「親しみと尊敬を込めた言葉として『べらぼう』と名付けました」と説明している[22]。
国際放送での英語タイトルは、「とらわれない」「縛られない」などを意味する『UNBOUND(アンバウンド)』。なお、Unboundには「未製本」の意味もあり、出版に携わる蔦重を暗喩している[17]。
あらすじ
第一章(第1回 - 第16回)
安永の初め、江戸・吉原。茶屋「蔦屋」の蔦屋重三郎は、義兄の次郎兵衛、大火の中で救った少年唐丸とともに、茶屋を切り盛りしつつ、幼馴染の花の井ら女郎に貸本を行うことで生計を立てていた。しかし非公認の岡場所や宿場の隆盛により、吉原は閑古鳥が鳴くようになっており、多くの女郎が病や飢えに苦しんでいた。思い悩んだ重三郎は、今をときめく老中・田沼意次に面会し、岡場所の取締り「警動」を発してもらうよう訴える。しかし意次は岡場所の存在意義を説き、逆に重三郎が吉原を栄えさせるために何かしているのかと問いただし、重三郎は目が覚めたような思いをする。勝手な行動を取ったことで養父の駿河屋市右衛門や女郎屋の経営者たち(忘八)に桶伏せの罰を与えられつつも、重三郎は吉原のガイドブックである『吉原細見』の質を上げることで客を呼ぼうと思いつく。そして、吉原細見の板元である地本問屋・鱗形屋孫兵衛に話をつけると、評判の文人である平賀源内に自腹を切って序文を依頼し、ある程度の評判は得る。続いて絵師・北尾重政とともに女郎たちを花に見立てた『一目千本』を制作し、本作りの面白さに目覚める。さらに重三郎は地本問屋・西村屋与八と組んで『雛形若菜初模様』制作のために奔走し、平賀源内に「耕書堂」の堂号を貰って本格的に出版事業に参入しようとする。しかし、西村屋が重三郎に接近してきたのは鱗形屋の罠であり、鱗形屋と地本問屋のまとめ役・鶴屋喜右衛門によって、『雛形若菜初模様』の出版権も西村屋単独のものとされてしまう。唐丸は重三郎を手伝う中で非凡な絵の才能を発揮し、重三郎は「当代一の絵師にする」と約束するが、何らかの過去を持つ唐丸はその露見を恐れて姿を消してしまう。
唐丸の生存を信じる重三郎は、彼が戻ってきたときのためにも板元になろうと考え、源内の紹介で知り合った江戸出版界の長老・須原屋市兵衛の助言を受けて、鱗形屋で働き始める。しかし、偽板作りに手を出していた鱗形屋には奉行所の捜査が入り、孫兵衛は逮捕されてしまう。空いた席に自身を入れるように地本問屋たちと交渉した重三郎は、「倍売れる細見を作ったら認める」という言質を取る。内容や割付を工夫して掲載情報を増やしつつも制作費を抑えて半値にしたことと、重三郎の助けになりたいと考えた花の井が長らく絶えていた瀬川の名跡をついだことで、その情報が唯一載っている重三郎の細見『籬の花』は飛ぶように売れ、条件を達成する。しかし、鱗形屋の罪が軽く済んで復帰したことで、地本問屋たちは約束を反故にする。その際に吉原への侮蔑を鶴屋が口にしたことで駿河屋たちは激怒し、地本問屋たちに吉原出禁を言い渡す。これにより重三郎は吉原の忘八たちの支持を受ける代わりに江戸市中の販路は使えなくなり、独自の路線を歩むことになるが、勝川春章や朋誠堂喜三二、北尾政演(山東京伝)らと知り合い、次々に作品を世に出していく。
その頃瀬川には高利貸しで財を成した富豪・鳥山検校から身請話が持ち上がる。それをきっかけに重三郎は幼い頃から瀬川に惹かれていたことに気がつき告白する。瀬川は身請けを断って年季明けに重三郎と一緒になる約束をするが、二人はそれぞれ女郎屋の主人・松葉屋半左衛門と女将・いねからそれでは誰も幸せになれない現実を突きつけられる。瀬川は身請けに同意し、重三郎は瀬川への餞を兼ねて豪華絵本を作成することにする。身請けの日、重三郎は瀬川の姿が載った『青楼美人合姿鏡』を贈り、「吉原を楽しいことばかりのところにする」という夢を語る。瀬川は一笑に付すが、重三郎は二人で見てきた夢ではないかと問いかけ、自身はこれからもその夢を見続けると言う。その言葉を聞いた瀬川は最後の花魁道中をおこない、大門を出て行く。瀬川は鳥山検校に深く愛され、それに応えようともするが、重三郎のことを忘れられずに鳥山検校の嫉妬を招く。
一方、幕府では将軍・徳川家治の信任を受けた意次が、日々悪化する幕府財政への対処に取り組んでいた。しかし、旧来の秩序を重視する老中筆頭松平武元や将軍世子徳川家基らと対立する。さらに御三卿田安家出身の賢丸(松平定信)も強引に他家に養子入りさせられたことで意次を恨むようになり、意次に対抗する。しかし幕臣たちの困窮はなおも強まり、その一因が検校をトップとする当道座による高利での貸し付けと強引な取り立てにあると判明する。意次の訴えにより家治・家基は当道座に対する対処を決断し、手入れが始まる。鳥山検校も幕府の摘発を受け、瀬川を自身から解放することを選び離縁となる。吉原に戻った瀬川は、独立店舗を構えようとしていた重三郎に、結婚して一緒に店をやろうと誘われて二人は結ばれる。しかし、検校のせいで吉原に売られてきた娘に逆恨みされて襲われたことと、吉原者への江戸市中からの強い風当たりを目の当たりにしたことで、瀬川は自身が重三郎の障害になってしまうと考えて吉原を出て行く。
その頃、平賀源内はエレキテルの複製に成功し医療器具として売り出すが、やがて行き詰る。新たに蝦夷地に目をつけた源内は、親交のある意次に蝦夷地開発を進言する。しかし当時の幕府は家基の急死により揺れており、意次はまずその真相を調査するよう源内に依頼する。源内は家基が手袋に仕込まれた毒により何者かに殺害されたことを突き止め、松平武元もほぼ同時に真相にたどり着き、意次と武元は政治信条の違いを越えて犯人を突き止めるために協力することになる。しかし、その直後に武元も謎の死を遂げ、元々対立していた意次に疑念が集まってしまう。調査を続行すれば新たな被害が出ると考えた意次は、源内に手を引かせて幕引きをはかろうとするが、源内は拒否する。何者かに目をつけられた源内は、煙草に薬物を仕込まれて幻覚を見るようになり、殺人の濡れ衣を着せられて獄死する。重三郎と意次は、源内を救えなかった後悔を胸に、それぞれの道で邁進していくことになる。
登場人物
吉原
蔦屋と駿河屋
- 蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)
- (柯理 → 蔦屋重三郎)
- 演:横浜流星(幼少期:高木波瑠)
- 主人公。吉原大門外の地本問屋「耕書堂」の主人。元は義兄の茶屋「蔦屋」を事実上経営しつつ貸本業を営んでいたが、やがて自ら出版に乗り出して事業を拡大していき、大文字屋の勧めで独立した店を構える。通称は蔦重(つたじゅう)・重三(じゅうざ)、別名は蔦唐丸(つたのからまる)[注釈 1]。幼名は柯理(からまる)。「ありがた山の寒がらす」「これしか中橋」などの地口を好み、面会時に口にした地口から田沼意次にはありがた山と呼ばれる。
- 曲がった事が嫌いな熱血漢。聡明で勘が鋭く、発想力と行動力に優れる。成功のための努力を惜しまず、多少の挫折にも挫けない気性で、養父・市右衛門や鱗形屋孫兵衛からその才覚を評価されている。商人としての抜け目のなさも持ち合わせるが、自らの儲けには興味がなく、吉原全体を潤すことが第一と考えている。そのため、吉原を金づるとして利用しようとする江戸市中の地本問屋たちには怒りを露わにする。端整な風貌の持ち主で、男色の平賀源内に「相当いい男」と評されたり、かをりから熱烈に惚れられたりする。
- 7歳の頃に両親に捨てられ駿河屋に拾われるが、両親が存命ということで他の孤児たちにいじめられる。その頃に寄り添ってくれた朝顔に恩義を感じており、彼女の死をきっかけに女郎たちを飢えさせないよう吉原に客を呼び戻そうと奔走するようになる。その中で本づくりの楽しさに目覚め、出版の力で吉原を盛り上げ、魅力を発信しようとするようになり、徐々に味方を増やして成り上がっていく。
- 「吉原者は女郎に惚れるな」という教育を受けてきたため花の井からの想いに気付かなかったが、彼女の身請けの話を知って自分も惚れている事に気付く。一時は花の井との足抜けも考えるが結局断念し、吉原を挙げての盛大な花魁道中の仕掛け人として彼女を送り出す。吉原俄祭りにおいても実行役として奮闘し、祭りの様子を記録した絵本『明月余情』を売り出して成功を収める。当道座の摘発によって鳥山検校から離縁された花の井の身柄を引き取り、一緒に店を切り盛りする事を夢見るが、自分が居ては足手纏いになると配慮した彼女に去られてしまう。心身共に不安定となり失墜していく源内を救うべく奔走するも果たせず彼の死を見送るが、須原屋と共にその遺志を継いでいく事を誓う。
- 駿河屋市右衛門(するがや いちえもん)
- 演:高橋克実
- 引手茶屋「駿河屋」の主人。重三郎の養父。重三郎からは「親父様(おやじさま)」と呼ばれる。店二階の大広間で大店の主人たちを招いて寄合を開く、吉原における最有力者の一人。
- 海千山千のしたたかな商売人だが、立腹すると暴力を振うなど粗野な一面も持つ。本質的には情誼に厚い人情家だが、そういう部分はあまり表には出さない。右肩に入れ墨を入れている。
- 吉原の孤児を拾っては丁稚として厳しく躾け、成長すると他所に奉公に出すなどしているが、重三郎は手元に残し蔦屋で働かせている。重三郎が本づくりに勤しむようになると激怒し、たびたび暴行を加えたり階段から落としたりするが、それは重三郎の商才を誰よりも買い、駿河屋を継がせることも考えていたためであった。扇屋宇右衛門にその真意を指摘され、『一目千本』に込められた吉原への想いを理解し、重三郎の本づくりに反対しなくなる。
- その後は憎まれ口を叩いたりしながらも重三郎を常に気にかけ、多額の資金が必要だと知ると五十両の大金を迷わず貸し付るなど陰ながら支援する。重三郎が書肆として独立した際は保証人となるが、訳ありの存在となった花の井との結婚には反対する。しかし、最終的にふじにより了承させられる。
- ふじ
- 演:飯島直子
- 駿河屋の女将。重三郎の養母。実子と分け隔てなく重三郎を慈しむ。
- 店の二階で寄合が開かれている時は、一階でお菓子を食べながら帳簿を確認している。夫・市右衛門は気性が激しく多弁であるのと正反対に、穏やかで無口であるが、いざという時に有無を言わさずに主張を通す迫力を持つ。重三郎の花の井との結婚話に関しては、当初は夫とともに反対するが、何があっても彼女を守るという覚悟を重三郎が見せると、市右衛門に了承させる。
- 次郎兵衛(じろべえ)
- 演:中村蒼
- 駿河屋市右衛門とふじの実子。重三郎の義兄。
- 蔦屋の主人だが駿河屋の跡取り息子と見なされているためか仕事熱心ではなく、蔦屋を重三郎に事実上経営させ、自身は挿花や三味線などの趣味に勤しんでいる。おしゃれと流行に敏感で、青本や冨本節が流行るといち早く取り入れている。頼りないが義弟想いで、重三郎を駿河屋市右衛門からたびたび庇う。意外と観察眼が鋭いという一面があり、何気ない一言で重三郎にひらめきを与えている。瀬川身請けの道中や吉原俄祭りでは普段見せないやる気を見せ、大いに張り切る。
- 喜多川歌麿(きたがわ うたまろ)
- (唐丸 → 捨吉 → 喜多川歌麿)
- 演:染谷将太(幼少期:渡邉斗翔)
- 浮世絵師、元「蔦屋」の小僧。復帰後に駿河屋市右衛門の養子に入り重三郎の義弟となる。人別上での名前は「勇助(ゆうすけ)」。
- 明和の大火にて炎上する建物の方へ一人で歩いているところを重三郎に保護される。火事のショックで記憶を失ったため、自分の名前も覚えておらず、重三郎の幼名である「からまる(唐丸)」と命名され、蔦屋で重三郎の仕事を手伝っていた。しかし実際には過去の記憶を持っており、火事場で唐丸を見た浪人の恐喝を受ける。重三郎を守るために浪人とともに川に落ち、消息を絶つ。
- 礒田湖龍斎の絵を本物そっくりに再現するほどの絵の才能を持っており、重三郎は「当代一の絵師」にすると約束していた。
- 留四郎(とめしろう)
- 演:水沢林太郎
- 蔦屋の奉公人。
- 唐丸出奔後に蔦屋で働き始める。次郎兵衛と重三郎のフォローを欠かさない有能な男。
松葉屋
- 花の井(はなのい)
- (あざみ → 花の井 → 瀬川 → 瀬以)
- 演:小芝風花(幼少期:前田花)
- 女郎屋「松葉屋」の元呼出花魁。重三郎とは幼馴染で、幼少期の名乗りはあざみ。源氏名は花の井、のちに瀬川(せがわ)。鳥山検校に嫁いでからは瀬以(せい)と呼ばれる。店内での序列は松の井に次ぐ二番手であったが、瀬川を襲名してからは一番の売れっ子となる。
- 勝ち気で言うべき事ははっきり言う気性だが、自分が「籠の鳥」である事もわきまえている。踊りの名手でもある。職業柄、人の心の機微に聡く機転もきき、本音を隠してうまく立ち回る処世術を持ち合わせるが、重三郎には素の姿を見せる。吉原の闇を達観して見ているが、そこで花魁として生きる覚悟と矜持を持つ。趣味は読書で『青楼美人合姿鏡』では本を読む姿が描かれている。足抜けを計画した重三郎からもらった吉原大門の通行手形の切れ端を肌身離さず持っている。
- 元は農民の娘で年貢を払いきれなくなった両親により売られる。幼い頃は朝顔付きの禿であり、朝顔が見世を去った後も慕い続け、食事や薬を重三郎に届けさせるなど気にかける。朝顔が死ぬと重三郎と同じように悲しみ、吉原のために奮闘する重三郎に協力するようになる。そして重三郎の作る吉原細見の売上げのために話題を作ろうと、いわくつきの名跡である瀬川を襲名する。
- 重三郎に長年秘かに想いを寄せ、幼い頃にもらった『塩売文太物語』を大切に持っているが、想いが成就することはないと弁えており表に出すことはなかった。しかし、自身の鳥山検校への身請話をきっかけに両想いとなり、身請を断って年季明けまで待とうとするが、それでは誰も幸せにならないことをいねに諭されて身請けを了承する。吉原を挙げての盛大な花魁道中によって送り出され、鳥山のもとに嫁ぐ。鳥山から高価な品々を惜しみなく買い与えられるなど溺愛されるが、重三郎への想いを捨てきれずその心の内を鳥山に読み取られる事を怖れ、客と女郎のように表面的な間柄を続ける。幕府の当道座への処分がおこなわれた際には松葉屋預かりとなり、その後鳥山の配慮により離縁される。これにより重三郎と結ばれ、本屋を共に切り盛りする約束をするが、自分は重三郎の夢の障害になってしまうと考え、重三郎から贈られた書籍と彼への置手紙を残して吉原を去る。
- 松葉屋半左衛門(まつばや はんざえもん)
- 演:正名僕蔵
- 松葉屋の主人。駿河屋で開かれる寄合における中心人物の一人。重三郎からは「松葉の親父様(まつばのおやじさま)」と呼ばれる。
- のらりくらりとした物腰の人物。瀬川が重三郎と想いを通わせて身請け話を断ろうとした際には、仕事中の瀬川の姿を重三郎に見せ、年季明けまできつい仕事を続けさせるのかと問いかける。しかし、瀬川への餞別の『青楼美人合姿鏡』は直接渡すように重三郎に言う。
- いね
- 演:水野美紀
- 松葉屋の女将。瀬川ら女郎からは「女将さん(おかさん)」と呼ばれる。
- 吉原の掟を厳格に守るが情が無いわけではなく、女郎と見世にとって最善の道を模索し行動している。
- 元は花魁で松葉屋半左衛門に見初められ女郎屋の女将となった[23]。足抜けしようとしたうつせみや、身請話を断ろうとした瀬川に対して、それでは幸せにはなれないことを理路整然と諭す。再び足抜けしたうつせみを追って源内宅に押しかけ、身代金代わりとしてエレキテルを奪うが、のちに効き目がなかったと述べている。
- うつせみ
- (うつせみ → ふく)
- 演:小野花梨
- 松葉屋の元座敷持花魁、小田新之助の妻。店内での序列は松の井、花の井に次ぐ三番手。本名は「ふく」で足抜け後はふくと名乗る。
- 上位の二人とは違い内気でおとなしい性格。新之助と相思相愛になり、懐事情のよくない彼に代わって自ら揚げ代を払ってでも会いたいと望むほど入れ込む。金を稼ぐために、女郎の肌に刃物で客自身の名を彫り、痛がらせることを喜ぶような変な客をとるようになる。疲弊した様子を見かねた新之助の提案で足抜けを敢行するも失敗して連れ戻され、いねに折檻されながら考えの甘さを指摘される。
- その後も新之助への想いは変わらず、俄祭りを訪れた彼との再会を果たすと、そのまま雑踏に紛れて足抜けする。松葉屋では神隠しにあったということにして処理されるが、新之助が源内の弔いに重三郎の元を訪れた際に、源内の手引きで百姓になっていたことが明かされる。
- 松の井(まつのい)
- 演:久保田紗友
- 松葉屋の呼出花魁。松葉屋では一番の売れっ子。
- 花の井以上に気が強くドライな性格で、重三郎に対してずけずけとした物言いをする。気位は高いが仲間想いでもあり、また周囲を常に冷静に観察している。空き時間には、客へ出す手紙の下書きをしたためている。
- 花の井が瀬川を襲名し持てはやされるようになると複雑な感情を抱くが、身請けされた花の井の送別の花魁道中に参加し花を添える。
- 俄祭では新之助を見付けたうつせみの背中を押し、「祭りには神隠しが付き物」と足抜けを促す。
- とよしま
- 演:珠城りょう
- 松葉屋の番頭新造。
- まさ
- 演:山下容莉枝
- 松葉屋のやり手。
- 瀬川が身請け話を断ろうとすると、重三郎との関係を察したいねの指示で瀬川の監視も行う。
- さくら、あやめ
- 演:金子莉彩(さくら)、吉田帆乃華(あやめ)
- 花の井付きの禿。
- はなぞの、はなさと
- 演:平尾菜々花(はなぞの)、齋藤さくら(はなさと)
- 花の井付きの振袖新造[25]。
- 松崎(まつざき)
- (さえ → 松崎)
- 演:新井美羽
- 松葉屋の女郎。
- 元は旗本の娘だったが、鳥山検校とは別の検校の取り立てにより両親が自害したために行き場所を失い、吉原に売られてくる。堕胎により体調を崩し、寮での療養中に検校の妻である瀬川を逆恨みして包丁で襲い、怪我を負わせる。その際に検校の所業により吉原に売られた恨みを述べたため、瀬川に「百姓出身の自分は武家による年貢の取り立てのせいで吉原に売られたが、それを恨んでも仕方ない」と諭される。その後は回復し、大晦日の狐舞では女郎として元気に振る舞う姿を見せる。
- はつ
- 演:長野里美
- 松葉屋の寮の管理人。
- 療養中の女郎たちの面倒を見る。
大文字屋
- 大文字屋市兵衛(だいもんじや いちべえ)
- 演:伊藤淳史
- 女郎屋「大文字屋」の主人。駿河屋で開かれる寄合における中心人物の一人。市右衛門以上に短気で粗暴であり、重三郎をしばしば殴りつけるなど、「忘八」の典型例のような人物。重三郎からは「カボチャの親父様」と呼ばれる。
- 安いカボチャを女郎に食べさせる倹約経営で成り上がった。自身もカボチャを好み、カボチャ色の派手な着物を着る。女郎を商売道具としか考えていない拝金主義者だが、重三郎の試みが金になりそうだとみなすとまっさきに賛意を示す。将軍家治の日光社参の行列を見物して感銘を受け、吉原俄を盛大な祭りとして開催することを思いつき、企画に賛同した重三郎と共に祭りの実行役として奮闘する。若木屋がこの発案を横取りする形で世話人として名乗りを上げ、しかも同じ雀踊を出し物として選んだため、憤慨し大いに張り合うが、1ヶ月に渡り雀踊で勝負をした末に心を通じ合わせ、和解する。重三郎に書肆としての独立を勧める一方で、自身は神田にある空き屋敷の購入を目論むが町名主の妨害に遭い、町奉行に訴訟を提起するも退けられるのみならず「吉原者は四民の外」と差別的な扱いを受けてしまう。
- 誰袖(たがそで)
- (かをり → 誰袖)
- 演:福原遥(幼少期:稲垣来泉)
- 大文字屋の花魁。振袖新造時代の名はかをり。
- おおらかで自由奔放な気性で、重三郎に一方的な好意を寄せ、お座敷で聞き覚えた芝居がかったセリフとともに迫って来る。
- 重三郎の発案で富本豊志太夫を歓待する出張宴席に参加、太夫の吉原俄祭り出演の承諾に貢献する。大文字屋の秘蔵っ子として育成されやがて花魁にまでなるが、重三郎の事を諦めてはおらず自分を身請けするよう迫って来る。
- 志げ(しげ)
- 演:山村紅葉
- 大文字屋のやり手。かをりの見張り役。
- 自由奔放なかをり(誰袖)に手を焼きつつ、お仕置き棒を持って追い回す。
二文字屋
- きく
- 演:かたせ梨乃
- 浄念河岸の女郎屋「二文字屋(にもんじや)」の女将。
- 行き場所がなくなった女郎たちの居場所であろうと女郎屋を経営してきたが経営難に陥り、一度は見世を畳む決心をするが、花の井が平蔵に入銀の名目で払わせた五十両を重三郎が横流ししたことにより救われる。重三郎が一時的に蔦屋を追い出されると見世に住まわせ、『一目千本』や吉原細見『籬の花』の製本作業を見世の女郎たちとともに手伝う。
- 朝顔(あさがお)
- 演:愛希れいか
- 二文字屋の女郎。重三郎と花の井にとっては幼い頃世話になった恩人で、「朝顔姐さん」と呼ばれ慕われる。
- 元は松葉屋の花魁であったが、優しい性格が災いし、きつい客を引き受けたり食事を周囲に分け与えたりしていた結果、体を壊して二文字屋に行きつく。重三郎の見舞いを楽しみにしていたが、飢えと胸の病から亡くなり、身ぐるみを剥がされて他の死んだ女郎たち(演:吉高寧々、藤かんな、与田りん[26])と共に投げ込み寺に打ち捨てられる。「分からないことに関しては思い切り楽しい想像をする」という教えは、その後も重三郎や花の井の生きる指針となっている。
- ちどり
- 演:中島瑠菜
- 二文字屋の女郎。
- 空腹にあえいでいた時に朝顔に弁当を譲られて食べ、その後まもなく朝顔が死去してしまったことを気に病み、重三郎と花の井に朝顔の死を伝える。
- 春風(はるかぜ)、音羽(おとわ)、歌浦(うたうら)
- 演:青山美郷(春風)、大田路(音羽)、馬渡綾(歌浦)
- 二文字屋の女郎たち。
- 店の経営難のため、音羽は新潟の古町に売られ吉原を去る。
その他の吉原の住人
- 半次郎(はんじろう)
- 演:六平直政
- 蔦屋の向かいにあるそば屋「つるべ蕎麦」の店主。
- とぼけた性格で下世話な話をすることも多いが、重三郎を常に応援する相談相手であり理解者。
- りつ
- 演:安達祐実
- 女郎屋のちに芸者の見番「大黒屋」の女将。駿河屋での寄合の紅一点で、中心人物の一人。
- 「ひんむきゃみんな、人なんて同じ」という信念を持ち、謂れなき差別への怒りを隠さない。楼主たちの中では重三郎に対して最も理解があり、積極的に協力する。
- 富本豊志太夫の熱烈なひいき客であり、太夫を吉原俄祭りに参加させる事を提案、大文字屋や重三郎と共に実現に奔走する。大文字屋が奉行所から差別的な扱いを受けた際には激怒するも、この件を機に女郎屋を廃業し見番所へ業態を転換する。
- 扇屋宇右衛門(おうぎや うえもん)
- 演:山路和弘
- 女郎屋「扇屋」の主人。駿河屋での寄合における中心人物の一人で、駿河屋とともに上座に着く。
- 理知的な性格で、重三郎が本屋になった事に激怒する市右衛門を宥め、重三郎の考えを商売に活かすように説得する。寄合においても出席者同士が揉めた際の宥め役を務める。
- 若木屋与八(わかぎや よはち)
- 演:本宮泰風
- 女郎屋「若木屋」の主人。
- 駿河屋たちが市中の地本問屋たちを吉原出禁にしたことに納得せず、地本問屋と交流を続ける派閥を結成して吉原を二分する。大文字屋から俄祭りの構想を聞くと、その場では懐疑的な反応を示すが、彼を出し抜く形で世話人として名乗りを上げる。出し物も大文字屋と同じ雀踊りを選んで大いに張り合い、それをきっかけにして和解し、以後は駿河屋の寄合にも顔を出すようになる。大文字屋が奉行所から差別的な扱いを受けた際には同情し慰めた。
- 丁子屋長十郎(ちょうじや ちょうじゅうろう)
- 演:島英臣
- 女郎屋「丁子屋」の主人。駿河屋での寄合の出席者。左頬に切り傷があるのが特徴。
- 長崎屋小平治(ながさきや こへいじ)
- 演:千葉清次郎
- 引手茶屋「長崎屋」の主人。駿河屋での寄合の出席者。白髪交じりの男。
- 桐屋伊助(きりや いすけ)
- 演:キンタカオ
- 引手茶屋「桐屋」の主人。駿河屋での寄合の出席者。大柄な体格の男。
- 若木屋が反主流派を形成した際には伊勢屋、玉屋、井筒屋らと若木屋派についたが、俄祭を経て他の店主たちともども寄合に復帰した。
- 伊勢屋九平治(いせや くへいじ)、玉屋庄兵衛(たまや しょうべえ)、万字屋半四郎(まんじや はんしろう)、泉屋与市(いずみや よいち)、井筒屋孫兵衛(いづつや まごべえ)、山口巴屋半助(やまぐちともえや はんすけ)
- 演:会田泰弘(伊勢屋)、岡山和之(玉屋)、岡けんじ(万字屋)、車邦秀(泉屋)、佐藤政之(井筒屋)、真木仁(山口巴屋)
- 吉原の駿河屋での出席者たち。いずれも女郎屋・引手茶屋の大店の主人。
- 志津山(しづやま)
- 演:東野絢香
- 玉屋の座敷持ち花魁。花の井を「床下手」とけなすなど気が強く口が悪い。『一目千本』では葛花に見立てられる。
- 亀菊(かめぎく)
- 演:大塚萌香
- 桐菱屋の座敷持ち花魁。気高くツンとした性格から、『一目千本』では山葵の花に見立てられる。
- 勝山(かつやま)
- 演:平館真生
- 四ツ目屋の座敷持ち花魁。非常に無口で、『一目千本』ではくちなしの花に見立てられる。
- 常磐木(ときわぎ)
- 演:椛島光
- 角か那屋の呼出花魁。何人もの客を腹上死させた魔性の女で、『一目千本』では鳥兜に見立てられる。
- 玉川(たまかわ)
- 演:木下晴香
- 角たま屋の呼出花魁。美声の女郎で、『一目千本』では蒲公英の花に見立てられる。
- 嬉野(うれしの)
- 演:染谷知里
- 扇屋屋の呼出花魁。陽気な性格で、『一目千本』では丈菊の花に見立てられる。
吉原の客
- 和泉屋三郎兵衛(いずみや さぶろべえ)[注釈 2]
- 演:田山涼成
- 花の井の馴染客。
- 田沼屋敷に出入りする商人で、意次に会おうとする重三郎が強引に同行する。
- 去る客、懲りない客
- 演:児玉智洋(去る客)、赤羽健壱(懲りない客)
- 吉原の客。瀬川襲名に釣られて吉原に来て勝手な噂話をする。
- 豪商
- 演:林家三平
- 松の井、うつせみの客。
- 松葉屋から俄祭りを見物していたものの、興奮して松の井とうつせみを見世の外に連れ出したことがうつせみの足抜けにつながる。
- 熊野屋(くまのや)
- 演:峰竜太
- 吉原の客。信濃の豪商。重三郎に商売往来の意見を求められて応じ、それが反映されたものが耕書堂から出版されると感激して知り合いに勧める。
江戸市中
平賀源内とその関係者
- 平賀源内(ひらが げんない)
- (厠の男 → 平賀源内)
- 演:安田顕
- 鉱山技師、本草学者、蘭学者、浄瑠璃作者、戯作者などさまざまな顔を持ち[注釈 3]、漱石香の宣伝文句を考えてヒットさせる、解体新書の挿絵師に絵を教えるほど絵の心得があるなど、多才な人物。頭の回転が早く、早口で話す。
- 元の仕官先から奉公構を出されているため、決まった士官先を持たずに心のままに生き、一山当てようと巨額の資金を集めて事業を興しては失敗するものの、口の上手さで乗り切っている。その仕事内容と生き様から「山師」と呼ばれるが、自身はそれを誇りとしている。福内鬼外(ふくうち きがい)など様々な戯号を持ち、重三郎と出会った当初は貧家銭内(ひんか ぜにない)と名乗る。
- 重三郎が岡場所の警動をしない奉行所に文句を言っていたのを偶然聞き、田沼意次に訴え出ることを提案したことで重三郎と知り合う。正体を知った重三郎に吉原細見の序の執筆を依頼されるが、男色家であり、過去に書いた序の出来も悪かったと、一度は断る。しかし重三郎と花の井の働きにより了承し、吉原を自ら見て回った上で、福内鬼外の筆名で序を提供する。その後は重三郎と親交を深め、困ったときは頼り合う間柄となる。重三郎が板元を志すと堂号を依頼され、「耕書堂」と付ける。
- 中津川鉱山の開発を主導する傍ら、副産物である炭を細々と売っていたが、鉱山事業が頓挫すると本格的に炭焼き事業に乗り出す。その後はエレキテルの復元に成功して医療器具として売り出し、評判を得る。しかし、エレキテルの製法を弥七に盗まれて模倣品が出回ったことと、エレキテル自体に医療効果はないという評判が広まったことで行き詰る。常に明るく振る舞ってはいるが、内心では学者として大成しなかったことを気に病んでおり、エレキテルの事業にも失敗したことで、自身が何の成果を上げられていないと思い悩み、憔悴していく。
- 田沼意次とは才覚を評価されて親交を深め、千賀道有を通じて裏から資金援助を受けている他、意次の依頼で八代将軍吉宗の書を改竄するなど汚れ仕事にも関わる。家基急死の際には意次の頼みで調査をおこない、手袋に仕込まれた毒で殺されたことを突き止める。意次からは手を引くように忠告されるが、意次に疑惑の目が向けられていると知ると、潔白を示そうと動き続けたために、近づいてきた久五郎と丈右衛門に陥れられ、殺人の濡れ衣を着せられた挙句不審な獄死を遂げる。罪人ゆえに遺骸は引き渡されず、ただ墓だけが作られた。
- 小田新之助(おだ しんのすけ)
- 演:井之脇海
- 源内とともに行動する浪人。源内の助手的存在で、吉宗の書の改竄やエレキテル製作の手伝いなどもする。
- 生真面目で実直な青年で、湯島の長屋に住み、源内を居候させている。重三郎からは「新さん」と呼ばれ親しく付き合い、細見製作などを手伝う。腕力沙汰は不得手で、剣術の腕前もからっきしである。
- 源内にしたがって吉原を訪れた際、座敷に出たうつせみに一目惚れし、吉原に通うようになる。やがて相思相愛の仲となり「新さま」と呼ばれるようになる。しかし、うつせみが自分との逢瀬のために変な客をとってまで自ら揚げ代を稼ごうとする様子を見て自身の不甲斐なさに苛まれ、足抜けをさせようとするが失敗してうつせみと引き離される。彼女が罰として殺されるのではないかと思い詰め、居宅で切腹を図るが重三郎に止められる。
- その後もうつせみを諦めきれず、俄祭りの際に吉原に紛れ込みうつせみと二度目の足抜けを決行する。それからしばらく消息不明だったが、源内の弔いのために重三郎の元を密かに訪ね、源内の手引きで百姓をしながら子供たちに読み書きを教えていることを明かす。
- 平秩東作(へづつ とうさく)
- 演:木村了
- 内藤新宿の煙草屋。源内の仕事仲間。
- 源内が鉱山事業に失敗するとその出資者に詰め寄られ人質に取られるが、炭焼き事業への転換の目途が立ったため解放される。源内と同じ「山師」で借金取りに追われているが、その中で蝦夷の砂金に目を付け源内に勧める。家基急死の際には意次の頼みで源内と共に調査を行う。
- 杉田玄白(すぎた げんぱく)
- 演:山中聡
- 『解体新書』で有名な蘭方医。
- 元は源内の弟子のような存在であったが、当代一の蘭方医として名声を博しており、立場が逆転している。源内のエレキテルに関しては、「イカサマでないとは言い切れない」と評する。源内が殺人の容疑で捕らえられた際には、須原屋と重三郎とともに源内の潔白を意次に訴える。
- ひさ
- 演:東雲うみ
- 新之助と同じ長屋に住む町娘。玉菊灯籠の見物に訪れるが、通行切手を発行してもらいながら大門をくぐらなかったことで、新之助のうつせみとの足抜け計画に利用される。その後は源内のエレキテル製作を手伝う。
- 弥七(やしち)
- 演:片桐仁
- エレキテルの製作を手伝う町人。
- 飲み込みの早さを源内に評価され気に入られていたが、エレキテルの図面を盗んで模倣品を作り、源内の商売を行き詰まらせる一因となる。
- 瀬川菊之丞(せがわ きくのじょう)
- 演:花柳寿楽[注釈 4]
- 歌舞伎の女形。源内の亡き恋人。
- 源内の家でよく舞の稽古をしていた姿は源内の思い出となっている。かつて路考髷や路考結びなどの流行を作り出して呉服屋が大儲しており、それを源内が重三郎に話したことが、呉服屋の入銀による『雛形若菜初模様』の制作に繋がる。
- 久五郎(きゅうごろう)
- 演:齊藤友暁
- 大工。長屋を追い出されそうになっていた源内に近づき、神山検校が住んでいた空き家に無料で住まわせる。気前よく煙草を振る舞うが、煙草には何らかの薬物を仕込んでおり、源内に幻覚症状を見せる。丈右衛門と通じ、源内を自害に見せかけて殺す計画であったが、実は源内とともに処分されることになっており、自らも斬り殺される。
- 丈右衛門(じょうえもん)
- 演:矢野聖人
- 自称旗本の用人。意次からの紹介を装い、源内に屋敷普請の設計を依頼する。しかし、久五郎から与えられた煙草で源内が狂人のようになったところで久五郎を殺害し、その罪を源内に着せ、彼の竹光と草稿を奪って姿を消す。
鱗形屋
- 鱗形屋孫兵衛(うろこがたや まごべえ)
- 演:片岡愛之助
- 須原屋と並ぶ江戸最古参の書肆である地本問屋「鱗形屋」の主人。吉原細見の大手板元。重三郎からは「鱗の旦那様(うろこのだんなさま)」と呼ばれる。
- 重三郎とは元から知り合いであり、重三郎が提案する吉原細見の改善案を飲むが、金は出さずに利用だけしようとする。重三郎の才覚を評価しつつも自分の手元に置き、さらには吉原の取り込みをも目論む。西村屋、鶴屋と組んで『雛形若菜初模様』の版権を横取りしてしまう。
- 本づくりへの情熱は本物で、かつて自身の曾祖父が生み出した青本を時代に合わせて改良しようと意気込み、目を輝かせて重三郎とネタ作りに取り組む。しかし、明和の大火により店の経営は厳しくなっており、密かに丸屋源六の名で偽板作りに手を染め、逮捕される。逮捕の原因を重三郎による密告と思い込み、さらに自身の拘留中に取って代ろうとされたとして、重三郎を激しく憎むようになる。市兵衛の口添えを得て軽い処分で釈放されると、重三郎と温めたネタを元に人気戯作者の恋川春町に『金々先生栄花夢』を書かせて一大ブームを巻き起こす。しかしなおも莫大な借金に苦しみ、富本豊前太夫や朋誠堂喜三二が重三郎に協力することになったことに焦りを覚える。さらに債権の一部が当道座にわたったことで厳しい取り立てを受けるようになり、手代の徳兵衛が再び偽板作りに手を染めたことで罰金刑を課せられ、信用を失い落ちぶれて行く。それでも支援を申し出てきた重三郎をきっぱり拒絶する矜持を持ち、「うちから奪った商いを返せ」と怒りを露わにする。
- りん
- 演:蜂谷眞未
- 鱗形屋孫兵衛の妻。
- 長兵衛(ちょうべえ)
- 演:三浦獠太
- 鱗形屋孫兵衛の長男。
- 万次郎(まんじろう)
- 演:野林万稔
- 鱗形屋孫兵衛の次男。
- 父親を助けるために利益率のよい書物問屋になろうと漢字の勉強に励む孝行息子。父親が逮捕された後、板木を高値で買い取ると持ち掛けてきた西村屋をきっぱりと拒絶する。
- 藤八(とうはち)
- 演:徳井優
- 鱗形屋の番頭。
- 店の経営状態悪化により多くの従業員に暇を出してしまったため、番頭ながら雑用をこなす。鱗形屋の一度目の偽板づくりに関与し、共に逮捕される。
- 徳兵衛(とくべえ)
- 演:山本圭祐
- 鱗形屋の手代。
- 店の資金難を見かね、孫兵衛に無断で二度目の偽板作りをおこない摘発される。
出版人たち
- 小泉忠五郎(こいずみ ちゅうごろう)
- 演:芹澤興人
- 浅草の摺物屋。もともと独自の吉原細見を発行していたが、西村屋が細見作りに参入するとその改(あらため)となる。
- 重三郎とは元から知り合いで、西村屋の下で共に細見を作ろうと誘うが、きっぱりと断られると敵意を燃やす。
- 西村屋とともに行動し、忠七とともに吉原に出入りして重三郎の動向を探ることもある。
- 西村屋与八(にしむらや よはち)
- 演:西村まさ彦
- 錦絵で有名な地本問屋「西村屋」の主人。「松泉堂(しょうせんどう)」の戯号を持ち、自ら青本の執筆もおこなう。
- 口八丁手八丁の策士で、吉原者を軽蔑しつつも吉原での一儲けを企んだり、入獄した鱗形屋の板木買取りを家族に持ちかけるなど商魂たくましい人物。重三郎に強い対抗意識を持ち、忠五郎と忠七を吉原に送り込み重三郎の動向を監視させている。
- 『雛形若菜初模様』制作時に重三郎に協力を申し出て、呉服屋からの入銀や江戸市中での販売を実現させるが、手配をすべて重三郎にさせた上で騙し、版権を自分だけのものとする。鱗形屋が逮捕されると吉原細見の出版に参入し、重三郎と売り上げを競う。鱗形屋、鶴屋と共に市右衛門らから吉原への出入り禁止を申し渡されるが、若木屋と結託して巻き返しを図り、俄祭りに合わせて『青樓俄狂言』を出版する。
- 忠七(ちゅうしち)
- 演:斉木テツ
- 西村屋の手代で身の回りの世話も行う。
- 忠五郎とともに吉原に出入りし、そこで入手した重三郎の動向に関する情報を主人に報告している。
- 鶴屋喜右衛門(つるや きえもん)
- 演:風間俊介
- 地本問屋「鶴屋」の主人。地本問屋仲間のまとめ役。童顔で駿河屋市右衛門からは「赤子面(あかごづら)」と言われる。
- 慇懃な口調と物腰だが、重三郎ら吉原者に対して露骨な差別意識を持つ。一方で出版に対しては怜悧な分析力の持ち主でもある。
- 鱗形屋、西村屋と組み、重三郎の板元としての新規参入を阻む。吉原の楼主たちの寄合に乗り込み嫌味な口調で吉原者を侮蔑する言辞を並べ立て、激怒した市右衛門に階段から突き落とされ吉原への出入り禁止を申し渡される。その後も鱗形屋や西村屋らに陰から助言を送りつつ重三郎に対抗し続ける。
- 須原屋市兵衛(すわらや いちべえ)
- 演:里見浩太朗
- 鱗形屋と並ぶ江戸最古参の書肆である書物問屋「須原屋」の主人。
- 江戸の出版業界の長老で、重厚だが気さくな人物。鶴屋とは違い重三郎ら吉原者への差別意識は持たない。大坂の板元にも顔が利く。
- 平賀源内の紹介で重三郎と知り合う。板元になるにはどうすべきか相談に乗り、自身の経験からのれん分けを目指して本屋へ奉公に出ることを提案する。重三郎を見どころのある若者と認め、その後も何かと目をかけている。鱗形屋が逮捕された際には大坂の板元と掛け合い、穏便に済ませてもらう。源内とは親交が深く著書も出版しており、源内に殺人の容疑がかかったときには重三郎や杉田玄白と共に意次に潔白を訴えに行く。その思いもむなしく源内が獄死すると、源内の著書を出し続けることを誓う。
- 岩戸屋源八(いわとや げんぱち)
- 演:中井和哉
- 地本問屋。
- 重三郎が作った細見が売れそうだと見込むとまっさきに飛びつき、大量に仕入れる。
- 村田屋治郎兵衛(むらたや じろべえ)、奥村屋源六(おかむらや げんろく)、松村屋弥兵衛(まつむらや やへえ)
- 演:松田洋治(村田屋)、関智一(奥村屋)、高木渉(松村屋)
- 地本問屋。
- 鶴屋たちに同調し、重三郎のことを吉原者として蔑む。
- 丸屋小兵衛(まるや こへえ)
- 演:たかお鷹
- 地本問屋。通称は「丸小(まるこ)」。
- 耕書堂が往来物を出版するようになったために上得意だった手習いの師匠を耕書堂に取られる。
絵師・戯作者
- 朋誠堂喜三二(ほうせいどう きさんじ)
- (平沢常富 → 朋誠堂喜三二)
- 演:尾美としのり
- 佐竹家江戸留守居役にして売れっ子の戯作者。朋誠堂喜三二は戯号であり、本名は平沢常富(ひらさわ つねまさ)。吉原に長年通い、「宝暦の色男(ほうれきのいろおとこ)」の異名を持つ。道陀楼麻阿(どうだろう まあ)など別の戯号も用いる。重三郎からは「まあさん」と呼ばれる。
- 藩重役の身分が露見しないよう気を使いつつ、活発な創作活動を展開する。好奇心旺盛で享楽的な性格。
- 留守居役の仕事で吉原を使うだけでなく自腹でも通う吉原マニアで、重三郎の作った『青楼美人合姿鏡』を絶賛する。頻繁に吉原を訪れ、吉原で起きる様々な事象の傍観者になっていた[注釈 5]。俄祭りの開催を面白がり、大文字屋陣営の参謀を自ら買って出る。祭りの準備を共にする中で重三郎を気に入り、鱗形屋との板挟みになりつつも重三郎とも仕事をすることを選び、『明月余情』の序を担当する。本職での収入があることから本の売上げには興味がなく、「江戸市中で本は売れなくとも重三郎と組むのは楽しく吉原での接待も受けられる」という理由でその後も重三郎の元から本を出版する。
- 北尾重政(きたお しげまさ)
- 演:橋本淳
- 板本の挿絵を数多く手掛ける人気絵師。
- 重三郎が初めて作った入銀本の作画を依頼される。その際に単色の版画では大勢の人物を描き分けるのは困難だと重三郎に教えたことが、女郎を花に見立てる『一目千本』のアイデアにつながる。その後も重三郎と交流を持ち、友人の勝川春章や弟子の北尾政演を紹介し、『青楼美人合姿鏡』の作画を春章とともに手掛けたりする。
- 北尾政演(きたお まさのぶ)
- 演:古川雄大
- 重政の弟子の絵師。のちの山東京伝。
- 女好きで「絵はモテるために描くもの」と断言する。多くの仕事を抱える売れっ子だが、筆が早いために早々に他の仕事をこなし、吉原での接待を目当てに耕書堂の仕事をやりたがる。重三郎を通じて知り合った朋誠堂喜三二とは同じ吉原好きとして意気投合する。
- 礒田湖龍斎(いそだ こりゅうさい)
- 演:鉄拳
- 美人画で有名な絵師。西村屋の斡旋により『雛形若菜初模様』の作画を請け負う。その後も西村屋の『青樓俄狂言』の作画を請け負う。
- 勝川春章(かつかわ しゅんしょう)
- 演:前野朋哉
- 役者絵で有名な絵師。名前や画風を真似た浮世絵が市中に多く出回るほど人気を集める。
- 北尾重政の紹介で『青楼美人合姿鏡』の作画をともに請け負うことになり、女郎たちの普段の姿を興味津々に観察して描く。重政とともに俄祭りの見物に訪れ、その盛り上がりを体感したことと、礒田湖龍斎の『青樓俄狂言』に対抗心を燃やしたことから、祭りの風景を速報する墨摺絵を急遽描くことになり、耕書堂から『明月余情』として出版される。
- 恋川春町(こいかわ はるまち)
- (倉橋格 → 恋川春町)
- 演:岡山天音
- 小島松平家の内用人。武士としての本名は倉橋格(くらはし いたる)。団扇絵を描いていたところを鱗形屋に見いだされて絵師や戯作者としても活動し、鱗形屋から『金々先生栄花夢』などを出している。
- 華麗な戯号を名乗るも、本人は至って生真面目で義理堅く、所作もいちいち武士らしい人物。
- 自藩の家老が偽板作りの件で迷惑をかけたことから、経営が傾いた鱗形屋からほぼ謝礼を受け取れないにもかかわらず鱗形屋から本を出し続ける。
- 歳が離れた喜三二と親しく付き合っており、共著も出している。重三郎との面識はなく、鱗形屋から聞いた話から悪印象をもっている。
- 志水燕十(しみず えんじゅう)
- (北川豊章 → 志水燕十)
- 演:加藤虎ノ介
- 戯作者。
- 鳥山石燕(とりやま せきえん)
- 演:片岡鶴太郎
- 妖怪画の大御所。
芸人とその関係者
- 富本豊前太夫(とみもと ぶぜんだゆう)
- (富本豊志太夫 → 富本豊前太夫)
- 演:寛一郎
- 富本節の太夫。初名は富本午之助(とみもと うまのすけ)。
- 「馬面太夫(うまづらだゆう)」とあだ名されるほどの面長な顔立ちだが、美声と男ぶりの良さで絶大な人気を博す。11歳のときに父・初代富本豊前太夫を亡くしたため後ろ盾がなく、襲名がなかなか認められずに豊志太夫(とよしだゆう)を名乗っていたものの、重三郎の働きにより当道座の鳥山検校が動き、豊前太夫襲名が実現する。
- かつて門之助とともに素性を隠して吉原に行っていたものの、門之助が役者と露見して見世を追い出された経験から吉原を嫌っており、吉原俄への出演の打診を一度は断る。しかし、重三郎の働きにより心を動かされて了承し、さらに耕書堂から直伝正本を出版することを認める。その後も重三郎と親しく付き合うが、源内が縁起の悪い屋敷に引っ越して様子がおかしくなった事を重三郎に伝える。
- 市川門之助(いちかわ もんのすけ)
- 演:濱尾ノリタカ
- 歌舞伎役者。午之助とは兄弟同然の仲。
- 名見崎徳治(なみざき とくじ)
- 演:中野英樹
- 富本節の三味線方。
- 初代豊前太夫に代わって豊志太夫を指導し、人気の太夫にまで育て上げるもなかなか襲名が認められないことに悩む。襲名が叶った後も太夫を支える。
- 烏亭焉馬(うてい えんば)
- 演:柳亭左龍[注釈 6]
- 大工の棟梁にして浄瑠璃作家。りつの夫の知り合い。
- 浄瑠璃で吉原の場面を書くために、吉原について教えてほしいと重三郎に頼む。代わりに耕書堂の名前を織り込むように頼まれ、重三郎をモデルとした本重という人物を出演させる。
- 座元
- 演:本村健太郎
- 芝居小屋の座元。
- 重三郎とりつが見物にいった芝居で口上を述べる。重三郎がその軽妙さと面白さに感心したことが、のちに『伊達模様 見立蓬莱』の巻末広告につながる。
- 本重(ほんじゅう)
- 演:花柳忠彦
- 浄瑠璃『碁太平記白石噺』の登場人物で重三郎をモデルとする。
当道座
- 鳥山検校(とりやま けんぎょう)
- 演:市原隼人
- 当道座の検校。瀬川の上客、のちに夫。名は玉一(たまいち)。
- 盲目だが他の感覚が鋭く、まるで見ているかのように人の動きを察したり、声色から他人の感情をも読み取ることができる。女郎たちに細かい気遣いができ、仮名手本忠臣蔵の台詞を用いた会話をするなど洒落っ気もある人物。一方で高利貸しで巨万の富を築いてもおり、重三郎からは「ヒル」と評されている。
- 瀬川を1400両という大金で身請けし、「瀬以」の名を与え高価な装飾品を惜しみなく買い与え、「望むことは何でもかなえてやる」と述べるなど溺愛する。しかし数年たっても瀬以が打ち解けず女郎と客のような関係性が続く一方で、彼女が重三郎と会った際に声が弾んでいるのを鋭く聞き取り嫉妬を覚え、不義密通を疑う。
- 重三郎を呼び寄せ、瀬以とともに斬ろうとするが、幕府によるお調べが入ったために重三郎と会うことはなかった。お白州では瀬以に累を及ぼさないため、離縁を申し出る。
- 座頭
- 演:ドンペイ
- 当道座の座頭。
- 高利貸しを生業とし、借り手から厳しく取り立てるのみならず、返済の目途が立たない武家から跡目を奪うことにも手を染めている。森忠右衛門に過酷な取り立てを行い、摘発のきっかけを作ってしまう。
その他(江戸市中)
- 湯屋の主人
- 演:ジェームス小野田
- 重三郎が『一目千本』の見本を配った湯屋の主人。
- 薪炭問屋主人
- 演:綾田俊樹
- 薪炭問屋「山崎屋」の主人。
- 店じまいを考えており、株と店を源内に売る。
- 四五六(しごろく)
- 演:肥後克広
- 彫師。
- 重三郎に吉原細見の版木の彫りを依頼される。割の合わない仕事ながら吉原での宴会という報酬に釣られて引き受ける。その後も重三郎から仕事を依頼されるが、「耕書堂の仕事を受けたら仕事を回さない」という鶴屋たちの脅しに屈して一度は断る。しかし、重三郎が毎年二十両を約束したことで、耕書堂専属の彫師となる。
- ヤス
- (向こう傷の男 → ヤス)
- 演:高木勝也
- 浪人。左頬に大きな傷跡がある。
- 唐丸の火事場での姿を見たと言って強請り、蔦屋の金を盗ませる。しかし、唐丸とともに川に落ち、水死体となって発見される。
- 唐丸の母[注釈 7]
- 演:向里祐香
- 夜鷹。
- 寂蓮(じゃくれん)
- 演:岩井志麻子
- 尼。捨吉の馴染み客。
- 医者
- 演:福澤重文[28]
- 松葉屋に呼ばれ朋誠堂喜三二を診察する医師。
江戸幕府
徳川将軍家と関係者
- 徳川家治(とくがわ いえはる)
- 演:眞島秀和
- 江戸幕府第10代将軍。
- 田沼意次を信任し政務を任せており、意次の傀儡と見なされている。しかし、意次が日光社参を止めさせようと動いていた際には、将来のことを考えると意次のためにならないと諭して受け入れさせるなど、実際には意次の手綱を握っている。将棋を好み、意次と指すこともある。
- 知保の方(ちほのかた)
- 演:高梨臨
- 家治の側室で家基の母。低い身分の出身で意次の助力を得て大奥入りしたものの、現在は反田沼の立場をとる。意次より「欲張り」と評される。息子・家基と同じ爪を噛む癖があり、家基の死を聞いた際には生爪を嚙みちぎるほど取り乱し、意次が毒をもったと騒ぎ立てる。
- 徳川家基(とくがわ いえもと)
- 演:奥智哉
- 家治の嫡男。将軍の世子として「西の丸様」と呼ばれる。
- 文武に優れた人物ではあるが、財政問題より旧来の秩序や幕府の権威を重視しており、膨大な経費のかかる日光社参の実施を主張するなどしている。そのため意次を「成り上がりの奸賊」と嫌っており、父・家治に対しても憚ることなく意次への不信感を口にする。考え込むときや意に沿わないことが起きた際に指の爪を噛むという、母譲りの癖を持つ。田安賢丸や松平武元と手を結び、意次の追い落としを図る。
- 当道座の一件で幕臣が経済的に困窮していることを痛感し、経済の勉強を始める。意次に頼らず自ら政治をおこなうためにも徳川吉宗に倣って文武に励むという決意を述べて武元を感心させるが、その一環として出かけた鷹狩の最中に急死してしまう。
- 鶴子(つるこ)
- 演:川添野愛
- 亡き御台所の遠縁で瓜二つの女性。高岳の紹介で家治の傍に上がり、寵愛を受ける。
- 高岳(たかおか)
- 演:冨永愛
- 大奥老女。大奥上臈御年寄として実権を握る。
- 将軍・家治に話を通すことのできる力を持ち、田沼意次や松平武元も一目置く実力者。
徳川御三卿の人々
- 一橋治済(ひとつばし はるさだ)
- 演:生田斗真
- 一橋家当主。徳川家治の従兄弟。
- 飄々と振る舞っているが、実は権謀術数に長けた野心家で、様々な政局の裏側で不気味な暗躍を見せる。将軍家や御三家、他の御三卿が男児に恵まれない中で唯一の子だくさんで、嫡男の豊千代を筆頭に多くの子を儲けている。
- 傀儡に凝っており「傀儡師にでもなろうか」と冗談を飛ばし賢丸にたしなめられる。田沼意次とは共に傀儡を披露するなど交流が深く、意次の甥・意致を自家の家老として受け入れている。
- 田安治察、徳川家基、松平武元、平賀源内など多くの人物の怪死に関与するが、自らは手を汚さず無関係を装う。
- 豊千代(とよちよ)
- 演:長尾翼
- 治済の嫡男。
- 大崎(おおさき)
- 演:映美くらら
- 豊千代の乳母。
- 田安治察(たやす はるあき)
- 演:入江甚儀
- 田安家当主。徳川家治の従兄弟。
- 弟・賢丸の養子縁組が決まった直後、後継ぎを残すことなく謎の死を遂げる。
- 宝蓮院(ほうれんいん)
- 演:花總まり
- 治察の母。賢丸と種姫の嫡母にあたり、2人を我が子同様に育てる。
- 意次の策謀で賢丸が白河藩に養子に出された際は激怒し、意次を罵る。
- 種姫(たねひめ)
- 演:小田愛結
- 治察の異母妹で賢丸の同母妹。
- 賢丸の策により、将来的に家基に嫁ぐことを前提に家治の養女となり、大奥に入る。
- 清水重好(しみず しげよし)
- 演:落合モトキ
- 清水家当主。徳川家治の弟。
- 家基が亡くなった後に将軍の世子になる話を打診されるが断る。
- 茂姫 (しげひめ)
- 薩摩藩主島津重豪の娘。
- 庸姫(ようひめ)
- 治済の長女。
- 治国(はるくに)
- 治済の次男。
- 斉隆(なりたか)
- 治済の三男。
- 斉匡(なりまさ)
- 治済の五男。
老中・田沼家
- 田沼意次(たぬま おきつぐ)
- 演:渡辺謙
- 江戸幕府老中、遠江相良藩主。武家官位は主殿頭。通称は「主殿(とのも)」。
- 幕府の財政難や日本の経済状況を憂い、南鐐二朱銀発行や鉱山開発などの改革を積極的に進め、商業の発展により民を潤そうとしているが、松平武元らに煙たがられている。信念のためならば手段を選ばないなど清濁併せ持つ人物。父・田沼意行が足軽上がりの成り上がり者であることから家柄の低さを度々揶揄されているが、成り上がり者であることは事実として意に介していない。国元は遠江国相良藩で、街道の整備や特産物の栽培などの施策により豊かになったことから領民に慕われている。
- 度々賄賂を受け取る一方で、町人にも気さくに接し、話を広く聞き届ける度量を持つ。面会に訪れた和泉屋に同行した重三郎が不躾に岡場所を警動するよう訴え出てきた際も、その話を聞いた上で吉原だけのために国益を損なわせることはできないと説き、まずは自ら客を呼ぶ工夫をすべきと指摘する。治察の死を契機に経費抑制のために田安家の取り潰しを目論み、吉宗が残した書物を改竄して賢丸の田安家復帰を防ぐという際どい策を用いている。自身の追い落としを図る家基を牽制するために当道座の高利貸し一味の調査・摘発を断行、家基の側近たちが高利貸しの負債に苦しむ事実を暴露する。
- 平賀源内の才を評価してパトロンとなっていたが、自身が家基急死の原因調査を依頼したことで源内は何者かに目をつけられて陥れられ、殺人の容疑で投獄されてしまう。密かに牢獄に足を運んで源内を励まし、彼を救うために動こうとするが意知に止められる。何者かが暗躍しているのを察し、源内の潔白を訴えてきた重三郎、須原屋、玄白に対しては、源内を意図的に見捨てたかのように装って彼らの深入りを防ごうとする。
- 田沼意知(たぬま おきとも)
- 演:宮沢氷魚
- 意次の嫡男。
- 冷静沈着な切れ者で常に穏やかな言動をしている。意次の懐刀的存在でもあり、吉宗の書物改竄の際には意次と源内との連絡役を担っている。
- 屋敷の来客用に用意されていた料亭製の弁当を下女(演:景井ひな[29])にこっそり分け与えるなど心優しい一面も持つ。
- 田沼意致(たぬま おきむね)
- 演:宮尾俊太郎
- 意次の甥。
- 西の丸で起きた進物窃盗騒ぎの責任をとらされる形で目付を罷免され、意次の取り計らいで一橋家の家老となる。
- 三浦庄司(みうら しょうじ)
- 演:原田泰造
- 田沼家用人。
- 意次の参謀格であり、重要な謀議に参加する。知恵者だがやや品位に欠ける言動をする。
- 楠半七郎(くすのき はんしちろう)
- 演:宮澤寿
- 田沼家家臣。
- 井上伊織(いのうえ いおり)
- 演:小林博
- 相良藩家老。
幕閣とその関係者
- 松平武元(まつだいら たけちか)
- 演:石坂浩二
- 江戸幕府老中首座。武家官位は右近衛将監。幕閣の長老で賢丸からは「爺(じい)」と呼ばれる。白く長い眉毛が特徴で、意次一派からは密かに「白眉毛(しろまゆげ)」と呼ばれる。
- 保守的な価値観の持ち主で、意次を成り上がり者であると嫌い、意次の政策にはことごとく異を唱え、何かにつけて嫌味を言う。賢丸や家基の気概ある言動に期待をかけ、彼らと結んで意次を牽制する。
- 家基急死の際には、意次とともに調査をおこなうように家治に命じられ、手袋に仕込まれた毒により殺されたことにいち早く気が付く。手袋を作らせた意次を犯人として糾弾することもできたが、意次が犯人とも意次を追い落とす絶好の機会とも端から考えておらず、信条は違えども意次の能力や忠義は評価していることを意次に明かす。そして共に真犯人をあぶり出そうとするが、直後に謎の死を遂げる。
- 松平康福(まつだいら やすよし)、松平輝高(まつだいら てるたか)
- 演:相島一之(康福)、松下哲(輝高)
- 江戸幕府老中。
- 老中の会議においては自身の考えを述べずに武元に同調する。家基と武元が相次いで急死すると、意次の仕業ではないかと噂する。
- 松本秀持(まつもと ひでもち)
- 演:吉沢悠
- 勘定吟味役。田沼派官僚の一人。
- 稲葉正明(いなば まさあき)
- 演:木全隆浩
- 御用取次。田沼派官僚の一人。
その他の幕臣とその関係者
- 長谷川平蔵宣以(はせがわ へいぞう のぶため)
- 演:中村隼人
- 旗本。明和の大火の放火犯を検挙した火付盗賊改方・長谷川平蔵宣雄の息子。のちに「鬼平」と称される。端正な容姿をしており、自身でも「男前」と認識している。
- 当主になって間もなく訪れた吉原で、花魁道中をしていた花の井に一目ぼれする。吉原を利用する際は通を装ってわざとシケを垂らし、格好つけてそれを吹く仕草を頻繁にする。遊び人であったが吉原のことは何も知らず、重三郎に「世間知らずのカモ」として利用される。花の井との初会から豪遊し、入銀本のために五十両を支払うなどして家産が尽き、吉原通いを止めざるをえなくなる。
- 御書院番士の役目を得て西の丸の進物番にも選ばれるが性に合わず、奉行所への異動を望んで顔を売るために仕事を手伝っており鱗形屋の逮捕にも関わる。その際に鱗形屋を見殺しにしたことに悩む重三郎の背中を押す言葉をかける。また、意次にも外向きの役目への配置換えを訴え、まずは働きを見せるように要求されたために、座頭金の調査にも関わる。
- 磯八(いそはち)、仙太(せんた)
- 演:山口祥行(磯八)、岩男海史(仙太)
- 長谷川平蔵の腰巾着で、岡場所や吉原に同行するが、吉原では平蔵の威を借りて傍若無人に振る舞う。平蔵の指示で座頭金の調査もおこなう。
- 佐野政言(さの まさこと)
- 演:矢本悠馬
- 旗本。通称は善左衛門(ぜんざえもん)。常に柔和な笑顔と口調で話すが、どこか不穏な空気を纏う。
- 出世を目論んで意知に面会し、かつて田沼家の主家であった佐野家の系図を渡し、田沼家の由緒改竄に利用するよう申し出る。しかしこの話を意知から聞いた意次は取り合わず、家系図は庭の池に投げ捨てられている。その後も意知に面会し贈り物などをするが、意次との面接は叶わず、無下に扱われている。
- 森忠右衛門(もり ちゅうえもん)
- 演:日野陽仁
- 西の丸小姓組。
- 質素倹約を重んじる真面目な旗本だが、20年間禄が変わらず、息子・震太郎も役目を得られず部屋住みのまま妻子を持ったため、家族を養いきれなくなり、座頭金に手を出す。借金がふくらみ、西の丸で窃盗騒ぎを起こし、切腹しようとするまで追いつめられるが、息子に止められ一家で逐電、出家する。意次によって父子ともに身柄を保護され、家治と家基の御前で経緯の説明を行った。
- 森震太郎(もり しんたろう)
- 演:永澤洋
- 森忠右衛門の嫡男。
- 自身のために父が借金し、切腹するまで追いつめられたことを知り、必死になって父を止めて共に逐電、出家する。
- 奉行[注釈 8]
- 演:井上和彦
- 町奉行。
- 神田に屋敷を買おうとして阻まれたことで訴え出てきた大文字屋市兵衛に対し、「吉原者は四民の外」であり今後見附内に土地を買ってはならないという沙汰を下す。鳥山検校と瀬川の裁きも担当し、瀬川には温情な措置を命じる。
大名家とその家臣
- 松平定信(まつだいら さだのぶ)
- (田安賢丸 → 松平定信)
- 演:寺田心
- 田安家の出身で治察の異母弟。田安家にいた頃の名は賢丸(まさまる)。白河藩世子。
- 徳川吉宗を尊敬し、その血筋であることを誇りとしている。武士は学問・武芸が第一という考えを持ち、生真面目な性格で治済の冗談にも正面から反論する。
- 田安家先代の頃から白河松平家への養子入りの打診があったが、難色を示していた。しかし「兄・治察に万一があれば田安家に戻れること」を条件に受け入れる。治察の急死後、田安家を継ごうとするが、意次により断念させられ、意次を激しく憎むこととなる。養子入りのあとも自身が将軍家に対して影響力を持ち続けられるように妹・種姫を家治の養女としてから田安家を去る。白河藩世子となってからは家臣らの指導に励むが、家臣の一人が持っていた『金々先生栄花夢』を読んで庶民の文化にも興味を持つ。
- 白河藩松平家家臣
- 演:園田祥太[30]
- 白河松平家の江戸詰め家臣。青本を読んでいたところを定信にたしなめられる。
- 斎藤茂右衛門(さいとう もえもん)
- 演:蔵本康文
- 小島松平家江戸家老。
- 鱗形屋の偽板づくりに手を貸して藩の資金源としていたものの、捜査の手が及びそうになると手を引き、すべての責任を鱗形屋に押し付ける。
江戸・吉原外の人々
- 船頭
- 演:佐々木健介
- 秩父・中津川の船頭。
- 中津川鉱山から鉄を運び出す船を用意していたため、鉱山事業が頓挫しそうになると憤るが、炭焼き事業の目途が立ち、それに転用できると聞いて納得する。
- 柏原屋与右衛門(かしわばらや よえもん)[注釈 9]
- 演:川畑泰史
- 大坂の板元。
- 自身が発行する『増補早引節用集』の偽板が『新増早引節用集』として出回っているのを尾張・熱田の古書店で見つけ、江戸に来て板元を探し回り、奉行所にも訴え出る。
- 吾作(ごさく)
- 演:芋洗坂係長
- 徳川家基が行った鷹狩で勢子を務めた百姓のひとり。家基が倒れる際の一部始終を目撃し、爪を噛んだ直後に倒れたことを源内に話す。
その他
- 九郎助稲荷(くろすけいなり)
- 演:綾瀬はるか
- 本作の語り手。現代的な観点からの解説も交えつつ物語を案内する。第1回、第17回では人間の姿に化けて登場し、スマートフォンを用いて解説や自撮りを行った。
- 九郎助稲荷は吉原内にあった稲荷社のうちの一社であり、女郎たちの信仰を集める。明和の大火では、重三郎が稲荷社の祠を背負って運び出し、狐像をいったんお歯黒どぶに沈めることで難を逃れた。
- 社は重三郎と花の井の思い出の場所であり、たびたび待ち合わせに使われる。重三郎の悩みを聞いて返答することもあるが、重三郎など人間たちには聞こえていない。
- 八五郎(はちごろう)、熊吉(くまきち)
- 演:阿部亮平(八五郎)、山根和馬(熊吉)
- 重三郎がアイデアを思いついた際の空想に現れる人物。役名は同じだが毎回役柄は異なっている[31][32]。
登場予定の人物
制作エピソード
- 井之脇海は小田新之助を演じる際の役作りについて、「町人が沢山出てくる作品世界の中の武士」という自身の役の立ち位置を表現するために、自身も出演し本作と同じく森下佳子が書き下ろした大河ドラマ『おんな城主 直虎』における高橋一生演じる小野政次(井之脇は当時、小野政次の甥・小野万福を演じた)の「刀に手を置く」という高橋による芝居・立ち姿を継承するような芝居を意識していたと話している[34]。
スタッフ
出典:[36]
紀行
放送
放送時間
ダイジェスト
放送日程
- 視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。
放送時間変更・休止
- 4月27日は休止となり、スペシャル番組を放送[40]。
再放送枠以外での再放送
- 1月19日の0時10分から総合テレビで初回と第2回を連続再放送[41]。
- 2月15日と2月16日に総合テレビで第1回から第6回までを集中再放送[42]。
関連番組
テレビ
- 50ボイス べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~「あなたのべらぼうは?」(NHK総合:2025年1月1日)
- 謎解き!ヒミツの至宝さん~蔦屋重三郎の浮世絵~(NHKBS8K:2025年1月1日、NHK総合:同年4月29日)
- 英雄たちの選択(NHKBS)
- スペシャル「大江戸エンタメ革命~実録・蔦屋重三郎~」(2025年1月1日)
- 江戸を駆けたマルチクリエイター平賀源内(同年2月10日)
- 先人たちの底力知恵泉新春スペシャル「出版1300年 文化はかくして生まれた」(Eテレ:2025年1月1日)
- 大河ドラマ「べらぼう」見て頂戴スペシャル(NHK総合:2025年1月3日) - 出演は小芝風花・風間俊介・眞島秀和
- 歴史サミット「大江戸ルネサンスサミット2025~なぜ江戸は世界的な文化都市になったのか?~」(NHKBS:2025年1月3日)
- 浮世絵EDO-LIFE(Eテレ:2025年1月4日から毎週[注釈 12])
- 大河ドラマ名場面スペシャル(NHK総合:2025年1月4日) - ゲスト出演は石坂浩二・渡辺謙
- 漫画家イエナガの複雑社会を超定義 大河ドラマSPコラボ!クリエイターエコノミー(NHK総合:2025年1月18日) - ゲスト出演は愛希れいか
- 土スタ 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」特集(NHK総合)
- 2025年1月25日 - ゲスト出演は横浜流星
- 同年3月8日 - ゲスト出演は井之脇海・小野花梨
- 浮世絵ミステリー 「べらぼう」コラボ 歌麿と蔦屋重三郎“革命”と“抵抗”の謎(NHKBSプレミアム4K:2025年1月25日、NHKBS:同年2月1日・5月18日) - ゲスト出演は染谷将太
- べらぼうトークショーin台東区(NHK総合:2025年2月6日) - 出演は横浜流星・小芝風花・愛希れいか・渡邉斗翔・中村蒼
- 将棋フォーカス 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」コラボ(Eテレ:2025年2月9日)
- たたかう蔦屋重三郎 いざ!三本勝負(NHKBSプレミアム4K:2025年2月9日、総合:同年5月4日) - ゲスト出演は高橋克実・山村紅葉・高梨臨
- まだ間に合う!大河ドラマべらぼう(NHK総合:2025年2月11日、NHKBS:同年2月14日)[43]
- プライムふくしま 寺田心の白河紀行(NHK総合(福島県域):2025年2月21日) - 出演は寺田心、ナレーションは花總まり
- 大河ドラマ「べらぼう」スペシャルトークin横浜(NHK総合:2025年3月9日) - ゲスト出演は井之脇海・小野花梨・久保田紗友
- さぬきドキっ!「安田顕とめぐる平賀源内ふるさと旅」(NHK総合(香川県域):2025年3月14日、NHK総合:同年4月14日) - 出演は安田顕、ナレーションは高橋克実
- 歴史探偵(NHK総合)
- べらぼうコラボスペシャル よみがえる大江戸(2025年3月19日) - ゲスト出演は水野美紀・風間俊介
- 江戸の仕事人たち(同年5月7日)
- NHKドラマティックトークショー&スペシャルツアー 放送100年in茨城「べらぼう」出演者と語るドラマの世界(NHK総合(茨城県域):2025年3月22日、NHK総合:同年4月10日) - ゲスト出演は愛希れいか・木村了
- べらぼうな花たち 一目千本(Eテレ:2025年3月24日)
- 100カメ×大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合:2025年3月28日)
- 完全版(NHKBS:2025年5月10日・5月24日、NHK総合:同年5月12日)
- べらぼうファンミーティング(NHKBSプレミアム4K:2025年3月30日、NHK総合:同年4月12日) - 出演は風間俊介・水野美紀・中村隼人・安田顕・鉄拳
- 大河ドラマべらぼう ありがた山スペシャル(NHKBSプレミアム4K・NHKBS・NHK総合:2025年4月27日) - ゲスト出演は尾美としのり・水野美紀・中村蒼[40]
- 大河べらぼう安田顕と源内のふるさとで語るトークイベント(NHK総合:2025年4月29日、NHK総合(香川県域):同年5月10日) - ゲスト出演は安田顕・藤並英樹(制作統括)
- イモヅル式に学ぼう!NHKラーニング(Eテレ)
- 「まなぼう」#1 江戸を学べるプレイリスト「吉原」(2025年5月8日) - ゲスト出演は中村隼人・山口祥行・岩男海史
- 「まなぼう」#2 江戸を学べるプレイリスト「食」(同年5月10日) - ゲスト出演は林家三平・ジェームス小野田
- 「まなぼう」#3 江戸を学べるプレイリスト「狂歌」(同年5月18日・5月25日) - ゲスト出演は林家三平・ジェームス小野田
- 放送100年 N響大河ドラマコンサート(NHK総合:2025年5月4日) - ゲスト出演は高橋英樹・ジョン=グラム
ラジオ
- ラジオ深夜便「もっと、べらぼう」(2025年1月5日から隔週で放送、NHKラジオ第1・NHK - FM)
- 聴く大河~“べらぼう”に楽しむ~(NHKラジオ第1)
- 2025年1月11日 - ゲスト出演は中村蒼・久保田紗友
- 同年2月11日
- 大河べらぼう×まんまるコラボ企画“べらぼう”なメッセージ(2025年5月19日、NHKラジオ第1 - ゲスト出演は片岡愛之助
ドラマ舞台地の対応と関連イベント
- 蔦重ゆかりの地(東京都台東区)
-
新吉原花園池(弁天池)跡
-
九郎助稲荷神社を合祀する
吉原神社
-
大河ドラマ館
2025年2月1日 - 2026年1月12日、東京都立産業貿易センター台東館のうち台東区民会館の9階ホールを「べらぼう 江戸たいとう 大河ドラマ館」として開設し、土産物販売を行う「たいとう 江戸もの市」を併設している[44]。また、同期間中はドラマ館から法正寺(蔦重墓碑)、平賀源内墓所、江戸新吉原耕書堂、浅草見番を巡回する「蔦重ゆかりの地 循環バス」を運行する。めぐりんとは別車両別系統による20分間隔の運行で、ドラマ館の当日入場券があれば何度でも無料で乗車可能となっている[45]。
関連イベント
NHK公式
- 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」展
- 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ パネル展』
- 2024年12月23日 - 2025年1月24日 / 台東区役所のアートギャラリーにて、「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ パネル展in台東区」を開催[50]。
- 2025年2月7日 - 28日 / 東京都立中央図書館で、「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ パネル展at都立中央図書館」を開催(企画展「情報、江戸を駆ける!蔦屋重三郎が生きた時代の出版文化」を同時期に並行開催=下記展覧会一覧参照)。
- べらぼうフェスティバル[51]
- 2025年1月11日 - 13日 / 渋谷スクランブル交差点に面したQFRONTにて、「べらぼうフェスティバル」を開催。吉原の通りをイメージした空間での衣装展示が行われた。なお、渋谷のでの開催では、隣接する渋谷蔦屋書店が、べらぼうの世界観や江戸の風情を感じるオリジナル商品の販売も実施[52]。
- 2025年1月24日 - 2月2日 / 同企画を高松駅のイベントスペースにて開催。
- 2025年2月15日 - 24日 / 同企画を福島県のこむこむ(福島市 子供の夢を育む施設 こむこむ館)にて開催。
- 2025年3月1日 - 2日 / 同企画をNHK横浜放送局(NHK横浜フェスタ会場)にて開催。
- 2025年3月2日 / 同企画をみなとみらい線日本大通り駅のイベントスペースにて開催。
- 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」特別展示in丸の内…2025年2月21日 - 25日 / 丸の内ビルディング(1階イベントスペース マルキューブ)にて[53]。
- 大河ドラマ「べらぼう」ワールド…2025年3月1日 - 11日 / 渋谷キャストで開催された「放送100年 NHK超体験フェス」の企画コーナーとして設置[54]。
- 大河ドラマ「べらぼう」全国巡回展[55]
- 2025年3月25日 - 30日 / 高松市立美術館にて。
- 2025年3月29日 - 4月7日 / NHK新潟放送局(新潟局会館)にて。
- 2025年4月12日 - 18日 / NHK岡山放送局(岡山局会館)にて。
- 2025年4月12日 - 18日 / NHK大分放送局にて。
- 2025年4月21日 - 27日 / NHK鹿児島放送局(鹿児島局会館)にて。
- 2025年4月22日 - 28日 / NHK徳島放送局(徳島局会館)にて。
- 2025年5月3日 - 5日 / NHK広島放送局(広島局会館)にて。
- 2025年5月3日 - 9日 / NHK福岡放送局にて。
- 2025年5月11日 - 19日 / NHK札幌放送局(札幌局会館)にて。
- 2025年5月13日 - 18日 / 茨城県立歴史館にて。
- 2025年5月22日 - 28日 / NHK旭川放送局にて。
- 2025年5月22日 - 30日 / NHK静岡放送局(静岡局会館)にて。
- 2025年5月31日 - 6月6日 / NHK北見放送局(北見局会館)にて。
- 2025年6月4日 - 10日 / NHK福井放送局(福井局会館)にて。
- 2025年6月9日 - 15日 / NHK帯広放送局(帯広局会館)にて。
- 2025年6月14日 - 22日 / NHK京都放送局(京都局会館)にて。
- 2025年6月20日 - 26日 / NHK甲府放送局(甲府局会館)にて。
- 2025年7月1日 - 6日 / 宮崎県立図書館にて。
- 2025年7月5日 - 13日 / NHK放送技術研究所(東京)にて。
- 2025年7月19日 - 27日 / NHK松山放送局(松山局会館)にて。
- 2025年7月19日 - 27日 / NHK大阪放送局にて。
- 2025年7月31日 - 8月6日 / NHK佐賀放送局(佐賀局会館)にて。
- 2025年8月2日 - 11日 / NHK仙台放送局(仙台局会館)にて。
- 2025年8月18日 - 24日 / NHK金沢放送局(金沢局会館)にて。
- 2025年8月26日 - 9月1日 / NHK松江放送局(松江局会館)にて。
- 2025年9月6日 - 15日 / NHK名古屋放送センタービルにて。
- 2025年9月6日 - 15日 / NHK横浜放送局(横浜局会館)にて。
- 2025年9月19日 - 26日 / NHK秋田放送局(秋田局会館)にて。
- 2025年9月27日 - 10月5日 / NHK熊本放送局(熊本局会館)にて。
- 2025年9月30日 - 10月8日 / 白河市立図書館にて。
- 2025年10月11日 - 19日 / 関門海峡ミュージアムにて。
- 2025年10月12日 - 19日 / 栃木市立美術館にて。
- 2025年10月27日 - 11月3日 / NHK富山放送局(富山局会館)にて。
- 2025年10月29日 - 11月5日 / NHK山口放送局(山口局会館)にて。
- 2025年11月8日 - 14日 / 長崎県美術館にて。
- 2025年11月9日 - 17日 / NHK奈良放送局(奈良局会館)にて。
- 2025年11月19日 - 28日 / NHK神戸放送局(神戸局会館)にて。
- 2025年11月22日 - 30日 / NHK大津放送局(大津局会館)にて。
- 2025年12月6日 - 12日 / NHK千葉放送局(千葉局会館)にて。
その他の主催
- 2025年1月6日 - 12月25日 / 日本橋耕書堂跡に近い中央区で創業200年を超す老舗呉服屋・和装用品の田源が自社ビル内に設けたイチマス田源きものクリニック&呉服問屋ミュージアム(中央区まちかど展示館認定)にて、耕書堂の店頭を原寸大立体再現。入場無料[56]。
- 2025年1月18日 - 2026年1月12日 / 吉原大門跡と吉原神社の中ほどにある千束四丁目交差点角に、蔦重が吉原で開業した貸本屋の耕書堂を模した観光案内所と土産物屋を兼ねた江戸新吉原耕書堂を開設。入場無料[57]。
- 2025年2月2日 - 25日 / 歌舞伎座にて松竹創業130周年記念として猿若祭(初代 中村勘三郎・猿若が1624年に江戸で初めて芝居小屋を旗上げしたことを記念する中村座の伝統行事)を開催し、蔦重役を中村勘九郎 (当代)が務める『きらら浮世伝 版元蔦屋重三郎 魁申し候』が上演される[58][注釈 13]。
- 2025年2月10日 - 3月2日 / 浅草の奥山おまいりまち商店街と浅草西参道商店街で、蔦重が携わった浮世絵などを大型のぼり旗や提灯化あるいは巨大床アートとして飾ったり、江戸のライブパフォーマンスを行う「浮世絵と歌舞伎まつり THE ASAKUSA」を開催[59]。
- 2025年2月24日 / 台東区で毎年恒例のスタンプラリー「広い浅草ウォークラリー」が開催。今年は『べらぼう』ゆかりの江戸新吉原耕書堂・平賀源内墓所・法正寺(蔦重墓碑)をコースに盛り込む[60]。
- 2024年3月3日 - 2026年1月末(予定) / 日本橋耕書堂跡に近い中央区のユニホームメーカー・ボンマックスが自社ビル1階のロビーを改修し、「蔦重通油町(とおりあぶらちょう)ギャラリー」を開設。江戸料理文化研究家の車浮代による解説パネルや、江戸小物の販売を行う。入場無料、土・日・祝休[61]。
- 2024年3月10日 - / 『べらぼう』に関連する台東区・中央区を盛り上げる「耕書堂プロジェクト」を立ち上げ、蔦重・歌麿・写楽らを現代風のイケメンキャラ化。日本橋エリアでは、そのグッズなどをCOREDO室町1の日本橋案内所の一角に設けた「耕書堂においでなんし」で販売。上野エリアでは松坂屋上野店内の上野案内所でシャンシャン (ジャイアントパンダ)が蔦重の衣装を着たマスコットも販売。いずれも入場無料、営業はテナントビルの休業日に準じる[62]。
-
耕書堂の店先復元(田源ビルにて)
-
江戸新吉原耕書堂
-
浮世絵と歌舞伎まつり 大提灯
-
浮世絵と歌舞伎まつり 路面アート
-
蔦重通油町ギャラリー
-
耕書堂においでなんし
展覧会
ドラマ放送期間およびその前後に、ドラマの舞台地を始め全国各地で蔦屋重三郎や同時代の浮世絵、出版文化に関する展覧会が開かれている。
関連商品
サウンドトラック
- 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」オリジナル・サウンドトラック(日本コロムビア)
- vol.1(2025年2月5日、COCP-42437、EAN:4549767336558)
書籍
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-
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- 第壱集(第一回 - 第十六回、2025年8月1日発売予定)
- 第弐集(第十七回 - 、2025年11月21日発売予定)
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脚注
注釈
- ^ 第1回放送より。
- ^ キャストクレジットは和泉屋。
- ^ 第2回放送より。
- ^ 所作指導を兼任。
- ^ 第2回放送において偽名で吉原を訪れていた源内に「源内先生」と声をかけたのが初登場。その後はクレジットされるものの画面に映るのは一瞬のみという放送回が続き、見つけるのが難しいとSNS上で話題となった[27]。正体が判明した第12回放送においてそれまでの出演シーンを示すという演出が行われ、スペシャル番組「ありがた山スペシャル」でも改めて尾美の口から登場シーンの解説がおこなわれた。
- ^ 江戸ことば指導を兼任。
- ^ キャストクレジットは母。
- ^ 劇中で登場する幕府への書状の署名は「町奉行 牧野大隅守成賢」。
- ^ キャストクレジットは柏原屋。
- ^ BSプレミアム4Kは同日放送回の再放送
- ^ 有難山の鳶烏 コトバンク
- ^ 「べらぼうの世界」と題して1月4日から本作に関連した話題を毎週放送。
- ^ 同演目は、今回蔦重を演じる勘九郎の父である中村勘三郎 (18代目)が1988年にパルコ劇場で新作公演した作品の再演となる。
- ^ 2014年の「吉原細見の世界」、2019年の「吉原細見の世界2」、2024年6月「吉原細見の世界3 前編」に続く企画。
- ^ 関連展示として2月7日から28日まで、「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ パネル展at都立中央図書館」も開催。
- ^ 関連展示として「大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』展・静岡まきのはら」も開催。
- ^ ガイドブック前編には『八代将軍吉宗』の主演であった西田敏行とナレーションの江守徹、『天下御免』の主演であった山口崇のインタビューが掲載されている。なお、西田は放送前年の2024年10月17日に、山口は放送期間中の2025年4月18日にそれぞれ死去した。
出典
参考文献
外部リンク
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関連項目 |
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