エア・インディア (英語 : Air India , ヒンディー語 : एअर इंडिया )は、インド の航空会社。デリー 、ムンバイ を本拠地としている航空会社 であり、インドのフラッグ・キャリア である。機体に書かれているデーヴァナーガリー文字 の社名をそのままカタカナに変換すると、「エーアル・インディヤー」になるが、日本の報道機関では「エア・インディア」の表記が使われている[ 1] 。かつては国営企業として運行していたが、多額の負債を抱え、「タタ・グループ 」に買収された。タタ・グループの買収以降は、順調に規模を拡大している[ 2] 。
歴史
設立
エア・インディア本社(ムンバイ)
イギリス の植民地 下にあった1932年 に、実業家で飛行家としても知られるジャハンギール・ラタンジ・ダーダーバーイ・タタ によって「タタ航空 」として設立された。
当初はイギリス製のデ・ハビランド プス・モス などを使用し、国内線を運航した。
1946年 に現在の社名となり、独立後の1948年 にタタ・グループを離れ、インド政府との半官半民体制になった。
拡張
独立後は、ロッキード スーパーコンステレーション などの新鋭機を導入し国際線へ進出、アジア 域内路線を皮切りに、ヨーロッパ やアメリカ 路線の運航も開始した。その後ボーイング707 を導入し、ジェット化を進めた。
現在
インディアン航空との合併まで使用された旧塗装
旧ロゴ
2007年 にインディアン航空 (Indian Airlines:同じく国有会社で国内線及び近距離国際線専門)と対等合併し、インドの国際線、国内線に就航する最大の航空会社 となる。新会社名はインド国有航空会社 (National Aviation Company of India Limited)となり、「エア・インディア」はブランド名として使用されている。
合併後機体の塗装リニューアルが進められていた中、国内線においてはしばらくAIとIC(旧インディアン航空)の2種類の便名が併用されていたが、現在はAIに統一されている。
2007年12月には、スターアライアンス への加盟が承認され[ 3] 、加盟準備が進められていたが、2011年7月31日、エアインディアが契約合意した加盟条件を満たさなかったため、加盟が保留となった[ 4] [ 5] 。その後、2013年12月に加盟手続きが再開され[ 6] 、2014年6月24日には、同年7月11日にスターアライアンスに加盟すると発表され[ 7] [ 8] 、7月11日に予定通り加盟した[ 9] 。
国営企業としての非効率性は累積債務を生み、2020年段階で80億ドル以上の赤字を抱えている。インド政府は、2020年1月、債務のうち約32億6000万ドルを引き受けることを条件に全株式の売却に向け入札を行った[ 10] 。
2022年1月27日、タタ・グループ がインド政府から、エア・インディアの株式100%、同子会社の格安航空会社エア・インディア・エクスプレス (AIXL)の株式100%、そして空港のグランドハンドリング事業を行うエア・インディアSATSエアポート・サービシズ(AISATS)の同社保有株式50%を、総額1,800億ルピー(約2,700億円、1ルピー=約1.5円)で買収したことが発表された。これによりエア・インディアは同社を創業したタタ・グループに再び戻ることになった[ 11] 。
2022年11月2日、エアアジア・インディア を買収すると発表し[ 12] 、同月29日にタタグループ主導でエア・インディアにビスタラ も合併すると発表し、ビスタラ出資しているシンガポール航空 はエア・インディア株式を保有するとしている[ 13] 。なお、ビスタラが運航していた羽田発着枠はエア・インディアが引き継ぐ見込み。
2023年8月に新塗装を発表。デーヴァナーガリー文字の表記をやめ、「AIR INDIA」のローマ字表記がスターボード・サイド及びボードサイドに表記される。初号機はエアバスA350型機で、以降の受領機から新塗装となる[ 14] 。
2024年11月12日、ビスタラとの合併を完了した[ 15] 。
日本との関係
日本との歴史
その他
成田国際空港においては全日本空輸 など他のスターアライアンス メンバーの航空会社が第1旅客ターミナル南ウイングを使用している中で、エア・インディアのみ唯一第2旅客ターミナルを使用していた。
保有機材
エア・インディアが発注したボーイング 社製航空機の顧客番号(カスタマーコード )は37 で、航空機の形式名は747-437、 777-237 ER、777-237 LRなどとなる。 タタグループによるエアアジア・インディア 、ビスタラ との統合により保有機材転籍の可能性が報じられ[ 21] 、2023年2月にエアバスから250機(A320neo:140機, A321neo:70機, A350-900:6機, A350-1000:34機)[ 22] 、ボーイングから220機ほかオプション70機(737 MAX 8/10:190機, 777-9:10機, 787-9:20機)[ 23] という800億ドルの大型契約を締結したと発表した[ 1] 。
エアバスA319-100
エアバスA320-200
エアバスA320neo
エアバスA321-200
エアバスA321neo
ボーイング777-200LR
ボーイング777-300ER
ボーイング787-8
ボーイング787-8 (スターアライアンス塗装)
過去の保有機材
エアバスA310-300
エアバスA330-200
ボーイング707-320B
ボーイング747-200
ボーイング747-300M
ボーイング747-400
ボーイング767-300ER
ボーイング777-200ER
ダグラス DC-3
ダグラス DC-8-63CF
ロッキード L-749 コンステレーション
ロッキード L-1011 トライスター
就航路線
特徴
長年マスコット として使用されている「マハラジャくん」
客室乗務員 はサリー を着用、機内食はインドカレー を提供、機内映画 もインド映画 を多く上映するなど、フラッグ・キャリア としてインド人の利用者向けのサービスを前面に出している[ 30] [ 31] 。
機内食 のカレーはインディカ米 を使いヒンドゥー教徒 が食べられる鶏肉と菜食主義者 向けが設定されているなど、本格的なものである[ 31] [ 30] 。2017年にはエコノミー席の機内食で肉類を提供しないことを決定した。乗客の中心であるインド人には菜食主義 が多いため、肉の廃棄率が高いことを受けての措置という[ 32] 。和食や中華などカレー以外の料理が非ベジタリアン向けに設定されている[ 30] 。大半の乗客がカレーを選択することや、カレーの一部は菜食主義者向けのベジタブルカレーであるため、路線によってはカレーが足りず選べないこともある[ 30] 。またドリンクとしてチャイが提供されているが、路線によっては選べないこともある[ 30] 。インドで食事後に口直しとして出されるフェンネル・シード も付いてくる。
「マハラジャ くん」と通称されるマスコットキャラクターがおり、ヘッドレストのカバーなどにプリントされている[ 30] 。
機内食の提供後は一定時間客室の電源を落とすため、787では電子シェードが操作できないなどの不便な点もある[ 30] 。
2018年時点では、機体外部やエコノミー席では客室内の清掃やエンターテインメント設備の補修が行き届いていない機体もある[ 30] 。なおエコノミー席では空いている席の設備を利用できるため、使う際だけ移動することが可能である[ 30] 。
エピソード
1966年 、不二家 らとのタイアップで『オバケのQ太郎 』の絵を描いてデンマーク、ケニアへ行こうという懸賞企画[ 33] に参加していたことがあり、高い注目を浴びたことがあった。
コードシェア
2024年5月現在、以下の航空会社とコードシェア 提携を行っている[ 34] 。※はスターアライアンス加盟会社
系列会社
事件/事故
参照
^ a b 日本放送協会. “エア・インディア 欧米から航空機470機購入 契約総額10兆円超 | NHK ”. NHKニュース . 2023年2月15日閲覧。
^ “エア・インディア、旅客機を空前絶後の”爆買い”! 計470機…この数字はどれだけ規格外なのか ”. 乗りものニュース (2023年2月18日). 2023年9月12日閲覧。
^ エアインディアがスターアライアンスに加盟 - ANA企業情報
^ Star Alliance and Air India put Air India's alliance membership application on hold - STAR ALLIANCE
^ エアインディアのスターアライアンスへの加盟の保留について - ANA企業情報
^ スターアライアンスとエアインディアが、加盟に向けたプロセスを再開 (ANAプレスリリース 2013年12月13日)
^ STAR ALLIANCE CHIEF EXECUTIVE BOARD APPROVES AIR INDIA MEMBERSHIP Joining date for National Carrier set for July 11th, 2014 (スターアライアンス 2014年6月24日)
^ スターアライアンス社長会にて エア・インディアの加盟を承認 2014年7月11日付けの加盟を予定 (ANAプレスリリース 2014年6月24日)
^ AIR INDIA JOINS STAR ALLIANCE (スターアライアンス 2014年7月11日)
^ “インド政府、国営エア・インディアの全株売却へ 入札情報発表 ”. AFP (2020年1月27日). 2020年1月27日閲覧。
^ “国営航空会社エア・インディア、民営化でタタ・グループ傘下に(インド) | ビジネス短信 ”. ジェトロ . 2022年5月3日閲覧。
^ “インド航空大手、エアアジア系子会社を買収…渡航制限の緩和で再編加速 ”. 読売新聞オンライン (2022年11月3日). 2022年11月3日閲覧。
^ エア・インディア、ビスタラと合併 タタ財閥傘下で再編
^ エアインディア向けのA350型機の初号機が初飛行 新造機ながら元アエロフロートロシア航空向けの機材 2023年8月13日 sky-budget
^ “Air India-Vistara merger takes off: Fleets of both airlines to formally combine today – All you need to know” . The Financial Express . (2024年11月12日). https://www.financialexpress.com/business/airlines-aviation-air-india-vistara-merger-takes-off-fleets-of-both-airlines-to-formally-combine-today-all-you-need-to-know-3662432/ 2024年11月12日閲覧。
^ 成田発便は、ボーイング777-200LR型機または同300ER型機にて運航していた。
^ エア・インディア、787就航は10月31日から FlyTeam 2013年10月29日付
^ エア・インディア、787-8を成田/デリー線に投入開始 FlyTeam 2013年11月18日付
^ sky-budget (2019年9月16日). “エアインディア、本日17日の運航をもって関西~香港経由~デリー線を運休へ | sky-budget スカイバジェット ”. 2025年3月31日閲覧。
^ “エア・インディア、3月31日より羽田発着に 成田から移転 ANAとのコードシェアも拡大 | FlyTeam ニュース ”. FlyTeam(フライチーム) . 2025年3月6日閲覧。
^ エア・インディア、タタ傘下で運営改善 定時運航率首位
^ [1]
^ [2]
^ “Air India Fleet Details ” (英語). Planespotters.net . 2024年7月4日閲覧。
^ a b c d “Air India changes aircraft order with Airbus, cites 'business requirements' ” (英語). Business Standard . 2024年7月4日閲覧。
^ a b c d “Orders and deliveries ” (英語). Airbus . 2024年10月11日閲覧。
^ a b c d “Air India buys 85 Airbus jets, eyes more Boeings, sources say ” (英語). Reuters . 2024年10月11日閲覧。
^ “Air India Introduces Next-Gen Airbus A320neo Cabins ” (英語). Simple Flying . 2024年7月4日閲覧。
^ a b c d e "Air India Selects Up to 290 Boeing Jets to Serve Its Strategy for Sustainable Growth" (Press release) (英語). Boeing. 2024年7月4日閲覧 。
^ a b c d e f g h i “機内食図鑑(26) 香港行きのみでも利用OK! エアインディアの機内食は本格インドカレー ”. マイナビニュース (2018年6月6日). 2023年2月15日閲覧。
^ a b “エアインディアって?スタッフ搭乗レポート! │ HIS スタブロ ”. eco.his-j.com . 2023年2月15日閲覧。
^ “印航空会社、一部機内食を「肉なし」に コスト削減へ ”. CNN.co.jp . 2023年2月15日閲覧。
^ 藤子・F・不二雄大全集 ・別巻2 Fの森の大冒険、小学館 、2011年8月25日刊
^ Code - Share Partners (エアインディア公式サイト)
^ Our codeshare and other airline partners (エアカナダ公式サイト(
^ Air India signs code-share tie with Hong Kong Airlines (エアインディア公式サイト)
関連項目
外部リンク