BOLDLY
![]() BOLDLY株式会社(ボードリー)はソフトバンクと先進モビリティの合弁会社であり、スマートモビリティサービスの事業を行う企業である。 概要先進モビリティ、ソフトバンク、ヤフーなどが連携し自動運転技術を活用した特定地点間のコミュニティーモビリティーや隊列および自律走行による物流・旅客運送事業などの社会実証・実用化に取り組む[2]。 ソフトバンクと合弁を組む「先進モビリティ株式会社」は、2014年6月に東京大学生産技術研究所次世代モビリティ研究センターを母体として設立された大学発ベンチャーである[3]。 当社設立に際し、ソフトバンクが同社の第三者割当増資を引受け5億円を出資、株式の40%を取得している[4]。 先進モビリティへは、磁気センサ技術を保有するトヨタ自動車系の愛知製鋼が2018年2月に17.2%の資本参加をしている[5]。 政府が2020年までに自動運転車の公道利用解禁を目標に掲げたことを受け[6]、先進モビリティの障害物の検知や加速・減速、ハンドル操作などの自動運転技術とソフトバンクの通信基盤やセキュリティ、ビッグデータ分析利用ノウハウとYahoo!JAPANのフローティングカーデータを活用し[3]、2018年を目処に走行ルートが事前に決まるバスやトラック向けの自動運転車両の販売や貸与事業の実用化を目指している。運転手の高齢化や過疎化に悩むバス会社や地方自治体の需要を狙う他、ヤフーがスマートフォンを使った送迎バスの予約や決済などの関連サービスも開発し、将来は出資する海外のタクシー配車サービス会社との連携を視野に入れている[4]。 実証実験は中古のバスを自動運転車に改造して行われている。現在の自動運転技術はAIベースではないが、将来的には自動運転技術にNVIDIAのGPUおよび車載人工知能エンジンDRIVE PX2を利用する計画がある。2016年10月時点で4自治体と協定を締結しており、福岡県北九州市・静岡県浜松市とは地方都市モデル、鳥取県八頭町とは中山間地域モデル、長野県白馬村では観光地モデルを試し、今後は離島モデル、被災地モデルの2つを加えて、5つのモデルでカバーしていく見込み[7]。 導入技術Dispatcherレベル4自動運転の実施にあたり導入している遠隔運行管理システム。カメラ映像を大型二種免許を所有するスタッフが遠隔操作で常時監視できるようにしたもの。スタッフはPCモニタを通じて自動運転バスの現在地、車の情報をリアルタイムに把握できるとされる。現在は自動運転バス車内にもバスを停止するスタッフが常駐して2人体制で監視しており省力効果は期待できないが、「将来的には1セットのDispatcherで複数台のバスを監視するなどの効率化」を目指している[8]。 アバターテレポーテーション株式会社SpiralMindの開発した車内コンテンツ開発用オープンAPI。遠隔で車両を監視している管理者の顔の目や鼻、口や頭の傾きを検出し、バス車内のディスプレイのCGキャラクターに反映させる技術で、遠隔地にいるオペレーターがアバターを通して自動運転車に不慣れな乗客に対し温かみのあるサポートを行う。福岡空港のデモンストレーションでは渋谷にいる声優の表情をiPhone Xの顔認証技術を用いて読み取りバーチャルバスガイドとして自動運転の解説を行った[9][10]。 使用車両ナビヤ・アルマ![]() フランスのベンチャー企業「ナビヤ(NAVYA)」が設計・開発した自動運転専用の電気自動車。GPS等で自車位置を測位およびLiDARやカメラで障害物を検地することで、予め設定したルートを自律走行できると紹介されている[11]。 ポンチョ登場以前から実証実験に利用されている。中古車を改造した車両[12]。 新車を先進モビリティが改造した車両。既存車両を改造することで安く調達することを試みている。また、EVよりも制御の難しいディーゼル自動車を用いて実験することでより高い技術を得ることも目標にしている。車両改造に要する期間は3ヶ月程度とされる[8]。 改造コストは非公開だが商用化時点で1,000万~1,500万円程度に抑える予定[13]。 仕様
バスの公道定期運行に向けた取組2020年1月27日、茨城県境町は2020年4月より電気自動運転バスの定期運転を開始すると発表した。境町は約5億2000万円の予算を組み、ナビヤ・アルマを3台購入し、改造した車両を5年間運行する予定。アルマは定員11名(乗員2名、乗客9名)、時速20km/hで往復5kmのルートを1日4往復し、無料で利用できる予定[14]。当社がルート設定やセンサーの設置など運行システムを提供し、ナビヤの販売代理店であるマクニカが車両整備を担当してサポートする。 当初は車外オペレーターの管制要員と車内にドライバーと保安要員兼説明員の2名が乗車する3名体制で運用し、レベル2の自動運転となるが、ドライバーの介入は非常時の対応(飛び出しの緊急回避)や自動化されていない操作(追い越しや車庫入れや充電)に限定され、基本的に介入の必要がないレベル4相当の自動運転技術が用いられる予定。購入した改造使用車両は夏頃に納車されるため、4月のサービス開始時は当社の保有車両を借り受ける。開始当初は当社からスタッフが派遣されて運行管理と乗務員を担当するが、いずれ地元バス事業者に権限を移譲していく方針[15][16]。 導入と運用コスト前述の茨城県境町は3台の自動運転バスの5年間の運行・維持の費用として5億2000万円の予算を計上している。運転手・保安要員・監視員を配置すると3台で合計7名分の人件費がかかり、交代要員を含めると5年間で数億円と運行・維持予算の半分を人件費が占めるという。 バスの車両代は3台で1億5000万円。BOLDLYによる初期設定費用が数千万円。ランニングコストとして、運行管理システム「Dispatcher」の利用料は1台当たり月10万円程度であるため、3台で5年間1800万。そしてマクニカが担当する車両の維持管理費がかかる。 境町ではハンドルのない自動運転車を公道で走らせるために国土交通省が18年に創設した基準緩和認定制度を活用しており、かじ取り装置がない「特別装置自動車」を公道で走らせる条件の一例として「保安要員を配置すること」と記してあることを踏まえ、運転手とは別に保安要員を配置している。国交省自動車局技術政策課は「安全な運行を実現する一例を示したものであり、保安要員が必須なわけではない」と見解を示しているが[17]、手続資料に「保安要員を配置すること」の記載がある以上、事業者の判断で保安要員を配置せずに運用することが憚られる状況にある。将来、運転手が保安要員を兼務できるようになれば重い人件費の負担が半減される見込みである。 沿革
ソフトバンクの自動車関連事業これまでソフトバンクグループでは、自動車関連事業として、ソフトバンクモバイルが2013年7月10日から香川県小豆郡土庄町豊島で超小型モビリティの実証実験を行い[78]、2014年10月11日から奈良県明日香村で超小型モビリティのレンタルサービス「MICHIMO」を開始[79]。2016年3月26日からは、PSソリューションズが香川県豊島で電動二輪車のレンタルサービス「瀬戸内カレン」を提供している[80]。また、本田技研工業(ホンダ)の研究開発子会社である本田技術研究所とソフトバンクは、cocoro SB株式会社が開発したAI技術「感情エンジン」をモビリティへ活用する共同研究を実施し、またソフトバンクと本田技術研究所は第5世代移動通信システムを想定したコネクテッドカー技術の強化を目的とした共同研究を行っていた。[81] また、川崎重工業が「感情エンジン」を活用した次世代モーターサイクルの開発に着手している。 2016年10月20日、NEDOとフィリピン共和国貿易産業省(DTI)およびイントラムロス監督庁(IA)は共同で電動三輪自動車とEVエコシステムを組み合せた新公共交通システム実証事業を開始。ソフトバンクはその委託先となり、2016年10月から2018年9月までの約2年間、マニラ市内で50台の渦潮電機製電動三輪車「68VM」を巡回させる旅客輸送サービスの実証実験を行っていた[82]。 2017年3月20日から内閣府が主導するSIPの自動運転に関する案件を受託し、最大で2018年度末まで沖縄県南城市で自動運転バスの実証実験を開始。日野自動車「リエッセ」「ポンチョ」の改造車を用いてバス停での幅寄せ停車試験を行う[83]。 北九州市においては西日本鉄道・第一交通産業・早稲田大学・九州工業大学らと産官学連携し、17年度中に磁気マーカーを設置し2018年度まで走行機能安全の実証、2020年度までサービス実証を行い、2021年度〜2022年度の事業化を目標としている[84][85]。 2019年3月、ソフトバンクの宮川潤一副社長は「SBドライブの英知はすべてモネに集約する方向感にある」とコメントしており[86]、当社が将来的にMONET Technologiesの事業に継承される可能性をほのめかしている[87]。 脚注
関連項目外部リンク |
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