INAC神戸レオネッサ
INAC神戸レオネッサ(アイナックこうべレオネッサ、英語: INAC Kobe Leonessa)は、兵庫県神戸市をホームタウンとして、日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)に所属しているサッカークラブである。 概要娯楽・飲食・スポーツ事業などを手掛けるアスコグループ(神戸市中央区)がスポーツビジネスへの参入を目指して2001年4月に任意団体として設立され、同年11月に女子サッカーチームとして「レオネッサ」が発足した[4][5]。「アイナック(INAC)」は"International Athletic Club"の略、「レオネッサ」はイタリア語で雌ライオンを意味し、力強さと美しさを表している[1]。 L・リーグ加盟後はプロ契約した一部選手を除いて、選手をアスコグループで雇用し、社業を免除とする事実上のプロ選手(社員選手)として契約を結ぶなどの強化に努めている[6]。2012年11月に神戸市が六甲アイランド内に開設した神戸レディースフットボールセンターを練習拠点として活動している。 下部組織の「INAC神戸レオネッサアカデミー」はレオンチーナ(U-18)、テゾーロ(U-15)、スクール(U-12)で構成され[7]、東京にレオンチーナ(U-18)、フェミーナ(U-15)、ガールズスクールエリートクラス(U-12)、ガールズスクール(U-12)、キッズスクール(U-6)を持つ「INAC東京」がある[8]。 歴史2001年設立。2003年に平成15年度兵庫県女子サッカー選手権で優勝を果たし、2004年には地域密着のコンセプトをより一層深化させるため、チームの運営団体である「アイナック」をNPO法人化(2004年4月1日認証)し「特定非営利活動法人アイナック」を設立。関西女子サッカーリーグ1部を制し、全日本女子サッカー選手権大会にも出場を果たした。これらの成果により、同年12月のL・リーグ評議会で、翌2005年のL・リーグ加盟が承認された。 2005年シーズン、L・リーグ1年目からブラジル人選手2人を中心に勝利を重ね、わずか1年でL2優勝と、翌2006年のL1(現:Div.1)昇格を決めた。 2006年シーズン、伊賀FCくノ一の原歩、藤村智美と韓国代表のジナが移籍加入。レギュラーリーグは最下位となったが、シーズン後半に強豪の日テレ・ベレーザと3-3で引き分けるなどの底力を見せ、プレーオフ(下位リーグ)では3戦全勝。5位でリーグを終了した。 2008年シーズン、スペランツァF.C.高槻からGKの海堀あゆみが移籍加入[9]。また、日本体育大学から川澄奈穂美が入団。上位争いに加わり(最終順位は2位)、Div.1で優勝争いの一角を占める程の強豪チームとなる。川澄はINAC生え抜きの選手では初となる、日本女子代表(なでしこジャパン)に選出された。 2009年、チーム名をINACレオネッサからINAC神戸レオネッサに改称。 2009年シーズン、2008年に休部したTASAKIペルーレFCから、甲斐潤子と田中明日菜が移籍加入[10]。また、北海道文教大学明清高校から高瀬愛実が入団[11]。高瀬は高卒一年目からレギュラーとして活躍し、クラブ初となる新人王を受賞した[12]。 2010年シーズン、リーグ戦では前シーズンと同じ4位に甘んじたが、11月に星川敬が監督に就任。第32回全日本女子サッカー選手権大会で優勝し、クラブ発足後、初のタイトルを手にした[13]。また、2010年3月に運営会社となる株式会社アイナックコーポレーションが設立された[2]。 2011年シーズン、日テレ・ベレーザから澤穂希、大野忍、近賀ゆかり、南山千明の4選手が移籍加入[14][15]。7月、なでしこジャパンが歴史的な優勝を果たした2011 FIFA女子ワールドカップには、最多となる7人の選手がレオネッサから招集され、準決勝スウェーデン戦、決勝アメリカ戦にはレオネッサの選手5人が日本代表のスターティングメンバーとしてピッチに立った[16][17]。11月13日、クラブ創立10周年にして初のなでしこリーグ優勝を果たした[18]。11月30日には、日本女子サッカー初の試みとなる「TOYOTA Vitz CUP」が開催され、イングランド・女子スーパーリーグチャンピオンの名門アーセナル・レディースと親善試合を行なった[19]。試合はレオネッサが主導権を握りながらも決定機を生かせず、1-1のドローで両チーム優勝という形に終わった[20]。第33回全日本女子サッカー選手権大会で大会連覇を果たし、リーグとの2冠を達成した[21]。 2012年、所属の澤穂希がアジア人史上初となる2011年度「FIFA最優秀選手賞(FIFAバロンドール)」を受賞[22]。また、日本女子サッカーチーム初となる、クラブ情報番組「レオネッサ TV」がスタート[23]。 2012年シーズン、常盤木学園高等学校から京川舞と仲田歩夢、JFAアカデミー福島から田中陽子が入団[24]。トップ登録された下部所属の八尾智奈美と合わせ総勢19人となり、なでしこリーグ一の少数精鋭でスタートした。3月15日、日韓女子リーグチャンピオンシップが開催され、韓国WKリーグチャンピオンの高陽大教ヌンノピに3-0で快勝した[25]。5月、2012年シーズンの開催中止が発表されたアメリカ女子サッカーリーグWPSから、ベッキーとゴーベル・ヤネズが移籍加入した[26]。9月9日のなでしこリーグカップ2012決勝で日テレ・ベレーザに敗れ、2010年10月から続いていた公式戦連続無敗記録が44試合で途切れた[27]。リーグ戦では開幕から首位を守り無敗でリーグ2連覇を達成した[28]。11月、リーグ王者として出場した第1回国際女子サッカークラブ選手権では、決勝でヨーロッパ王者のオリンピック・リヨンに延長戦の末敗れ世界王者の座を逃した[29]。第34回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会では大会3連覇を達成[30]。シーズン終了後、監督の星川が退任した[31]。 2013年シーズン、ヘッドコーチの石原孝尚が監督に昇進[32]。ASエルフェン狭山FCから渡辺彩香が移籍加入、藤枝順心高等学校から今井晴香、山田真帆、平野里菜が、常盤木学園高等学校から道上彩花が入団[33]。国内で2007年の日テレ・ベレーザ以来となる三冠独占(なでしこリーグ2013・なでしこリーグカップ2013・第35回皇后杯)を達成するとともに、国際女子サッカークラブ選手権2013も制した[34]。 2014年シーズン、前田浩二が監督に就任した[35]。前田は、なでしこリーグ初采配であるばかりか、アビスパ福岡の監督(2012年シーズン途中で解任)期間と2013年の途中に就任したガイナーレ鳥取で采配を振るった期間を合わせると26試合も勝てていなかった[36]。ガイナーレはその年のJ2・J3入れ替え戦でカマタマーレ讃岐に敗れ、J3に降格している[37]。当季のレオネッサは18節終了時点で2連敗が3回と成績不振で、前田は10月15日付けで辞任し[38]、10月25日に熊田喜則が監督に就任した[39]。 2015年シーズン、前ASエルフェン埼玉監督の松田岳夫が監督に就任[40]。AS埼玉から伊藤香菜子と齊藤夏美[41]、ベガルタ仙台レディースから鮫島彩が移籍加入[42]。前年アーセナルLFCに在籍していた大野忍が3年ぶりの復帰[43]。藤枝順心高等学校から杉田妃和[44]、JFAアカデミー福島から守屋都弥、日ノ本学園高等学校から竹村美咲[45]、韓国・江原道立大学からチャン・スルギが入団[42]。INAC神戸レオネッサBから渋澤杏奈が昇格[46]。リーグ戦の最終順位は3位に終わるが[47]、第37回皇后杯では2年ぶりの優勝となった[48]。シーズン終了後、澤穂希と海堀あゆみが現役を引退した[49][50]。 2016年シーズン、チョ・ソヒョンが仁川現代製鉄レッドエンジェルズからプロ契約選手として1年間の期限付きで加入[51]。同年2月、ベガルタ仙台レディースから武仲麗依が完全移籍で1年ぶりの復帰[52]。同年6月、川澄奈穂美がシーズン途中に退団し、NWSLのシアトル・レインFCへ完全移籍した[53]。同年8月、岡山湯郷Belleを退団した福元美穂がシーズン途中に加入[54]。同年10月、近賀ゆかりがシーズン途中に退団し、Wリーグのキャンベラ・ユナイテッドFCに移籍[55]。同年12月、甲斐潤子が現役を引退することを発表した[56]。リーグ戦の最終順位は2位に終わるが、杉田妃和がレオネッサの選手としては2009年の高瀬愛実以来の新人賞を受賞し、ベストイレブンには鮫島彩が選出された[57]。第38回皇后杯で優勝し、同大会連覇を達成した[58]。シーズン終了後に南山千明がチームを退団し[59]、野口彩佳がAC長野パルセイロ・レディースに移籍した[60]。 2017年シーズン、新入団選手として仙台大学から須永愛海、JFAアカデミー福島からスタンボー華、藤枝順心高等学校から福田ゆい、日ノ本学園高等学校から平塚万貴、常盤木学園高等学校から杉田めい、前橋育英高校から島袋奈美恵、韓国の高麗大学からホン・ヘジ、浦項女子電子高校からチェ・イェスルが加入した[61][62][63]。同シーズンから、なでしこリーグのレオネッサの試合およびチーム応援番組をインターネットで独自に配信する「レオネッサTV web」を開始した[64]。同年4月、齊藤夏美がシーズン途中に岡山湯郷Belleへ移籍した。[65]同年7月、バイエルン・ミュンヘンを退団していた岩渕真奈がシーズン途中に加入した[66]。リーグ戦の最終順位は2年連続での2位に終わるが、鮫島彩が2年連続でのベストイレブン、中島依美はベストイレブンと敢闘賞を受賞し、福田ゆいが新人賞を受賞した[67]。大会3連覇を狙った第39回皇后杯では3回戦で早稲田大学にPK戦の末に敗れ、2005年のリーグ参入以来では過去最低のベスト16に終わった[68]。シーズン終了後、監督の松田岳夫は契約満了となり、退任が発表された[69]。 2020年シーズン、ゲルト・エンゲルスが監督に就任[70]。新加入選手としてアルビレックス新潟レディースから阪口萌乃[71]、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースから西川彩華[72]、日テレ・ベレーザから前シーズンまで4年連続リーグ得点王の田中美南が加わった[73]。2020年10月15日、2021年から開幕するWEリーグへの参入が承認された[74]。シーズン終了後の12月に岩渕がイングランド・FA WSLのアストン・ヴィラ移籍のため、退団した[75]。他にもWEリーグの新チーム創設に伴い、鮫島彩[76]、仲田歩夢[77]、スタンボー華(以上、大宮アルディージャVENTUS)、増矢理花[78]、島袋奈美恵[79](以上、サンフレッチェ広島レジーナ)など7人が移籍した。 2021-22シーズン、WEリーグ元年である2021年2月に星川敬が再びトップチームの監督に就任した[80]。ジェフユナイテッド市原・千葉レディースから成宮唯[81]、日テレ・東京ヴェルディベレーザからなでしこジャパンの正GKである山下杏也加[82]、日ノ本学園高校から竹重杏歌理[83]、8月に浜野まいかがセレッソ大阪堺レディースから加入。リーグ開幕日である同年9月12日のホームゲーム対大宮アルディージャVENTUS戦はテレビ中継を担当する朝日放送テレビの意向[注釈 1]でキックオフが異例の午前10時となり、同リーグにおける記念すべき最初の試合になった[84]。シーズン途中の2022年1月、杉田妃和がアメリカ・NWSLのポートランド・ソーンズFCへ移籍[85]。5月8日、リーグ戦2試合を残し、9年振りのリーグ優勝を決め、WEリーグ初代王者となり[86][87]、山下杏也加・三宅史織・成宮唯・田中美南がベストイレブンに選出[88]。山下がリーグMVPを受賞した[89]。星川は同年5月25日に監督を1シーズン限りで退任した[90]。シーズン終了後、京川がドイツ・ブンデスリーガの1.FFCトゥルビネ・ポツダム[91]へ、西川が日テレ・東京ヴェルディベレーザ[92]へ移籍、中島依美が海外挑戦のため、退団した(後にマイナビ仙台レディースに加入)[93][94]。 2022-23シーズン、新監督に朴康造が就任[95]。ノジマステラ神奈川相模原から脇阪麗奈[96]、日テレ・東京ヴェルディベレーザから土光真代[97]、マイナビ仙台レディースから宮本華乃[98]、スペイン2部・RCDエスパニョールから山本摩也[99]が加入した。同シーズンより新たに創設されたWEリーグカップではグループステージ2位で敗退し、決勝には進めなかった[100]。シーズン途中の2023年1月に浜野まいかがイングランド・WSLのチェルシーFC(同時にスウェーデン・ハンマルビーIFへ期限付き移籍)へ移籍[101]。また2023-24シーズンからWEリーグに参入するセレッソ大阪堺レディースから、小山史乃観と筒井梨香が同年6月30日までの期限付き移籍加入した[102][103]。同年6月19日、朴康造の監督退任を発表[104]。同年6月30日、伊藤美紀が三菱重工浦和レッズレディース[105]へ、阪口萌乃が大宮アルディージャVENTUS[106]へ、脇阪麗奈がセレッソ大阪ヤンマーレディース[107]への移籍が発表された。 2023-24シーズン、2023年7月10日にスペイン人のジョルディ・フェロンが新監督に就任することが発表された[108]。新加入選手はちふれASエルフェン埼玉から船田麻友[109]、サンフレッチェ広島レジーナから松原優菜[110]と増矢理花[111]、アルビレックス新潟レディースから北川ひかるが加入[112]。WEリーグカップの序盤ではW杯開催期間中で代表選手を多く抱えるチームは苦戦を強いられグループステージ5位で敗退したが、リーグ戦ではウインターブレイクまでの前半戦は無敗の首位で折り返した[113]。第45回皇后杯では決勝戦で三菱重工浦和レッズレディースを相手に延長戦までもつれ込んだが決着が付かず、PK戦の末に勝利し、7大会ぶり7度目の優勝を手にした[114]。 2024年2月26日、クラブを運営するアイナックフットボールクラブ株式会社の発行済み株式3,717株(100%)がアスコグループから神戸市に本社を置き産業廃棄物の処理やリサイクル事業などを手がける大栄環境株式会社に譲渡され、同社の連結子会社とする株式譲渡契約を締結した[4][115]。3月1日から大栄環境株式会社がクラブ経営に携わる[6]。なお、クラブ名は「INACレオネッサ神戸」に変更はない。 年度別成績・歴代監督
タイトル国内タイトル
国際タイトル
スタジアム
シーズン別入場者数
ユニフォーム
チームカラー
ユニフォームスポンサー
ユニフォームサプライヤー
チーム名変遷
所属選手・スタッフ
スタッフ
選手
背番号変遷1-10
11-20
21-30
31-50
51-99
かつて所属していた選手GK
DF
MF
FW
下部組織
メディアテレビ過去ラジオ
インターネット
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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