ビル・マーレイ(Bill Murray, 1950年9月21日 - )は、アメリカ合衆国出身のコメディアン、俳優、映画監督、脚本家。
経歴
生い立ち
イリノイ州シカゴにて、アイルランド系の家庭に、9人兄弟の5番目として生まれる。彼を含めて4人が俳優になった。父親は木材のセールスマンで、母親は郵便室係だった[1]。17歳の時に父親が亡くなり[2][3]、高校時代はキャディのアルバイトに勤しみ[4]、教育資金を受けながらカトリック系の高校へ進学。医学を学ぶためにコロラド州デンバーのレジス大学(英語版)に入学したが、後に退学した[5]。1971年頃、シカゴの空港にてマリファナ所持にて逮捕された[4][5]。
キャリア
兄のブライアン・ドイル=マーレイに勧められて即興劇団セカンド・シティに参加、そこでジョン・キャンディらと出会った。その後、ジョン・ベルーシからの誘いで生活の拠点をニューヨークへ移し、1977年から1980年まで、NBCの人気バラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』に出演し人気を得る。日本では『ゴーストバスターズ』のピーター・ヴェンクマン博士役で知名度も上がる。その後もコンスタントに俳優として映画に出演しているが、エージェントやマネージャーを持っておらず、コンタクトが難しいとして映画の製作陣からはオファーが出しづらい俳優として認識されている[6]。
これまで様々な役柄で打診されたことがあり、例に挙げるとピクサー製作の『モンスターズ・インク』でジョン・グッドマンが声を担当したサリーや、『トイ・ストーリー』のバズ・ライトイヤー役。ティム・バートン監督の『バットマン』のブルース・ウェイン役や『チャーリーとチョコレート工場』のウィリー・ウォンカ役[7]。『キンダガートン・コップ』のキンブル刑事役や『ロジャー・ラビット』でボブ・ホスキンス演じた私立探偵のエディー役に、『スター・ウォーズ』のハン・ソロ役、ジョン・バダム監督の『ブルーサンダー』のリチャード・ライマングッド役や『ショート・サーキット』のニュートン・クロスビー役や『ハード・ウェイ』のジョン・モス役などがある。近年ではティム・バートン、ジム・ジャームッシュ、ソフィア・コッポラ、ウェス・アンダーソンなど、個性的な監督の作品に出て高い評価を得ている。また、アート・リンソン監督『バッファローの棲むところ』で、アメリカを代表するジャーナリスト、ハンター・トンプソンを演じたこともある。
2003年に東京を舞台にしたソフィア・コッポラ監督の『ロスト・イン・トランスレーション』では、CM撮影のために日本へやってきた中年のハリウッドスター、ボブ・ハリスをユーモラスに演じてアカデミー主演男優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞(ミュージカル・コメディ部門)など多数の映画賞を受賞した。
私生活
エリック・クラプトン(左)と共演(2007年)
1981年1月25日に女優のミッキー・ケリーと結婚[8][9]。2人の子供が誕生するが、1994年に離婚。1997年7月4日に女優のジェニファー・バトラーと再婚。4人の子供が誕生するが、2008年6月13日に離婚[10]。
ゴルフには熱心で、有名人のゴルフトーナメントなどには多く参加している。1999年にはゴルフに関するエッセイなどを載せた本も出版した。2007年にスウェーデンを訪れた際、ゴルフトーナメントの帰り道の公道でゴルフカートを運転していてストックホルムの警察に職務質問を受ける騒ぎも起きている[11]。シカゴのプロスポーツチームが好きで、プロ野球チームのシカゴ・カブスやプロフットボールチームのシカゴ・ベアーズなどの大ファンである。
ギター演奏も趣味にしており、エリック・クラプトン主催の「クロスロード・ギター・フェスティヴァル」にて司会を務めライブで共演している。
前述の『ロスト・イン・トランスレーション』のロケ撮影で、来日をしているが、2025年に東京ドームで開催された「MLB東京シリーズ2025」を観戦するためにプライベートで来日した[12]。
主な出演作品
映画
テレビ
放映年 |
邦題 原題 |
役名 |
備考 |
吹き替え
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1975 |
Saturday Night Live with Howard Cosell |
Various roles |
兼脚本
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N/A
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1977-1980 |
サタデー・ナイト・ライブ Saturday Night Live |
Various roles |
計72話出演 兼脚本
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1978 |
モンティー・パイソンのザ・ラットルズ All You Need Is Cash |
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|
鈴置洋孝
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1981-1999 |
サタデー・ナイト・ライブ Saturday Night Live |
本人(ホスト) |
計5話出演
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1999 |
サタデー・ナイト・ライブ Saturday Night Live |
本人 |
「25th Anniversary Special」
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2013-2014 |
アルファ・ハウス Alpha House |
ヴァーノン・スミッツ上院議員 |
計3話出演
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2014 |
オリーヴ・キタリッジ Olive Kitteridge |
ジャック・ケニソン |
ミニシリーズ
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2015 |
パークス・アンド・レクリエーション Parks and Recreation |
ウォルター・ガンダーソン |
第7シーズン第11話「Two Funerals」
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2016 |
バイス・プリンシパルズ Vice Principals |
ウェルズ |
第1シーズン第1話「次の校長は誰だ」
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2018 |
サタデー・ナイト・ライブ Saturday Night Live |
スティーブン・バノン |
「Sam Rockwell/Halsey」
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2021 |
The Now |
Dr. Robert Flaherty |
計5話出演
|
|
主な受賞
日本語吹き替え
主に担当しているのは、以下の二人である。
- 江原正士
- 『パラダイス・アーミー』(フジテレビ版)で初担当。最も多く吹き替えている。
- 江原曰く、マーレイの吹き替えは台詞が言いっ放しでオフビートのように演技のテンポがバラバラなためあわせるのが難しく、コツを掴むまで時間がかかったという。マーレイのキャラクターとしてはアメリカ版寅さんだと感じ、吹き替える際は、日本語版制作スタッフから要求がある場合を除き、いつもの演技のときは寅さん風「おとぼけオジさん」のニュアンスで演じていると語った[15]。
- 安原義人
- 『ゴーストバスターズ』(ソフト版)で初担当。同シリーズをはじめとして、江原の次に多く吹き替えている。2016年版『ゴーストバスターズ』では30年ぶりに同シリーズに参加したことから、「この作品が復活し、まさかそこにビル・マーレイが出演していて、また演じられるとは思ってもみませんでした。とても運命を感じました」と歓喜のコメントを寄せている[16]。
このほかにも、池田勝、青山穣、石住昭彦、野島昭生、樋浦勉、野田秀樹なども声を当てている。
脚注
- ^ “Bill Murray profile at FilmReference.com”. Film Reference. http://www.filmreference.com/film/24/Bill-Murray.html 2007年11月12日閲覧。
- ^ The New York Times article: "The Rumpled Anarchy of Bill Murray", page 7.
- ^ Yahoo Movies: Bill Murray profile at Yahoo! Movies
- ^ a b Murray, Bill; George Peper (1999). Cinderella Story: My Life in Golf. Doubleday. ISBN 0-385-49571-4
- ^ a b The New York Times article: "The Rumpled Anarchy of Bill Murray", p. 10
- ^ “How we work: Bill Murray, actor”. rodcorp. 2008年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年1月11日閲覧。
- ^ “MSN Hotlist”. Microsoft. 2008年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年1月11日閲覧。
- ^ The New York Times article: "The Rumpled Anarchy of Bill Murray".
- ^ Chase, Chris (1981年7月3日). “Bill Murray, A Black Sheep Now in Stripes”. The New York Times
- ^ “The Post and Courier — Bill Murray sued for divorce — Charleston SC — postandcourier.com”. Charleston.net (2008年5月29日). 2010年3月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年3月9日閲覧。
- ^ “ビル・マーレイ、ゴルフ・カートに乗ってご機嫌?”. シネマトゥデイ. (2007年8月30日). https://www.cinematoday.jp/news/N0011328 2013年2月3日閲覧。
- ^ “MLB観戦のため来日のハリウッド大物俳優ビル・マーレイを空港で発見! カブス連敗で即帰国姿(FRIDAY)”. Yahoo!ニュース. 2025年5月5日閲覧。
- ^ “ジム・キャリー主演「帰ってきたMr.ダマー」に“あの大物俳優”がカメオ出演!”. 映画.com (2015年10月9日). 2015年10月9日閲覧。
- ^ “ビル・マーレイ、新『ゴーストバスターズ』に出演していた”. ORICON STYLE. (2016年6月3日). https://www.oricon.co.jp/news/2072754/full/ 2016年6月3日閲覧。
- ^ “ふきカエルインタビュー前編” (2017年4月3日). 2017年4月4日閲覧。
- ^ “『ゴーストバスターズ』玄田哲章ら声優も30年越しに続投!「全力で頑張っています」” (2016年8月19日). 2023年9月15日閲覧。
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
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