ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル
『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』(FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES、略称: FFCC)は、ゲームデザイナーズ・スタジオが開発し、任天堂が発売したアクションロールプレイングゲームである。2003年8月8日にニンテンドー ゲームキューブ用ソフトとして発売された。アメリカでは2004年2月9日、ヨーロッパでは2004年3月12日にそれぞれ発売された。 2020年8月27日[2]にスクウェア・エニックスよりNintendo Switch/PlayStation 4/iOS/Android向けに『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』(FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES Remastered Edition)が発売された[3][4]。 概要ファイナルファンタジーシリーズ(以下、FFシリーズ)でのメインシリーズ外の作品であり、任天堂ハード向けのFFシリーズとしてファイナルファンタジー・クリスタルクロニクルシリーズに区分されるものから最初に発売された作品である。ニンテンドー ゲームキューブ用ソフトであり、ゲームボーイアドバンス(以下、GBA)を連動させて最大4人同時プレイすることが出来る。プログレッシブ出力に対応している。スクウェアとエニックスは、この作品が発売される前の2003年4月1日に合併しスクウェア・エニックスになったが、FFシリーズのリメイクではないオリジナル作品としては初めて合併後の発売となった。 据え置き型ハードでは『ファイナルファンタジーVI』以来9年ぶりの任天堂でのFFシリーズであり、ゲームキューブのキラーソフトとして期待を集めた。文化庁メディア芸術祭の大賞を受賞するなど高い評価を得た作品であるが、セールス面ではFFのメインシリーズに遠く及ばないものであった。内容的にもビジュアル重視で大作主義のメインシリーズとは趣が異なる。 開発された経緯は、ゲームデザイナーズ・スタジオの項が詳しい。 また、『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル~はてなき空の向こうに~』の名で壱河柳乃助による漫画作品が2004年~2005年に『月刊少年ガンガン』に連載され、全3巻の単行本として纏められている。 リマスター版はボイスの追加、画面のUIデザインの変更、オンラインマルチプレイ対応化、ダンジョンへの新エリア追加などの変更点がある[5]。 ゲームシステムプレイヤーはクリスタル・キャラバンの一員となり、世界を蝕む瘴気から自分の住む村を守るべく、世界各地にあるダンジョンの一番奥にある「ミルラのしずく」を集めることが主なゲームの目的である。 公称ジャンルはロールプレイングゲームだが、システム的には同社の聖剣伝説シリーズのようなアクションRPGであり、ダンジョン内での移動とモンスターとの戦闘はシームレスに繋がり、ボタン1つで攻撃や防御、魔法といったコマンドが使える。 通常、キャラの操作は同梱されたGBAケーブルで接続されたGBAを使用する。コマンドリストのアイテムなどの情報は全てそれぞれのプレイヤー自身のGBAの画面で扱う。 この作品より前に発売されたFFシリーズでは、イベントなどでプリレンダムービーを使うことが多かったが、本作ではプレイヤーにそのイベントを体感してもらうというコンセプトがあり、イベントなどで使われるムービーは全てリアルタイムポリゴンムービーである。 ゲームの流れゲームを開始すると最初にキャラバンにキャラを登録する。名前に加えて、それぞれ性能の特徴が異なる4つの種族と性別・容姿を選んでキャラクターメイキングが行える。キャラバンには8人まで登録でき、プレイヤーがどのキャラを使うかは移動画面(ワールドマップ)で決めることができる。また、他のプレイヤーのキャラクターをメモリーカードを使って自分のキャラバンにゲストプレイヤーとして迎え入れることができる(但し自分のデータに持ち帰ることができるのはアーティファクトのみである)。 移動には馬車を使い、地図上の移動したい場所を指定することで移動できる。移動中は他のキャラバンなどと会うなどのイベントが発生することもあり、それらは思い出として日記に記録される。 ダンジョンに到着するとミルラのしずくを目指して探索が始まる。一つのダンジョンには最大4人まで参加できる。ダンジョン内には数々の仕掛けがあり、それらを協力して解きながら先に進んでいく。各キャラにはレーダーが与えられるが、レーダーはそれぞれ一部の機能しか持っておらず、お互いのプレイヤーがコミュニケーションによって情報を共有することができる仕組みになっている。最奥部にはボスが待ち受けており、それを倒せばミルラのしずくを採取してクリアとなる。クリア後には各キャラに家族などから手紙が届けられ、欲しいものを伝えたりアイテムを同封して返事を出すことができる。 この流れで3つのダンジョンをクリアすることで村のクリスタルを清めるだけの量が集まり、一年の冒険が終了し、次の年度に移動する。一つのダンジョンからミルラのしずくを続けて集めるには時間がかかるため、一年ごとに別の地域をまわらなければならず、また冒険できる範囲も年毎に広がっていく。 クリスタルケージキャラバンは冒険する際に「ミルラのしずく」を貯めるための器であるクリスタルケージを常に持ち運んでいる。クリスタルケージには小さなクリスタルが付いており、瘴気で満たされた世界を冒険できるのはこの容器に守られているためである。 通常、ダンジョン内では瘴気によって徐々にHPが減っていき、数十秒ほどで0になってしまうが、クリスタルケージの円状の結界内では瘴気の影響を受けない。このため、キャラバンの一人が常にケージを持ち運びながら進んでいく必要があり、キャラバンは足並みを揃えて協力しながら動かねばならない。ケージを持ち運んでいるキャラは戦闘できず、全員が戦闘をする場合には一度ケージを置く必要がある。 また、クリスタルケージには火、水、風、土の四つの属性があり、ダンジョン内にあるホットスポットという台座で変更できる。ケージの属性によって属性攻撃や状態異常への耐性が強化されるほか、地域を分断している「瘴気ストリーム」は、その瘴気ストリームに対応した属性のケージでなければ突破できない。この瘴気ストリームの属性は年によって変わるため、年ごとに属性を確認して進まなければならない。 戦闘コマンドはコマンドリストに登録した内から一つのみを選び、ボタン一つで行う。コマンドは「たたかう」「まもる」の他にも、手に入れたアイテムなどもコマンドの一つとしてリストに登録できる。 たたかうはボタン連打で連続攻撃ができるほか、ボタンを押しっぱなしにすることで「ターゲットリング」が出現し、この間に十字キーを入力するとリングが移動し、ボタンを離すことでそのリングの位置に向かって必殺技を放つ。 炎の攻撃魔法「ファイア」や回復魔法「ケアル」などの魔法は、ダンジョンで「魔石」を手に入れることで使用でき、必殺技と同じようにして使用する。ターゲットリングを重ね合わせて発動することでマジックパイルが発動し、強力な合体魔法を使用することができる。例えば、ファイアとファイアをマジックパイルすれば「ファイラ」(タイミングをずらすことによって「ファイガ」)、ファイア、ブリザド、サンダーのうち2種をマジックパイルすれば「グラビデ」となる。また、魔法と必殺技を組み合わせて属性を持った必殺技の魔法剣を使うことも可能である。タイミングを取るためにはプレイヤー間のコミュニケーションが必要となる。 アーティファクトダンジョンで手に入るアイテムの中には「アーティファクト」という種類のものがあり、これを獲得することで攻撃力や魔力などを強化することができる。そのダンジョン限りで強化はリセットされるが、ダンジョンクリア後にはダンジョンごとにプレイヤーに課せられる課題によって得点がつけられ、点の高かった順に次回以降の探索に常に持って行けるアーティファクトを一つだけ選ぶことができる。 お店自分の村や冒険の途中に立ち寄る村には、冒険に使うアイテムを購入するための店が存在し、いずれもギルを使って利用する。体力回復を行える食べ物などはそのまま購入できるが、装備品に関しては必要な素材とレシピとギルを入手する必要があり、武器や防具なら鍛冶屋、アクセサリーならさいほう屋に持っていけば手に入れることが出来る。装備品は装備できるものは武器、各種族の防具、全種族共通の防具、アクセサリーに分かれており、武器を変更するとキャラクターのビジュアルにそれが反映される。(クラヴァットのみ盾も反映される) ゲーム開始時にキャラクターを作るときに、親の職業を8種類から決めることができ、「ミルラのしずく」を入手したときに送られてくる手紙に職業に応じたアイテムなどが同封されていたり、他の村のお店を利用するよりもはるかに安い値段でアイテムを購入できるなどの恩恵を得られる。 モグスタンプモグスタンプを集めることで、マルチプレイ限定で、GBAにデータを転送して遊べるミニゲームの「けちらせキャラバンロード」を遊ぶことができる。 シングルプレイモード一人用でプレイする場合には、GBAの他にもゲームキューブ用のコントローラを使用することができる。この場合、通常はGBAの画面で行うアイテムの使用なども画面上でメニュー画面を開いて行う。また、ゲームキューブ用コントローラとGBAを併せて接続することもでき、その場合は操作をゲームキューブ用のコントローラで行い、GBAの画面にはレーダーやモンスターの情報、ボーナス条件などの情報が表示される。 また、シングルプレイ専用のサポートキャラであるモーグリの「モグ」が冒険に同行し、モグがクリスタルケージを常に持ち運ぶため結界による行動範囲の制限がほとんど機能しなくなっており、合体魔法はコマンドリスト上で手に入れた魔石を組み合わせることで一人で使用できる。また、条件付でモグとのマジックパイルを発動させることも可能。アーティファクトを取り合うこともないため、ボーナス点によってアーティファクトが授与される。 先述のように本作ではマルチプレイを前提としたゲームシステムの構築が行われており、シングルプレイではそれらのシステムを一人でも楽しめるように変更を加えられたものだが、結果としてシングルプレイはマルチプレイに比べて楽しめないという評価を得ており、『リング・オブ・フェイト』や『クリスタルベアラー』などの後のシリーズ作品ではシングルプレイにも重点を置いたゲームデザインが行われるようになった。 世界観『FFCC』の世界は、瘴気と呼ばれるよどんだ空気によって包まれている。瘴気は人体に悪影響を及ぼすため、人はその中では生きることはできない。唯一、「クリスタル」と呼ばれる特殊な鉱石の周辺だけが瘴気の影響を受けないため、人々はクリスタルのある土地に村々を形成している。 クリスタルは年に一度、「ミルラの木」から採取される、「ミルラのしずく」で清める必要があるため、村民は、雫を集めなければならない。そうしなければ、村はクリスタルの加護を失い、瘴気に侵され滅亡してしまう。しかし、ミルラの木はクリスタルから離れた、瘴気の溢れる村外にあるため、瘴気の中を進まなければ、雫を採取することができない。そこで、村民は、雫を集めるための器にクリスタルのかけらをはめ込み、その加護を受けながら、ミルラのしずくを集めることにした。この器をクリスタルケージといい、雫を集める一団をクリスタル・キャラバンという。これを繰り返すことで、村民は常に滅亡から免れてきている。 クリスタル・キャラバンの旅は、ミルラのしずくの採取が目的であるが、ミルラのしずくは1つの木から少量しか採取することが出来ない。しかし、世界の各地は、濃厚な瘴気が吹き荒れる「瘴気ストリーム」の洞窟により分断されており、この洞窟を抜け、より多くの土地に赴かねばならないのである。 帰還したクリスタル・キャラバンは、祝福をもって迎えられ、村は1年間の安泰が保障されることになる。その歓喜や希望は、帰還した際に開かれる「水かけ祭」に象徴されているであろう。このように、クリスタル・キャラバンは、村の存亡をかけて旅を行う使命を帯びているのである。 思い出による世界の循環「ミルラのしずく」とは世界の循環の一部でしかない。人は生きることによって思い出を作り出し、長い時がたつと忘れてしまう。その忘れた思い出を吸収し養分を生み出す「ミオ」と呼ばれる存在があり、その「ミオ」が養分を生み出し、ミルラの木を誕生させて、ミルラのしずくを生成しているのである。 種族4つの種族この作品の世界での主要とされる亜人種たち。人の言葉を話せる種族はこの他にも、モーグリやカーバンクルがいる。
その他
登場人物キャラクターボイスについては特記がない限りはリマスター版を初出とする。 主人公ここにある主人公キャラクターの設定は開発者側が自由に発想したもので、ゲームには一切登場しない。キャラクターの名前、容姿はプレイヤーが自由に設定できるようになっている。
重要キャラクター
サブキャラクター
作品世界での歴史の推移
主題歌
ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』(FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES Remastered Edition)は、GC版をHDリマスター化し、新たな要素を追加および一部改変したリマスター作品。 2020年8月27日にスクウェア・エニックスよりNintendo Switch / PlayStation 4 / iOS / Android向けに発売。App Store、Google Play上のタイトル表記は『FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES』のままで、リマスター(Remastered Edition)表記は付かない模様[6]。 本編発売と同時に、無料体験版の『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター Lite』 (FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES Remastered Edition Lite)が配信された[7]。 主な変更点[8]は、
などがあるが、GC版にあったオフラインのマルチプレイは削除されている[9]。 なおiOS版については、2025年1月24日頃より発生した有料追加コンテンツにおける不具合の修正が困難であることを理由として同年2月13日をもって配信終了となった[10]。 関連商品漫画版壱河柳乃助によるコミカライズが、月刊少年ガンガンで連載された。全3巻。また、『4コママンガ劇場』も全1巻が発売されている。 音楽
主なスタッフ
脚注
関連項目
外部リンク
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