サイエンスSARU
株式会社サイエンスSARU(サイエンスサル、英: Science SARU Inc.)は、日本のアニメ制作会社。東宝株式会社の完全子会社。 概要2013年、亜細亜堂を経てフリーの監督・演出家として活動していた湯浅政明と同じくフリーのアニメーター・演出家として活動していたチェ・ウニョンが共同で設立[2]。僅か4人の小さなオフィスからのスタートだった[3]。 アニメーション作品の企画から制作、販売までを一貫して行い、ワールドワイドなマーケットに向けて提供している[2]。 設立のきっかけは、湯浅がアメリカ・カートゥーン ネットワークの世界的人気シリーズ『アドベンチャー・タイム』の1エピソードで監督をオファーされたことだった[4]。その際、アメリカの制作チームから「会社単位でないと依頼できない」と言われ、ちょうど自身もウニョンと自分たちのスタジオ設立の話をしていたところだったので、これを機に一気に立ち上げることにした[4][5][注 1]。ウニョンは2006年の『ケモノヅメ』以来、たびたびアニメーターとして湯浅の作品に参加しており、過去にマネジメントの経験があってプロデュースにも興味を持っている上、イギリス留学を経験して海外スタッフの対応に必要な英語が堪能だったので、湯浅は会社の設立とその管理を任せることにした[4][5]。 会社名の由来は、湯浅がよく描いていた猿のようなキャラクターの自画像[2]。「猿よりは賢い会社にしたい」と『猿』の前に『サイエンス』を付け、本能と知識を併せ持つ万能な会社になればという想いから名付けられた[2]。 2017年4月公開の森見登美彦の小説を劇場アニメ化した『夜は短し歩けよ乙女』で会社として初の元請制作を行う[6]。同年5月には初めての完全オリジナル劇場用新作となるアニメ映画『夜明け告げるルーのうた』が公開される[7]。 2019年春、業務拡大に伴い、設立当初から東京都武蔵野市吉祥寺南町3丁目30番4号に構えていた本社を同市吉祥寺北町3丁目1番1号に移転[3]。 2020年3月25日付で湯浅政明が代表取締役を退任[3][8]。4月2日、取締役だったチェ・ウニョンが湯浅の後任として代表取締役に就任することが発表された[8]。また湯浅は、2021年に公開予定だった[注 2]『犬王』の監督は継続すること、そしてその後は休養に入って次回作の準備を始めることを発表した[9]。 2020年10月23日、NetflixがサイエンスSARUを含む日本と韓国のアニメスタジオ4社と包括的業務提携を結んだことを発表[10][注 3]。 2021年、日本の7つのアニメーションスタジオが参加したスター・ウォーズシリーズのオリジナル短編アニメーション集『スター・ウォーズ: ビジョンズ』の制作にスタジオSARUも参加[11]。全9作の内、『T0-B1』(アベル・ゴンゴラ監督)と『赤霧』(チェ・ウニョン監督)の2エピソードを担当した[12]。 2019年より、京都アニメーション放火殺人事件以降に同スタジオを退社した山田尚子がサイエンスSARUへ軸足を移しており[13]、『平家物語』(2022年)や『きみの色』(2024年)などで監督を務めている。 2024年6月19日付で東宝が全株式を取得し子会社化[14]。 2025年、チェ・ウニョンが代表取締役を退任し、後任には東宝でアニメーションプロデューサーを務める藤田雅規が就任した[15]。 特色独特なスタイルのフラッシュアニメの導入を図っている[5]。アメリカのアニメスタジオの待遇の良さや徹底した作業の効率化を目の当たりにしたチェ・ウニョンは、「日本のアニメ業界が持つ魅力を失わないためにも、私たちのような小さいスタジオが率先して作業効率を上げる工夫をして、作品のクオリティは落とさずに、労働環境をよくすることが可能だということを示していきたいと思っている」として、日本のスタジオの作業効率化を図ろうとした[5]。その策のひとつとして導入されたのがAdobe Flash(現:Adobe Animate)である[5][16]。そのメリットについて湯浅政明は、「従来のアニメーションの作業プロセスでは、レイアウト、原画、動画、彩色といった4つの段階を経て撮影に至るが、各プロセスが分業であり、ひとつの仕事が終わると制作がそれを受け取って次の担当へ引き渡さないといけないためにスタッフの負担が大きく、何より非効率的。フラッシュを用いればそのプロセスを集約して作画から動画・彩色まで一人で完結させることができる」と語っている[5][16]。 作品履歴テレビアニメ
劇場アニメ
Webアニメ
制作協力
関連人物アニメーター・演出家
制作
その他
関連項目
脚注注釈出典
外部リンク
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