1990年の全日本ツーリングカー選手権(JTC)は、全日本ツーリングカー選手権6年目のシーズン。3月18日の西日本サーキットで開幕し、11月11日の富士スピードウェイまで全6戦でタイトルが争われた。チームインパルの星野一義がタイトルを獲得した[1][2]。
シリーズ概要
シリーズ6年目となったこのシーズンは、大きな変革を迎えた。1クラスを席巻していたフォード・シエラRS500の打倒を目指して、日産がR32型スカイラインGT-Rを2台投入。前年度チャンピオンの長谷見昌弘率いるハセミモータースポーツと星野一義率いるチームインパルに託した。
2台はそのままシリーズの主役となり、インパルが5勝、ハセミが1勝を挙げ、全戦で優勝を果たしたばかりか、ハセミがリタイアした第4戦以外、常に1-2フィニッシュを果たすなど、独壇場となった。
また、シリーズも当時の景気やGT-R目当てにどのサーキットも超満員となり、最終戦のINTER-TECには8万人を超える観客が詰めかけるなど、興行面でも絶好調と言えた。
この中で、シエラ、あるいはスープラと言った他のクラス1車両は優勝は愚か、表彰台に登るのが精一杯という状況になり、スープラはこのシーズン限りで撤退、関谷正徳と小河等の両エースもシーズン途中から3クラスのレビンにエントリー変更するなど、半ば1クラスを放棄するような方針へと舵を切った。
またシエラ勢も、2台のシエラをエントリーしていたオブジェクトTが第5戦から1台をGT-Rに乗り換え、早速3位表彰台を獲得。これはGT-R勢の表彰台独占にもなった。このシーズン最大7台がエントリーしていたが、こちらもこのシーズン限りでの撤退が相次ぐこととなり、シリーズはGT-Rのための舞台へと、徐々に変貌を遂げようとしていた。
エントリーリスト
JTC-1
車番
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チーム
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ドライバー
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車両
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1
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ハセミモータースポーツ
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長谷見昌弘
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日産・スカイラインGT-R BNR32
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アンデルス・オロフソン
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2
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エンドレスプロジェクト
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土屋圭市
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フォード・シエラ RS500
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和田孝夫
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3
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アートネイチャー
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赤池卓
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フォード・シエラ RS500
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寺田陽次郎
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8
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FET Racing
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見崎清志
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フォード・シエラ RS500
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茂木和男
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11
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Object T
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横島久
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フォード・シエラ RS500
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影山正彦(Rd1-4)
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松田秀士(Rd5,6)
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12
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ホシノレーシング
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星野一義
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日産・スカイラインGT-R BNR32
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鈴木利男
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13
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Suntec Racing
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ジェフ・クロスノフ
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フォード・シエラ RS500
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マウロ・マルティニ
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20
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Napolex Racing Team
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パオロ・バリッラ(Rd6)
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フォード・シエラ RS500
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ロブ・グラヴェット(Rd6)
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ステファン・ヨハンソン(Rd6)
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22
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Object T
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松田秀士(Rd1-4)
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フォード・シエラ RS500(Rd1-4) →日産・スカイラインGT-R BNR32(Rd5,6)
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清水和夫
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影山正彦(Rd5,6)
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36
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トヨタチームトムス
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小河等(Rd1,3)
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トヨタ・スープラターボ-A MA70
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関谷正徳(Rd1,2,4)
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黒澤琢弥(Rd2-6)
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舘善泰(Rd5,6)
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37
|
黒澤琢弥(Rd1)
|
トヨタ・スープラターボ-A MA70
|
粕谷俊二(Rd2,3,5,6)
|
舘善泰(Rd2-4,6)
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杉崎直司(Rd4-6)
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43
|
City Life 43
|
長坂尚樹
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フォード・シエラ RS500
|
従野孝司(Rd1-5)
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クリス・ホジェッツ(Rd5,6)
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91
|
アラン・モファット・エンタープライズ
|
グレッグ・ハンスフォード(Rd6)
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フォード・シエラ RS500
|
アラン・モファット(Rd6)
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クラウス・ニーヅビーズ(Rd6)
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99
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Team CMS Sweden
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クリスター・シモンセン(Rd6)
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フォード・シエラ RS500
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カート・シモンセン(Rd6)
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JTC-2
車番
|
チーム
|
ドライバー
|
車両
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4
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Cara Racing
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加藤トオル(Rd2)
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BMW・M3
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水野文則(Rd2-6)
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太田哲也(Rd3-5)
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澤田透(Rd4-6)
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藤井修二(Rd6)
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10
|
Team Over Take
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チャールズ・クワン(Rd3,4)
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BMW・M3(Rd3,4) →BMW・M3 スポーツエボリューション(Rd6)
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ケヴィン・ウォン(Rd3,4,6)
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K. Che Hong(Rd4)
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田嶋栄一(Rd6)
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16
|
ウィンストン・マック(Rd3,4)
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BMW・M3(Rd3, 4) →BMW・M3 スポーツエボリューション(Rd6)
|
K. Che Hong(Rd3)
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伊藤清彦(Rd4)
|
チャールズ・クワン(Rd6)
|
ウィンストン・マック(Rd6)
|
26
|
チーム・タイサン
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ウィル・ホイ
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BMW・M3(Rd1-4) →BMW・M3 スポーツエボリューション(Rd5,6)
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高橋健二
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29
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B-ing Kegani Racing
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日下部保雄
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BMW・M3(Rd1-3) →BMW・M3 スポーツエボリューション(Rd4-6)
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山内伸弥
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35
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Auto Tech Racing
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中川隆正
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BMW・M3(Rd1-4,6) →BMW・M3 スポーツエボリューション(Rd5)
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ローランド・ラッツェンバーガー
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56
|
FMR
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柏原浩一(Rd2-4)
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BMW・M3
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篠塚進(Rd2-4)
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武藤文雄(Rd5,6)
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関根基司(Rd5,6)
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70
|
一ツ山レーシング
|
福山英朗(Rd2-6)
|
BMW・M3
|
一ツ山幹雄(Rd2,5,6)
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池谷勝則(Rd2)
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一ツ山康(Rd3,4)
|
渡辺康(Rd3)
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72
|
一ツ山レーシング(Rd2,3) →Auto Tech Racing(Rd4-6)
|
牧口規雄(Rd2,3,4-6)
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BMW・M3
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野地廣行(Rd2,3,4-6)
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田中三秋(Rd6)
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※Rd1においてJTC-2のエントリーは少なかったため、JTC-1に統合して実施された。
JTC-3
車番
|
チーム
|
ドライバー
|
車両
|
5
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Team Koyama Garage
|
坂田ともかず(Rd2-4,6)
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いすゞ・ジェミニ JT190(Rd2-4) →いすゞ・ジェミニ JT191(Rd6)
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柴田功(Rd2,6)
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小東明寛(Rd3,6)
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奥山道子(Rd4)
|
6
|
トヨタチームトムス
|
星野薫
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トヨタ・カローラレビン AE92
|
粕谷俊二(Rd1)
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岡本佳織(Rd2)
|
ビクトル・ロッソ(Rd3,5,6)
|
伊東薫(Rd4)
|
7
|
伊東薫(Rd1-3,5,6)
|
トヨタ・カローラレビン AE92
|
岡本佳織(Rd1,4,6)
|
ビクトル・ロッソ(Rd2)
|
奥山道子(Rd3)
|
田中昌昭(Rd4)
|
影山正美(Rd5)
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9
|
トムス
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松永雅博
|
トヨタ・カローラレビン AE92
|
三原じゅん子
|
奥山道子(Rd1)
|
森谷賢二(Rd2,3)
|
上原秀郎(Rd5,6)
|
14
|
ムーンクラフト
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村松栄紀(Rd1)
|
ホンダ・シビック EF9
|
中谷明彦(Rd1)
|
五藤久豊(Rd2-6)
|
服部尚貴(Rd2-6)
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15
|
ナカジマレーシング
|
服部尚貴(Rd1)
|
ホンダ・シビック EF9
|
佐藤浩二
|
中谷明彦(Rd2-6)
|
18
|
Asano Racing Service
|
浅野武夫
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トヨタ・カローラレビン AE92
|
萩原誠
|
19
|
Racing Project Bandoh
|
浜名雅一(Rd3-6)
|
トヨタ・カローラレビン AE92
|
河合博之(Rd3-6)
|
西垣内正義(Rd3)
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21(Rd1) →90(Rd2-6)
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JRDA/Moritani
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前川直典(Rd1,3,6)
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ホンダ・シビック EF3
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三好正己
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花山雅彦(Rd2)
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小林敬一(Rd3)
|
網代則夫(Rd4)
|
吉田寿博(Rd5,6)
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25
|
Team Advan
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新田守男
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トヨタ・カローラレビン AE92
|
鈴木恵一
|
27
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Trust Racing
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浜名雅一(Rd2)
|
トヨタ・カローラレビン AE92
|
駒光武(Rd2-6)
|
関達彦(Rd3-6)
|
志村一寿(Rd4,5)
|
人見隆作(Rd6)
|
28
|
Team Advan
|
青木真一(Rd1)
|
トヨタ・カローラレビン AE92
|
柴田昭
|
大嶋昭弘(Rd2-6)
|
33
|
Racing Forum
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村松康生
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ホンダ・シビック EF3(Rd1-5) →ホンダ・シビック EF9(Rd6)
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津々見友彦
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袖山誠一(Rd6)
|
38
|
トヨタチームトムス
|
小河等(Rd5,6)
|
トヨタ・カローラレビン AE92
|
関谷正徳(Rd5,6)
|
39
|
相馬智宏(Rd6)
|
トヨタ・カローラレビン AE92
|
奥山道子(Rd6)
|
山口さとし(Rd6)
|
45
|
Toyota Team Thailand
|
奥住英徳(Rd6)
|
トヨタ・カローラレビン AE92
|
シッティポン・スミタシャーチ(Rd6)
|
カシカム・スプホット(Rd6)
|
59
|
相馬智宏(Rd6)
|
トヨタ・カローラレビン AE92
|
プラサート・アフィフンヤ(Rd6)
|
グリァングライ・リムナンサラク(Rd6)
|
67
|
Team Yamato
|
大場次雄(Rd3,5,6)
|
ホンダ・シビック EF3
|
佐藤克明(Rd3,5,6)
|
毛塚康夫(Rd6)
|
100
|
無限ホンダ
|
中子修
|
ホンダ・シビック EF9
|
岡田秀樹
|
スケジュールおよび勝者
総合優勝は太字
シリーズポイントランキング
ポイントは総合および各クラスごとに1位から10位まで順に20, 15, 12, 10, 8, 6, 4, 3, 2, 1ポイントが与えられる。全ポイントがランキングに対して有効である。チームメイトが同ポイントとなった場合は、シーズンを通じて長距離を走行したドライバーが上位となった。
参照
外部リンク
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